普段から強い不安感に悩まされていると、「もしかしたら不安障害なのでは……?」と思う方もいるのではないでしょうか。本記事では、自分が不安障害なのかを確認するための種類別のチェックリストをご紹介します。
不安障害にはさまざまな種類に分かれており、それぞれ特徴や症状が異なるので、どの傾向にあるのかを見ていきましょう。また、チェックリストに多く当てはまった場合に、どのような対処をすべきかについても解説しています。不安障害なのか心配な方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみましょう。
不安障害の種類別のチェックリストで確認してみよう
不安障害とは、ストレスや身体の異常などが原因で不安の感情が強く続き、さまざまな症状が表れる状態のことです。不安障害には複数の種類に分かれており、代表的なものとしては以下の通りです。
- パニック障害
- 社会不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
ここではそれぞれの種類を解説しつつ、チェックリストで当てはまる症状があるかを確認してみましょう。
パニック障害
パニック障害では、前触れもなく突然激しい不安に襲われて、めまいや呼吸困難などの発作が表れる状態です。このような突発的な症状を「パニック発作」といい、繰り返し発症しやすいのが特徴です。
パニック障害のチェックシートを確認して、普段の生活で各項目に当てはまっているか見てみましょう。
- 動悸が急に起きて心拍数が増加することがある
- 汗を急にかくことがある
- 身体が急に震えることがある
- 息切れ・息苦しさを急に感じることがある
- 急に呼吸ができないような感覚になることがある
- 急に胸の痛み・胸の不快感を覚えることがある
- 急に吐き気・お腹の不快感を覚えることがある
- めまいやふらつきを急に感じることがある
- 寒気または身体のほてりを急に感じることがある
- 急に感覚が敏感・鈍感になることがある
- 現実感が急になくなることがある
- 急にどうかなってしまいそうな感覚を覚え、恐怖を感じることがある
- 死ぬことに対して急に恐怖を感じることがある
- 1〜13のような急に起こる発作が次第に強くなっている
- 1〜13のような急に起こる発作を避けるように行動するときがある
1〜13のうち4つ以上、かつ14〜15のどちらか1つ以上を「はい」と選択した場合、パニック障害の疑いがあります。
社交不安障害(社会不安障害)
社交不安障害(社会不安障害は)、人前で何かをすることに対して強い恐怖を感じる状態です。「人前で恥をかくのではないか」という不安から、人が多くいる場所に苦痛を感じたり、意識的に避けたりすることもあります。
社交不安障害(社会不安障害)のチェックシートで、当てはまっている項目を確認してみましょう。
- 人前で雑談をしたり、食事をしたりすることに強い恐怖や不安を感じる
- 人前で恥をかく、拒絶されるなどの否定的な評価を受けることに強い恐怖を感じる
- 人前にいると常に恐怖や不安を感じる
- 恐怖や不安を感じる場所をなるべく避けるようにしている
- 人前で感じる恐怖や不安などの症状が半年以上続いている
- 人前で感じる恐怖や不安によって、仕事や生活に支障が出ている
チェックシートで「はい」と答えた数が多いほど、社会不安障害の可能性があります。
全般性不安障害
全般性不安障害とは、生活や仕事、人間関係などのさまざまなことが気になってしまい、不安や心配が長期間続いている状態です。特定の出来事や場所に応じて急に心配や恐怖を感じるわけではなく、全般的かつ持続的な不安を感じているのが特徴です。
全般性不安障害のチェックリストで、どのくらい当てはまっているかを確認してみましょう。
- 家族や健康、仕事などの複数の過剰な不安や心配がある
- 直近6カ月のうち、過剰な不安や心配を感じる日の割合が大半を占めている
- 落ち着きがなく緊張しているときがある
- 筋肉が緊張して固まっているときがある
- 不安や心配のもととなる活動や出来事を極端に避けようとする
- 不安や心配のもととなる活動や出来事に備えて、時間をかけて万全の準備をする
- 不安や心配のもととなる予定を延ばすことがある
- 不安や心配を払拭するために、安心や安全を強く求めている
- 不安や心配によって、生活や仕事に支障が出ている
これらの項目に「はい」と答えた数が多いほど、全般性不安障害の可能性が高まります。
強迫性障害
強迫性障害とは、特定の行為をやめられない、同じ行動をしないと強い不安を感じるなどの状態のことです。強迫性障害の特徴として挙げられるのは、これらの行動は本人にとって「おかしい」という自覚がある点です。「自分はおかしいことをしている」という恐怖から、生活での行動範囲が狭くなってしまう場合もあります。
チェックリストを確認して、自分が強迫性障害なのかどうかを見ていきましょう。
- 鍵の閉め忘れや手が汚れていないかなど、特定の物事について気になって仕方がない
- 必要以上に何度も手を洗ったり、鍵の閉め忘れを確認したりする
- 生活のなかで自分が決めたルールや手順があり、それに従わないと気が済まない
- 1〜3が当てはまっている場合、その行為に1日1時間以上かけるときがある
- 1〜3が当てはまっている場合、その行為によって生活や仕事に支障が出ている
5つの項目で「はい」の回答が多いほど、強迫性障害の可能性が高いといえます。
不安障害のチェックリストに当てはまったら?
先ほど紹介した種類別の不安障害のチェックリストに多く当てはまった場合、医療機関へ相談することをおすすめします。
本記事で紹介したチェックリストは、それぞれの不安障害について正確に診断するものではありません。症状には個人差があるため、正確な診断を受けるには医療機関の受診が必要です。
また、不安障害と診断された場合は、症状の悪化を防ぐために適切な治療を受けることが大切です。チェックリストによく当てはまる方は、ぜひ1人で抱え込まずに医療機関へ相談してみてください。
不安障害と診断されたときにおこなう治療について
不安障害と診断された場合、おもに以下のような手段で治療を進めます。
- 薬物療法
- 対話による治療
ここではそれぞれの治療方法について解説します。
薬物療法
薬物療法では、おもに以下の薬を服用して治療をします。
- 抗うつ薬:脳内物質に働きかけて不安の症状をおさえる薬
- 抗不安薬:神経に働きかけて不安や緊張などを軽減する薬
不安障害に対しての薬物療法は、症状を安定させてセルフコントロールをサポートするのがおもな役割です。薬の服用だけに頼らず、ほかの治療法と併用することでさらなる改善効果が期待できます。
薬にはさまざまな種類があり、なかにはすぐに効果が出ないものもあります。効果が出ないからといって焦らず、医師に指示された量を継続して服用することが大切です。
認知行動療法
不安障害やうつ病などでも多くおこなわれているのが「認知行動療法」です。
認知行動療法は、ある出来事に対するとらえ方を見直して症状の改善を目指す方法です。出来事をネガティブにとらえるのではなく、広い視野を持ってポジティブに変換することで、不安の軽減が期待できます。
認知行動療法は不安障害に対しての治療効果が確認されており、薬物療法での改善と比べると再発率が少ないとされています。
不安障害だと思ったら医療機関へ相談しよう
不安障害はさまざまな種類に分かれており、その特徴は異なります。不安障害を改善するには、症状や特徴にあわせた治療をすることが大切です。今回紹介したチェックリストに当てはまったとしても、それが明確な診断というわけではありません。はっきりとした診断を受けるためにも、自分が不安障害なのか心配な方は医療機関へ相談するようにしましょう。
参考サイト・文献
・厚生労働省|パニック障害 – e-ヘルスネット
・日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
・厚生労働省|不安障害 – こころの病気について知る
・標準精神医学 第5版 野村 総一郎、 樋口 輝彦、尾崎 紀夫、朝田 隆 編集 医学書院、2012
・「不安障害」金 吉晴 日内会誌 102:183~189 2013
・厚生労働省|強迫症 / 強迫性障害 – e-ヘルスネット
・厚生労働省|不安症 / 不安障害 – e-ヘルスネット
・慶應義塾大学病院|不安障害(不安症)
・厚生労働省|抗うつ薬 – e-ヘルスネット
・厚生労働省|精神安定剤 / 抗不安薬 – e-ヘルスネット
・厚生労働省|認知行動療法 – e-ヘルスネット