失業保険の受給期間や給付日数は、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって大きく異なります。「自分は何日間もらえるのか」「いつからいつまで受給できるのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、失業保険の受給期間の原則や所定給付日数の一覧表、2025年4月の法改正で変わった給付制限の最新情報までわかりやすく解説しています。受給額の計算方法やアルバイトのルール、受給できないケースなど、手続き前に知っておきたい情報を網羅しました。ご自身の状況に当てはめながら読み進めてみてください。
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失業保険の受給期間とは?原則と給付日数の基本

失業保険について考えるとき、まず理解すべきなのが「受給期間」と「所定給付日数」の違いです。この2つはよく混同されがちですが、意味は全く異なります。この違いを正しく理解することが、失業保険を最大限に活用するための第一歩です。
受給期間の原則は「離職日の翌日から1年間」
失業保険における「受給期間」とは、失業手当(基本手当)を受け取る権利がある期間のことを指します。この期間は、原則として会社を辞めた日(離職日)の翌日から1年間と定められています。
例えば、2024年3月31日に退職した場合、受給期間は2024年4月1日から2025年3月31日までの1年間となります。この1年間のうちに、後述する「所定給付日数」分だけ手当を受け取ることができます。重要なのは、この1年間を過ぎてしまうと、たとえ給付日数が残っていても手当を受け取れなくなってしまう点です。そのため、退職後はできるだけ速やかにハローワークで手続きを行う必要があります。
所定給付日数とは「実際に手当がもらえる日数」のこと
一方、「所定給付日数」とは、失業手当を実際に受け取ることができる最大の日数を意味します。この日数は、90日、120日、150日など、個人の状況によって異なります。
- 受給期間:手当を受け取る権利がある「期間」(原則1年間)
- 所定給付日数:手当を受け取れる「日数」(90日〜360日)
つまり、「原則1年間の受給期間内に、定められた所定給付日数分の手当を受け取る」というのが失業保険の基本的な仕組みです。例えば、所定給付日数が90日の人は、受給期間である1年の間に、最大で90日分の手当が支給されることになります。
いつからいつまで?受給開始日と終了日の考え方
では、具体的にいつから手当がもらえるのでしょうか。ハローワークで手続きをしても、すぐに支給が開始されるわけではありません。すべての人に適用される「待機期間」と、自己都合退職者などに適用される「給付制限期間」が存在します。
待機期間の7日間
失業保険の受給資格が決定した日(ハローワークで求職の申し込みをした日)から通算して7日間は「待機期間」と呼ばれ、この期間は失業手当が支給されません。これは、本当に失業状態にあるかを確認するための期間とされており、離職理由にかかわらず、すべての受給者に適用されます。この7日間が経過した翌日から、給付日数のカウントが始まります。
自己都合退職の給付制限期間(2ヶ月または3ヶ月)
自己都合で退職した場合(正当な理由がない場合)、7日間の待機期間が満了した翌日から、さらに原則として2ヶ月間の「給付制限」が課せられます。この期間中も失業手当は支給されません。
ただし、5年間のうちに2回以上自己都合退職をしている場合は、給付制限期間が3ヶ月に延長されるため注意が必要です。一方、倒産や解雇といった会社都合で退職した「特定受給資格者」や、正当な理由のある自己都合退職者である「特定理由離職者」には、この給付制限期間はありません。7日間の待機期間が終了すれば、すぐに手当の支給対象となります。
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2025年4月改正で給付制限期間が1ヶ月に短縮
2025年(令和7年)4月1日以降、自己都合退職の給付制限期間が「原則2ヶ月」から「原則1ヶ月」に短縮されました。 これは「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第26号)の施行によるもので、退職後の生活支援をより早く届けることが目的です。
改正前後の違いを表にまとめると、以下のとおりです。
| 項目 | 改正前(2025年3月31日以前の退職) | 改正後(2025年4月1日以降の退職) |
|---|---|---|
| 給付制限期間(原則) | 2ヶ月 | 1ヶ月 |
| 5年以内に2回以上の自己都合退職 | 3ヶ月 | 3ヶ月(変更なし) |
| 重責解雇の場合 | 3ヶ月 | 3ヶ月(変更なし) |
| 初回の給付金振込目安 | 手続きから約2ヶ月半〜3ヶ月後 | 手続きから約1ヶ月半〜2ヶ月後 |
さらに注目すべきポイントとして、離職の日の翌日から1年以内に厚生労働大臣指定の教育訓練を受けた場合、または離職前1年以内に受講を開始していた場合、給付制限が解除されます。 つまり、7日間の待機期間さえ終われば、すぐに基本手当を受け取れるようになりました。対象となるのは、教育訓練給付の対象講座や厚生労働省令で定める訓練などです。
これらの改正によって、自己都合退職であっても従来より大幅に早く失業手当を受給できる環境が整っています。退職を検討している方は、退職日が2025年4月1日以降になるかどうかで受給スケジュールが変わるため、タイミングを意識しておくとよいでしょう。
出典: 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
出典: 厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」(PDF)
自己都合退職でも給付制限を回避して早く受給する方法を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
自己都合退職でも失業保険をすぐもらう3つの方法!2ヶ月の給付制限を回避する裏ワザ
失業保険の受給期間・給付日数が決まる3つの条件

あなたが失業手当を何日間もらえるか(所定給付日数)は、主に以下の3つの条件によって細かく決められています。ご自身の状況を当てはめて確認してみましょう。
1. 離職理由(自己都合・会社都合)で期間が変わる
所定給付日数を決める最も大きな要因の一つが「離職理由」です。離職理由は大きく分けて「一般の離職者」「特定受給資格者・特定理由離職者」「就職困難者」の3つに分類されます。
- 一般の離職者:自己都合での退職、定年退職など。
- 特定受給資格者:倒産、解雇など、会社の都合により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人。
- 特定理由離職者:期間の定めのある労働契約が更新されなかった(雇い止め)ことや、正当な理由のある自己都合(病気、介護、通勤困難など)により離職した人。
- 就職困難者:身体障害者、知的障害者、精神障害者など、就職が著しく困難な方。
一般的に、会社都合などでやむを得ず離職した方の方が、自己都合で離職した方よりも手厚く保護されており、所定給付日数が長くなる傾向があります。
2. 雇用保険の加入期間が長いほど給付日数も増える
次に重要なのが、雇用保険に加入していた期間です。原則として、離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが受給の条件となります。そして、この被保険者期間が長ければ長いほど、所定給付日数も長くなります。長年にわたり雇用保険料を納めてきた人は、それだけ手厚い保障を受けられる仕組みです。
3. 離職時の年齢で所定給付日数が異なる
最後に、離職した時点での年齢も所定給付日数を決定する要素となります。特に会社都合で離職した場合、年齢が高いほど再就職が困難になる傾向があるため、給付日数が手厚く設定されています。30歳未満、30歳~35歳未満、35歳~45歳未満といった形で、年齢層ごとに日数が区切られています。
【離職理由別】失業保険の所定給付日数一覧表

それでは、具体的にあなたの所定給付日数が何日になるのか、離職理由別の表で確認してみましょう。ご自身の「離職理由」「年齢」「雇用保険の加入期間」を照らし合わせてください。
一般の離職者(自己都合・定年退職)の所定給付日数
自己都合や定年で退職された方は、こちらの表に該当します。年齢に関わらず、雇用保険の加入期間のみで給付日数が決まります。
| 被保険者期間 | 全年齢 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
例えば、加入期間が8年で自己都合退職した場合は90日、22年間勤務して定年退職した場合は150日となります。
特定受給資格者・特定理由離職者(会社都合など)の所定給付日数
倒産・解雇などの会社都合や、正当な理由のある自己都合で退職された方はこちらです。年齢と加入期間によって給付日数が細かく分かれています。
| 被保険者期間/年齢 | 30歳未満 | 30歳以上35歳未満 | 35歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | – | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
例えば、40歳で加入期間15年の方が会社都合で退職した場合、所定給付日数は240日となります。自己都合の場合(120日)と比較して、2倍の日数を受け取れることがわかります。
就職困難者(障害者など)の所定給付日数
障害者手帳をお持ちの方など、就職が困難と認められる方はこちらの表に該当します。再就職への支援が手厚くなっており、給付日数が長く設定されています。
| 被保険者期間/年齢 | 45歳未満 | 45歳以上65歳未満 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 150日 | 150日 |
| 1年以上 | 300日 | 360日 |
加入期間が1年以上あれば、45歳未満で300日、45歳以上で360日と、非常に長い期間の保障を受けられます。
失業保険の基本手当日額はいくら?受給額の計算方法

失業保険の受給期間や給付日数がわかったら、次に気になるのは「結局いくらもらえるのか」という点でしょう。ここでは、1日あたりの支給額である基本手当日額の計算方法と、年齢別に定められている上限額・下限額の最新データを紹介します。
基本手当日額の計算式と給付率
基本手当日額とは、失業手当として1日あたりに受け取れる金額のことです。 計算式は「賃金日額 × 給付率」で求められ、賃金日額は離職前6ヶ月間の賃金総額(ボーナスを除く)を180で割って算出します。
具体的な計算の流れは以下のとおりです。
① 賃金日額を求める 離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180 = 賃金日額
② 基本手当日額を求める 賃金日額 × 給付率(50〜80%)= 基本手当日額
給付率は賃金日額が低いほど高く(最大80%)、高いほど低く(最低50%)設定されており、収入が少ない方ほど手厚い保障となる仕組みになっています。なお、60〜64歳の方は給付率が45〜80%となる点に注意が必要です。
たとえば、離職前6ヶ月の賃金合計が150万円の場合を計算してみましょう。
- 賃金日額:150万円 ÷ 180 = 約8,333円
- 基本手当日額(給付率60%の場合):8,333円 × 0.6 = 約5,000円
- 所定給付日数が90日なら:5,000円 × 90日 = 総額約45万円
このように、賃金日額・給付率・所定給付日数の3つを掛け合わせることで、受給総額の目安がわかります。
年齢別の基本手当日額の上限・下限額【2025年8月改定・現行】
基本手当日額には年齢別の上限額と、全年齢共通の下限額が設定されています。 この金額は毎年8月1日に見直しが行われます。2026年3月現在で適用されているのは、2025年(令和7年)8月1日に改定された金額です(次回改定は2026年8月1日予定)。
現行の上限額・下限額は以下のとおりです。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,510円 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 16,110円 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 17,740円 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 16,940円 | 7,623円 |
| 対象 | 賃金日額の下限額 | 基本手当日額の下限額 |
|---|---|---|
| 全年齢共通 | 3,014円 | 2,411円 |
この改定は、令和6年度の平均給与額が前年度比で約2.7%上昇したことを受けたもので、上限額・下限額ともに引き上げられました。たとえば45〜59歳の方は、基本手当日額の上限が8,635円から8,870円(+235円)にアップしています。
計算した基本手当日額が上限を超える場合は上限額が適用され、下限を下回る場合は下限額が適用されます。正確な受給額を知りたい方は、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」で確認しましょう。
※基本手当日額は毎年8月に改定されるため、2026年8月以降は金額が変更される可能性があります。
ご自身の受給額をより正確にシミュレーションしたい方は、以下の記事で計算ツールを使って確認できます。
【失業手当】計算シミュレーションで受給額を把握!2026年最新
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失業保険の受給期間を延長する方法|認められるケースと申請手続き

原則として「離職日の翌日から1年間」と定められている受給期間ですが、特別な事情がある場合には、この期間を延長することが可能です。これを「受給期間の延長」制度といいます。
受給期間の延長が認められるケース
受給期間の延長が認められるのは、病気やケガ、妊娠、出産、育児、介護などの理由で、退職後すぐに働くことができない場合です。失業保険は、働く意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けない人のための制度なので、そもそも働けない状態にある間は支給対象となりません。そのような方のために、働ける状態になるまで受給期間を「保留」しておくのがこの制度の目的です。
病気やケガで働けない場合
離職後、病気やケガの治療に専念するため、30日以上継続して働くことができない場合に延長が認められます。
妊娠・出産・育児(3歳未満)の場合
妊娠、出産、または3歳未満の乳幼児の育児に専念するために働けない場合も対象となります。
親族の介護(6親等内の血族など)の場合
配偶者や6親等内の血族、3親等内の姻族などの親族を、常時介護する必要があるために働けない場合も延長が可能です。
海外ボランティア活動などに参加する場合
青年海外協力隊など、海外でのボランティア活動に参加し、すぐには求職活動ができない場合も延長が認められることがあります。
失業保険の受給期間は最長4年間まで延長できる
受給期間の延長は、本来の受給期間である1年間に加えて、最大で3年間、合計4年間まで延長することが可能です。例えば、出産・育児のために2年間働けなかった場合、その2年間分を受給期間に上乗せできます。つまり、本来の1年+延長の2年=合計3年間の受給期間が確保され、その期間内に所定給付日数分の手当を受け取ればよいことになります。
受給期間延長の申請期限と手続き方法
受給期間の延長申請は非常に重要です。申請は、引き続き30日以上働くことができなくなった日の翌日以降、受給期間内にできるだけ早く届出を行ってください。
手続きは、住所を管轄するハローワークで行います。必要な書類は以下の通りです。
- 受給期間延長申請書
- 離職票-1、離職票-2
- 延長の理由を証明する書類(診断書、母子健康手帳など)
- 本人確認書類、印鑑、写真など
ポイントは、「働けない状態のうちに申請する」ということです。働ける状態になってから申請しても、延長は認められません。退職後すぐに働けない事情がある場合は、速やかにハローワークに相談しましょう。
失業保険の受給期間中にアルバイトはできる?ルールと注意点

失業保険を受給しながら、生活費の足しにするためにアルバイトをしたいと考える方は多いでしょう。受給期間中のアルバイトは可能ですが、いくつかの重要なルールを守る必要があります。
受給期間中のバイトは原則可能だが申告が必須
まず大前提として、失業保険の受급中にアルバイトやパートをすることは認められています。ただし、働いた事実(働いた日、時間、収入)は、4週間に1度の「失業認定日」に必ずハローワークへ申告しなければなりません。この申告は「失業認定申告書」という書類に記入して行います。正直に申告することが、トラブルを避ける上で最も重要です。
収入・労働時間の上限と減額・不支給のルール
アルバイトによる労働時間や収入によっては、失業手当が減額されたり、支給が先送りされたりする場合があります。ルールは主に労働時間によって異なります。
1日の労働時間が4時間未満の場合
1日の労働時間が4時間未満の「内職・手伝い」とみなされる場合、収入額によって手当が調整されます。
具体的には、「アルバイト収入額 - 控除額 + 基本手当日額」が、離職前の賃金日額の80%を超えた場合、その超えた分が基本手当から減額されます。収入が少なければ、手当が満額支給されることもあります。
1日の労働時間が4時間以上の場合
1日の労働時間が4時間以上の場合、その日は「就職または就労」したとみなされ、その日の基本手当は支給されません。ただし、支給されなかった日数分は、受給期間内であれば後日に繰り越されます(先送り)。つまり、もらえる総額が減るわけではなく、受給が終了する日が後ろにずれるだけです。
申告を怠った場合のペナルティ(不正受給)
もしアルバイトの事実を隠して申告しなかった場合、それは「不正受給」とみなされます。不正受給が発覚した場合、非常に重いペナルティが科せられます。
- 支給停止:不正が発覚した日以降、すべての手当が支給されなくなります。
- 返還命令:不正に受給した金額を全額返還しなければなりません。
- 納付命令:不正に受給した額の最大2倍の金額(いわゆる「3倍返し」)の納付が命じられます。
- 刑事告発:悪質なケースでは、詐欺罪として刑事告発される可能性もあります。
軽い気持ちで申告を怠ると、結果的に大きな損失を被ることになります。ルールを守って正直に申告することが鉄則です。
失業保険の受給期間内に申請しないとどうなる?

失業保険は、退職すれば自動的にもらえるものではなく、自分でハローワークへ行って申請手続きをする必要があります。この申請には期限があるため注意が必要です。
失業保険の申請期限は原則「離職の翌日から1年間」
失業保険の申請期限は、手当を受け取る権利がある期間、つまり「受給期間」である「離職の翌日から1年」と一致します。この1年以内にハローワークで手続きを済ませる必要があります。
「退職して少しゆっくりしてから手続きしよう」と考えていると、あっという間に時間は過ぎてしまいます。手続きが遅れれば遅れるほど、受け取れる手当の総額が減ってしまう可能性があるため、離職後はなるべく早く行動を起こすことが賢明です。
申請が遅れると所定給付日数の全額を受け取れない可能性
なぜ申請が遅れると損をするのでしょうか。それは、所定給付日数が受給期間である1年を超えて残っていても、その分は切り捨てられてしまうからです。
例えば、所定給付日数が150日の人が、退職から8ヶ月後にようやく申請したとします。
受給期間の残りはあと4ヶ月(約120日)しかありません。この場合、もともと150日分もらえる権利があったにもかかわらず、受給期間の残りである120日分しか受け取ることができません。本来もらえたはずの30日分は消滅してしまいます。
このような事態を避けるためにも、離職票が会社から届いたら、すぐにハローワークへ向かいましょう。
失業保険の受給期間を無駄にしない!申請から受給までの手続きの流れ
失業保険は退職すれば自動的にもらえるものではなく、自分でハローワークへ出向いて手続きを行う必要があります。ここでは、申請に必要な書類と、受給開始までの具体的な5つのステップを紹介します。手続きの全体像を把握しておけば、スムーズに受給を開始できるでしょう。
退職時に必要な書類一覧
失業保険の手続きで最も重要なのが、会社から交付される「雇用保険被保険者離職票(-1、-2)」です。 離職票は通常、退職後10日前後で届きますが、届かない場合は会社に早めに催促しましょう。それでも交付されないときは、ハローワークに相談すれば対応してもらえます。
ハローワークに持参する書類は以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか1種類)
- 身元確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど写真付き1種類、もしくは保険証等2種類)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm、正面上半身)※マイナンバーカード提示で省略可
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
離職票の記載内容(退職理由・賃金額など)は受給額や給付日数に直結するため、届いたら必ず内容を確認してください。
ハローワークでの手続き5ステップ
受給開始までの流れは、大きく5つのステップに分かれています。 全体像を把握しておくと、スケジュールが立てやすくなります。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①求職の申込み・離職票の提出 | 住所を管轄するハローワークで求職の申込みを行い、離職票などを提出する | 受付は平日8:30〜17:15。16時前までの来所が推奨されている |
| ②受給資格の決定 | ハローワークが受給要件・離職理由を確認し、受給資格を決定する | 離職理由に異議がある場合はこの段階でハローワークに相談可能 |
| ③受給者初回説明会に参加 | 指定された日時に説明会へ出席し、制度の説明を受ける | 「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付される |
| ④求職活動を行う | 認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要 | 職業相談・セミナー受講・求人応募などが実績として認められる |
| ⑤失業の認定・受給 | 4週間に1度、失業認定日にハローワークへ出向き、認定を受ける | 認定後、通常5営業日で指定口座に基本手当が振り込まれる |
この①〜⑤のサイクルを、再就職が決まるか所定給付日数を使い切るまで繰り返します。手続き開始が遅れるほど受給期間が圧迫されるため、離職票が届いたらできるだけ早くハローワークへ向かうことが重要です。
手続きの全体像をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事で申請から受給までの流れを網羅的に解説しています。
失業保険のもらい方や流れについて解説!条件・手続き・必要書類まとめ
65歳以上は失業保険の受給期間が変わる?高年齢求職者給付金との違い
65歳以上は「高年齢求職者給付金」が一括支給される
離職時の年齢が65歳以上の方は、雇用保険の「高年齢被保険者」となり、失業した際には「高年齢求職者給付金」が支給されます。
基本手当との大きな違いは、支給方法です。基本手当が4週間に1度、分割で支給されるのに対し、高年齢求職者給付金は原則として一括で支給されます。
給付日数は、雇用保険の加入期間に応じて以下のように決まっています。
- 被保険者期間1年未満:30日分
- 被保険者期間1年以上:50日分
この日数分の基本手当に相当する額が、一度にまとめて支払われるのが特徴です。
64歳11ヶ月で退職する方がお得になるケースとは
この制度の違いから、退職するタイミングによっては受給額に大きな差が出ることがあります。
例えば、64歳11ヶ月で自己都合退職し、雇用保険の加入期間が20年以上あった場合を考えてみましょう。
- 64歳で退職した場合:一般の離職者として扱われ、所定給付日数は150日となります。
- 65歳で退職した場合:高年齢被保険者となり、高年齢求職者給付金の支給日数は50日分です。
このケースでは、誕生日を迎える前に退職した方が、100日分も多く給付を受けられることになり、金銭的にはかなり有利になります。65歳を目前に退職を考えている方は、この点を考慮して退職日を検討するのも一つの方法です。
失業保険の受給期間があってももらえないケースとは?
失業保険は退職したすべての人がもらえるわけではありません。受給には「失業の状態」であることが前提であり、条件を満たさない場合は支給対象外となります。ここでは、よくある「受給できないケース」を整理します。「自分は対象になるのか?」と不安な方は、事前に確認しておきましょう。
すぐに働く意思や能力がない場合
失業保険は「働く意思と能力がある」のに仕事に就けない人を支援する制度です。 そのため、以下のような状態にある方は「失業の状態」とみなされず、受給できません。
- 病気やケガで、すぐに就職できない
- 妊娠・出産・育児のため、すぐに就職できない
- 定年退職後にしばらく休養しようと考えている
- 結婚などで家事に専念し、すぐに就職できない
- 学業に専念している
ただし、これらは「今すぐ働けない」というだけで、受給権そのものが消滅するわけではありません。病気や出産などで30日以上働けない場合は、前述の「受給期間の延長制度」を利用すれば、働ける状態になってから改めて受給を開始できます。該当する方は、早めにハローワークへ延長申請を行いましょう。
また、雇用保険の加入期間が所定未満の場合も受給できません。原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが条件です。ただし、会社都合(特定受給資格者)や正当な理由のある自己都合(特定理由離職者)の場合は、離職前1年間に6ヶ月以上あれば受給資格を得られます。
副業・個人事業主・傷病手当金との併給に関する注意点
受給資格はあっても、就業状況や他の給付金との関係で失業保険を受け取れないケースもあります。 主な3つのパターンを確認しましょう。
| ケース | 受給可否 | 詳細 |
|---|---|---|
| 副業を行っている | △ 条件付きで可能 | 週の所定労働時間が20時間未満かつ31日以上の雇用見込みがない場合は受給可能。ただし、これを超えると「就職した」とみなされる |
| 個人事業主・フリーランスに転身 | × 原則不可 | 開業届を提出した時点で「失業の状態」ではなくなり、受給対象外に。ただし、一定条件を満たせば再就職手当を受け取れる場合がある |
| 傷病手当金を受給中 | × 同時受給不可 | 傷病手当金は「働けない」ことが条件、失業保険は「働ける」ことが条件。定義が矛盾するため同時受給はできない |
特に注意が必要なのが個人事業主のケースです。退職後すぐに開業届を出してしまうと、失業保険の基本手当を一切受給できなくなる可能性があります。開業を予定している方は、ハローワークで受給資格決定を受けてから開業届を出すタイミングを検討するのがポイントです。条件次第では、再就職手当の対象となる場合もあるため、事前にハローワークに相談しましょう。
傷病手当金から失業保険への切り替え方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
傷病手当金と失業保険は両方もらえる?同時受給の可否と切り替え方法を解説
失業保険の受給期間・給付日数に関するよくある質問
ここでは、失業保険の受給期間に関して特に多く寄せられる質問にお答えします。
Q1. 失業保険は結局、何ヶ月もらえるの?
「何ヶ月」という表現は少し注意が必要です。「所定給付日数」で考えるのが正確です。例えば、所定給付日数が90日であれば、約3ヶ月分に相当します。150日であれば約5ヶ月分です。ただし、自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限があるため、実際にお金が振り込まれ始めるのは手続きから約3ヶ月後になります。
Q2. 自己都合で退職した場合、何ヶ月後から失業保険をもらえる?
ハローワークで手続きをした後、7日間の待機期間があり、その後に原則2ヶ月間の給付制限期間が続きます。そのため、最初の失業手当が振り込まれるのは、手続き開始から約2ヶ月と7日後以降となります。最初の認定日を経てからの振り込みとなるため、実際には約3ヶ月後と考えておくと資金計画が立てやすいでしょう。
Q3. 失業保険を一度もらうと、雇用保険の加入期間はリセットされますか?
はい、リセットされます。失業保険(基本手当)を受給すると、その受給資格の根拠となった被保険者期間はすべてクリアされます。次に再び失業保険を受給するためには、新たに受給資格(原則として離職前2年間に12ヶ月以上の加入)を満たす必要があります。
失業保険の再受給について詳しく知りたい方は、以下の記事で条件や注意点をまとめています。
失業保険は一度もらうと次はない?再受給の条件や年金への影響を解説
Q4. 手取り20万円の場合、失業手当の総額はいくらになりますか?
失業手当の額は、離職直前6ヶ月間の給与総額(税金や社会保険料が引かれる前の額)から計算されます。手取り額から直接計算することはできません。
仮に、月収(総支給額)が約25万円(手取り20万円と仮定)の場合は以下の通りです。
- 賃金日額の計算:25万円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 約8,333円
- 基本手当日額の計算:賃金日額に給付率(約50%~80%)を掛けます。この場合、約4,999円~6,666円の範囲になります(年齢により変動)。ここでは仮に5,000円とします。
- 受給総額の計算:基本手当日額 × 所定給付日数で計算します。
所定給付日数90日の場合:5,000円 × 90日 = 450,000円
所定給付日数150日の場合:5,000円 × 150日 = 750,000円
これはあくまで概算です。正確な金額はハローワークで発行される「雇用保険受給資格者証」で確認してください。
Q5. 失業手当の受給額を計算できるシミュレーションはありますか?
はい、いくつかのウェブサイトで失業保険の受給額を計算できるシミュレーターが公開されています。年齢、離職前の給与、離職理由などを入力することで、おおよその基本手当日額や受給総額を把握することができます。ただし、これらはあくまで目安であり、正確な金額を保証するものではありません。参考程度に利用し、最終的にはハローワークでの確認が必要です。
Q6.失業保険の受給期間中に引っ越した場合、手続きはどうなりますか?
引っ越し先を管轄するハローワークに「受給資格者住所変更届」を提出すれば、新しいハローワークで手続きを継続できます。受給期間や給付日数に影響はありませんが、届出が遅れると認定日に間に合わない可能性があるため、早めの手続きを心がけましょう。
Q7.失業保険の受給中に再就職が決まったら、残りの給付日数はどうなりますか?
再就職が決まると基本手当の支給は終了しますが、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就いた場合は「再就職手当」を受け取れる可能性があります。残日数が多いほど支給額も高くなるため、早期の再就職にもメリットがある仕組みです。
Q8.失業保険と傷病手当金を切り替えて受給することはできますか?
同時受給はできませんが、順番に受給することは可能です。たとえば、退職後に病気で働けない間は傷病手当金を受け取り、回復後に受給期間の延長制度を利用して失業保険に切り替えるという方法があります。切り替えのタイミングはハローワークに相談するのが確実です。
Q9.パートやアルバイトとして働いていた場合でも失業保険はもらえますか?
雇用保険に加入していれば、パートやアルバイトでも失業保険を受給できます。加入条件は「週20時間以上の勤務」かつ「31日以上の雇用見込み」の2つです。ご自身の加入状況がわからない場合は、給与明細で雇用保険料が引かれているか確認してみてください。
Q10.失業保険を受給すると、翌年の税金や社会保険料に影響はありますか?
失業保険の基本手当は非課税のため、所得税や住民税の課税対象にはなりません。確定申告での申告も不要です。ただし、国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、退職前の収入が高かった方は翌年の保険料負担が大きくなる場合があります。
まとめ:失業保険の受給期間を最大限活かして、安心して次の一歩を踏み出そう
失業保険の受給期間は原則1年間で、退職理由・年齢・加入期間によって給付日数は90日〜360日と大きく変わります。2025年4月の法改正で自己都合退職の給付制限が1ヶ月に短縮され、以前より早く手当を受け取れるようになりました。まずはご自身の所定給付日数を確認し、離職票が届いたら速やかにハローワークで手続きを進めることが大切です。
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