不眠症とは、睡眠障害の1つです。睡眠に問題があることで、日中の倦怠感や意欲・集中力の低下などが見られ、日常生活に支障をきたしてしまう状態を指します。
「眠れないだけだから…」と受診することをためらってしまいがちですが、不眠症は原因に応じて適切に対処する必要があります。不眠症とはどのようなものかや、どのような場合に受診すればよいのか目安を知り、自分の睡眠の問題点を明らかにすることで、改善につなげていきましょう。
目次
不眠症とは?睡眠不足とは何が違う?

「眠りたいのに眠れない」という経験は、誰しもあるのではないでしょうか。厚生労働省の「令和4年度 健康実態調査結果の報告」によると、睡眠に関して特に問題がないと感じているのは全体の17%ほどに留まっています。多くの人が、何かしらの睡眠問題を抱えていることがわかるでしょう。
しかし、眠れないからといって、すべてが不眠症に当てはまるわけではありません。不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒などの睡眠問題があるために、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現している状態です。ただの睡眠不足とは違います。
不眠がなかなか改善しないまま長期間続くと、不眠症と診断されます。不眠症の診断基準は下記の通りです。
- 夜間の不眠が続く
- 日中に精神や体の不調を自覚して生活の質が低下する
不眠が続くことで生活に支障をきたしているかどうかが、不眠症と見分けるポイントだといえるでしょう。
不眠症の4つのタイプ
不眠症は、主に下記の4つのタイプに分類されます。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟眠障害
これらは必ずしも1つではなく、2つ以上現れるケースも。いずれかの症状が長期間あり、さらに日中に現れる不調が週に3回以上ある場合には、不眠症の可能性があります。
まずは自分がどのタイプか知ることで、不眠の原因を探るときのヒントにもなるでしょう。ここでは、不眠症の4つのタイプについて詳しく見ていきます。
1.入眠障害
入眠障害とは、寝つきが悪く、眠るまでに時間がかかってしまう状態です。強い不安や緊張があるときに起こりやすい傾向にあります。
一般的に健康な人が消灯してから実際に眠りにつくまでの時間は、30分以内といわれています。布団に入ってもなかなか眠れず、眠りにつくまでに30分から1時間以上かかる日が続く場合には、入眠障害が疑われるでしょう。
2.中途覚醒
中途覚醒とは、眠りが浅く、翌朝起きるまでの間に途中で何度も目が覚めてしまう状態です。一度目が覚めるとなかなか眠れず、再び寝つくのに苦労してしまいます。
一般的には、年齢が上がるほど眠りが浅くなりやすいといわれており、中高年や高齢者に多くみられる症状です。眠気が残りやすく、日中の活動に影響を及ぼす恐れがあります。
3.早朝覚醒
早朝覚醒とは、朝早く、または予定している時間よりも早くに目が覚めてしまうことです。時間の目安としては、起きる予定の2時間以上前とされています。目が覚めてしまった後にもう一度眠ろうと思っても、再び眠ることが難しいか、眠れたとしても熟睡できません。
中途覚醒と同様に高齢者に多く見られますが、うつ病の典型的な症状ともいわれています。
4.熟眠障害
熟眠障害とは、睡眠時間は足りているはずなのに、ぐっすりと眠れていない状態を指します。眠りが浅かったり、睡眠が中断されてしまったりする場合に起こりやすいです。
睡眠への満足感が得られず、「眠った気がしない」「寝ているのにまったく疲れが取れない」などと感じてしまいます。
睡眠時無呼吸症候群など別の疾患が関係しているケースもあり、そういった場合には専門的な治療が必要です。
不眠症の主な原因

不眠症を引き起こす原因は様々ですが、大きく分けると下記のいずれかに当てはまります。
- 身体的な原因
- 心理的な原因
- 生理的な原因
- 精神医学的な原因
- 薬理学的な原因
それぞれの原因によって対処法も異なってくるので、不眠症の改善のためには原因を知ることが重要です。ただし、原因がはっきりしなかったり、様々な原因が複合的に絡んでいたりすることもあります。ここでは、不眠症の主な原因について見ていきます。
身体的な原因
身体的な原因としては、痛み・かゆみ・咳・息苦しさ・頻尿などが挙げられます。疾患による身体症状が現れることで不眠を生じているので、この場合は疾患の治療が最優先です。原因となっている症状が改善すると、不眠も改善します。
心理的な原因
不安や心配事があったり、イベントや旅行などの前で気分が高ぶったりしている場合に、不眠になることがあります。また、ストレスや緊張状態も安眠を妨げる要因の1つです。「眠らなければいけない」と思えば思うほど眠れなくなってしまうのも、心理的な原因の一つだといえるでしょう。
生理的な原因
生理的な原因とは、生活習慣や睡眠環境に問題があるケースです。夜勤のある仕事をしているなど、日常的に生活リズムが乱れている場合は、睡眠のトラブルにつながることがあります。また、睡眠時の環境が原因となることも。たとえば、寝室の騒音や照明、温度や湿度などです。これらに問題があると、安眠できない可能性があるでしょう。
精神医学的な原因
精神的な疾患に伴い、不眠を生じることがあります。「なかなか眠れないと思っていたら、実はうつ病だった」というケースも少なくありません。不眠以外にも、気分が落ち込んだり、意欲がなくなったりといった症状が見られる場合には、心療内科や精神科などの専門医を受診しましょう。
薬理学的な原因
食べ物や飲み物、薬の副作用なども不眠の原因として挙げられます。コーヒーなどに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があるとされています。また、アルコールも安眠を妨げることがあるので、いわゆる「寝酒」はおすすめできません。ほかには、降圧薬やステロイド薬など、治療のために服用している薬も不眠を引き起こすことがあります。
当院が不眠症の診察で確認する眠りと日中の状態

不眠症の診察では、睡眠時間の長さだけでなく、布団に入ってから眠るまでの経過や翌日の体調を確認します。
夜間の症状と日中の生活をあわせて整理し、不眠の背景にある心身の状態を把握することが大切です。
- 布団に入る時刻と実際に眠るまでの時間
- 夜中に目覚める回数と再入眠の状況
- 予定より早く目覚める時間帯
- 睡眠不足による日中の眠気や集中力低下
- 眠れないことへの焦りや恐怖
- 服用中の薬や身体疾患の影響
夜間と日中の状態を一つずつ確認し、現在の生活に合った治療方針を検討します。
布団に入る時刻と実際に眠るまでの時間
診察では、布団へ入る時刻と実際に眠りにつく時刻を分けて確認します。
早めに寝床へ入っても、数時間にわたって眠れずに過ごしている方も少なくありません。
眠ろうとする時間が長くなるほど、寝床と緊張が結び付いてしまう場合もあるでしょう。
正確な時刻が分からないときは、最近の大まかな傾向から整理できます。
夜中に目覚める回数と再入眠の状況
眠りについた後、夜中に何回目が覚めるかを診察時に伺います。
一度目覚めてもすぐ眠れる場合と、その後長時間眠れない場合では、生活への影響も異なります。
トイレや物音、悪夢、身体の痛みなど、目覚めるきっかけも大切な情報です。
夜間覚醒の回数だけでなく、翌朝の疲労感まで含めて確認します。
予定より早く目覚める時間帯
起床予定より数時間早く目覚め、そのまま眠り直せない状態が続くことがあります。
早朝覚醒とともに気分の落ち込みや意欲低下がある場合は、うつ病などにも注意が必要です。
目覚めた後にどのような考えが浮かぶか、日中に眠気が残るかも診察のポイントとなります。
起床予定時刻との差を確認し、ほかの精神症状との関係を整理します。
睡眠不足による日中の眠気や集中力低下
不眠症では、夜に眠れないことだけでなく、翌日の生活に支障が出ているかが重要です。
仕事中にぼんやりする、ミスが増える、会話の内容を覚えられないといった変化がみられます。
運転中や機械の操作中に強い眠気がある場合は、安全面にも注意しなければなりません。
眠気や倦怠感によって難しくなった行動を、具体的に診察時へお伝えください。
眠れないことへの焦りや恐怖
不眠が続くと、夕方頃から「今夜も眠れないのではないか」と不安になることがあります。
睡眠時間を確保しようと早く布団へ入るほど、眠れない時間が気になってしまう状態です。
時計を繰り返し確認し、翌日の予定を考えて焦りが強まる方も少なくありません。
睡眠への不安や考え方についても確認し、症状を長引かせる要因を整理します。
服用中の薬や身体疾患の影響
処方薬や市販薬の中には、眠気や覚醒を引き起こし、睡眠へ影響するものがあります。
痛みやかゆみ、咳、頻尿などの身体症状によって夜間に目覚めるケースもあります。
現在服用している薬やサプリメント、治療中の病気についても診察時に確認が必要です。
身体的な原因が疑われる場合は、内科などほかの診療科への受診をご案内します。
眠れない状態でも相談を進めやすい当院の初診案内

不眠が続くと、日中に気力が出ず、予約や受診の手続きを後回しにしてしまうことがあります。
症状を思い出した時間に予約と問診を進められるよう、オンライン上の受診準備を取り入れています。
- 夜間にも確認できるWEB・LINE予約
- 予約枠に空きがある日の当日受診
- 睡眠の経過を先に伝えられるWEB問診
- 長時間の待機を避ける予約時刻前の来院
- 睡眠と生活状況を整理する初診時間
- 診察当日のお薬と診断書の相談
診察室で睡眠の経過を思い出せない場合も、事前問診や簡単なメモを確認しながら診療を進めます。
夜間にも確認できるWEB・LINE予約
初診予約は、WEBまたはLINEから24時間受け付けています。
夜中に眠れず受診を考えた場合も、画面上で予約可能な日時を確認できる仕組みです。
電話で症状を説明する必要がなく、体調が比較的落ち着いている時間に手続きを進められます。
診察は完全予約制となるため、予約が確定したことを確認してからご来院ください。
予約枠に空きがある日の当日受診
初診枠に空きがある場合は、予約手続きをした当日に受診できることがあります。
当日分が埋まっているときは、翌日以降に空いている日時から選択する流れです。
予約から受診までの日数は、希望する曜日や時間帯によって異なります。
早めの相談を希望する方は、WEB・LINEに表示される最新の予約状況をご確認ください。
睡眠の経過を先に伝えられるWEB問診
予約確定後は、メールまたはLINEで届くURLからWEB問診へ回答していただきます。
眠れない時間帯や発症時期、日中の不調、服用中のお薬などを事前に入力する問診です。
診察時に緊張して経過を説明できない場合も、入力内容が状態を把握する手がかりとなります。
詳しい文章にまとめる必要はなく、答えられる項目からご入力ください。
長時間の待機を避ける予約時刻前の来院
来院時刻は、予約時間の5分前が目安です。
睡眠不足で疲れている方も、必要以上に早く到着して待合室で長時間過ごす必要はありません。
受付では、名前と予約時間をお伝えいただくことで手続きを進められます。
当日の体調によって来院が難しくなった場合は、早めにクリニックへご連絡ください。
睡眠と生活状況を整理する初診時間
初診は、来院から診察、会計まで30~45分程度が一つの目安です。
眠れない症状の種類や発症時期、生活リズム、日中への影響などを順番に確認します。
気分の落ち込みや不安、仕事上の負担、過去の治療歴についても伺う場合があります。
症状や確認する項目によっては、実際の所要時間が前後することもあります。
診察当日のお薬と診断書の相談
診察の結果、医師が必要と判断した場合は、初診当日からお薬の処方が可能です。
睡眠不足によって勤務や通学が難しい方は、休職・休学に用いる診断書も相談できます。
医師が休養を必要と判断した場合には、初診当日に診断書を発行できることがあります。
発行の可否や休養期間、記載内容は、症状と生活への影響を踏まえた医師の判断です。
睡眠時間と翌日の過ごし方を見ながら進める当院の継続診療

不眠症の治療では、眠れた時間だけでなく、起床時の感覚や日中の活動がどう変化したかも確認します。
お薬の効果や翌朝の眠気を振り返り、生活に支障が出にくい治療内容へ調整する流れです。
- 睡眠と日中の状態を並べた経過確認
- 不眠の現れ方に合わせたお薬の選択
- 翌朝まで残る眠気やふらつきの確認
- 治療開始後における2週間前後の再診
- 状態が安定した後の月1回程度の通院
- 急な中止を避けた段階的なお薬の調整
- 専門的な睡眠検査が必要な症状への対応
治療期間や通院頻度は一律ではなく、症状や処方内容、日中の生活を踏まえて個別に決定します。
睡眠と日中の状態を並べた経過確認
再診では、前回の受診後に眠れた時間や夜中に目覚めた回数を確認します。
睡眠の変化に加え、仕事中の集中力や倦怠感が軽くなったかも重要な確認項目です。
詳しい記録が負担になる場合は、特に眠れなかった日だけメモする方法でも構いません。
夜間と日中の状態を並べて振り返り、治療を続けるか調整するかを判断します。
不眠の現れ方に合わせたお薬の選択
寝付きが悪い方と、夜中や早朝に目覚める方では、お薬を選ぶ際の視点が異なります。
勤務時間や起床時刻、運転の有無など、患者様の生活も考慮しなければなりません。
過去に使用した睡眠薬の効果や、服用後に困った症状についても診察時に確認します。
現在の不眠症状と生活状況を踏まえ、医師が適した処方を検討します。
翌朝まで残る眠気やふらつきの確認
睡眠薬を服用した後、翌朝に強い眠気やふらつきが残る場合があります。
通勤や運転、仕事の開始時刻に影響していないかを再診時に確認することが大切です。
夜間の転倒や記憶が曖昧になるなど、気になる変化がある場合も医師へお伝えください。
症状に応じて、薬の量や種類、服用する時間の調整を検討します。
治療開始後における2週間前後の再診
治療を始めた時期は、2週間に1回程度の通院を目安とする場合があります。
睡眠の変化と日中への影響、お薬を使用した場合の副作用を早めに確認するためです。
症状や処方内容によっては、1週間後または3~4週間後の受診をご案内することもあります。
次回の診察時期は、初診時の状態を踏まえて医師と相談しながら決定します。
状態が安定した後の月1回程度の通院
睡眠と日中の体調が安定してきた後は、月1回程度の通院へ移行する場合があります。
定期診察では、眠れているかだけでなく、生活リズムや仕事の負担も確認します。
環境の変化やストレスによって、落ち着いていた不眠が再び現れる可能性もあるでしょう。
受診間隔を変更したい場合は、自己判断で中断せず医師へご相談ください。
急な中止を避けた段階的なお薬の調整
眠れるようになった直後に睡眠薬を急に中止すると、不眠が戻る場合があります。
長期間の服用に不安を感じ、できるだけ早く薬を減らしたいと考える方も少なくありません。
減薬を検討する際は、睡眠が安定していた期間や生活環境を確認する必要があります。
自己判断で服用量を変更せず、医師と相談しながら段階的に調整します。
専門的な睡眠検査が必要な症状への対応
大きないびきや睡眠中の無呼吸、日中の耐え難い眠気がある場合は、専門的な検査が必要です。
脚の不快感や睡眠中の激しい動きなどが、眠りを妨げているケースもあります。
心療内科だけでは原因を確認できない症状については、睡眠外来や呼吸器内科をご案内します。
必要な診療科と連携し、身体的な睡眠障害を見逃さないことが重要です。
当院に寄せられる不眠症のご相談例

不眠症の悩みは、寝付けない状態だけでなく、途中で目覚める、朝早く起きるなどさまざまです。
眠れないことへの不安が強まり、仕事や日常生活への影響をきっかけに受診する方もいます。
- 布団に入ってから何時間も眠れないケース
- 夜中に目覚めて時計を確認し続けるケース
- 早朝に目覚めて気分の落ち込みが続くケース
- 翌日の仕事を考えると眠れなくなるケース
- 睡眠不足によって仕事のミスが増えたケース
同じ不眠症であっても、症状の背景や必要な治療、改善までの経過は患者様ごとに異なります。
布団に入ってから何時間も眠れないケース
眠気を感じて布団へ入っても、目がさえて数時間にわたり眠れないことがあります。
翌日の起床時刻を考えるほど焦りが強まり、さらに眠りから遠ざかる状態です。
早く眠ろうとして就寝時刻を前倒しし、寝床で過ごす時間が長くなる場合もあります。
実際の睡眠時間と寝床にいる時間を整理し、治療方針を検討します。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
夜中に目覚めて時計を確認し続けるケース
眠りについた後も何度も目が覚め、そのたびに時計を確認してしまうことがあります。
残りの睡眠時間を計算し、「もう眠れない」と考えるほど不安が強まる状態です。
時計を見た後に仕事や家庭の悩みが浮かび、再び眠るまで長い時間がかかる方もいます。
夜間覚醒の回数や再入眠までの経過を確認し、対応を検討します。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
早朝に目覚めて気分の落ち込みが続くケース
起床予定より数時間早く目が覚め、その後眠れなくなることがあります。
朝になると気分が重く、仕事や家事を始める意欲が出ない方も少なくありません。
早朝覚醒と抑うつが同時に続く場合は、不眠症だけでなくうつ病などの確認も必要です。
睡眠以外の精神症状を含め、現在の状態を総合的に判断します。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
翌日の仕事を考えると眠れなくなるケース
翌日に重要な会議や仕事があると、「眠らなければならない」という焦りが強まることがあります。
眠れないまま朝になることを想像し、布団へ入る前から緊張してしまう状態です。
休日の前日は眠れるものの、出勤日の前だけ寝付けない方もいます。
仕事の負担や不安の内容を確認し、睡眠との関係を整理します。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
睡眠不足によって仕事のミスが増えたケース
不眠が続くと集中力や判断力が低下し、書類やメールのミスが増える場合があります。
会議中に話を理解できない、作業の手順を忘れるといった影響もみられます。
通勤中や勤務中の眠気が強い場合は、事故につながる危険にも注意が必要です。
勤務への影響を具体的に確認し、治療や休養の必要性を検討します。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
不眠症による休養や診断書を相談する際の確認事項

眠れない状態が続き、仕事や学校を維持できない場合は、治療とともに一定期間の休養を検討することがあります。
診断書の発行では、睡眠時間だけでなく、日中の機能低下や勤務状況を含めた確認が必要です。
- 不眠が続いている期間と頻度
- 遅刻・欠勤・早退の状況
- 仕事中のミスや安全面への影響
- 休養せずに勤務を続けた場合の負担
- 診断書の提出先と必要な記載内容
診断書を必ず発行できるわけではなく、必要性や休養期間は診察を担当する医師が判断します。
不眠が続いている期間と頻度
診断書について相談する際は、眠れない状態がいつから続いているかを確認します。
一時的な不眠なのか、週に何日も繰り返しているのかによって判断は異なります。
入眠障害や中途覚醒など、どの症状が勤務へ影響しているかも重要です。
最近の睡眠時間や起床時の状態を簡単に記録しておくと共有しやすくなります。
遅刻・欠勤・早退の状況
睡眠不足によって朝起きられず、遅刻や欠勤を繰り返すことがあります。
出勤できても体調が続かず、早退する日が増えている方も少なくありません。
勤務への影響がいつ頃から始まり、どの程度の頻度で起きているかを確認します。
勤怠状況を具体的に伝えることで、休養の必要性を判断しやすくなります。
仕事中のミスや安全面への影響
不眠による集中力低下から、業務上のミスや作業の遅れが生じることがあります。
車の運転や機械操作を伴う仕事では、強い眠気が重大な事故につながる可能性もあります。
本人だけでなく、同僚や利用者の安全へ影響する仕事内容かどうかも確認が必要です。
眠気による危険を感じている場合は、診察時に必ず医師へお伝えください。
休養せずに勤務を続けた場合の負担
眠れない状態のまま勤務を続けると、疲労や不安がさらに強くなる場合があります。
休日だけでは回復できず、週を追うごとに体調が悪化する方も少なくありません。
仕事を続けながら治療できるか、一定期間の休養が必要かを診察で検討します。
業務内容や職場の配慮制度も踏まえ、現実的な治療方針を考えます。
診断書の提出先と必要な記載内容
診断書を希望する場合は、勤務先や学校などの提出先を診察時に確認します。
休養期間や就業上の配慮など、必要とされる記載内容が決まっていることもあります。
勤務先から指定の書式を渡されている場合は、受診時にご持参ください。
記載できる内容や発行時期は、診察結果と書類の用途を踏まえて判断します。
眠れないときの対処法は?

「眠れない」といっても、その状況は人それぞれです。原因によっては、自ら改善できるケースもあるでしょう。ここでは、眠れないときに手軽に試せる対処法をご紹介します。まずは自分の睡眠の問題点について考え、改善できる部分はしていきましょう。
適度な運動をする
日中に適度に体を動かすと、心地よい疲労感から安眠につながることがあります。太陽の光は、昼と夜のメリハリをつけるのにも効果的です。ただし、激しい運動は交感神経の興奮を促し、寝つきを悪くすることがあるので注意が必要です。軽く汗をかく程度の運動にとどめるのがよいでしょう。
もし運動するのが難しい場合には、起床時にまずカーテンを開けて日光を浴びるようにします。体内時計がリセットされ、日中の眠気の解消にも役立つでしょう。
睡眠環境を見直す
眠りやすい空間をつくることも、すぐに実践できる対処法の1つです。睡眠は体や心の状態が大きく影響しますが、眠るときの環境も原因となり得ます。寝具(布団・マットレス・枕など)によって体への負担が変わってくるので、できるだけ自分に合ったものを選びましょう。
また、寝室の照明や温度・湿度なども、快眠のためには重要なポイントです。特に真夏や冬場などは、寝室の温度や湿度に気をつけましょう。
体が温まるものを飲む
温かい飲み物というとコーヒーやお茶が思い浮かぶかもしれませんが、これらにはカフェインが含まれるため、寝る前に飲むのは控えた方がよいでしょう。カフェインの覚醒作用によって、入眠を妨げたり、眠りが浅くなったりする可能性があるためです。また、カフェインには利尿作用もあり、夜間にトイレに行きたくなって目が覚めてしまうことも考えられます。目安としては、就寝する3〜4時間前からカフェインの摂取を避けるのが望ましいとされています。
眠れないときにおすすめなのは、白湯やハーブティー、しょうが湯などの体が温まる飲みものです。これらは簡単に取り入れられるので、就寝前の習慣にしてもよいでしょう。
眠れなくても焦らない
不眠が続いていると、「また眠れないのではないか」と布団に入る前から不安になることもあるでしょう。「7時間以上寝なくては」などと思い込み、なかなか寝つけずに焦ってしまうこともあるかもしれません。
睡眠に対して不安や心配があると、さらに不眠症を悪化させてしまうことがあります。このようなときは焦らずに「眠くなったら寝よう」と考えると、気持ちが楽になるでしょう。必要以上に心配したり考えすぎたりしないことも、不眠対策では大切です。
不眠症は早めの対策が重要

不眠症のタイプや原因、眠れないときの対処法、そして受診の目安について解説しました。誰しも「なかなか眠れない」という経験をしたことがあると思いますが、不眠症かどうかは心身の不調の有無がポイントです。
睡眠時間には個人差があり、7時間以上必要な人もいれば、4時間ほどで十分な人もいます。日常生活に支障をきたしていなければ、不眠症とは診断されません。特に睡眠時間には個人差があるので、周りと比べないことも大切です。
眠れないときには、まずは自分でできる対策を試してみるとよいでしょう。それでも改善が難しく、不眠が1カ月以上続いて何かしらの影響が出ているときは、医師に相談します。かかりつけ医に相談してもよいですが、改善しない場合には早めに専門医を受診することをおすすめします。

精神科医・産業医
三重大学医学部卒業後、桑名市総合医療センターで初期研修を修了。
その後、南勢病院精神科での勤務、かわいクリニック/新宿よりそいメンタルクリニックでの診療を経て独立。
日本精神神経学会に所属し、日本医師会認定産業医としても活動。
https://tomo-mental.com
参考サイト・文献
・e-ヘルスネット(厚生労働省)|不眠症
・令和4年度 健康実態調査結果の報告|厚生労働省
・日本臨床内科医会|不眠症
・睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン
・NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター|不眠で困ったときは
・全国健康保険協会|不眠症