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適応障害

適応障害になりやすい人とは?特徴や症状をチェックしてみよう

精神科医 藤田朋大先生

当記事の監修医師
精神科医:藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医。新宿駅の心療内科・精神科「あしたのクリニック新宿院」で診療を担当



適応障害は、ストレスによって心身の健康のバランスが崩れ、社会生活に支障が出てしまう精神疾患です。

しかし同じストレスを受けたとしても、その人の性格や置かれた環境によって、適応障害になりやすいか否かは変わるとされています。

そこで本記事では、適応障害になりやすい人の特徴や環境について解説します。

さらに、自分が適応障害なのかを確認できるチェックシートもご用意しました。

「自分は適応障害になりやすい人なのか?」「気になる症状がある」とお悩みの方は、ぜひお読みください。また、適応障害について詳しく知りたいといった方は「適応障害とは?症状やなりやすい人、セルフチェック方法まで解説」の記事を読むことで理解が深まるでしょう。

適応障害とは

適応障害とは、特定のストレスが原因となり、心身の健康のバランスが崩れ、社会生活に支障が生じている状態です。不安や抑うつ、不眠や食欲不振などの精神的、身体的症状が生じます。

適応障害の特徴は、比較的原因がはっきりとしていることです。原因となるストレスを感じたり生活に変化が生じたりしてから、約1~2カ月で症状が出現するとされています。

ストレスによる負担を大きく感じるほど、症状があらわれるまでの時間が早くなり、人によっては数日で出現することも。原因となっているストレスから離れるもしくは軽減することで、症状が軽快し回復に向かいます。

早い段階で適切な治療が開始され、有効な働きかけがあれば、経過は良好です。

適応障害になりやすい人の特徴や環境

適応障害は、同じストレスを感じても、その人の性格や置かれている環境などによってなりやすさが異なります

本章では、適応障害になりやすい人の特徴や環境をまとめました。ただし、ここに記載されている内容にあてはまるからといって、必ずしも適応障害になるとは限りません。

自分の傾向や今の状況を知り、ストレスに対してどのように対処したらよいのかを考えることが大切です。

性格(内部要因)

適応障害になりやすいか否かは、その人の性格だけでなく、ストレスの感じ方や対応力などの内部要因が大きく関係します

適応障害になりやすい人の特徴は、以下の通りです。

  • ストレスの耐性が弱い
  • ストレスへの対処能力が低い
  • 几帳面で完璧主義
  • 真面目で責任感が強い
  • 物事を悲観的に考えやすい
  • 心配性で傷つきやすい
  • 周囲からの評価が気になる
  • 気持ちをすぐに切り替えられない
  • 人に頼るのが苦手
  • 自分よりも他人を優先しがち
  • 変化に敏感

上記のような性格・特性の人は、あてはまらない人と比べて適応障害になりやすいといえるでしょう。そのため、ストレスを受けたときに、自分がどのように対応すべきかを事前に知っておくことが大切です。

環境(外部要因)

自分自身の問題だけでなく、身を置いている環境によっても、適応障害のなりやすさは変わります

  • 周囲から孤立している
  • 気軽に相談できる人がいない
  • 周囲からのサポートを受けにくい
  • 多忙でなかなか休息がとれない

このような環境下で大きなストレスを受けると、一人で悩みを抱え込むこととなり、適応障害になる可能性が高くなります。

この場合は、環境を変えることで改善されることもあるでしょう。

適応障害になりやすい人が抱える3つのストレス

次は、適応障害になりやすい人が抱える可能性の高い、以下の3つのストレスについて解説します。

  • 仕事
  • プライベート
  • 人間関係

これらのストレスは突発的な出来事だけでなく、日々の蓄積でも適応障害を発症する可能性があります。

ストレスを感じやすい人は、これからご紹介する状況や環境には注意しましょう。

仕事

仕事をするうえで、何らかのストレスを感じている人は少なくないでしょう。たとえおかしいなと思っていても、我慢して働き続けてしまうケースもあるかもしれません。

しかし我慢することで、心身への負担が蓄積されて、のちに仕事に行けなくなってしまうこともあります。

具体的にストレスを感じる原因は、以下のケースが考えられます。

  • 業務内容が自分の能力の差
  • 上司からのパワーハラスメント
  • 仕事での責任の重さ
  • 過労働
  • 異動や転職による環境の変化

もしも上記のような状況に置かれていて「疲れたな」「つらいな」と強く感じている人は、同僚など相談しやすい人に相談して、働きやすい環境を整えることが大切です。

プライベート

日常生活での環境の変化やトラブルが原因で、ストレスを感じる人もいるでしょう。

具体的には、以下のケースが考えられます。

  • 学校の入学や進学
  • 一人暮らし
  • 引っ越し
  • 結婚や出産・育児
  • 病気やケガ
  • 災害

たとえ喜ばしい出来事であっても、環境が変わること自体にストレスを感じる人もいます。そのような人は、環境が変わった際には自分のペースで過ごし、ゆっくりと新しい環境に慣れることが大切です。

人間関係

誰しも一度や二度、人間関係で悩むことはあるでしょう。しかし、その状況に上手く対処できずにいると、その人がいる環境に行けなくなったり、その人を避けたりするほどのストレスを感じてしまうことも。

人間関係で悩んでいる場合は、その対象となる人から離れることが一番ですが、家族など身近な人ほど距離を置くことが難しくなります。そうするとなかなか問題が解決せず、適応障害を発症してしまうこともあるでしょう。

適応障害のサイン|なりやすい人はチェックしてみよう

適応障害では、心理的(情緒的)症状と身体的症状に加えて、社会生活が上手く送れない原因となる問題行動の3つのサインが出現します。

この章では、症状を踏まえてチェックシートにまとめました。

適応障害になりやすい人やストレスを感じやすい人で、気になる症状がある場合は、一度チェックしてみましょう。

上記の項目にあてはまる数が多い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

適応障害を悪化させないためには、早期発見・早期治療が大切です。

適応障害になりやすい人がとるべき対処法

適応障害の症状にあてはまらない場合でも、ストレスを感じたら適切に対処することが重要です。

特に適応障害になりやすいと考えられる人は、ストレスを感じたり何らかの症状があらわれたりしたときに、自分がすべき行動を事前に理解しておくと安心でしょう。

  • ストレスの原因から離れる
  • 症状があれば早めに受診をする

上記などの適切な対処法がとれれば、適応障害になるリスクを減らすことにつながり、万が一発症してしまっても症状を悪化させずに済みます

ストレスの原因から離れる

適応障害に対して一番効果があるのは、ストレス要因を排除することです。

そのため、強くストレスを感じた際は、距離を置き、環境を調整することが大切です。状況によっては、学校や仕事を休み、ゆっくりと休養するのもよいでしょう。

たとえば、仕事が上手くいかず強いストレスを感じている場合は、休職したり職場を変えたりすることで症状が落ち着くことがあります。環境を変えられる状況であれば、他人の協力を得ながら環境を調整しましょう。

しかし、家族間での問題など、状況によっては簡単には環境を変えるのが難しいこともあるかもしれません。ストレスとなっている原因が長く続くほど症状が悪化しやすくなるため、ほかの対処法と組み合わせて対応する必要があります。

症状があれば早めに受診する

適応障害の発症、悪化を防ぐためには、早期受診が大切です。眠れないや不安などの症状が出ている場合には、早めに受診することをおすすめします。

ただし、ここでの薬物療法はあくまで対症療法となりますので、適応障害にならないための根本的な解決策とはなりません。

そのため、心理療法や環境調整を同時に進めて、問題解決に向かって介入する必要があります。精神・身体症状が出現した際には、早めの受診を心がけるようにしましょう。

適応障害になりやすい人向け|ストレスを緩和する過ごし方

適応障害にならないためには、ストレスと上手く付き合い、心身の負担を軽減することが大切です。

社会生活を送るうえで、多かれ少なかれストレスは感じてしまうでしょう。そこで最後に、適応障害になりやすい人にぜひ実践してもらいたい、ストレスを緩和する過ごし方をご紹介します。

  • 十分な休息をとる
  • 気分転換をしてストレスを発散する
  • 周囲に相談する
  • 考え込み過ぎない

上記の方法は、誰でも簡単に取り組めますので、ぜひ実践してみてください。

十分な休息をとる

「疲れているな……」「気持ちが落ちているかも」と感じるときは、十分な休息をとりましょう。

バランスのよい食事をとり、しっかりと睡眠時間を確保することが大切です。

睡眠不足は、全身のだるさや思考力・集中力の低下、イライラなどにつながります。疲れや気分の落ち込みを感じているときは、いつもよりも早くベッドに入り、ゆっくりと身体を休めましょう。

ただし、適応障害の症状である不眠(寝たくても寝られない状態)が見られている場合は、クリニックを受診して医師へ相談するとよいでしょう。

気分転換をしてストレスを発散する

ストレスの緩和には、気分転換がおすすめです。特に運動や趣味など、好きなことをするのが効果的といわれています。

なかでも運動は、「交感神経」と「副交感神経」の働きを高め自律神経のバランスを整えてくれるため、以下の効果が期待できます。

  • 気分の落ち込みやストレスの発散
  • 心身のリラックス効果
  • 睡眠リズムの改善
  • 健康維持
  • ストレスへの抵抗力アップ

散歩をはじめ、ウォーキングや軽いランニングなど、副交感神経の働きを高めてくれる有酸素運動は、精神的リラックス効果が期待できます。ほかにもヨガやストレッチなども、身体の緊張をほぐしてくれるためよいでしょう。

周囲に相談する

ストレスを感じたときや環境を変えたいと思ったときは、一人で抱え込まず、周囲に相談しましょう。家族や友人はもちろん、話しやすい同僚などでもよいです。

誰かに話すだけでも心が軽くなり、自分の気持ちや考えを整理するきっかけとなります。さらに、効果的な解決方法が見つかるかもしれません。

考え込み過ぎない

ひとつのことを考え込むことで、不安や否定的な思考が大きくなり、より一層ストレスを強く感じてしまう原因になりかねません。

前向きな気持ちを引き出すには、気分転換をはさみ、思考をコントロールすることが大切です。

どうしても物事が上手くいかない場合は、どうにかしようと考え込むのではなく、少しずつ段階的に取り組むようにするとよいでしょう。

適応障害になりやすい人は自分の傾向を知ることが大切

適応障害は、誰しもなりうる可能性のある精神疾患のひとつです。

しかし、同じストレスを感じても、その人の性格や考え方によって、適応障害になりやすいか否かは異なります。

まずは自分の傾向を知り、ストレスに対して適切な対応を取ることが大切です。

ストレスを感じやすい人は、気になる症状があらわれたら一人で抱え込まず、早めにメンタルクリニックなどの医療機関を受診しましょう。

参考サイト・文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「適応障害」
文部科学省「第2章 心のケア 各論」
日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
こころもメンテしよう〜若者を支えるメンタルヘルスサイト〜|厚生労働省

 



藤田 朋大先生

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藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医

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