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雇用保険の自己都合退職ガイド|給付制限1ヶ月の新ルール・受給額計算・すぐもらう方法【2025年改正対応】

「自己都合退職だと、雇用保険の失業手当はすぐにもらえない」

そう思っていませんか?

実は2025年4月の法改正で給付制限期間が2ヶ月→1ヶ月に短縮され、条件次第では待機期間後すぐに受給を開始できるケースもあります。

編集部
本記事では、雇用保険の自己都合退職における給付制限の仕組みから、失業給付の受給額計算、会社都合への変更手続き、給付制限期間中の経済的負担を軽減する方法まで、2026年最新の情報をもとに徹底解説します。

※当院には社会保険労務士(社労士)が在籍しています。

この記事のポイント|3つの結論

① 2025年4月改正で給付制限は原則1ヶ月に短縮
手続き開始から最短約37日で初回振込を受けられる計算です(7日待機+1ヶ月制限+認定後約1週間)。

② 特定理由離職者に認定されれば給付制限ゼロ
病気・介護・妊娠・出産・ハラスメントなどの正当な理由があれば、7日間の待機期間後すぐに受給開始。給付日数も最大330日に拡大する可能性があります。

③ 教育訓練(リスキリング)の受講で給付制限が解除
離職前1年以内、または離職後に対象講座を受講すれば、自己都合でも制限なしで受給可能です。

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※上記は概算です。正確な金額はハローワークで確認してください。賃金日額の上限・下限は2025年8月改定値を使用しています。

目次

雇用保険の自己都合退職とは?基本ルールと失業給付の仕組み

雇用保険の自己都合退職とは?基本ルールと失業給付の仕組み

失業保険(正式には雇用保険の基本手当。失業手当・失業給付とも呼ばれます)は、離職者の生活と再就職を支援するための制度です。

雇用保険料は労働者と事業主が共同で負担しており、2025年度の労働者負担率は0.55%です。在職中に保険料を納めてきたからこそ、退職後に受給する権利があります。

しかし、自己都合で退職した場合には「給付制限期間」が設けられ、すぐには受け取れません。

この給付制限期間は、2020年9月まで3ヶ月でしたが、2025年3月までは2ヶ月、そして2025年4月以降は原則1ヶ月に短縮されています。

自己都合退職の場合、ハローワークで求職の申し込みをしてから7日間の「待機期間」を経た後、さらに1ヶ月間は失業給付が支給されない期間がある、というのが現在の原則です。

区分 自己都合退職 会社都合退職
給付制限期間 1ヶ月(原則) なし
待機期間 7日間 7日間
初回振込の目安 約1ヶ月半〜2ヶ月 約2〜3週間
所定給付日数 90〜150日 90〜330日
被保険者期間の要件 離職前2年間に12ヶ月以上 離職前1年間に6ヶ月以上
編集部
「自己都合だとすぐにもらえない」と感じる方は多いですが、実は制限を回避できるケースも複数あります。次の項目で詳しく解説します。

失業給付の受給条件を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
>>失業保険の条件とは?雇用保険が12ヶ月以上の加入で受給可能!自己都合・会社都合別解説

参考: 雇用保険の基本手当について|ハローワークインターネットサービス

【2025年4月改正】自己都合退職の給付制限期間が1ヶ月に短縮

【2025年4月改正】自己都合退職の給付制限期間が1ヶ月に短縮

2025年4月1日の雇用保険法改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則2ヶ月から1ヶ月へ短縮されました。

これまで自己都合退職では、7日間の待機期間に加えて2ヶ月もの間、失業給付を受け取れませんでした。改正後は、待機期間と合わせて約1ヶ月半(最短約37日)で最初の給付を受けられる計算になり、退職後の生活費の負担が大きく軽減されています。

編集部
改正前は初回振込まで約2ヶ月半かかっていたので、約1ヶ月も短縮された計算です。

ただし、以下のケースでは給付制限が3ヶ月に延長される点に注意が必要です。

  • 過去5年以内に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を受けた場合
  • 重責解雇(懲戒解雇など、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇)の場合
項目 改正前(2025年3月まで) 改正後(2025年4月以降)
給付制限期間(原則) 2ヶ月 1ヶ月
3ヶ月に延長される条件 5年以内に3回以上の自己都合退職 5年以内に2回以上の自己都合退職
教育訓練による制限解除 なし あり(次項で解説)
初回振込までの目安 約2ヶ月半 約1ヶ月半(最短約37日)

この改正は2025年4月1日以降に離職した方が対象です。それ以前に離職した方には旧ルール(2ヶ月)が適用されます。

参考: 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について|厚生労働省(PDF)

教育訓練(リスキリング)の受講で給付制限が解除される新制度

2025年4月の改正では、もうひとつ大きな変更点があります。自ら教育訓練を受講した場合、給付制限期間そのものが解除されるという新制度です。

具体的には、以下のいずれかに該当すると、給付制限が撤廃され、7日間の待機期間後すぐに失業給付を受け取れます。

離職日前1年以内に、厚生労働省が指定する教育訓練を受講していた場合

離職日以降に、対象となる教育訓練の受講を開始した場合

対象となる教育訓練は、教育訓練給付の対象講座(専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練)のほか、厚生労働省令で定める訓練が含まれます。

項目 改正前 改正後(2025年4月〜)
ハローワーク指示の職業訓練 給付制限解除あり 給付制限解除あり
自主的な教育訓練の受講 解除なし 解除あり(新設)
編集部
改正前はハローワークの指示がないと給付制限は解除されませんでしたが、改正後は自主的に受講した教育訓練でもOKになった点が大きな違いです。

なお、この制度を利用するには、ハローワークに所定の書類を提出する必要があります。在職中にリスキリングを始めていた方や、退職後にスキルアップを考えている方は、ぜひ活用を検討してみてください。

参考: 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について|厚生労働省(PDF)

自己都合でも給付制限がなくなる?特定理由離職者・特定受給資格者の違い

自己都合でも給付制限がなくなる?特定理由離職者・特定受給資格者の違い

特定理由離職者および特定受給資格者とは、失業給付において、通常の自己都合退職者よりも手厚い保護を受けられる離職者の区分です。

これらの区分に該当すると、自己都合退職であっても給付制限期間が適用されず、7日間の待機期間経過後すぐに失業給付の支給が開始されます。

特定理由離職者

特定理由離職者とは、やむを得ない理由により離職を余儀なくされた自己都合退職者を指します。主な例としては以下のようなケースが挙げられます。

特定理由離職者の例
  • 契約期間満了による退職(更新の希望があったにもかかわらず更新されなかった場合)
  • 病気・怪我:医師の診断書等により、健康上の理由で就労が困難になったと認められる場合
  • 妊娠・出産・育児:退職を余儀なくされた場合
  • 親族の介護:家族の介護が必要となり、退職せざるを得なかった場合
  • 配偶者の転勤:転居により通勤が困難になった場合
  • 通勤困難:事業所の移転等により、通勤が著しく困難になった場合
  • 退職勧奨に応じた退職:会社から退職を勧められ、応じる形で退職した場合
  • やむを得ない家庭の事情:災害など、個々の事情に応じてやむを得ないと認められるケース

これらの場合、ハローワークで申請し、認められれば特定理由離職者として扱われ、給付制限がなくなります。

特定受給資格者

特定受給資格者とは、倒産や解雇など、会社側の都合によって離職を余儀なくされた人を指します。

例えば、ハラスメントが原因で自己都合退職せざるを得なかった場合など、会社都合に近い形で退職に至ったケースも含まれることがあります。

退職に至ったケース
  • 倒産:会社が倒産・廃業したため
  • 解雇:会社から解雇されたため(自己の責に帰すべき重大な理由による解雇を除く)
  • 賃金未払い:賃金の3分の1以上が支払われなかった月が継続した場合
  • 長時間労働:残業時間が大幅に超過するなど、労働条件が著しく不利になったため
  • ハラスメント:パワハラ、セクハラ、いじめ等により、就業継続が困難になったため
  • 会社の法令違反:会社が労働基準法等の法令に違反している事実が明らかになったため

これらの特定理由離職者または特定受給資格者に該当すると、自己都合退職であっても給付制限期間が適用されず、7日間の待機期間後すぐに失業給付の受給が開始されます。

参考: 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワークインターネットサービス

自己都合退職でも失業手当をすぐもらえる7つのケース

自己都合退職でも失業手当をすぐもらえる7つのケース

自己都合退職であっても失業保険を「すぐもらう」ための鍵は、前述の「特定理由離職者」または「特定受給資格者」に該当することです。これらの区分に該当するかどうかは、ハローワークが個別の事情に基づいて判断します。

以下のいずれかに該当する場合は、ハローワークに相談し、必要な書類を提出することで給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。

ケース①:心身の故障や疾病により退職した場合

必要書類:医師の診断書

診断書には「就労が困難である」旨や、治療・療養が必要である旨が明記されていることが望ましいです。退職時に症状が悪化し、働くことができなくなったことを証明します。

ケース②:妊娠、出産、育児などにより退職した場合

必要書類:母子手帳、住民票、医師の診断書など

30日以上の就業が困難となった場合に該当します。産前産後休業や育児休業が取得できない環境だった場合などが含まれます。

ケース③:親族の介護が必要となり退職した場合

必要書類:介護保険証、医師の診断書、住民票など

父母の死亡、病気、負傷、その他の理由により扶養しなければならない親族の世話が必要になったケースです。介護のために通勤が困難になった場合や、遠隔地への転居が必要になった場合も含まれます。

ケース④:配偶者の転勤・事業所の移転で通勤困難になった場合

必要書類:配偶者の転勤辞令、新居の賃貸契約書、事業所の移転通知書など

通勤時間が大幅に延びた場合(片道2時間以上が目安とされることも)などが該当します。

ケース⑤:会社から退職勧奨を受けて退職した場合

必要書類:退職勧奨の書面、面談記録、録音データ、退職合意書など

形式上は自己都合退職ですが、実態は会社都合に近いと判断されます。退職勧奨を行ったことを示す書面や上司との面談記録が証拠になります。

ケース⑥:労働条件が著しく低下・賃金が遅配・減額された場合

必要書類:雇用契約書、給与明細、振込履歴、就業規則の賃金規程など

労働契約締結時の条件と現在の条件との乖離がポイントです。賃金が継続的に遅配・減額された証拠を揃えましょう。

ケース⑦:パワハラ・セクハラ・いじめにより退職した場合

必要書類:社内相談窓口への報告記録、医師の診断書(精神的な不調がある場合)、同僚の証言、メール・LINEのスクリーンショットなど

具体的なハラスメントの証拠が必要です。退職前にできる限り証拠を確保しておくことが非常に重要です。退職後は社内データにアクセスできなくなるため、在職中にタイムカードのコピー、メールの転送、スクリーンショットの保存などを行いましょう。

ハローワークへの相談の重要性

離職票に記載された離職理由が実際の状況と異なる場合や、自分のケースが特定理由離職者に該当するかどうかわからない場合は、まずは地域のハローワークに相談しましょう。

ハローワークの担当者は、個々の状況を聞き取り、適切なアドバイスと必要な手続きについて説明してくれます。正直に、そして具体的に事情を説明することが、「すぐもらう」ための第一歩です。

自己都合退職でも失業保険をすぐもらう方法をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>自己都合退職でも失業保険をすぐもらう3つの方法!給付制限を解除する条件

自己都合退職での失業手当の受給手続きの流れ【5ステップ】

自己都合退職で失業保険を受給する際の手続きは、以下の5ステップで進みます。特に「すぐもらう」ことを目指す場合は、各ステップを迅速かつ正確に進めることが重要です。

STEP1:ハローワークへ行く

離職後、まず最初に行うべきは、管轄のハローワークへの訪問です。ここで求職の申し込みと、失業給付の受給資格の決定手続きを行います。

ハローワークによっては予約が必要な場合があるため、事前に電話やインターネットで確認しましょう。月曜日や連休明けは混雑するため、平日の午前中の早い時間や午後の遅い時間が比較的空いています。

求職の申し込みだけでなく、自分の離職理由が「特定理由離職者」や「特定受給資格者」に該当しないかを確認する意識を持って臨みましょう。

失業手当の手続き全体を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
>>失業保険のもらい方を5ステップで解説!条件・必要書類・金額計算まで網羅

持ち物・必要書類リスト

必要書類 備考
雇用保険被保険者離職票-1、-2 会社から交付。離職理由に異議がある場合はハローワークで申し出可能
個人番号確認書類 マイナンバーカード、または通知カード+運転免許証など
本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きのもの
証明写真(2枚) 縦3.0cm×横2.5cm。裏に氏名を記入
印鑑 シャチハタ以外のもの
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード 失業保険の振込先口座を確認するため

特定理由離職者・特定受給資格者として申請する場合の追加書類

退職理由 必要な追加書類
病気・怪我 医師の診断書
妊娠・出産・育児 母子手帳、住民票、医師の診断書など
親族の介護 要介護認定の写し、医師の診断書、住民票など
配偶者の転勤 転勤辞令、住民票、賃貸契約書など
退職勧奨 退職勧奨通知書、退職合意書など
ハラスメント 社内報告記録、医師の診断書、証言メモなど

受給資格の決定

ハローワークで求職の申し込みと必要書類を提出すると、担当者が書類の内容を確認し、受給資格を満たしているかどうかを審査します。

審査では主に以下の3点が確認されます。

雇用保険の加入期間:原則として、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あるか。特定理由離職者は離職日以前1年間に6ヶ月以上でも認められる場合あり。

離職理由:自己都合、会社都合、または特定理由離職者のいずれに該当するかを判断。追加書類によって変更が認められる可能性あり。

失業の状態:「働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、職業に就くことができない状態」であるかを確認。

編集部
受給資格決定の段階で離職理由が最終判断されます。特定理由離職者に該当すると考える場合は、このタイミングで必ず申し出て、証拠書類を提出してください。

STEP2:雇用保険受給説明会への参加

受給資格が決定されると、ハローワークから「雇用保険受給説明会」の案内が通知されます。この説明会への参加は、失業保険の受給者全員に義務付けられています。

説明会では、失業保険制度の概要、今後の手続きの流れ、ハローワークの再就職支援サービスなどが説明されます。また、失業認定申告書・受給資格者証などの重要書類が配布されますので、なくさないように大切に保管しましょう。

通常は数時間程度かかります。参加しないと失業認定を受けられず、支給が遅れる原因になります。

STEP3:7日間待機期間の経過

求職の申し込みを行い、受給資格の決定がなされた日から、7日間の待機期間が開始されます。

待機期間中はアルバイトなどの就労は原則禁止です。就労した場合は待機期間が延長されたり、受給資格に影響が出る可能性があります。

【計算例】
1月1日にハローワークで手続きが完了した場合、1月7日までが待機期間となり、1月8日から(給付制限がなければ)支給対象期間が始まります。

STEP4:求職活動の実践と失業認定

失業認定を受けるためには、前回の認定日から次の認定日まで(通常4週間)に、原則2回以上の求職活動実績が必要です。

認められる求職活動 認められない活動
ハローワークでの職業相談・職業紹介 求人情報を閲覧しただけ(応募・相談なし)
具体的な求人への応募(履歴書送付、Webエントリーなど) 知人に仕事がないか聞いただけ
就職支援セミナー・講習会への参加 ハローワークのPCで求人検索しただけ
採用面接を受けた場合
転職エージェントとの面談・求人紹介
再就職のための資格取得講座の受講

失業認定日にハローワークへ行かないと、その期間の失業保険は支給されません。やむを得ない事情で来所できない場合は、事前にハローワークに連絡し、指示を仰ぎましょう。

求職活動実績の作り方を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
>>失業保険の求職活動とは?実績として認められる活動・必要回数・簡単な作り方を全解説

STEP5:失業保険の受給(振込)

失業認定が問題なく行われると、通常は約1週間程度で指定した金融機関の口座に振り込まれます。

区分 初回振込までの目安
自己都合退職(給付制限あり) 手続き開始から約1ヶ月半〜2ヶ月(7日待機+1ヶ月制限+認定後約1週間)
特定理由離職者・特定受給資格者 手続き開始から約2〜3週間(7日待機+認定後約1週間)

失業保険の振込日や認定日の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>失業保険の振込日はいつ?認定日から届くまでの日数と初回支給日を解説

自己都合退職の失業手当はいくら?受給額の計算方法

失業給付の受給額(基本手当日額)は、原則として離職前の賃金に基づいて計算されます。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

  • 賃金日額=離職直前6ヶ月間の給与(賞与等を除く)の合計額 ÷ 180
  • 給付率=賃金日額に応じて50%〜80%(賃金日額が低いほど給付率は高い)
賃金日額の範囲 給付率
5,110円未満 80%
5,110円以上〜12,500円以下 80%〜50%(段階的に低下)
12,500円超 50%

※賃金日額の上限額は13,990円(60歳〜64歳は13,000円)、下限額は2,746円です(2025年8月改定値)。

【計算例】
離職前6ヶ月間の給与合計が180万円の場合:
賃金日額=180万円 ÷ 180日=10,000円
基本手当日額=10,000円 × 約50%=約5,000円/日
月額換算(×28日)=約140,000円

編集部
正確な受給額を知りたい方は、上部の無料シミュレーターで計算できます。4項目を選ぶだけで基本手当日額・給付日数・受給総額が即計算されます。

失業手当の計算方法や月額早見表を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>【2026年】失業手当の計算シミュレーション|受給額がわかる早見表つき

参考: 雇用保険の基本手当日額が変更になります|厚生労働省(PDF)

自己都合退職の給付制限期間中の過ごし方と経済的負担の軽減策

自己都合退職の場合、7日間の待機期間が終わっても、さらに1ヶ月(または3ヶ月)の給付制限期間があり、この間は失業保険が支給されません。

この期間は収入がゼロになるため、経済的な負担が最も大きくなる時期です。しかし、過ごし方次第で負担を軽減し、受給開始後の再就職活動をスムーズに進めることができます。

給付制限期間中の経済的負担を軽減する方法

給付制限が1ヶ月に短縮されたとはいえ、最初の振込までは退職後約2ヶ月かかります。以下の公的制度を活用して、負担を減らしましょう。

制度名 内容 窓口
国民健康保険料の減免 離職理由により保険料が最大7割軽減 市区町村の国保窓口
国民年金の免除・猶予 退職特例で所得審査が緩和される 年金事務所・市区町村窓口
住居確保給付金 家賃相当額を原則3ヶ月(最大9ヶ月)支給 市区町村の福祉課
生活福祉資金貸付 緊急小口資金(最大10万円)など無利子で借入可能 社会福祉協議会

参考: 住居確保給付金について|厚生労働省

給付制限期間中にアルバイトはできる?週20時間未満のルール

7日間の待機期間中はアルバイトが原則禁止ですが、給付制限期間中はアルバイトが可能です。ただし、以下の3つの条件を守る必要があります。

3つの条件
  1. 1週間の労働時間が20時間未満であること
  2. 31日以上の雇用が見込まれない短期・単発の仕事であること
  3. 次回の失業認定申告書に正しく申告すること

1週間の労働時間が20時間以上になると、ハローワークから「就職した」と判断され、失業保険の受給資格そのものを失う可能性があります。

また、得た収入は必ず失業認定申告書に記載してください。申告しなかった場合は不正受給とみなされ、受給額の3倍返還を求められることもあります。

期間 アルバイトの可否 注意点
待機期間(7日間) 原則不可 就労すると待機期間のカウントが延長される
給付制限期間(1〜3ヶ月) 条件付きで可能 週20時間未満・31日以上の雇用見込みなし・要申告
受給期間中 条件付きで可能 同上。収入額に応じて基本手当が減額される場合あり

アルバイトと失業手当の併用ルールを詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
>>失業手当受給中にアルバイトはOK?守るべき5つの条件と申告方法を徹底解説

給付制限期間中にやっておくべき再就職準備

①スキルの棚卸しと職務経歴書の完成

これまでの業務経験を振り返り、「何ができるか」「どんな成果を出したか」を具体的な数字とともに整理しましょう。この段階で職務経歴書を完成させておけば、受給開始後すぐに応募活動に入れます。

②教育訓練・資格取得の検討

前述のとおり、2025年4月以降は教育訓練を受講することで給付制限が解除される新制度が導入されています。スキルアップと給付制限の解除を同時に実現できるため、一石二鳥の選択肢です。

③転職エージェント・求人サイトへの登録

給付制限期間中でも求職活動は可能であり、むしろ積極的に行動すべき期間です。転職エージェントに登録して面談を受ければ、求職活動実績としてもカウントされます。

参考: 雇用保険の基本手当について|ハローワークインターネットサービス

自己都合退職の失業手当はいつまでもらえる?受給期間と所定給付日数

失業保険(基本手当)を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間と定められています。1年を過ぎると、まだ所定給付日数が残っていても、原則としてそれ以上の支給は受けられません。

所定給付日数とは?

被保険者期間 一般の離職者(自己都合) 特定受給資格者・特定理由離職者
1年未満 (受給資格なし) 90日
1年以上5年未満 90日 90日
5年以上10年未満 90日 120日〜180日(年齢による)
10年以上20年未満 120日 180日〜240日(年齢による)
20年以上 150日 240日〜330日(年齢による)
編集部
自己都合退職でも特定理由離職者に認定されれば、給付日数が最大330日に増える可能性があります。「早くもらう」だけでなく「長くもらう」ことにも繋がる重要なポイントです。

受給期間の延長について

原則1年間とされる受給期間ですが、やむを得ない事情がある場合には最大3年間(通常の1年と合わせて最長4年間)延長することができます。

延長が認められる主な理由は以下のとおりです。

  • 病気や怪我:30日以上続けて職業に就くことができない場合
  • 妊娠・出産・育児:30日以上続けて職業に就くことができない場合
  • 親族の介護:30日以上続けて職業に就くことができない場合
  • その他:ハローワークが認めるやむを得ない理由

手続きの期限:働けない状況になった日の翌日から1ヶ月以内に、ハローワークに「受給期間延長申請書」を提出する必要があります。

受給期間や給付日数の詳細を退職理由・年齢別に確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
>>失業保険の申請期限はいつまで?「原則1年」のルールと過ぎた場合の対処法を解説

雇用保険の自己都合退職を会社都合に変更できるケースと手続き

雇用保険の自己都合退職を会社都合に変更できるケースと手続き

離職票に「自己都合退職」と記載されていても、実態が会社側の問題に起因する退職であれば、ハローワークの判断で会社都合(特定受給資格者)に変更される可能性があります。

会社都合に変更されると給付制限がなくなり、給付日数も大幅に増えるケースがあるため、心当たりのある方は諦めずに申し出ることが大切です。

離職票の退職理由を自己都合から変更する異議申し立ての手順

離職票を受け取ったら、まず離職票-2の「離職理由」欄を確認してください。会社が記載した理由と実態が異なる場合、以下の手順で異議を申し立てられます。

STEP1:離職票-2の「離職者本人の判断」欄で「異議 有り」に○をつける

離職票-2の最下部にある「事業主が○をつけた離職理由に異議 有り・無し」の項目で、「有り」に○をつけてハローワークに提出します。これが異議申し立ての第一歩です。

STEP2:ハローワーク窓口で事情を具体的に説明する

受給資格決定の面談時に、退職に至った経緯を時系列で具体的に担当者へ伝えます。「いつ」「誰から」「どのような行為・指示があったか」を整理しておくとスムーズです。

STEP3:証拠書類を提出する

口頭の説明だけでは認定が難しいため、客観的な証拠書類の提出が不可欠です。

STEP4:ハローワークが会社に事実確認を実施

提出された書類と申し立て内容をもとに、ハローワークが会社側に問い合わせを実施。双方の主張を聴取したうえで、最終的な離職理由はハローワークが判断します。

編集部
この手続きは受給資格決定のタイミング(離職票を初めて提出する段階)で行うのが最も効果的です。後から変更を求めることも可能ですが、手続きが複雑になります。

離職票の退職理由が事実と異なる(嘘の記載がある)場合の対処法

会社が離職票に事実と異なる退職理由を記載するケースは、残念ながら珍しくありません。例えば、実際には退職勧奨を受けたにもかかわらず「一身上の都合」と記載されたり、ハラスメントが原因なのに「自己都合」とされたりするケースです。

このような場合でも、ハローワークは会社の記載を鵜呑みにするわけではありません。離職者本人が証拠書類とともに事実を申し立てれば、ハローワークが独自に調査を行い、実態に基づいた判断を下します。

会社が嘘の理由を記載していることに気づいたら、泣き寝入りせず、必ずハローワーク窓口で申し出てください。

ハローワークが会社都合と認定する判断基準

退職の実態 ハローワークに提出すべき証拠
パワハラ・セクハラで退職せざるを得なかった 社内相談窓口への報告記録、メール・LINEのスクリーンショット、医師の診断書、同僚の証言メモ
長時間労働(月80時間超の残業など)が常態化していた タイムカードのコピー、勤怠記録、PCログ、残業命令書、手帳の勤務記録
給与の未払い・大幅減額があった 雇用契約書、給与明細、振込履歴、就業規則の賃金規程
労働条件が契約内容と著しく異なっていた 雇用契約書・求人票と実際の業務内容の対比資料
退職勧奨を受けて退職した 退職勧奨の書面、面談記録、録音データ、退職合意書
事業所の移転で通勤困難になった 移転通知書、通勤経路の所要時間がわかる資料

離職理由の最終判断はあくまでハローワークが行います。会社が「自己都合」と主張しても、証拠をもとに実態が会社都合であると認められれば、給付制限の免除・給付日数の優遇が適用されます。

参考: 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|ハローワークインターネットサービス

要注意!5年以内に自己都合退職を繰り返すと給付制限が3ヶ月に延長

転職回数が多い方が特に注意すべきなのが、過去5年以内の自己都合退職の回数による給付制限の延長です。

項目 改正前(2025年3月まで) 改正後(2025年4月以降)
原則の給付制限期間 2ヶ月 1ヶ月
3ヶ月に延長される条件 5年以内に3回以上の自己都合退職 5年以内に2回以上の自己都合退職で受給資格決定

改正後は原則が1ヶ月に短縮された一方で、延長の条件は厳しくなっています。改正前は「3回以上」で3ヶ月だったのに対し、改正後は「2回以上」で3ヶ月に延長されるため、安易な短期離職を繰り返すと給付制限が大幅に長くなるリスクがあります。

なお、カウント対象となるのは「正当な理由のない自己都合退職」に限られます。特定理由離職者や特定受給資格者に認定された退職は回数にカウントされません。

転職を検討している方は、自分が過去5年以内に何回自己都合退職しているかを事前に把握しておきましょう。不明な場合は、ハローワーク窓口で過去の受給履歴を確認できます。

参考: 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について|厚生労働省(PDF)

雇用保険の自己都合退職でももらえる?再就職手当の仕組みと計算方法

失業保険は「もらい切るもの」と考えがちですが、早期に再就職が決まった場合には「再就職手当」を受け取れる可能性があります。場合によっては数十万円単位のまとまった金額を受け取れるため、知らずに損をしないよう仕組みを把握しておきましょう。

再就職手当の受給条件と計算方法

再就職手当を受け取るには、主に以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 就職日の前日時点で、所定給付日数の3分の1以上が残っていること
  • 7日間の待機期間が満了した後の就職であること
  • 1年を超えて雇用されることが確実であること
  • 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
  • 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
  • 受給資格決定前から採用が内定していた事業主でないこと
編集部
自己都合退職の方は上記に加え、給付制限期間の最初の1ヶ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職でなければ対象になりません。2ヶ月目以降は自分で見つけた就職先でもOKです。

支給額の計算

所定給付日数の残日数 支給率 計算式
3分の2以上残して就職 70% 基本手当日額 × 残日数 × 70%
3分の1以上残して就職 60% 基本手当日額 × 残日数 × 60%

【計算例】
基本手当日額5,000円、所定給付日数90日、残日数70日(3分の2以上)の場合:
5,000円 × 70日 × 70% = 245,000円

早く再就職するほど支給率が高くなる仕組みです。「失業保険を全部もらってから就職しよう」と考えるよりも、早期再就職で再就職手当を受け取るほうが総額で得になるケースも少なくありません。

再就職手当を受け取るべきかどうか迷っている方は、以下の記事で損得のケース別シミュレーションを確認できます。
>>再就職手当はもらわない方がいい?損する4つのケースと得する3つのケース

2025年4月改正による就業促進手当の変更点

①就業手当の廃止

これまでパートや短期バイトなど「安定した職業以外」の仕事に就いた場合に支給されていた「就業手当」は廃止されました。今後は、1年を超える安定した雇用に就いた場合の再就職手当に一本化されています。

②就業促進定着手当の支給上限が変更

項目 改正前 改正後
再就職手当の支給率が70%の場合の追加支給上限 残日数の30% 残日数の20%
再就職手当の支給率が60%の場合の追加支給上限 残日数の40% 残日数の30%

参考: 就職促進給付|ハローワークインターネットサービス

雇用保険(自己都合退職)に関するよくある質問

Q1:自己都合退職の場合、失業手当はいつから振り込まれますか?

2025年4月以降の離職であれば、ハローワークで手続きした日から7日間の待機期間+1ヶ月の給付制限期間を経て、最初の失業認定日の約1週間後に振り込まれます。手続き開始からおよそ1ヶ月半〜2ヶ月後が目安です。

Q2:自己都合退職でも給付制限なしで失業手当をもらえることはありますか?

はい、あります。病気・怪我、妊娠・出産、親族の介護、配偶者の転勤など、やむを得ない理由で退職した場合は「特定理由離職者」に認定され、給付制限なしで受給できます。また、教育訓練を受講した場合も給付制限が解除されます。

Q3:離職票に「自己都合」と書かれていても、後から会社都合に変更できますか?

変更できる可能性があります。離職票をハローワークに提出する際に「異議有り」に○をつけ、パワハラや長時間労働などの証拠書類を提出すれば、ハローワークが事実を調査し、会社都合と認定されるケースがあります。

Q4:給付制限期間中にアルバイトをしても大丈夫ですか?

7日間の待機期間中は原則禁止ですが、給付制限期間中は条件付きで可能です。週20時間未満かつ31日以上の雇用見込みがない短期の仕事であれば問題ありません。ただし、必ず失業認定申告書に申告してください。

Q5:退職理由について嘘の申告をするとどうなりますか?

退職理由を偽って失業給付を受け取った場合、不正受給とみなされ、受給額の3倍返還(いわゆる「3倍返し」)を求められる可能性があります。離職理由の虚偽申告は雇用保険法上の罰則対象であり、詐欺罪に問われるケースもあります。絶対にやめてください。

同様に、会社側が離職票に嘘の退職理由を記載した場合も、ハローワークに事実を申し出れば調査・是正が行われます。

Q6:早期に再就職が決まったら、残りの失業手当は受け取れなくなりますか?

失業手当の支給は終了しますが、代わりに「再就職手当」を受け取れる可能性があります。所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合、残日数に応じた一時金が支給されます。残日数が多いほど支給率が高くなるため、早期再就職でも損をしない仕組みです。

Q7:2025年4月の改正で、具体的に何が変わりましたか?

主な変更点は3つです。①給付制限期間が原則2ヶ月→1ヶ月に短縮、②教育訓練(リスキリング)の受講で給付制限が解除される新制度の導入、③就業手当の廃止と就業促進定着手当の上限変更です。いずれも2025年4月1日以降に離職した方が対象です。

Q8:教育訓練を受講すれば、自己都合退職でもすぐに失業保険をもらえますか?

はい。離職日前1年以内に対象の教育訓練を受講していた場合、または離職後に受講を開始した場合、給付制限が撤廃され、7日間の待機期間後すぐに受給可能です。対象講座は教育訓練給付の対象講座(専門実践・特定一般・一般教育訓練)などです。

Q9:傷病手当金と失業保険は同時にもらえますか?

原則として同時受給はできません。傷病手当金は「働けない状態」、失業保険は「働ける状態で求職中」が前提であるため、条件が矛盾します。ただし、傷病手当金の受給終了後に失業保険へ切り替えることで、合計で最大28ヶ月分の給付金を受け取れる可能性があります。

傷病手当金と失業保険の切り替え方法を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>傷病手当金と失業保険は両方もらえる?同時受給の可否と切り替え方法

まとめ|雇用保険の自己都合退職でも損しない!失業給付を最大限に活用しよう

自己都合退職でも、制度を正しく理解すれば失業給付を早く・長く・多く受け取ることは十分に可能です。

この記事のポイントを振り返ります。

✓ 2025年4月の法改正で給付制限は原則1ヶ月に短縮
初回振込まで最短約37日。改正前より約1ヶ月早くなりました。

✓ 教育訓練の受講で給付制限そのものを解除可能
自主的に受講した講座でもOK。スキルアップと早期受給の一石二鳥です。

✓ 特定理由離職者に該当すれば給付制限ゼロ+給付日数も大幅増
病気・介護・妊娠・ハラスメントなど正当な理由があれば、最大330日まで給付日数が増える可能性があります。

✓ 離職票の「自己都合」は変更できる可能性がある
会社が嘘の退職理由を記載していても、証拠書類を準備してハローワークに異議を申し立てれば、会社都合に認定されるケースもあります。

✓ 早期再就職でも「再就職手当」で数十万円を受給可能
残日数の3分の2以上を残して就職すれば、支給率70%の一時金が受け取れます。

✓ 給付制限期間中の経済的負担は公的制度で軽減できる
国保減免・年金免除・住居確保給付金などを活用し、安心して求職活動に専念しましょう。

「自分は本当に自己都合なのか」「もっと有利な条件で受け取れるのではないか」

そう感じた方は、まず退職前の今のうちに専門家へ相談してみてください。退職後では申請できない給付金もあるため、早めの行動が受給額を大きく左右します。

「何から始めればいいかわからない」という方も、無料のLINE相談で気軽に質問できます。最大28ヶ月分の給付金を受け取れる可能性もあるので、まずは30秒で終わる受給額診断から始めてみましょう。

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