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PMS・PMDD

生理前になると心身の不調を感じ、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?生理前に表れる不調は「PMS(月経前症候群)」の可能性があります。 PMSの症状や程度には個人差があり、人によっては日常生活に影響を与えるケースも少なくありません。しかし、自分の症状やパターンを把握して事前に対策することで、PMSの苦痛を緩和することが可能です。 本記事ではPMSの原因や症状、受診の目安などを解説します。さらに、PMSの症状を緩和する過ごし方も紹介します。また、症状のセルフチェックシートも用意していますので、「自分はPMSなの?」と不安な方はぜひ確認してみてください。

PMS(月経前症候群)とは?

PMS(月経前症候群)とは、生理前の3〜10日間に精神的・身体的な不調が表れる状態です。症状や程度には個人差があり、多くの場合、生理が始まると症状が軽快もしくは消失するとされています。日本では、生理がある女性の70〜80%ほどが生理前に何らかの症状が見られるといわれており、決して珍しい疾患ではありません。 PMSの原因ははっきりと解明されていませんが、女性ホルモンの変動によるものと考えられています。排卵してから生理が来るまでの間(黄体期)には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。しかし黄体期の後半になると、分泌量は急激に減少します。つまりこの時期は女性ホルモンの分泌が大きく増減するため、バランスが乱れやすくなるのです。こうしたホルモンバランスの乱れが、不調の原因のひとつとして考えられています。ほかにもストレスや生活習慣も、症状の表れ方や程度に影響するとされています。 PMSは、周囲に理解されにくく学校や仕事を休みにくいことから、症状を我慢して生活している方も多いようです。

PMSの症状|生理前にチェックしてみよう

PMSでは、不安やイライラなどの精神的症状と、頭痛や腹痛などの身体的症状が表れます。症状の程度は人によって異なり、症状が重い方は、日常生活や社会活動に支障をきたす場合もあります。 PMSの症状の例としては以下の通りです。 気になる症状があるか、ぜひチェックしてみてください。
  • 感情が不安定になる
  • イライラする・怒りっぽくなる
  • 気分が落ち込む
  • 不安が大きくなる
  • 日中に眠くなる、もしくは夜に熟睡できない
  • 物事に集中できない
  • 意欲が湧かない
  • 涙もろくなる
  • のぼせやすい
  • 食欲が出ない、もしくは食べ過ぎてしまう
  • めまいがある
  • だるさがあり、疲れやすい
  • 腹痛、頭痛、腰痛などがある
  • 便秘や下痢になる
  • 吐き気がある
  • むくみやすくなる
  • お腹や乳房の張りを感じる
  • 肌が荒れやすい
  • おりものの量が増える
上記の症状が重いと、学校や仕事に行けなくなったり、人間関係でのトラブルを引き起こしたりする恐れがあります。 生理前にこれらの症状が気になる場合には、まずは婦人科を受診しましょう。それでも精神的症状が強い場合には、精神科や心療内科を受診して医師に相談するのがおすすめです

PMSは年齢によっても症状や影響が異なる

PMSは年齢によっても、表れる症状や影響が異なるとされています。 10〜20代は、にきびによる肌荒れや眠気などが見られやすい傾向にあります。 一方30〜40代は、仕事だけでなく家事・育児による負担も大きく、疲労感や頭痛などの身体的症状に加えて、イライラや焦燥感などの精神的不調が表れやすいといえるでしょう。 もちろん生活する環境や人によって症状は変わりますが、仕事や家事が手につかず周囲に迷惑をかけてしまったり、人間関係でのトラブルに発展したりするケースも少なくありません。

PMSの受診の目安|婦人科で診断してもらおう

生理前に同じ症状が繰り返し表れてつらい、日常生活や社会活動に支障をきたしているといった場合は、一度婦人科を受診しましょう。 今表れている症状がPMSかどうかを見分けるには、以下のポイントに注意して観察する必要があります。
  • 同じ症状が周期的に見られるか
  • 症状が表れる時期が排卵後から生理が始まるまでの間か
  • 日常生活にどれほどの影響を与えているか
PMSは生理前に症状が表れ、生理開始とともに軽快するのが特徴です。抑うつ気分やイライラなどの精神的症状は、精神疾患の症状とも似ています。正しい診断を受けることが大切です。精神疾患を抱えている、もしくは既往がある場合は、まずは精神科や心療内科のかかりつけ医に相談するとよいでしょう。 PMSの診断は、症状の内容や症状が出るタイミングなどから判断されます。そのため、症状の記録があると診断の際に役立つでしょう。

PMSとPMDD(月経前不快気分障害)の違い

PMSと似た疾患に、精神的不調が顕著に表れる「PMDD(月経前不快気分障害)」という状態があります。 PMSとPMDDの違いは、精神的不調が強く表れているかどうかです。DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)では、「著しい感情の不安定性」「著しいいらだたしさ」「著しい抑うつ気分」「著しい不安」のうち、1つ以上が存在することが「PMDD」の診断基準の1つとなっています。 PMDDについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

PMSの治療にはピルが効果的

  PMSの治療には「低用量ピル」が有効とされています。低用量ピルは経口避妊薬としても使用される薬で、排卵を抑制して女性ホルモンのバランスを整える作用が期待できます。 「ピル」と聞くと、副作用の出現や、妊娠への影響を心配する方もいるかもしれませんが、医師の指示のもと内服する分には安全性は高いといえるでしょう。内服中は一時的に排卵を抑制するため生理は来ませんが、服用をやめると排卵が再開され、生理が来る仕組みとなっています。なお、その後の妊娠には影響を与えないとされています。 低用量ピルのほかにも、「当帰芍薬散」や「桂枝茯苓丸」などの漢方薬や、症状を緩和させるための対症療法(鎮痛薬や利尿剤など)が検討されることもあるようです。

PMSの症状を緩和する4つの方法

PMSの症状は、薬以外でも過ごし方や生活習慣によって緩和させることが可能です。具体的には、以下の点を意識すると効果が期待できます。
  1. 生活習慣を見直す
  2. 軽い運動やリラクゼーションを取り入れる
  3. 休息を取る
  4. 基礎体温を記録する
気になる症状がある場合は、記録をつけることから始めましょう。症状が表れるタイミングや程度を把握することで対処しやすくなるだけでなく、事前に症状が緩和される過ごし方を意識できるようになります。

1生活習慣を見直す

PMSの症状は、生活習慣が大きく影響している可能性もあります。症状を悪化させる行動は、意識的に避けることが大切です。注意したい生活習慣の具体例としては、以下の通りです。
  • カフェインの多いもの(チョコレートを含む)やアルコールの摂取を控える
  • 禁煙する
  • ストレスをためない
  • 栄養バランスのよい食事を摂取する
タンパク質やビタミン、カルシウムを多く含む食材を摂取すると、イライラや不安を落ち着かせて、精神状態の安定をもたらす効果が期待できるとされています。しかしサプリメントなどを摂取する場合は、低用量ピルとの飲み合わせに影響する恐れがありますので、服用前に主治医に問題がないか確認すると安心です

2.軽い運動やリラクゼーションを取り入れる

ストレスによってPMSの症状が強く表れることもあるため、軽い運動やリラクゼーションを生活に取り入れるのも効果的です。 気分転換やリラックスすることで、ストレスを軽減できます。自分の好きなことに熱中したり、趣味を楽しんだりするのも有効です。

3.休息を取る

PMSの症状が表れているときは、十分な休息を取りましょう。早めの就寝を意識して、規則正しい生活を心がけることが大切です。 症状が強いときには無理をせず、状況によっては学校や仕事を休むことも検討しましょう

4.基礎体温を記録する

PMSは生理が始まる3〜10日前の黄体期に表れるため、ある程度症状が出るタイミングを予測できます。そこでおすすめなのが、基礎体温を測ることです。 基礎体温は、安静時に測ることが大切なので、朝目覚めて起き上がる前がよいとされています。基礎体温が測定できる専用の体温計を使用すると、より正確に体温を確認できるでしょう。普段よりも約0.3度以上高い時期を高温相と呼び、黄体期はこの期間にあたります。 タイミングを把握することで、無理のないスケジュール管理ができ、規則正しい生活を送ることへの意識づけにつながります。

PMSに関するよくある質問

ここでは、PMSに関するよくある質問を3つ紹介します。気になる質問がある方は、確認してみてください。

PMSの症状は生理中も続くの?

一般的にPMSは、生理が始まると症状が落ち着くとされています。なかには生理中にも症状が続く方もいるようですが、症状が強くなることはありません。 生理中に症状が強く出る場合は、月経困難症などほかの疾患の可能性があるため、婦人科を受診するのがよいでしょう。「PMSが長引いている」と自分で判断するのは危険です。

PMSについて彼氏や夫に説明したほうがよいの?

PMSではイライラして攻撃的になったり、気持ちが落ち込んだりといった精神的症状が見られることがあります。このような症状が原因で、彼氏や夫などとうまくコミュニケーションが取れずにいると、お互いの関係性に影響を与える恐れもあるでしょう。 事前にPMSについて説明して、理解や協力を得ると安心です。パートナーの理解や協力が得られることで、不安やストレスが軽減され、症状の緩和にもつながります。 しかし人によっては「うまく説明できない」「話してもなかなか理解してもらえない」といったこともあるでしょう。その場合には、一緒に婦人科を受診して専門家の話を聞くのも有効です。

PMSで診断書はもらえるの?

婦人科を受診してPMSと診断されれば、医師に診断書を作成してもらうことも可能です。 PMSに悩まされている方のなかには、症状が重く、日常生活や社会活動に大きな支障をきたしている方もいるでしょう。状況によっては、仕事を休むよう医師に勧められることも少なくありません。その場合、医師に診断書をもらい会社に提出することで、休職できるケースもあります

PMS(月経前症候群)の症状がある場合は医療機関で受診しよう

PMSの症状や程度は、人や生活環境によって異なります。生活習慣を変えることで、症状が緩和されることもあるでしょう。 しかし、症状が重く日常生活や社会活動に支障をきたしている場合には、各症状を和らげる薬に加え、根本的な治療として低用量ピルや漢方薬が必要なケースもあります。まずは婦人科などの医療機関で受診しましょう。 PMSによる精神的なつらい症状は、「新宿心療内科よりそいメンタルクリニック」でも診察可能です。気になる症状がある方は、ぜひ当院へお越しください。 参考・出典 ・月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|公益社団法人 日本産科婦人科学会(JSOG)PMS(月経前症候群)とは|一般社団法人 日本家族計画協会(JFPA)PMS,PMDDの診断と治療|白土なほ子|昭和大学学士会 昭和学士会誌第77巻第4号月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)|社会福祉法人 恩賜財団 京都済生会病院精神科からみた PMS/PMDD の病態と治療 「生理の前はなんだか調子が悪い」「体の症状だけじゃなく、精神的にも症状があるけど大丈夫なのかな……」 このような不安を抱えていませんか? 月経にまつわる悩みやトラブルは、経験したことのある方も多いでしょう。しかし、中には症状が重く、日常生活に支障をきたしてしまうケースもあるのです。月経前に見られる不調のことを、PMS(月経前症候群)といいます。そして、その中でも特に精神的な症状が強く表れている状態を、PMDD(月経前不快気分障害)といいます。 この記事では、PMDD(月経前不快気分障害)の診断基準や症状、原因、治療について解説しています。また、PMS(月経前症候群)やうつ病との違い、よくある質問も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder)とは、「月経前不快気分障害」のことです。 月経前に起こる不調はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、身体的なものや精神的なもの、またその重症度も人それぞれです。 この症状のうち、精神的な症状を著しく伴うものがPMDD(月経前不快気分障害)に該当するとされています。PMDD(月経前不快気分障害)は、1994年に診断名が定められ、2013年には抑うつ障害群のカテゴリーに分類されました。 PMS(月経前症候群)の中でも、特に精神的な不調が著しい場合に、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されるのです。

PMSとの違いは?

PMS(Premenstrual Syndrome)とは「月経前症候群」のことで、月経前3~10日の間に見られる身体的・精神的症状です。月経開始とともに軽快または消失するのが特徴とされています。 PMS(月経前症候群)ではさまざまな症状が表れますが、精神症状が強く見られる場合にはPMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。つまり、PMS(月経前症候群)の中でも精神的な不調が強く、日常生活に支障をきたしてしまう状態がPMDD(月経前不快気分障害)です。

そもそも月経とは?

ここで、月経について改めて確認しておきましょう。個人差はありますが、初めての月経である初潮の平均年齢は12歳、そして閉経するのは50歳だといわれています。 排卵が起こることによって子宮内膜が厚くなりますが、受精に至らなかった場合にはこれが剥がれ、体外に排出されます。この仕組みが月経です。 正常な月経は、下記の表の通りです。
周期 25~38日
期間 3~7日
経血量 20~140ml
月経周期が不規則な場合を「月経不順」、月経の時期以外の出血を「不正出血」といいます。厚生労働省の調査によると、月経が不規則であると回答したのは21.8%で、そのうち医療機関を受診した経験があるのは43.9%でした。月経不順を自覚していながらも、半数以上は受診していないことがわかります。

PMDD(月経前不快気分障害)の診断基準

PMDD(月経前不快気分障害)について、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)を紹介します。
A.ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が認められ、月経開始数日以内に軽快し始め、月経終了後の週には最小限になるか消失する。 B.以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在する。   (1)著しい感情の不安定性(例:気分変動:突然悲しくなる,または涙もろくなる、または拒絶に対する敏感さの亢進)   (2)著しいいらだたしさ、怒り、または対人関係の摩擦の増加   (3)著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考   (4)著しい不安、緊張、および/または“高ぶっている”とか“いらだっている”という感覚 C.さらに、以下の症状のうち1つ(またはそれ以上)が存在し、上記基準Bの症状と合わせると、症状は5つ以上になる。   (1)通常の活動(例:仕事、学校、友人、趣味)における興味の減退   (2)集中困難の自覚   (3)倦怠感、易疲労性、または気力の著しい欠如   (4)食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望   (5)過眠または不眠   (6)圧倒される、または制御不能という感じ   (7)他の身体症状、例えば、乳房の圧痛または腫脹、関節痛または筋肉痛、“膨らんでいる”感覚、体重増加 D.症状は、臨床的に意味のある苦痛をもたらしたり、仕事、学校、通常の社会活動または他者との関係を妨げたりする(例:社会活動の回避;仕事、学校、または家庭における生産性や能率の低下)。 E.この障害は、ほかの障害、例えばうつ病、パニック症、持続性抑うつ障害(気分変調症)、またはパーソナリティ障害の単なる症状の増悪ではない(これらの障害はいずれも併存する可能性はあるが)。 F.基準Aは、2 回以上の症状周期にわたり、前方視的に行われる毎日の評価により確認される(注:診断は、この確認に先立ち、暫定的に下されてもよい)。 注:基準A~Cの症状は、先行する1年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない。
出典:日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014 PMDD(月経前不快気分障害)が疑われる場合には、医師が診察して状態を把握し、診断されます。 この診断基準をもとに、PMDD(月経前不快気分障害)はどのような症状が表れるとされているのかを見ていきましょう。

PMDD(月経前不快気分障害)の症状

先に述べたDSM-5の診断基準によると、PMDD(月経前不快気分障害)では、下記の症状のうち1つ以上が存在するとされています(基準B)。
  • 著しい感情の不安定性
  • 著しいいらだたしさ、怒り、または対人関係の摩擦の増加
  • 著しい抑うつ気分、絶望感、または自己批判的思考
  • 著しい不安、緊張、および/または“高ぶっている”とか“いらだっている”という感覚
さらに、下記の症状のうち1つ以上が存在し(基準C)、先ほどの基準Bと合わせて5つ以上の症状になるとされています。
  • 通常の活動における興味の減退
  • 集中困難の自覚
  • 倦怠感、易疲労性、または気力の著しい欠如
  • 食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望
  • 過眠または不眠
  • 圧倒される、または制御不能という感じ
  • 他の身体症状
PMDD(月経前不快気分障害)では情緒不安定、怒り、不安、抑うつ気分などの症状が表れ、日常生活に支障をきたしてしまうことがわかるでしょう。

PMDD(月経前不快気分障害)のセルフチェック

月経前の心身の不調によって、「PMDD(月経前不快気分障害)かもしれない……」と不安になることもあるでしょう。 ここでは、PMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)のセルフチェックを紹介します。月経開始1週間前頃から表れ、日常生活や仕事などに実際に支障が出ているものを選択するようにしてください。
感情が不安定になる
  • はい
いらだち、怒りの感情があり、対人関係でいさかいが増える
  • はい
うつっぽさ、絶望感を感じ、自分に批判的になる
  • はい
不安、緊張、高ぶっているという感覚がある
  • はい
仕事・学校・友人関係・趣味に対しての興味が減る
  • はい
集中力が低下する
  • はい
疲れやすく、気力がわかない
  • はい
食欲が増したり、特定の食べ物を食べたくなる
  • はい
過眠または不眠になる
  • はい
圧倒される、または自分をコントロールできない感覚がある
  • はい
乳房の痛みや張り、関節痛や筋肉痛、頭痛、むくみ、体重増加などの身体症状がある
  • はい
出典:月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)チェック|ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班) 「はい」と答えた数と内容によって、PMS(月経前症候群)またはPMDD(月経前不快気分障害)の可能性があるかがわかります。なお、セルフチェックの診断結果はこちらを参照してください。 ただし、これはあくまでセルフチェックなので、気になる症状がある場合には医療機関で相談することをおすすめします。

PMDD(月経前不快気分障害)の原因

PMDD(月経前不快気分障害)の原因やメカニズムは正確にはわかっていませんが、黄体ホルモンの変動が関係していると考えられています。PMDD(月経前不快気分障害)の症状が表れるのは、黄体期のエストロゲンが減少する時期と一致しているといえるからです。 また、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの増加を促す薬が有効であることから、神経伝達物質も関与しているのではないかと考えられています。 加えて、PMDD(月経前不快気分障害)がある場合、うつ病の並存率が高い傾向にあります。うつ病は、セロトニンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の減少が原因であるとされています。PMDD(月経前不快気分障害)と神経伝達物質の関係性を裏づける一例といえるでしょう。

PMDD(月経前不快気分障害)の治療

PMDD(月経前不快気分障害)の治療は、主に非薬物療法と薬物療法の2つです。まずは薬を使用せず生活習慣を見直すことで、症状が軽い場合には改善が見られるケースもあります。 しかし、PMDD(月経前不快気分障害)は、PMS(月経前症候群)の中でも精神的な症状を伴うものとされています。つまり、薬物療法が適している場合もあるのです。症状が気になる場合には無理をせず、できるだけ速やかに受診して適切な治療をおこなえるようにしましょう。

生活習慣の見直し

PMDD(月経前不快気分障害)は、食事療法や生活の改善、運動などによって症状の緩和が期待できるとされています。規則的な生活、適度な運動、ストレス対策を心がけましょう。 食事療法は具体的に、下記のようなことが挙げられます。
  • 低脂肪食、ビタミンB6、ミネラルの豊富な食事を摂る
  • 糖分や塩分、カフェインの摂取を控える
これらを、薬物療法をおこなう前に試したり、薬物療法と並行しておこなったりすることで、症状の改善が期待できるでしょう。

薬物療法

PMDD(月経前不快気分障害)の薬物療法では、主に抗うつ薬や抗不安薬などを使います。中でも抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、第一選択薬とされています。 特に抑うつやイライラといった症状が強い場合には、SSRIの効果が期待されます。これらの症状は、セロトニンの低下と関係していると考えられているためです。SSRIは連日服用するほか、黄体期(月経前の約2週間)のみ服用する方法もあり、症状の程度などによって使い分けられています。

PMDD(月経前不快気分障害)のよくある質問

ここでは、PMDD(月経前不快気分障害)に関するよくある5つの質問について見ていきましょう。
  • PMDDで受診する目安は?
  • PMDDは婦人科と精神科のどっちに行けばいいの?
  • PMDDになりやすい人は?
  • PMDDとうつ病の違いは?
  • 自分でできるPMDD対策はある?
それぞれ詳しく解説していきます。

PMDDで受診する目安は?

月経の前には、何らかの症状を経験したことのある方も少なくないでしょう。PMDD(月経前不快気分障害)は、PMS(月経前症候群)の中でも精神的な症状が顕著に表れている状態です。 厚生労働省の調査によると、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)があるときに「我慢している」と答えたのは38.5%でした。このことから、症状があってもなかなか受診には至っていない現状がわかるでしょう。しかし、日常生活に支障をきたすほどの症状が繰り返し起こる場合には、一度医師に相談することをおすすめします。

PMDDは婦人科と精神科のどっちに行けばいいの?

PMDD(月経前不快気分障害)の症状がある場合、婦人科と精神科のどちらを受診しても問題ありません。しかし、月経周期が不安定だったり、出血量が多かったり少なかったりする場合には、婦人科で相談してみるとよいでしょう。婦人科でPMDD(月経前不快気分障害)と診断されれば、状況に応じて精神科や心療内科に行くことも可能です。 また、「PMDD(月経前不快気分障害)の治療」の章でも述べたように、PMDD(月経前不快気分障害)の薬物療法の第一選択薬はSSRIという抗うつ薬です。そのため、精神的な症状が強い場合には、精神科や心療内科で相談するとよいでしょう。

PMDDになりやすい人は?

一般的に、PMDD(月経前不快気分障害)はストレスによって症状が悪化するといわれています。中でも、家庭や仕事におけるストレスが増加しやすい30代では、症状が悪化しやすいとされています。 PMDD(月経前不快気分障害)のリスク因子として、下記のようなことが考えられています。
  • ストレス
  • 季節の変化
  • マタニティブルー、産褥期うつ病
また、生活習慣の改善によって症状の緩和が期待できる点から、不規則な生活をしている場合にもリスクが高まるといえるでしょう。

PMDDとうつ病の違いは?

PMDD(月経前不快気分障害)とうつ病の違いは、月経が関係しているかどうかです。PMDD(月経前不快気分障害)は月経周期に伴って起こる規則性がありますが、うつ病は月経周期に関係なく症状が表れます。この点が、PMDD(月経前不快気分障害)とうつ病の異なる点だといえるでしょう。 また、DSM-5によると、PMDD(月経前不快気分障害)はうつ病やパニック障害などが増悪したものではないとされています。近しい症状が見られ、ときには並存することもありますが、別個の疾患として位置づけられています。

自分でできるPMDD対策はある?

PMDD(月経前不快気分障害)では、食事や生活習慣の見直しによって症状が改善するケースがあるとされています。食事では、特に動物性タンパク質を摂るとよいでしょう。動物性タンパク質には、鉄や亜鉛、ビタミンB6など、症状緩和の一助となる成分が多く含まれています。また、カフェインの摂りすぎには注意しましょう。 そのほか、ストレスをためないことや適度な運動、規則正しい生活も効果的だといわれています。十分な睡眠やリラックスする時間の確保も、PMDD(月経前不快気分障害)の症状緩和に有効でしょう。

PMDD(月経前不快気分障害)かもしれないと思ったら医師に相談しよう

月経の前には、精神的にも身体的にもあらゆる不調が起こることがあります。この不調はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、月経の3~10日前に見られます。PMS(月経前症候群)の中でも精神的な症状が顕著に表れている状態が、PMDD(月経前不快気分障害)です。主な症状は、情緒不安定や怒り、抑うつ気分、不安などで、加えて身体的な症状が表れることもあります。これらによって日常生活に支障をきたしている場合に、PMDD(月経前不快気分障害)が疑われます。 PMDD(月経前不快気分障害)の原因ははっきりと解明されていませんが、黄体ホルモンが関係していると考えられています。治療は、まず生活習慣の見直しをおこない、改善が見られなければ薬物療法をおこないます。薬物療法の第一選択薬は、SSRIと呼ばれる抗うつ薬です。 PMDD(月経前不快気分障害)とうつ病は似ている点もありますが、月経周期に関係しているかどうかが異なります。月経開始とともに症状が軽快・消失することから、我慢してしまう方も少なくないでしょう。しかし、適切な治療によって対処できることもあるのです。気になる症状がある場合には、まずは受診してみることが大切です。ぜひ、お気軽にご相談ください。 参考サイト・文献 ・PMS、PMDDの診断と治療|白土なほ子|J-STAGE精神科からみた PMS/PMDD の病態と治療|大坪天平|J-STAGE月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|日本産科婦人科学会産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020|日本産科婦人科学会月経について|働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省委託事業)「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす 影響に関する調査」単純集計結果(2022年3月28日)|厚生労働省月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)チェック|ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)月経前症候群(PMS)|日本女性心身医学会

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