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不安障害

不安障害の症状を4つの種類ごとに解説|不安を感じた際の対処法も紹介

精神科医 藤田朋大先生

当記事の監修医師
精神科医:藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医。新宿駅の心療内科・精神科「あしたのクリニック新宿院」で診療を担当



「電車に乗るとドキドキする」「強い不安を感じる」などの症状に悩まされ、不安障害かもしれないと考えている方もいるのではないでしょうか。

特定の場所や状況で動悸や息苦しさを感じたり、過剰な不安を常に抱いていたりする場合は、不安障害かもしれません。

本記事では、不安障害の症状を4つの種類に分けて解説します。さらに、不安障害の原因として考えられるものや、不安を感じた際の対処法についてもまとめました。

「自分は不安障害なの?」「不安を感じたときの適切な対処法を知りたい」と考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

不安障害の症状|種類別に解説

不安障害とは、過剰な不安に加えて、動悸や息切れ、発汗などの身体症状が見られる状態を指します。症状が長期化したり繰り返しあらわれたりすることで、日常生活や社会活動に支障が生じることも少なくありません。

思春期や青年期に多く見られ、男性に比べて女性の生涯有病率は2倍ほど高いといわれています。

不安障害に分類される疾患は複数ありますが、ここでは以下の4つについて紹介します。

  • パニック障害
  • 社会不安障害
  • 全般性不安障害
  • 強迫性障害

それぞれの種類ごとの特徴や症状をみていきましょう。

1.パニック障害

パニック障害とは、突然激しい不安に襲われ、動悸やめまい、息苦しさなどを感じる「パニック発作」を繰り返す状態を指します

症状は10分以内にピークに達するとされており、時に「このままでは死んでしまうかもしれない」と感じるほどの強い不安に襲われることも珍しくありません。

生涯有病者は1.5~3.5%ほどで20歳代前半に発症しやすく、遺伝的要因が強い(約40%)とされています。

パニック障害の症状は、以下の通りです。

  • 動悸や発汗
  • 体の震え
  • 息苦しさ
  • 胸部不快感
  • 吐き気やめまい、ふらつき
  • 自分がコントロールできない・死んでしまうかもしれないと感じる恐怖心
  • 非現実感

繰り返しパニック発作を経験することで、1人になることや公共の場に行くことへの恐怖や不安を抱くことが多くなります。さらに、「また発作が起きるのではないか」という予期不安を強く感じたり、発作が生じる場所や状況を避けたりする行動が見られることもあります。

2.社会不安障害

社会不安障害とは、スピーチや会議での発言などで人に注目されたり、人前で恥ずかしい思いをしたりすることが怖くなり、人と話すことだけでなく、人が多くいる電車や繁華街などで強い苦痛を感じてしまう状態を指します。人と関わることを執拗に避けるようになることで、日常生活や社会活動に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。7~8歳ごろより発症し、思春期にピークを迎えるとされています。

社会不安障害の症状は、以下の通りです。

  • 動悸や発汗
  • 体の震え
  • 息苦しさ
  • 声が出にくくなる
  • 口が乾く
  • 頭が真っ白になる
  • 吐き気やめまい、ふらつき
  • 赤面

社会不安障害の方は、人前で不安や緊張を隠そうと意識し過ぎてしまい、余計に不安や緊張が大きくなるといった悪循環に陥りやすくなります。

3.全般性不安障害

全般性不安障害とは、1つの事柄に限らず、さまざまな問題や活動に対しての過度な不安や緊張を感じてしまう状態を指します。不安の原因は多岐にわたります。

常に不安による苦痛が生じているため、不安がない日よりも不安を感じている日のほうが多くなるのが特徴です。

全般性不安障害の症状は、以下の通りです。

  • あらゆる事柄への強い不安
  • 筋肉の緊張
  • 疲労感
  • 集中力の低下
  • 感情の高ぶり
  • 怒りっぽくなる
  • 睡眠障害

上記の症状は、6カ月以上続くとされています。

4.強迫性障害

強迫性障害とは、本人の意思とは無関係に、特定の行為を繰り返しやめられない行動(強迫行為)が続き、日常生活が妨げられてしまう状態を指します。強迫行為は、繰り返し沸き起こる、不快なイメージや考え(強迫観念)による不安を和らげるために見られる行動といわれています。

強迫性障害の方に見られる症状や行動は、以下の通りです。

  • 手洗いを繰り返す
  • 4や9の数字を避ける
  • 戸締りやガスの元栓などを何度も確認する
  • 頭に浮かんだ数字を数え続ける
  • 対称性にこだわる
  • ものをためこむ
  • 車で歩行者をはねてしまうイメージが止まらず運転できない

人によってこだわるポイントが異なるため、症状や行動のあらわれ方もそれぞれです。なかには、家族を巻き込んでしまうことも珍しくありません。

不安障害の症状が現れる原因とは?

不安障害の原因は、はっきりと解明されていませんが、以下のものが関係していると考えられています。

  • 遺伝的要因
  • 環境要因
  • 精神的な気質や性格
  • 身体的疾患
  • 内服薬による影響

ストレスを感じたときの対処が不適切であった場合、不安障害を引き起こすきっかけとなることがあります。不安障害の原因は多岐にわたり、人によって不安を大きく感じる状況は異なります。

不安障害の原因については、「不安障害を引き起こす5つの原因とは?分類ごとの症状と治療法を解説」でも詳しく紹介していますのでご参照ください。

不安障害の症状がみられた際の対処法

不安障害の症状は、突然あらわれることが多いとされています。症状が出たときのために、自分なりの対処法を身につけておくと安心です。

以下の4点のうち、できることから試してみましょう。

  • 休息を取る
  • 不安の原因を探る
  • リラックス方法を見つける
  • 精神科や心療内科を受診する

不安障害の対処法については、「不安障害11の対処法|セルフケアや医療機関の受診について解説」でも詳しく紹介していますので、ここでは簡単にご紹介します。

対処法1.休息を取る

動悸や息苦しさなどの症状が出たときは、一度休息を取り、気持ちを落ち着かせてみましょう。意識的に深呼吸するのも有効です。

また、不安を強く感じつらいと感じているときこそ、規則正しい食生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保することが大切です。不規則な生活は心身の不調の原因になりかねません。

対処法2.不安の原因を探る

不安や悩みを書き出してみるのも効果的です。客観的に問題と向き合うことで、考えや気持ちが整理され、落ち着いて物事を考えられるようになります。

漠然とした不安を客観的にみることで、問題を可視化でき、自分のなかの焦りや不安を和らげることにつながります。

対処法3.リラックス方法を見つける

運動や好きなことをして、気分転換やリラックスする時間を作るのもよいでしょう。不安や悩みから頭が離れ、症状が軽減する効果が期待できます。

自分なりの気分転換やリラックス方法を見つけましょう。

対処法4.精神科や心療内科を受診する

ほかの対処法を試しても不安な気持ちや症状が緩和されず、日常生活や社会活動に支障をきたしている状態の場合は、早めに精神科や心療内科などの医療機関を受診しましょう

  • 不安によって強い苦痛を生じている
  • 不安による症状があり日常生活に支障をきたしている
  • 不安による症状が長期にわたりみられている

不安に耐えられる程度には個人差があるため、受診すべきかどうかや受診のタイミングなどを判断するのは難しいところがあります。ですが、上記の状態に当てはまる場合や、ご自身がつらいと感じている場合は、早めに受診したほうがよいでしょう。

不安障害の症状を緩和する2つの治し方

不安障害の治療法は、主に2つあります。

  • 精神療法(心理療法)
  • 薬物療法

不安障害の種類によっても適切な治療法が異なり、主治医にて症状や状態に合わせた治療法が選択されます。

治療法1.精神療法(心理療法)

不安障害の治療には、医師やカウンセラーなどの医療従事者による精神療法(心理療法)が効果的とされています。なかでも「認知行動療法」が多く用いられます。

認知行動療法とは、考え方のクセを見直し、苦手なものや場所に少しずつ慣れていく治療法です。不安や恐怖に対処する方法を身につけることで、ストレスを軽減し、自信を取り戻す効果が期待できます。

ほかにも、暴露療法によって不安な場面に慣れる練習をしていくこともあります。不安を感じる場所や状況を回避してしまう人に対して取り入れられる治療法で、回避せず不安に触れることで、「触れても大丈夫」という安心感を培っていくことを目的としています。

治療法2.薬物療法

不安障害では、精神療法に加えて薬物療法を併用することもあります。症状に合わせて、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などが選択され、最近では「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という抗うつ薬が使われることが多いといわれています。

しかし、薬の種類によっては効き始めるまでに時間がかかったり、副作用が出たりすることがあります。そのため、薬の量や、服薬を続けること自体が不安になってしまう方もいるかもしれません。ですが、勝手に量を調節したり服薬を中断したりすると逆効果になることもあるため、医師の指示のもと正しく内服することが大切です。薬の効果や副作用に不安がある場合は、すぐに医師に相談しましょう。

不安障害の薬物療法に関しては、「疑問解消!不安障害に対する薬の基本とその他の治療法について徹底解説」の記事もご参照ください。

不安障害の症状が続くときは医療機関を受診しよう

特定の場所や状況で動悸や息苦しさなどを感じたり、過剰な不安を常に抱いていたりする場合は、不安障害が考えられます。不安障害には4つの種類があり、それぞれ症状や適切な対処法が異なります。

気になる症状がある人や、日常生活に影響が出ている場合は、精神科や心療内科などの医療機関を受診しましょう。ご自身の状態について診断を受け、医師や薬の力も借りながら適切な対処法を身につけることが大切です。

参考サイト・文献
不安障害|厚生労働省 こころもメンテしよう
全般不安症|MSDマニュアル
厚生労働省
不安障害(不安症)|慶応義塾大学病院
エクスポージャー療法|厚生労働省 e-ヘルスネット



藤田 朋大先生

当記事の監修医師
藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医

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