うつ病で傷病手当金をもらえない6つのケース|支給条件や給付額も解説
うつ病で休職したときに、傷病手当金をもらえるのか不安になる方はいるのではないでしょうか。傷病手当金はなんらかの原因で仕事ができず、一定期間療養中の場合に支給される制度です。その一方で、状況によってはもらえないケースがある点に注意しましょう。
この記事では、うつ病の方が傷病手当金をもらうときの条件や、もらえないケースなどについてご紹介します。傷病手当金がもらえない状況を把握することで、事前の対策ができるようになるでしょう。
1つ目は、待期期間が発生していないケースです。傷病手当金は休んだ期間が3日間続き、その後の4日目から支給される決まりがあります。そのときの3日間を「待期」といいます。
たとえば、出勤と休みが2日ずつ続いている場合は、待期期間が発生していないので傷病手当金はもらえません。3日間の休みの後に1日の出勤があり、その後休日が続く場合は待期期間が完成されているので、傷病手当金の受給対象となります。
障害厚生年金とは、病気やケガで生活・仕事に制限が出た場合に受け取れる年金です。年金というと60歳以上の方が受け取れるものと認識している方もいるかもしれませんが、障害厚生年金は条件に当てはまれば現役世代の方も受け取ることができます。
障害手当金とは、障害厚生年金の条件に満たない状態の場合に受け取りが可能な一時金のことです。
障害手当金は一括支給であるため、傷病手当金がその全額を超えるまでの期間は受け取れません。また障害厚生年金の場合、「【障害厚生年金の年額】÷360」で出た額が傷病手当金の日額より少ないとき、その差額が支給されます。
傷病手当金の概要についてあらためて見ていきましょう。傷病手当金とは、業務以外の原因によって病気やケガを発症し、療養のために仕事ができないときに手当金が支給される制度です。傷病手当金は、基本的に健康保険に加入している被保険者やその家族が対象です。
うつ病によって休職した方も例外ではなく、手続きをすれば手当金をもらえます。実際に、「協会けんぽ」による傷病手当金の疾病別の割合では、うつ病を含んだ精神疾患がもっとも多いとされています。
傷病手当金がもらえる期間は、支給が開始された日から最長で1年6カ月です。途中で出勤して給与の支払いがあった場合でも、1年6カ月の期間は変わりません。
1日あたりの支給金額は、以下の通りです。
「直近12カ月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3
標準報酬月額とは、月々の給料を一定の等級に区分して表したものです。このとき被保険者期間が12カ月未満の方の場合、標準報酬月額ではなく、以下のいずれかの低い額をもとに計算します。
傷病手当金をもらっている途中に退職や病院の転院をしたとき、受給は継続されるのでしょうか。ここでは、退職・転院と傷病手当金との関係について解説します。
うつ病によって休職し、傷病手当金をもらうまでにはどのような手順を踏む必要があるのでしょうか。ここでは休職から傷病手当金の申請・受給までの流れについて見ていきましょう。
うつ病の方が利用できる制度には、傷病手当金以外に何があるのでしょうか。ここではうつ病の方が利用できる制度についてご紹介します。
うつ病の方が治療後に復職を目指す際には、どのようなサービスを受けられるのでしょうか。ここでは復職を目指すための支援サービスについてご紹介します。
うつ病の方が傷病手当金をもらえない6つのケースとは?
うつ病の方が傷病手当金をもらえない、あるいは調整されるケースとして、以下の6つが挙げられます。- 待期期間が発生していない
- 休職中も給与をもらっている
- 障害厚生年金・障害手当をもらっている
- 労災保険による休業補償給付をもらっている
- 出産手当金をもらっている
- 国民健康保険の加入者やフリーランスである
1.待期期間が発生していない
1つ目は、待期期間が発生していないケースです。傷病手当金は休んだ期間が3日間続き、その後の4日目から支給される決まりがあります。そのときの3日間を「待期」といいます。
たとえば、出勤と休みが2日ずつ続いている場合は、待期期間が発生していないので傷病手当金はもらえません。3日間の休みの後に1日の出勤があり、その後休日が続く場合は待期期間が完成されているので、傷病手当金の受給対象となります。
2.休職中も給与をもらっている
2つ目は、休職中に給与をもらっているケースです。傷病手当金は、けがや病気などで働けず、職場から給与がもらえない場合に支給されます。 休んでいる期間に給与の支払いがある場合は傷病手当金をもらえない点に注意しましょう。ただし、給与で得られる日額が、傷病手当金で支給される日額よりも少ないときは、その差額のみを受け取れます。 たとえば、休職期間中の給与が日額5,000円、傷病手当金の日額が1万円であれば、差額の5,000円を受け取れるということです。3.障害厚生年金・障害手当金をもらっている
3つ目は、「障害厚生年金・障害手当金」をもらっているケースです。同じうつ病によって障害厚生年金や障害手当金をもらっている場合は、同時に傷病手当金はもらえません。
障害厚生年金とは、病気やケガで生活・仕事に制限が出た場合に受け取れる年金です。年金というと60歳以上の方が受け取れるものと認識している方もいるかもしれませんが、障害厚生年金は条件に当てはまれば現役世代の方も受け取ることができます。
障害手当金とは、障害厚生年金の条件に満たない状態の場合に受け取りが可能な一時金のことです。
障害手当金は一括支給であるため、傷病手当金がその全額を超えるまでの期間は受け取れません。また障害厚生年金の場合、「【障害厚生年金の年額】÷360」で出た額が傷病手当金の日額より少ないとき、その差額が支給されます。
4.労災保険による休業補償給付をもらっている
4つ目は、労災保険による休業補償給付をもらっているケースです。労災保険では、仕事や通勤でケガ・傷病が発生し、仕事ができないときに休業補償給付を受け取れます。うつ病発症の原因が仕事であるとはっきり分かっている場合には、労災保険が優先され休業補償給付金の対象となることがあります。この休業補償給付を利用しているときは、基本的に傷病手当金はもらえません。 しかし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額よりも少ない場合に限り、その差額をもらえます。5.出産手当金をもらっている
5つ目は、出産手当金をもらっているケースです。出産手当金とは、女性が出産のために会社を休み、その期間中に給料の支払いがない場合に支給される制度です。出産日の42日前から、出産翌日以降の56日までの期間に会社を休んだ場合、手当金の支給対象となります。 出産手当金と傷病手当金をもらう期間が重複する場合、前者が優先されます。こちらもほかのケースと同様、出産手当金の日額が傷病手当金の日額を下回っている場合に限り、その差額がもらえます。6.国民健康保険の加入者やフリーランスである
6つ目は、国民健康保険の加入者やフリーランスのケースです。傷病手当金は健康保険に加わっている方が活用できる制度で、国民健康保険の方は基本的に傷病手当金の対象ではありません。これは国民健康保険での傷病手当金の支給が義務ではないからです。 しかし、新型コロナウイルスの影響で国民健康保険でも傷病手当金を支給した市町村もあります。そのため、状況によっては国民健康保険でももらえるケースもあるかもしれません。傷病手当金とは?
傷病手当金の概要についてあらためて見ていきましょう。傷病手当金とは、業務以外の原因によって病気やケガを発症し、療養のために仕事ができないときに手当金が支給される制度です。傷病手当金は、基本的に健康保険に加入している被保険者やその家族が対象です。
うつ病によって休職した方も例外ではなく、手続きをすれば手当金をもらえます。実際に、「協会けんぽ」による傷病手当金の疾病別の割合では、うつ病を含んだ精神疾患がもっとも多いとされています。
うつ病の方が傷病手当金を利用するときの条件
うつ病の方が傷病手当金を利用するときの条件は、以下の通りです。- 仕事以外の原因でうつ病を発症した
- うつ病が原因で仕事ができない状態にある
- 連続する3日間を含んだうえで、4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる間に給与をもらっていない、あるいは傷病手当金の額よりも少ない
うつ病の方が傷病手当金をもらえる期間・金額
傷病手当金がもらえる期間は、支給が開始された日から最長で1年6カ月です。途中で出勤して給与の支払いがあった場合でも、1年6カ月の期間は変わりません。
1日あたりの支給金額は、以下の通りです。
「直近12カ月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3
標準報酬月額とは、月々の給料を一定の等級に区分して表したものです。このとき被保険者期間が12カ月未満の方の場合、標準報酬月額ではなく、以下のいずれかの低い額をもとに計算します。
- 当該被保険者の被保険者期間における標準報酬月額の平均額
- 当該被保険者の属する保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均額
傷病手当金を受給中に退職・転院したときは?
傷病手当金をもらっている途中に退職や病院の転院をしたとき、受給は継続されるのでしょうか。ここでは、退職・転院と傷病手当金との関係について解説します。
条件によっては退職後も傷病手当金をもらえる
退職後も以下の条件を満たすことで、継続して傷病手当金をもらえます。- 退職までに1年以上の期間、健康保険の被保険者である
- 退職するまでに傷病手当金の支給を受けていた、あるいは受けられる状態である
- 傷病手当金の支給を受けている場合、期限である1年6カ月を超えていない
転院する場合は治療の空白期間の有無に注意
病院を転院する場合、治療に空白期間を作らないようにしましょう。転院前の最終受診日と転院後の初診日までの期間が空くと、その間は傷病手当金をもらえません。間を空けると「転院までの空白期間では就労ができなかった」という証明ができないからです。 継続して傷病手当金をもらうには、転院前の病院から証明をもらう、同じ日か翌日に転院先で受診するなどの対策が必要です。今後転院予定の方は、空白期間を作らないように注意しましょう。うつ病で休職中のときに給与や手当は発生する?
うつ病で休職しているときに職場から給与や手当がもらえるかどうかは、会社によって異なります。うつ病での休職は「私的な理由の休職」であるケースが多いので、基本的に給与や手当は出ないと考えておいたほうがよいでしょう。 一方で、なかには給与が発生する職場もあるので、就業規則を確認してどのような対応になるのかを把握しておきましょう。また、給与や手当が発生する場合は、傷病手当金の受給額に影響が出る点にも注意してください。うつ病による休職から傷病手当金の受給までの流れ
うつ病によって休職し、傷病手当金をもらうまでにはどのような手順を踏む必要があるのでしょうか。ここでは休職から傷病手当金の申請・受給までの流れについて見ていきましょう。
休職までの流れ
休職までの流れとしては、以下の通りです。- 医療機関を受診する
- (うつ病と診断されたら)上司に相談、休職制度について確認する
- 休職の手続きをする
傷病手当金の申請・受給までの流れ
休職後に傷病手当金の申請をする流れとしては、以下の通りです。- 出勤しない3日間の待期期間が発生する
- 会社の健康保険組合や協会に問い合わせて、傷病手当金の申請に必要な書類を取得する
- 被保険者として必要事項を記入する
- 医師の記入が必要な欄は医療機関に、事業主の記入が必要な欄は会社に依頼する
- 申請に必要な書類の準備ができたら、会社に提出する
- 申請内容に問題がない場合、振込金額や振込予定日などの情報が記載された通知書が届く
- 傷病手当金が振り込まれる
うつ病による傷病手当金の受給期間が終了した後は?
傷病手当金の受給期間が終了してもうつ病の症状が改善していない方は、「障害厚生年金」の申請を検討しましょう。期限である1年6カ月を超えても改善の見通しが立たない場合、そこで症状が固定していると判断されるため、障害厚生年金の申請ができます。障害厚生年金の申請には時間がかかるので、シームレスに手当を受け取りたい方は傷病手当金の受給中に準備しておきましょう。 ただし、申請タイミングが早すぎると傷病手当金と障害厚生年金を同時に受給してしまうケースもあります。その場合、障害厚生年金が優先されて傷病手当金がもらえない、あるいは調整される点に注意してください。うつ病が再発した場合、傷病手当金は再度もらえない?
治ったはずのうつ病が再発し、再度休職した場合は、条件によっては傷病手当金が受け取れます。その条件は、最初の傷病手当金の支給開始日から、勤務再開期間を除いて1年6カ月を超えていない場合です。その期間であれば、再び傷病手当金をもらえます。 一方で、1年6カ月を超えていても、元々のうつ病が完治しているのであればもらえるケースもあります。うつ病が治癒したと判断された後に再発した場合は、それぞれ別の疾病だとみなされるからです。 ただし、別の疾病かどうかのラインを判断するのは保険者なので、必ず手当金がもらえるわけではない点に注意しましょう。うつ病の方が利用できる傷病手当金以外の制度
うつ病の方が利用できる制度には、傷病手当金以外に何があるのでしょうか。ここではうつ病の方が利用できる制度についてご紹介します。
労災保険
労災保険とは、仕事や通勤でケガや傷病などが発生したときに休業補償給付を受け取れる制度のことです。うつ病になった場合も労災保険の利用が可能で、その条件は以下の3つです。- うつ病を発症している
- うつ病の発症前の約6カ月の間に、業務による強い心理的負荷が見られる
- 業務以外の原因によってうつ病を発症したわけではない
失業手当
失業手当とは、失業した方が生活の心配をせず、再度働けるようになるために手当金を支給する制度のことです。 失業手当を受け取れる条件としては、以下の通りです。- 失業の状態であること
- 離職以前の2年間で、被保険者期間が通算で12カ月以上あること (※倒産や事情などのやむを得ない離職の場合、離職以前の1年間で、被保険者期間が通算で6カ月でも可能)
自立支援医療
自立支援医療とは、うつ病をはじめとした精神疾患に対して治療するとき、医療費の自己負担額を軽減する制度です。対象者は精神疾患や身体障害者の交付を受けたもの、身体何らかの支障をきたしている児童などが挙げられます。対象者によってどのくらい自己負担額が軽減するかが異なり、うつ病の方の場合は1割の負担のみとなります。 所得によっても自己負担の軽減額が変化するので、詳しくは厚生労働省の「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」を参考にしてみてください。障害者手帳
障害者手帳とは、障害を抱えた状態のときに申請できる制度で、公共料金の割引や税金控除などのサービスを受けられます。 障害者手帳のなかで、うつ病の方が申請できるのが「精神障害者保健福祉手帳」です。この手帳を受け取れる条件としては、うつ病や統合失調症などで長期にわたり、日常生活や社会生活に支障をきたしている場合です。そして、うつ病や統合失調症などが初診日から6カ月以上経過している必要があります。 手帳の有効期間は交付日から2年間が経過する月の末日までです。都度更新の手続きをします。生活保護
生活保護とは、生活が困難な方に対して必要な費用の支給を受けられる制度です。 生活保護を受ける条件は、以下の通りです。- 活用できる資産がない
- 就労できない、あるいは就労しても生活ができるほどの給与を得られない
- 年金、手当などの活用をしても生活ができない
うつ病の方が復職を目指すための支援
うつ病の方が治療後に復職を目指す際には、どのようなサービスを受けられるのでしょうか。ここでは復職を目指すための支援サービスについてご紹介します。
職場復帰支援(リワーク支援)
リワーク支援とは、休職中の方に対して職場復帰のための支援をするサービスです。 休職者に提供する支援内容としては、以下の通りです。- 生活リズムを整える方法の提案
- 体調の自己管理方法の提案
- 作業に必要な課題の実施
- 職場復帰のための講座
- コミュニケーションを円滑にするためのトレーニング
公共職業安定所(ハローワーク)
ハローワークとは、職探しをしている方に対してさまざまサポートを提供するサービス機関です。おもに求職活動のバックアップが中心で、求人情報の探し方や応募書類の添削指導などをサポートします。ハローワークは全国に500カ所以上に配置されているため、どこにいても利用しやすいのが特徴です。 また、うつ病をはじめとした方に対応した就職活動の支援もおこなっています。その方に適した求人の提出の依頼、必要に応じた面接への同行などをしてくれます。就労移行支援
就労移行支援とは、職探しや就労後の職場定着のための支援をする、通所型の障害福祉サービスです。就労に向けたトレーニングをおこない、就職およびその後の職場定着ができるようにサポートします。 就労移行支援の対象は以下の通りです。- 身体の障害やうつ病などを抱えた状態で、一般就労を希望している方
- 65歳未満の方