「電車に乗っていて、急に息苦しくなった」
「外出中、胸の痛みが強くなり動けなくなった」
「死にたくなるほどの強い恐怖に襲われた」
このような症状があるのに、内科で異常なしと言われた方もいるのではないでしょうか?その症状は、パニック障害が原因かもしれません。
パニック障害とは、発作的に起こる動悸や発汗、震え、息苦しさなどの体の症状とおもに、このまま死んでしまうというような強い不安に襲われる精神疾患のこと。
発作性の強い症状があるものの、命に関わることはなく、多くの方は、早期に治療を受けることで回復が見込めます。しかし、症状が出ても放置していたり、症状が治まったからといって自己判断で治療をやめたりすることはよくありません。人によっては、症状が慢性化したりうつ病などの合併症を発症したりする可能性があるためです。
この記事では、パニック障害の概要や症状、原因、治療法などを中心に解説します。パニック障害について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
パニック障害とは

パニック障害とは、発作的に起こる動悸や発汗、震え、息苦しさなどの体の症状とおもに、このまま死んでしまうというような強い不安に襲われる精神疾患のことです。
一生のうちにパニック障害を発症する人の割合は、100人中1人~3人程度と言われています。また、発症平均年齢は15〜40歳、女性の方が男性の2~3倍かかりやすいとされています。症状は強いものですが、パニック障害そのものが命に関わるものといったことはありません。
しかし、発作的な症状がいつ起こるか分からないため、不安で外出できなくなるなど、日常生活に支障をきたしてしまいます。また、症状が長く続くと、うつ病など合併症を発症する可能性があるので注意が必要です。
身体症状が強いので、内科を中心に様々な医療機関を受診する方もいます。内科で異常なしと言われたのにもかかわらず症状が続く場合には、心療内科もしくは精神科を受診を検討してみるとよいでしょう。
パニック障害の誘因・原因

パニック症障害の誘因・原因ははっきりとは分かっていません。しかし、これまでの研究結果より以下の3つが関与しているのではと言われています。
- 遺伝的要因
- 脳内伝達物質の関与
- 高濃度の二酸化炭素の吸入
それぞれ詳しく解説します。
原因1.遺伝的要因
両親や兄弟といった、「第一度親族」にパニック障害患者がいる方は、それ以外の方と比べてリスクが5〜7倍ほど高いと言われています。また、双生児研究の結果からは、遺伝率が約40%であると報告されています。
このことより、家族にパニック障害の既往歴がある方は、他の方と比べて発症のリスクが高いと言えるでしょう。
原因2.脳内伝達物質の関与
人間の脳には、脳内で情報交換したり、脳からの命令を体に伝えたりするための「神経伝達物質」があります。これまでの研究結果により、この脳内伝達物質がパニック障害の発症に関与していることが分かっています。
パニック障害に関与している可能性のある脳内神経伝達物質は以下の通りです。
- セロトニン
- ノルアドレナリン
- γ-アミノ酪酸(GABA)
- コレシストキニン など
このようにパニック発作の原因が脳内にあるため、内科などで心臓や呼吸器の検査をおこなっても異常なしと診断されてしまうのです。
原因3.高濃度の二酸化炭素の吸入
二酸化炭素を吸引することも、パニック障害の原因とされています。
そのため、換気の悪い場所を避けたり、炭酸飲料を飲みすぎたりするとパニック障害を引き起こしやすいので要注意です。この点は日常生活を送るにあたって注意しておくとよいでしょう。
パニック障害の主な3つの症状

パニック障害の主な症状としては、以下の3つが挙げられます。
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖
パニック発作は、強い身体症状や精神症状が突然出現して、数分続きます。しかし、発作そのものは、命に関わるものではありません。自分自身を安心させるためにも、このことをしっかり覚えておくとよいでしょう。
パニック発作が続くと、予期不安や広場恐怖が表れるようになります。
パニック障害の症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
1パニック発作
パニック発作には、身体症状と精神症状があります。発作は急に始まり、数分でピークを迎え、その後急速に治まるのが特徴です。
以下は具体的な症状の一例です。
| 身体症状 | 精神症状 |
| ・動悸 ・呼吸困難 ・体の震え ・冷や汗 ・めまいなど |
・現実感がない(もしくは自分が自分ではない)感覚 ・このまま死んでしまうのではという強い恐怖 ・自分で自分をコントロールできなくなる感覚など |
なお、パニック発作と定義されるのは、以下に示すような身体症状や精神症状が出ても、内科的検査の上で体に異常がないと確認されてからになります。
低血糖や狭心症、不整脈、更年期障害など、何らかの疾患がある場合も同じような症状が現れるので、注意が必要です。
原因を特定するためにも、まずは内科受診をおすすめします。
2.予期不安
予期不安とは、一度パニック発作を起こしたことで、「また発作が起こるのではないか」という不安にかられる現象です。
発作が再び起こることへの不安に加えて、以下のようなことに対する不安が現れます。
- 別の病気にもかかっているのではないか
- 誰も助けてくれないのでは
- 人前で発作を起こして迷惑をかけてしまうのでは
- 運転中に発作が出て、交通事故を起こしてしまうのでは
上記は予期不安の一例です。また、パニック発作が改善しても、予期不安は残ることがあります。
3.広場恐怖
広場恐怖とは、予期不安の強さが原因で起こる症状です。パニック発作が起きたときに助けを求められないと想定される場所や状況を、強く恐れるようになることを指します。
広場恐怖が起こりやすい場所や状況は、主に以下の通りです。
- バスや電車、飛行機などの公共交通機関
- 駐車場や公園、フリーマーケットなどの広い場所
- 映画館内などの閉ざされた場所
- 混雑したレジなどに並んでいるとき
広場恐怖があると、不安から1人で外出できなくなるなど、日常生活にも大きく支障をきたすようになります。
当院がパニック障害の診察で確認するポイント

パニック発作の現れ方や頻度は一人ひとり異なり、同じ患者様でも時期によって変化することがあります。
診察では、発作中の症状だけでなく、発作前後の状況や日常生活への影響まで含めて整理します。
- 発作が起きた場面と前後の経過
- 動悸や息苦しさなどの身体症状
- 発作後も続く予期不安
- 外出や移動を避けている範囲
- 内科の受診歴と身体疾患の可能性
症状の全体像を確認したうえで、現在の状態に合った治療や通院方法を検討していきます。
発作が起きた場面と前後の経過
診察では、最初の発作がいつ、どこで起きたのかを確認します。
電車の中や職場、自宅など、発作が現れる場面には個人差があり、明確なきっかけがないケースも少なくありません。
発作が始まってから症状が強くなるまでの時間や、落ち着くまでの経過も重要な手がかりとなるでしょう。
記憶が曖昧な場合は、覚えている範囲から医師と一緒に整理します。
動悸や息苦しさなどの身体症状
パニック発作では、動悸や息苦しさ、めまい、発汗、手足の震えなどが突然現れることがあります。
胸の痛みや吐き気、身体が熱くなる感覚を伴い、救急車を呼ぶほどの恐怖を感じる方も少なくありません。
発作時にどの症状が現れたのかは、現在の状態を判断するための大切な確認項目です。
症状をすべて覚えていなくても、特に苦しかった感覚からお伝えください。
発作後も続く予期不安
発作が治まった後も、「また起きるのではないか」という不安が続くことがあります。
わずかな動悸や息苦しさを発作の前兆だと感じ、身体の変化へ過敏になるケースもみられます。
発作が起きていない時間の不安も、パニック障害の状態を把握するうえで見逃せない要素でしょう。
一日のうちで不安が強くなる時間帯や状況についても確認します。
外出や移動を避けている範囲
発作への不安から、電車やバス、エレベーターなどを避けるようになることがあります。
一人での外出が難しくなり、家族の付き添いがなければ移動できない方も少なくありません。
避けている場所や行動の範囲は、生活への影響を把握するための重要な情報です。
通勤や通学、買い物など、以前できていた行動の変化を診察時に伺います。
内科の受診歴と身体疾患の可能性
動悸や胸痛、息苦しさは、心臓や呼吸器などの身体疾患でも現れることがあります。
そのため、過去に内科や救急外来を受診したか、どのような検査を受けたかも確認項目の一つです。
身体疾患の可能性が十分に確認されていない場合は、内科での検査が必要となることもあるでしょう。
検査結果や紹介状をお持ちの方は、診察時にご提示ください。
発作への不安を抱える方に配慮した当院の受診案内

パニック障害では、受診したいと思っても、移動中に発作が起きることへの不安から予約をためらう場合があります。
当院では、来院前に症状を伝えられる仕組みを取り入れ、初診時の負担を抑えながら診療を進めています。
- スマートフォンで完了する24時間予約
- 受診を急ぐ方に向けた当日予約
- 発作の状況を事前に伝えるWEB問診
- 来院から会計まで30~45分程度の初診
- 初診当日のお薬と診断書の相談
発作の内容をうまく説明できるか心配な方も、事前問診をもとに医師が必要な項目を確認します。
スマートフォンで完了する24時間予約
初診予約は、WEBまたはLINEから24時間受け付けています。
電話をかける必要がなく、落ち着いている時間に空き状況を確認できる予約方法です。
希望する日時を画面上で選択できるため、移動への不安が比較的少ない時間帯を選びやすいでしょう。
診察は完全予約制となるため、来院前に予約を確定してください。
受診を急ぐ方に向けた当日予約
初診枠に空きがある場合は、予約手続きをした当日の受診も可能です。
当日の予約枠が埋まっているときは、翌日以降の空いている日時をご案内します。
予約から受診までの日数は、希望する曜日や時間帯によって一律ではありません。
早めの診察を希望する方は、WEB・LINEから最新の空き枠をご確認ください。
発作の状況を事前に伝えるWEB問診
予約確定後は、来院前にWEB問診へ回答していただきます。
発作が起きた場面や身体症状、内科の受診歴、服用中のお薬などを入力する問診です。
診察室で緊張して話せなくなった場合も、事前の回答が症状を把握する手がかりとなるでしょう。
すべてを詳しく書く必要はなく、分かる範囲で入力していただけます。
来院から会計まで30~45分程度の初診
初診は、来院から診察、会計まで30~45分程度が目安です。
発作の経過や予期不安、避けている行動、生活への影響などを順番に確認します。
診察内容によって所要時間が前後する可能性もあるため、時間には余裕を持った来院が安心でしょう。
受付は予約時刻の5分前を目安に行っています。
初診当日のお薬と診断書の相談
医師が治療上必要と判断した場合は、初診当日からお薬の処方が可能です。
通勤や勤務の継続が難しい方は、休職などに使用する診断書についても相談できます。
診断書は、症状や生活への影響から医師が必要と判断した場合に限り、受診当日の発行に対応しています。
病名の確定に経過観察が必要なときは、当日発行とならない場合もあります。
当院の診療体制

パニック障害の治療では、発作の回数だけでなく、発作を恐れて避けている行動にも目を向けることが大切です。
診察時の状態やお薬の効果を確認しながら、日常生活を取り戻すための治療を進めます。
- 発作頻度と予期不安に合わせた薬物療法
- 治療開始後のこまめな状態確認
- 症状が落ち着いた後の通院間隔
- 副作用や服薬への不安に応じた調整
- 避けていた移動や外出への段階的な対応
- 再発の兆候を見逃さない継続診療
通院頻度や治療期間は一律ではなく、症状の変化や生活環境を踏まえて個別に調整します。
発作頻度と予期不安に合わせた薬物療法
お薬の処方を検討する際は、発作の回数や強さ、発作後に続く不安を確認します。
発作が少なくても、外出できないほど予期不安が強い場合は、生活への影響が大きい状態です。
服用する薬の種類や量は、身体症状や過去の服薬歴も踏まえて決定する必要があるでしょう。
処方時には、期待される効果や注意点について医師から説明します。
治療開始後のこまめな状態確認
治療を始めた時期は、2週間に1回程度の通院を目安とする場合があります。
発作の変化やお薬の効果、副作用の有無を比較的短い間隔で確認するためです。
症状によっては、1週間後や3~4週間後の受診が適していることもあるでしょう。
次回の受診時期は、診察時の状態を踏まえて医師がご案内します。
症状が落ち着いた後の通院間隔
発作や予期不安が落ち着いた後は、月1回程度の通院へ移行する場合があります。
状態が安定していても、生活環境の変化によって不安が再び強くなるケースは少なくありません。
通院間隔を延ばせるかどうかは、服薬状況や外出範囲も含めて判断する必要があるでしょう。
自己判断で受診や服薬を中断せず、医師と相談しながら調整してください。
副作用や服薬への不安に応じた調整
服薬を始めた後に、眠気や吐き気、だるさなどを感じることがあります。
身体感覚への不安が強い方は、わずかな変化でも発作の前兆ではないかと心配になる場合があります。
気になる症状を記録しておくと、薬による変化かどうかを判断する手がかりとなるでしょう。
不安があるときは自己判断で中止せず、診察時に医師へお伝えください。
避けていた移動や外出への段階的な対応
電車や人混みなどを急に克服しようとすると、不安が強くなり負担が増えることがあります。
比較的安心できる時間帯に短い距離を移動するなど、小さな目標から始める方法が一例です。
どの行動から取り組むかは、不安の程度や生活上の必要性を踏まえて決めることが望ましいでしょう。
無理のない範囲で行動を広げられるよう、診察時に経過を確認します。
再発の兆候を見逃さない継続診療
症状が改善した後も、睡眠不足や疲労、環境の変化によって不安が強くなることがあります。
身体の感覚を頻繁に確認する、外出を避け始めるなどの変化が再発の兆候となる場合もあります。
早い段階で変化に気づくことが、発作や生活制限の悪化を防ぐポイントとなるでしょう。
定期診察では、発作の有無だけでなく、普段の行動や気分の変化も確認します。
当院に寄せられるパニック障害のご相談例

パニック発作は場所や時間を問わず現れるため、その後の生活にさまざまな制限が生じることがあります。
当院には、発作そのものだけでなく、再び起きることへの不安についてもご相談が寄せられています。
- 電車内での発作をきっかけに通勤できないケース
- 運転中の発作が怖く車に乗れないケース
- 職場での発作を恐れて欠勤が増えたケース
- 夜間の動悸で一人になることが怖いケース
発作が起きる場面や生活への影響を整理し、患者様ごとの状況に応じた対応を検討します。
電車内での発作をきっかけに通勤できないケース
電車内で息苦しさや動悸が起こり、途中駅で降りた経験をきっかけに乗車できなくなることがあります。
特に急行電車や混雑した車両など、すぐに降りられない状況への不安が強くなるケースです。
通勤が難しくなり、遅刻や欠勤が増えることで仕事への影響も大きくなるでしょう。
移動手段の変更だけで対応できない場合は、医療機関への相談をご検討ください。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
運転中の発作が怖く車に乗れないケース
運転中に動悸やめまいを経験し、事故を起こすのではないかと不安になることがあります。
高速道路や渋滞中など、すぐに停車できない状況を避けるようになる方も少なくありません。
仕事や家族の送迎で車が必要な場合は、生活への負担が大きくなる可能性があるでしょう。
運転の継続が不安なときは、安全を優先したうえで医師へご相談ください。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
職場での発作を恐れて欠勤が増えたケース
会議中や接客中に発作が起きた経験から、出勤そのものが怖くなることがあります。
周囲に迷惑をかけるのではないか、発作を見られるのではないかと考え、欠勤が増える場合もあります。
仕事を続けたい気持ちがあっても、通勤や勤務中の不安によって心身の負担が重くなるでしょう。
勤務の継続が難しい場合は、休職や診断書について診察時に相談できます。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
夜間の動悸で一人になることが怖いケース
就寝前や夜中に突然動悸が起こり、眠ることが怖くなる場合があります。
救急車を呼べる人がいないと不安になり、家族と離れて過ごせなくなる方も少なくありません。
発作への警戒から眠れない日が続くと、疲労によって不安が強まる可能性もあるでしょう。
夜間の症状や睡眠への影響についても、診察時にお伝えください。
※症状の経過には個人差があり、回復までの期間や治療内容は患者様によって異なります。
パニック障害について当院への相談を考えるタイミング

一度だけ強い動悸や息苦しさが起きても、すぐにパニック障害と診断されるわけではありません。
一方で、発作への不安によって生活や仕事に影響が出ている場合は、早めの相談が大切です。
- 内科で異常がないものの繰り返す発作
- 次の発作を考え続けてしまう状態
- 電車や人混みを避ける行動の増加
- 通勤や勤務を続けることが難しい状態
- 家族がいなければ外出できない状態
症状の原因を自分だけで判断せず、生活への影響が続く場合は心療内科や精神科へご相談ください。
内科で異常がないものの繰り返す発作
動悸や息苦しさで内科を受診しても、検査で明らかな異常が見つからないことがあります。
身体に問題がないと言われても、同じような発作を繰り返すと不安は残りやすいものです。
発作の背景にパニック障害などの精神的な要因がないか、確認する必要があるでしょう。
内科の検査結果をお持ちの場合は、心療内科や精神科の診察時にご提示ください。
次の発作を考え続けてしまう状態
発作が起きていないときも、「次はいつ起きるのか」と考え続けることがあります。
動悸や呼吸の変化を何度も確認し、ほかのことへ集中できなくなる場合も少なくありません。
予期不安が一日の大部分を占めている状態は、相談を検討する目安となるでしょう。
発作の回数が少なくても、不安による負担が大きい場合は受診できます。
電車や人混みを避ける行動の増加
発作が起きた場所を避けることから始まり、徐々に外出できる範囲が狭くなる場合があります。
電車やバスだけでなく、映画館、美容院、飲食店なども避けるようになるケースがあります。
不安を避ける行動が増えているときは、症状が生活へ広がっている可能性があるでしょう。
以前できていたことが難しくなった段階で、医療機関への相談をご検討ください。
通勤や勤務を続けることが難しい状態
通勤中や勤務中の発作が怖くなり、遅刻や欠勤が増えることがあります。
無理に出勤を続けることで疲労が重なり、発作への不安がさらに強くなる場合もあります。
仕事の継続や休職を一人で判断することは、心理的な負担が大きいでしょう。
勤務への影響を医師へ伝え、治療や診断書についてご相談ください。
家族がいなければ外出できない状態
発作が起きたときに助けてもらえるよう、家族の付き添いを求めることがあります。
一人で外出できない状態が続くと、ご本人だけでなく家族の生活にも影響が及ぶ場合があります。
付き添いが必要なことを責めるのではなく、不安がどの程度強いのかを整理することが重要でしょう。
生活上の負担が大きくなっているときは、診察時に具体的な状況をお伝えください。
パニック障害の経過
パニック障害の発症し始めには、パニック発作が頻発する傾向にあります。その後、予期不安と広場恐怖症が症状の中心となります。
適切な治療を受けることで、約70%の方が中等度の改善を示すとされていますが、10%程度は症状が変わらないまたは悪化するケースも。また、症状が長期化すると抑うつ症状が併存しやすいとも言われています。
そのため症状が安定しても薬を完全に止められないといったケースも少なくありません。

パニック障害発作時の対処法
先ほども述べたとおり、パニック障害はきちんと治療を受けることで回復が見込める病気です。しかし、実際に発作が起きると、強い不安に見舞われることもあるでしょう。そんなときは、以下の対処法をおこなってみてください。
- ゆっくりと深呼吸をする
- 違うことを考える
- 親しい人の声を聞く
具体的な方法については、「パニック障害 症状」の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
パニック障害治療中の5つの注意点
パニック障害は、治療を受ける以外にも日常生活で注意すべき点がいくつかあります。
ここでは、パニック障害治療中における注意点を5つご紹介します。日常生活を送る上で、ぜひ心がけてください。
1指示通りに薬を飲む
パニック発作などの自覚症状が現れなくなると、「もう大丈夫」と思い、薬を止めてしまう方もいます。しかし、症状がないからと言って、抗うつ剤などの薬を自己判断で止めると、発作が再発する可能性があるため注意が必要です。
それだけではありません。抗うつ剤を急に止めてしまうと、薬が体から急になくなってしまうことで生じる離脱症状が起きてしまうことがあります。
主な離脱症状には以下のようなものが挙げられます。
- 食欲不振や吐き気
- めまいやふらつき
- 気持ちの焦りや強い不安
- 体の疲れやだるさ
自己判断で薬を止めると、このような離脱症状が出現したり、パニック発作が再発したりするので大変危険です。
症状がない場合でも、指示通りに薬を飲みましょう。薬を減らしたい、止めたいときには、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。
2.心身のストレスを減らす
身体的な疲れが重なると、疲労物質である乳酸が体にたまります。乳酸はパニック障害を引き起こす原因物質でもあるのです。
パニック障害の方は乳酸がたまりやすいと言われるので、発作予防のためにも、疲れをためないことが大切になってきます。
精神的なストレスもパニック発作を引き起こす要因とされます。心身のストレスを減らすために大切なのは睡眠です。睡眠不足の状態は、パニック発作を誘発する以外にもさまざまな体調不良を引き起こします。不整脈を引き起こす原因の1つが睡眠不足です。
充分な睡眠をとって、心身の疲れやストレスを減らし、パニック発作の予防に努めましょう。
睡眠時間には個人差がありますが、「朝すっきり目覚め、日中眠くならずに動けること」が充分な睡眠の目安とされています。
3.規則正しい生活を心がける
不規則な生活は自律神経に悪影響を与え、パニック障害の症状が悪化しやすいので注意が必要です。
特に睡眠不足は、パニック障害だけではなく、他の体調不良の原因にもなります。睡眠不足にならないためにも、規則正しい生活は大切です。
起床や就寝、食事の時間はなるべく変えずに、規則正しい生活を送りましょう。
4.カフェインやアルコール、たばこを控える
カフェインやアルコール、たばこはパニック障害に悪影響を及ぼす物質です。1つ1つ説明していきます。
カフェインには、脳を刺激して覚醒する作用があります。眠気を覚ましたり、集中力を高めたりという効果がありますが、頭痛や吐き気、不安感や抑うつ状態といった副作用もあります。
アルコールは少量であれば不安をやわらげ、気持ちを落ち着かせるとされています。しかし、アルコールの血中濃度が低下すると、リバウンド的に不安が強くなってしまうのです。その結果、パニック障害が悪化する可能性があります。
たばこに含まれるニコチンは、交感神経を刺激してパニック発作を誘発する危険性があります。加えて心拍数や血圧を上げる働きもあるので、好ましくありません。
5.周囲からのサポートを受ける
パニック障害の発作は苦しいものですが、発作時にやさしく声をかけてもらったり、背中をさすってもらったりというようにサポートしてもらうと、不安が治まります。
逆に、パニック発作の苦しさが周囲に理解されない場合は、大きなストレスになります。そのストレスが、新たなパニック発作を引き起こす可能性も否定できません。
体調維持のためにも、家族や友人など、周囲の方にパニック障害を正しく知ってもらう機会をつくりましょう。具体的な方法は、病院受診時に同行をお願いする、パニック障害に関する本やパンフレットを見せて説明するなどです。
周囲の人が正しい知識を持つことで、日常生活において及び発作時にサポートを受けやすくなります。
パニック障害かも?と思ったら早めに医療機関を受診しよう

この記事では、パニック障害の原因や症状、治療法などを解説しました。
突然の息苦しさや動悸、手足の震えなどの症状があれば、早めに医療機関を受診してください。もし内科で異常なしという結果であれば、パニック障害が疑われます。その場合は心療内科や精神科の受診を検討しましょう。
パニック障害は早期治療により回復が見込まれる病気です。強いパニック発作が繰り返されると不安になることも多くなりますが、命に関わるものではないということを忘れないでおきましょう。

精神科医・産業医
三重大学医学部卒業後、桑名市総合医療センターで初期研修を修了。
その後、南勢病院精神科での勤務、かわいクリニック/新宿よりそいメンタルクリニックでの診療を経て独立。
日本精神神経学会に所属し、日本医師会認定産業医としても活動。
https://tomo-mental.com
参考サイト・文献
・一般社団法人日本うつ病センター
・パニック障害-身体的要因|貝谷久宣,熊野宏昭,石田展弥,宮前義和|臨床精神医学講座 5:161-170, 1997
・パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)
・日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
・パニック障害における発症年齢と人格特性の関連性についての検討|JSTAGE