【退職前申請】給付金とは?知っておきたい制度と申請方法を解説

「退職前申請給付金」とは、退職時や退職後の生活を支えるために国から支給される公的な支援金のことです。病気やケガで働けない時の「傷病手当金」や、次の仕事を探す間の生活を支える「失業手当」など、様々な種類があります。

編集部
これらの制度は、条件を満たせば誰でも利用できる大切な権利ですが、申請しなければ一円も受け取れません

この記事で受け取れる給付金の種類や条件、申請方法をしっかり確認し、あなたの新しいスタートに役立ててください。

※当社には社労士が在籍しています。

※本記事に記載の制度内容は、厚生労働省「雇用保険制度の概要」・全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイトの2026年4月時点の情報に基づいています。制度は改正される可能性があるため、申請前に必ず公的機関にご確認ください。

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目次

退職前後に申請できる給付金一覧【早見表】

退職を考え始めたら、まずはどのような給付金があるのか全体像を把握しましょう。申請のタイミングによって「在職中から準備できるもの」と「退職後に申請するもの」に分けられます。

在職中から申請・準備できる給付金

病気やケガが理由で退職する場合、在職中から手続きを開始することで、退職後もスムーズに給付を受けられる可能性があります。

給付金の種類 どんな制度? 主な申請先
傷病手当金 病気やケガで働けず、給与が出ない場合に生活を保障する制度 健康保険組合、協会けんぽ
教育訓練給付金 スキルアップや再就職のための講座受講費用を一部補助する制度 ハローワーク

なお、協会けんぽの標準報酬月額の平均額は、2025年4月1日以降「32万円」に改定されています(改定前は30万円)。入社1年未満で被保険者期間が12ヶ月に満たない場合の計算に影響するため、ご自身の状況を確認しておきましょう。

参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイト

退職後に申請できる給付金

主に、失業中の生活支援や再就職を促進するための給付金です。退職後にハローワークで手続きを行います。

給付金の種類 どんな制度? 主な申請先
失業手当(基本手当) 次の仕事が見つかるまでの生活を支える、いわゆる「失業保険」 ハローワーク
再就職手当 失業手当の受給資格者が早期に再就職した場合に支給されるお祝い金 ハローワーク
就業促進定着手当 再就職後の給与が離職前より低い場合に、低下分の一部を補う制度 ハローワーク
高年齢求職者給付金 65歳以上で離職した人が受け取れる一時金 ハローワーク

退職給付金と失業手当・退職金の違いを比較

「退職給付金」「失業手当」「退職金」は、よく混同されがちな言葉です。それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

項目 退職給付金(総称) 失業手当(雇用保険の基本手当) 退職金
意味 退職前後にもらえる公的な給付金全般を指す言葉 退職給付金の一種で、失業中の生活を支えるための給付 会社が就業規則などに基づき、退職者に支払うお金
支給元 国(ハローワーク)、健康保険組合など 国(ハローワーク) 勤務していた会社
根拠となる法律 雇用保険法、健康保険法など 雇用保険法 会社の退職金規程など
受け取れる人 各制度の条件を満たした人 雇用保険の加入条件を満たし、失業状態にある人 会社の退職金制度の対象者

退職給付金と失業手当(雇用保険の基本手当)の違い

「退職給付金」とは、この記事で紹介している傷病手当金や失業手当、再就職手当など、公的な制度から支給されるお金の総称として使われる言葉です。

一方、「失業手当(正式名称:基本手当)」は、その退職給付金の中の一つであり、雇用保険から支給される、失業中の生活を支えるための給付を指します。つまり、失業手当は退職給付金の一部分ということです。

編集部
退職給付金と失業手当の違いをさらに詳しく知りたい方は「退職給付金と失業手当の違い7選!「両方もらえる」条件と申請方法を解説」もあわせてご覧ください。

退職給付金と退職金の違い

最も大きな違いは「どこから支払われるか」です。
退職給付金は、国や健康保険組合といった公的機関から支払われます。これに対し、退職金は、これまで勤務していた会社から支払われるものです。

退職金制度は法律で義務付けられているわけではないため、会社によっては制度自体がない場合もあります。公的な給付金と会社の退職金は全く別の制度であり、両方の条件を満たせばそれぞれ受け取ることが可能です。

【種類別】退職前に申請できる給付金の条件・申請方法

ここでは、特に多くの人が利用する可能性のある「傷病手当金」と「失業手当」について、条件や申請方法を詳しく解説します。

傷病手当金|病気やケガで働けない場合に

傷病手当金は、業務外の病気やケガの療養のために仕事を休み、会社から十分な給与が受けられない場合に、健康保険から支給される給付金です。在職中に発症した病気やケガが原因で退職に至った場合、一定の条件を満たせば退職後も継続して受け取ることができます。

傷病手当金の受給条件

傷病手当金を受け取るには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

傷病手当金の受給条件
  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
    (通勤中や業務上の災害は労災保険の対象となります)
  2. 仕事に就くことができない状態であること
    (労務不能であると医師の証明が必要です)
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
    (待期期間と呼ばれ、最初の3日間は支給対象外です)
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと
    (給与が支払われても、傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給されます)

特に重要なのが、退職後も継続して受給するための条件です。退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、かつ退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることが必要です。

参照:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

傷病手当金の支給額と期間

支給額と期間は以下の通りです。

支給額(1日あたり):【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷ 30日 × (2/3)
簡単に言うと、おおよそ月収の3分の2程度が支給されるとイメージしてください。

支給期間:支給を開始した日から通算して最長1年6ヶ月
途中で復職し、再度同じ病気やケガで休業した場合も、支給期間内であれば残りの期間分を受け取れます。

📌 2022年1月の法改正ポイント(2026年現在も適用)

2022年1月の健康保険法改正により、傷病手当金の支給期間の計算方法が変わりました。改正後は「支給開始日から通算して1年6ヶ月」となり、途中で復職して給与が支払われた期間はカウントされません。がん治療や精神疾患で休職・復職を繰り返す方にとって、より柔軟に活用できる制度に改善されています。

参照:全国健康保険協会「傷病手当金について」

【月収別】傷病手当金の支給額シミュレーション

実際にいくらもらえるのか、月収(額面)別の目安を表にまとめました。

月収(額面) 標準報酬月額の目安 1日あたりの支給額 1ヶ月あたりの支給額
20万円 20万円 約4,444円 約13.3万円
25万円 26万円 約5,778円 約17.3万円
30万円 30万円 約6,667円 約20.0万円
35万円 36万円 約8,000円 約24.0万円
40万円 41万円 約9,111円 約27.3万円

※標準報酬月額は等級表により決定されるため、実際の金額とは若干の差異が生じます。
※上記は額面の支給額です。社会保険料や住民税が差し引かれるため、手取り額は額面の約7割程度となります。

編集部
傷病手当金の計算方法や手取り額について、さらに詳しく知りたい方は「傷病手当金をもらう6つの条件と計算方法|手取りはいくら?月収別シミュレーション」もあわせてご確認ください。

傷病手当金の申請方法と流れ【自分で申請】

申請は、会社の人事や総務担当者を通して行うのが一般的ですが、自分で手続きすることも可能です。

申請書の入手
加入している健康保険組合や協会けんぽのウェブサイトから「傷病手当金支給申請書」をダウンロードするか、電話で取り寄せます。

本人記入欄の作成
申請書の被保険者情報や振込先口座などを記入します。

事業主の証明
休業期間中の勤務状況や給与の支払い状況について、会社に証明を依頼します。退職後は、退職日までの分を元勤務先に依頼する必要があります。

医師の証明
療養を担当した医師に、労務不能であった期間や病状について証明を記入してもらいます。診断書とは別物で、申請書の所定の欄に記入してもらう必要があります(文書作成料がかかる場合があります)。

申請書の提出
すべての記入が終わったら、加入している健康保険組合または協会けんぽに郵送などで提出します。申請には時効があり、労務不能であった日ごとに、その翌日から2年を過ぎると申請できなくなるため注意が必要です。

編集部
申請5ステップの具体的な手順や必要書類は「傷病手当金のもらい方を解説|申請5ステップ・金額・退職後までわかる完全ガイド」で詳しく解説しています。
編集部
「会社が書類を出してくれない」「申請が不支給になりそうで不安」という方は「傷病手当金がもらえない7つのケース|不支給の理由と対策を解説」を参考に、事前にリスクを把握しておきましょう。

失業手当(基本手当)|次の仕事を探すために

失業手当は、会社を退職した人が、安定した生活を送りつつ、1日も早く再就職するための支援として支給される給付金です。一般的に「失業保険」と呼ばれるものは、この基本手当を指します。

失業手当の受給条件

失業手当を受け取るには、以下の2つの条件を満たした上で、ハローワークで求職の申込みを行う必要があります。

ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること

離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
ただし、倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)の場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あればよいとされています。

参照:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

失業手当の支給額と所定給付日数

支給額と支給される日数は、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって決まります。

支給額(基本手当日額):原則として【離職日直前6ヶ月間に支払われた賃金の合計】÷ 180 × 給付率(約50~80%)賃金が低い人ほど給付率は高くなります。また、年齢ごとに上限額が定められています。

所定給付日数90日~360日
自己都合退職の場合は90日~150日ですが、倒産や解雇などの会社都合退職の場合は90日~330日と長くなります。また、就職が困難な方(障害者など)は150日~360日となります。

【年齢別】基本手当日額の上限額・下限額(2025年8月改定〜2026年7月適用)

離職時の年齢 基本手当日額の上限額
29歳以下 6,945円
30〜44歳 7,715円
45〜59歳 8,490円
60〜64歳 7,294円
全年齢共通(下限額) 2,411円

※上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。次回改定は2026年8月1日予定です。
参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和7年8月1日から〜

編集部
失業手当がいくらもらえるか具体的に知りたい方は「失業手当の計算シミュレーション【2026年最新】受給額がわかる早見表つき」で、ご自身の月収を当てはめて確認してみてください。

失業手当の申請方法とハローワークでの流れ

失業手当の申請は、自分の住所を管轄するハローワークで行います。

失業手当の申請方法の流れ
  1. 離職票の受け取り
    退職した会社から「雇用保険被保険者離職票-1」と「離職票-2」を受け取ります。通常、退職後10日前後で郵送されてきます。
  2. ハローワークで求職の申込み・受給資格の決定
    離職票やマイナンバーカード、本人確認書類、写真などを持ってハローワークへ行き、求職の申込みと失業手当の申請手続きを行います。ここで受給資格が決定されます。
  3. 7日間の待期期間
    受給資格決定日から通算して7日間は、失業の状態であっても失業手当は支給されません。
  4. 雇用保険受給者初回説明会
    指定された日時に説明会に参加し、「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」を受け取ります。
  5. 失業の認定
    原則として4週間に1度、指定された日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出して「失業の認定」を受けます。この際、期間中の求職活動の実績(原則2回以上)を報告する必要があります。
  6. 受給
    失業の認定が行われると、通常5営業日ほどで指定した金融機関の口座に失業手当が振り込まれます。以降、再就職が決まるまで「失業の認定」と「受給」を繰り返します。
⚠️【2025年4月改正】自己都合退職の給付制限が大幅短縮!

2025年4月1日以降に退職した方は、自己都合退職の給付制限期間が従来の「原則2ヶ月」から「原則1ヶ月」に短縮されました。

項目 改正前(2025年3月まで) 改正後(2025年4月以降)
給付制限期間 原則2ヶ月 原則1ヶ月
初回振込までの目安 約2ヶ月半〜3ヶ月 約1ヶ月半〜2ヶ月
例外(3ヶ月適用) 5年以内3回以上の退職 5年以内3回以上の退職(変更なし)

さらに、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合は、給付制限期間が「解除(ゼロ)」になります。待期期間7日間を経過すればすぐに基本手当を受給できるようになりました。

参照:厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について

編集部
失業保険の受給日数や退職理由による違いをもっと詳しく知りたい方は「失業保険の受給期間は何日?給付日数を退職理由・年齢別に徹底解説」もあわせてご確認ください。

【目的別】再就職やスキルアップで受け取れる給付金一覧

失業手当以外にも、雇用保険にはあなたの再出発を後押しする様々な給付金制度があります。

再就職手当|早期の再就職を支援

失業手当の支給日数を多く残して早期に再就職が決まった場合に、お祝い金として一時金が支給される制度です。早く仕事を見つけるほど給付額が多くなるため、再就職への大きなモチベーションになります。

支給を受けるには、失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなど、複数の要件を満たす必要があります。

再就職手当の支給率と計算方法

支給残日数の条件 支給率 計算式
所定給付日数の3分の2以上を残して就職 70% 基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
所定給付日数の3分の1以上を残して就職 60% 基本手当日額 × 支給残日数 × 60%

【計算例】基本手当日額6,000円・所定給付日数90日の方が、残日数70日(3分の2以上)で再就職した場合

6,000円 × 70日 × 70% = 294,000円(一括支給)

※再就職手当の算定に使う基本手当日額の上限は、59歳以下6,570円、60〜64歳5,310円です(2026年7月31日まで)。
参照:厚生労働省「再就職手当のご案内

就業促進定着手当|再就職後の賃金低下を補う

再就職手当の支給を受けた人が、再就職先で6ヶ月以上働き続け、かつ再就職先での賃金が離職前の賃金より低い場合に、その低下した賃金の一部を補填するために支給される手当です。新しい環境での定着をサポートします。

教育訓練給付金|スキルアップを支援

働きながら、または離職後に、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講・修了した場合に、支払った費用の一部が支給される制度です。プログラミングや介護、語学など様々な講座が対象となっており、キャリアチェンジやスキルアップを目指す人を強力にバックアップします。専門性の高い講座ほど給付率が高くなる「専門実践教育訓練給付金」など、複数の種類があります。

なお、2025年4月以降、教育訓練給付金対象の講座を受講した場合、自己都合退職の給付制限が「解除」されるようになりました。スキルアップと失業手当の早期受給を同時に実現できるため、退職後にキャリアチェンジを考えている方にとって大きなメリットです。

高年齢求職者給付金|65歳以上の退職者向け

65歳以上の雇用保険の被保険者が離職した場合に支給される給付金です。失業手当のように分割で支給されるのではなく、一時金として一括で支給されるのが特徴です。支給額は、被保険者であった期間に応じて、基本手当日額の30日分または50日分となります。

編集部
退職後にもらえるお金の全体像を把握したい方は「仕事を辞める前に確認すべきお金について!失業保険や失業手当についても解説」で事前にチェックしておくと安心です。

退職したら200万円もらえる制度とは?怪しい?その仕組みを解説

SNSやインターネット上で「退職すれば国から200万円もらえる」といった情報を見かけることがあります。これは怪しい情報商材や詐欺ではなく、公的な制度である「傷病手当金」と「失業手当」を最大限に活用した場合に、結果としてそれくらいの金額を受け取れる可能性があるという話です。

「傷病手当金」と「失業手当(就職困難者)」の組み合わせが基本

この仕組みの核となるのは、2つの制度を切れ目なく利用することです。

  1. ステップ1:傷病手当金を満額受給する
    まず、在職中に発症した病気やケガ(精神疾患を含む)を理由に退職し、傷病手当金を最長の1年6ヶ月受給します。
  2. ステップ2:失業手当の受給期間を延長する
    傷病手当金を受給している間は「働ける状態」ではないため、失業手当は申請できません。しかし、失業手当の申請期限(原則離職後1年)は、病気などの理由で働けない場合、最長で3年間延長することができます。
  3. ステップ3:失業手当を受給する
    傷病手当金の受給が終了し、働ける状態に回復してからハローワークで失業手当を申請します。この際、病歴などから「就職困難者」と認定されると、所定給付日数が最大360日に延長される可能性があります。

この流れにより、「傷病手当金(1年6ヶ月)」+「失業手当(約1年)」で、合計約2年半にわたり給付金を受け取れる可能性があるのです。

最大額を受け取るためのモデルケースと条件

例えば、月収30万円(標準報酬月額30万円)の人を例に考えてみましょう。

制度 日額の目安 受給期間 合計の目安
傷病手当金 約6,667円/日 最長18ヶ月(540日) 約360万円
失業手当(就職困難者) 約5,000〜6,000円/日 最大300日 約165万円
合計 約525万円

このケースでは合計で500万円以上になる計算ですが、実際には給与額や年齢によって変動します。月収が低くても、合計で200万円以上受け取れるケースは十分に考えられます

ただし、これはあくまで特定の条件が揃った場合の最大ケースです。誰もが利用できるわけではなく、「医師から労務不能の診断が長期間得られること」「就職困難者として認定されること」など、高いハードルがあることを理解しておく必要があります。

編集部
傷病手当金と失業保険を順番に受け取る方法については「傷病手当金と失業保険は両方もらえる?同時受給の可否と切り替え方法」で詳しく解説しています。最大28ヶ月の給付金受給を目指す方は必ずチェックしておきましょう。

退職給付金を受け取るデメリットと注意点

給付金制度は非常に心強いものですが、申請や受給にあたってはいくつかの注意点があります。

医師の診断書が必須なケースがある

傷病手当金の申請には、医師による「労務不能」であることの証明が不可欠です。申請書への記入には文書作成料(数千円程度)がかかるほか、そもそも医師が労務不能と判断しなければ証明はもらえません。自分の判断だけで申請できるものではないことを覚えておきましょう。

精神疾患(うつ病・適応障害など)の場合の注意点:傷病手当金は初診日より前の期間にさかのぼって申請することはできません。「調子が悪くても我慢して受診しなかった期間」は対象外となります。経済的な観点からも、異変を感じたら早めに受診することが受給額の最大化につながります。

編集部
適応障害で傷病手当金の申請を考えている方は「適応障害で傷病手当金がもらえない?7つの理由と対処法・申請手順を徹底解説」で、不支給を避けるためのポイントを事前に把握しておきましょう。

働いているとみなされると不支給になる可能性

特に失業手当の受給期間中は、アルバイトやパートで働くと収入の申告が必要です。一定以上の収入があると「就職した」とみなされ、手当が支給されなくなったり、減額されたりする可能性があります。働く場合は、事前にハローワークに基準を確認しましょう。

申請期限を過ぎると受給資格を失う

すべての給付金には申請期限(時効)が設けられています。

給付金の種類 申請期限(時効)
傷病手当金 労務不能であった日ごとに、その翌日から2年
失業手当 原則として、離職した日の翌日から1年
再就職手当 再就職した日の翌日から1ヶ月(時効は2年)

「知らなかった」「忙しかった」という理由は通用しません。期限を過ぎると、たとえ条件を満たしていても1円も受け取れなくなるため、手続きは計画的に進めましょう。

「退職給付金サポート」など怪しい代行サービスに注意

SNSなどで「退職給付金の申請をサポートします」「200万円もらえるようコンサルします」といったサービスが見られますが、安易に利用するのは非常に危険です。高額な手数料を請求されるだけでなく、虚偽の申請を勧められ、不正受給に加担させられるリスクがあります。

不正受給の罰則(三倍返し)は雇用保険法第10条の4に規定されています。偽りその他不正の行為により給付を受けた場合、受給額の返還+受給額の2倍の額の納付(合計3倍)を命じられるほか、延滞金も加算されます。絶対に虚偽の申請には関わらないでください。

給付金の申請に、民間の代行業者は一切不要です。わからないことがあれば、ハローワークや健康保険組合など、必ず公的機関に直接相談してください。相談は無料ですし、最も正確な情報が得られます。

退職前から退職後までの給付金申請やることリスト【時系列】

退職を決意してから、実際に給付金を受け取るまでの流れを時系列でまとめました。抜け漏れがないようにチェックリストとして活用してください。

退職1ヶ月前〜在職中に行うこと

  • [ ] 自分の加入している健康保険(協会けんぽ or 組合健保)と雇用保険の加入状況を確認する。
  • [ ] 病気やケガが理由の場合、医師に相談し、傷病手当金の申請準備を始める。
  • [ ] 会社に退職の意思を伝え、退職日を確定させる。
  • [ ] 会社に「離職票」が必要である旨を伝えておく。
  • [ ] 退職後の国民健康保険料や国民年金保険料がいくらになるか、役所で概算を確認しておく。
  • [ ] 傷病手当金を受給予定の方は、退職日に出勤しないよう注意する(退職日に出勤すると資格喪失後の継続給付を受けられなくなるため)。

退職直後〜1ヶ月以内に行うこと

  • [ ] 会社から離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書などを受け取る。
  • [ ] 住所地の役所で、国民健康保険と国民年金の加入手続きを行う。
  • [ ] 離職票など必要書類を持って、管轄のハローワークへ行き、失業手当の申請手続きを行う。
  • [ ] 傷病手当金の申請書を健康保険組合へ提出する。
  • [ ] 傷病手当金を受給中の方は、ハローワークで「受給期間延長」の手続きを行う(失業手当の受給権を確保するため)。

再就職が決まったら行うこと

  • [ ] ハローワークに再就職の報告をし、失業手当の支給をストップする。
  • [ ] 再就職手当の支給要件を満たしているか確認し、期限内(就職日の翌日から1ヶ月以内)に申請する。
  • [ ] 就業促進定着手当の対象になるか確認し、再就職から6ヶ月後に申請準備を始める。
編集部
退職前後の給付金申請の全体像や、申請5ステップの具体的な流れは「退職給付金はどうやってもらう?申請5ステップと受給条件を徹底解説」で確認できます。

退職前申請給付金に関するよくある質問(FAQ)

退職前給付金と失業保険の違いは何ですか?

一般的に使われる「失業保険」という言葉は通称で、正式な制度名は「雇用保険」です。そして、「失業手当(基本手当)」は雇用保険制度から支給される給付金の一つです。「退職前給付金」という言葉は、失業手当や傷病手当金など、退職に関連する公的な給付金全体を指す広い意味で使われます。

退職給付金は国から支給されるものですか?

支給元は制度によって異なります。

支給元 対象となる給付金
国(ハローワーク) 失業手当、再就職手当、教育訓練給付金など(雇用保険関連)
健康保険組合・協会けんぽ 傷病手当金など(健康保険関連)

自分がどの制度を利用するのかによって、相談・申請先が変わります。

パートやアルバイトでも給付金はもらえますか?

はい、もらえます。雇用形態にかかわらず、雇用保険や健康保険の加入条件を満たしていれば、正社員と同様に各種給付金を受け取る権利があります。例えば、雇用保険は「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」場合に加入義務があります。自分の加入状況がわからない場合は、給与明細を確認するか、会社に問い合わせてみましょう。

自己都合退職と会社都合退職で給付金に違いはありますか?

はい、特に失業手当において大きな違いがあります
倒産や解雇といった「会社都合」で退職した場合、自己都合退職に比べて手厚く保護されます。主な違いは以下の2点です。

  1. 給付制限期間:自己都合退職の場合、7日間の待期期間後にさらに1ヶ月の給付制限があり、すぐには失業手当を受け取れません(2025年4月改正で2ヶ月→1ヶ月に短縮)。ただし、5年以内に3回以上自己都合退職した場合は3ヶ月となります。一方、会社都合退職の場合は給付制限がなく、待期期間後すぐに支給が始まります。
  2. 所定給付日数:会社都合退職の方が、同じ年齢・被保険者期間であっても、失業手当を受け取れる日数が長く設定されています。

傷病手当金と失業手当は同時にもらえますか?

いいえ、同時受給はできません。傷病手当金は「働けない状態」、失業手当は「働く意思と能力がある状態」が前提のため、両立しません。

ただし、傷病手当金の受給中に失業手当の「受給期間延長」をハローワークに申請しておけば、傷病手当金の終了後に失業手当を受け取ることが可能です。延長は最大3年間(合計4年間)認められます。

つまり、「傷病手当金で療養→回復後に失業手当で転職活動」という流れで、両方の給付金を順番に受け取ることができます。

切り替え手続きの具体的な方法は「傷病手当金と失業保険は両方もらえる?同時受給の可否と切り替え方法」で解説しています。受給額を最大化するためにも、事前に確認しておきましょう。

退職・給付金に関する関連記事

当サイトでは、退職前後の給付金に関するさまざまなテーマを詳しく解説しています。気になる記事があれば、あわせてチェックしてみてください。


免責事項:本記事に掲載されている情報は、一般的な情報提供を目的としており、法的助言を構成するものではありません。各種給付金の申請にあたっては、必ずハローワーク、健康保険組合、年金事務所などの公的機関にご確認ください。制度は改正される可能性があるため、最新の情報を参照することが重要です。

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