適応障害の診断方法とは?うつ病との違いや診断後の行動について解説

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「適応障害って血液検査で分かる?」
「私って適応障害な気がする…」
「適応障害ってどうやって診断するの?」

何らかのストレスが原因で発症する適応障害ですが、どうやって診断するのかと疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。

適応障害は、血液や画像検査などで診断をおこなうことはできません。「DSMー5(精神疾患の診断・統計マニュアル)​​」や「ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)」の指標を用いて診断されるのが一般的です。ただし、適応障害はうつ病などのほかの精神疾患と症状が似ているため、診断の際には注意しなければなりません。

この記事では、適応障害の診断方法(診断基準)やうつ病との違い、適応障害と診断された後の治療について解説します。「自分は適応障害では?」と悩まれていて病院の受診を迷われている方にとって参考になる記事となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

適応障害の診断方法

心身の不調で、血液や画像検査をしても異常なしだったという経験をされた方もいるのではないでしょうか。

適応障害などの精神疾患の多くは、血液や画像検査などの結果に基づいて診断をおこなうことはできません。国際的に使用されている「DSMー5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」や「ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)」といった指標をもとに診断されるのが一般的です。また、適応障害はうつ病などほかの精神疾患と症状が酷似しているため、診断が難しいといった特徴もあります。

ここでは、適応障害の診断基準と鑑別が必要となるよく似た病気について紹介していますので、参考にしてみてください。

DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)による診断基準

適応障害の診断は、うつ病などのほかの精神疾患の診断基準を満たさない、もともとの精神疾患の悪化ではないことを前提に、DSMー5(精神疾患の診断・統計マニュアル)による診断基準を用いておこなわれます。

DSM-5による適応障害の診断基準は、以下の通りです。AからEを全て満たすと、適応障害と診断されます。

A.はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因のはじまりから3カ月以内に情緒面あるいは行動面の症状が出現

B.これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下の1つのうち1つまたは両方の証拠がある

ア)症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても、そのストレス因に不釣り合いな程度や強度を持つ著しい苦痛

イ)社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の重大な障害

C.そのストレス関連障害は他の精神疾患の基準を満たしていないし、すでに存在している精神疾患の単なる悪化ではない

D.その症状は正常の死別反応を示すものではない

E.そのストレス因、またはその結果がひとたび集結すると、その症状がその後さらに6カ月以上持続することはない

※引用:日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014

このすべてに該当する場合に適応障害と診断されます。また、症状の持続期間が6カ月未満である際には「急性」、6カ月以上続く場合には「持続性(慢性)」と診断されます。

もともと精神疾患を抱えている方は、適応障害との併存の可能性も否定できないため、慎重に診断がおこなわれます。

鑑別疾患

適応障害と症状が似ている精神疾患もあるため、そこに該当しないか鑑別が必要になります。適応障害に似た症状がある疾患で、識別疾患に該当するものは主に以下の通りです。

  • うつ病
  • PTSD(心的外傷後ストレス症候群)
  • 急性ストレス障害
  • パーソナリティ障害群
  • 器質性疾患(ステロイドうつ病など)

これらの病気にも、DSM-5による診断基準があります。うつ病などのほかの精神疾患の診断基準を満たさない、もともとの精神疾患の悪化ではない、適応障害の診断基準に当てはまる場合は、適応障害と診断されることになるでしょう。

たとえば、双極性障害の診断を受けている大学生が就活に失敗してまもなく悲観が強くなり、1日中塞ぎ込んでしまったものの、1〜2カ月程度でもともとの感情、生活に戻った場合、双極性障害と適応障害が併存していたと考えられることがあります。

このように、診断基準両方を満たしている場合は、それぞれの疾患が併存している可能性が高いと考えられることもあるのです。

ストレスが引き起こす精神疾患は、適応障害だけでなく、うつ病、双極性障害、PTSDなどさまざまですあるため、慎重に診断がおこなわれます。

適応障害の診断|セルフチェック紹介

「自分は適応障害かも?」とお悩みの方に向けてセルフチェックを用意しました。以下の上場に当てはまる数が多い程、適応障害の可能性が高いと考えられます。

セルフチェックをおこなうことで、自分の状況はある程度分かりますが、自己判断は禁物です。気になる症状があれば、早めにメンタルクリニックなどの専門病院を受診しましょう。

適応障害とは

適応障害とは、何らかのストレスに反応して3カ月以内に発症するもので、ストレス性障害の1つとされます。発症の原因となるストレスがはっきりしていることが特徴です。

生活を送るなかで、ストレスを感じることは誰にでもありますが、自分なりに対処しようという能力を持っています。しかし、その対処能力を超えたストレスがかかってしまうことで、心身のバランスが崩れ、適応障害を発症してしまうことがあるのです。

ストレスの原因は、進学・就職・人事異動といった大きなものであったり、仕事疲れなど小さなものの積み重ねであったりさまざまです。

また、昇進や結婚・出産など、一見すると嬉しい出来事もストレスになる場合も。なかには、原因となっているストレスがなかなか特定できないケースもあります。

適応障害を発症すると、不安や焦り、気分の落ち込みなどの症状があらわれ、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまうのです。

適応障害の症状

適応障害の主な症状は以下の通りです。

  1. 情緒面の症状:気分の落ち込み、不安、怒り、焦り、緊張など
  2. 行動面の症状:普段と違う言動、無断欠勤、仕事に行けなくなるなど
  3. 身体面の症状:動悸、めまい、発汗、体のだるさ、頭痛など

症状の現れ方には個人差がありますが、適応障害の診断としては、1と2のどちらか、あるいは両方が必要です。

適応障害とうつ病の違い

適応障害との鑑別でもっとも重要なのがうつ病です。適応障害もうつ病も、気持ちの落ち込みや焦り、不安、動悸、めまいなどの症状が現れるという点ではよく似ていますが、両者は別の病気です。

適応障害では、ストレスの原因がなくなるまたは、軽減すれば、回復に向かうことがほとんどです。しかし、うつ病はストレスがなくなっても症状が続きます。

また、適応障害とうつ病は、治療方法にも違いがあります。適応障害の場合、薬物療法は症状を和らげるための補助的なものですが、うつ病では薬物療法は、治療の土台となるのです。

このように適応障害とうつ病は別の病気ですが、適応障害と診断された場合でも、5年後には40%以上の人がうつ病などに診断名が変わっていくと言われます。

適応障害だから大丈夫と油断せず、適切な治療を受け、経過をみていくことが大切です。

適応障害とうつ病の違いについては、「適応障害とうつ病の違いとは?診断基準や治療方法をご紹介」の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

適応障害になりやすい人

同じストレスを抱えていても、適応障害を発症する人としない人がいます。適応障害になりやすい人は「ストレスに敏感である人」とも言えるでしょう。

適応障害になりやすい人の特徴は、以下の通りです。

  • 几帳面
  • 完璧主義
  • 努力家
  • おとなしい
  • 物事に対して受け身
  • 頑固
  • 自分にも他人にも厳しい
  • 融通が利かない
  • 責任感が強い

ここに該当するからといって必ずしも適応障害になるとは限りません。しかし、上記のような傾向がある人は、「仕事を自分で全部背負い込んでしまう」、「自分や他人の失敗が許せずイライラしてしまう」といった状況になりやすく、ストレスを抱え込みやすいと言われるため注意が必要です。

適応障害と診断された後の治療

適応障害と診断されたら、適切な治療を受けることが大切です。しっかりと休養を取り、原因となっているストレスがなくなるもしくは、軽減させるための環境調整をおこなうことで回復が見込まれます。

ここでは、適応障害の治療について詳しく紹介します。

1.休養と環境調整

適応障害の治療の基本は、休養と環境調整です。学校や職場でのストレスが原因であれば、休学や休職などを検討し、心と体を休めることを優先しましょう。この場合、医師の診断書を提出して願い出ることが一般的です。医師が休職が必要と判断した場合には、診断書の発行が可能となります。

家事や育児など家庭面でのストレスが原因の場合、家族に協力を求めることが必要となるでしょう。家族に協力を得ることが難しい場合には、行政などがおこなっているサービスを活用することもおすすめです。厚生労働省が発行している「こころの健康サポートガイド〜困ったときに受けられる支援・サービス〜」では、さまざまな支援・サポート情報が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

2.精神療法(心理療法)

認知行動療法や問題解決療法などの精神療法を提示されることもあるでしょう。これらの精神療法は、ストレスへの受け止め方を変え、対処能力を高めるために必要となってきます。

たとえば、家族との関わりがストレスで適応障害を発症した場合で考えてみましょう。家族関係によるストレスは、休養や環境調整で減らすことは難しいことが想定されます。このようなときは、認知行動療法や問題解決療法をおこない家族に関する考え方や受け止め方を変えることで、ストレス軽減につなげていく必要があります。

3.薬物療法

また、不眠や不安などの症状が強い場合には、薬が処方されることもあります。適応障害で処方される薬はあくまでも、症状を和らげるためのものであり、疾患の根本的な治療ではありません。しかし、薬を使って不快な症状を和らげることで、適応障害の回復を助けてくれる役割があります。

適応障害ではと気になる人は自己判断せずきちんと診察を受けよう

この記事では、適応障害の診断方法を中心に解説しました。

適応障害は、ストレスが原因で身体面、精神面の症状や、行動面での症状が出る精神疾患で、うつ病とよく似ています。しかし、両者にはさまざまな違いがあります。

この記事で紹介したようなセルフチェック方法もありますが、そこで適応障害に該当しない場合でも、実は適応障害であったという可能性も十分考えられます。適応障害は、適切な治療と原因となるストレスをなくすことで回復が見込まれます。一方で、有効的な解決策がなくストレスが長く続くと、症状も長期化するので、注意が必要です。

だからこそ、気になる症状がある人は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

参考サイト・文献
公益社団法人 日本精神神経学会|適応障害の診断と治療
こころの健康サポートガイド〜困ったときに受けられる支援・サービス〜|厚生労働省
日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014

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藤田 朋大先生

当記事の監修医師
藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医

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