「家事や育児で忙しくてイライラする」
「仕事中のイライラが止まらない」
「生理前にイライラしてしまう」
「イライラして家族や同僚にあたってしまった」
このように、日常生活でついイライラしてしまう人もいるのではないでしょうか。
イライラはさまざまな悩みや人間関係のトラブルを引き起こしがちですが、無理に抑え込むとよけいにイライラしてしまう可能性もあります。それでは、イライラにはどのように対処するとよいのでしょうか。
この記事では、イライラする原因とその対処法、イライラしやすい人の特徴やイライラしている人との関わり方について解説します。心身ともに安定した状態で過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてください。
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イライラする4つの原因
イライラは、物事が自分のイメージどおりに進まない場合に起こるといわれます。言葉を変えると、「理想と現実のギャップ」がイライラを引き起こすといえるでしょう。
買いものにいったときを例にあげてみます。買いもの自体はスムーズに進められたものの、レジでは長時間待たされました。このとき、自分の理想は「早く帰る」ですが、現実は「待たされて帰れない」状態です。このようなときに人はイライラするといわれています。
ここで、特にイライラしやすくなる原因を4つご紹介します。
1.ストレス
人間関係や仕事、家事育児、家族問題などからくるストレスがあると、イライラする状況が生じやすくなります。小さなストレスでも、積み重なるとイライラにつながるでしょう。
イライラしている状態が当たり前だと思い、何も対処しないでいると、自律神経失調症やうつ病などを発症する可能性があるので、注意が必要です。
2:睡眠不足
2020年4月に発表されたアメリカ・イリノイ大学の研究結果から、「睡眠が足りない人は充分な睡眠をとれている人と比べて、怒りの感情が増えやすくなる」ということが分かりました。
参考文献:0276 Does Losing Sleep Unleash Anger? | SLEEP | Oxford Academic
睡眠不足そのものもストレスの要因といえますが、それだけではありません。睡眠不足は、ストレスからくる怒りを助長させるものであるともいえます。
3.精神疾患や自律神経失調症
以下のような精神疾患や脳の障害の症状としてイライラがあらわれていることもあります。
- 双極性障害の躁状態
- うつ病
- 統合失調症
- 自律神経失調症
- 高次機能障害
- 認知症
イライラの原因が疾患の影響といったケースもあるのです。
4.女性ホルモンの影響
女性の場合は、ホルモンバランスの変動により、自分の気持ちとは関係なくイライラすることが少なくありません。
女性ホルモンが関係する状況に該当するのは、主に以下のことがらです。
- 月経
- 妊娠、出産
- 更年期
上記のようなタイミングではホルモンバランスが大きく変動するため、イライラしやすい状況にあることを把握しておくとよいでしょう。
たとえば、生理前にイライラするという女性の場合は、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。50歳前後で閉経が近い、もしくは閉経したという女性の場合は、更年期障害によるイライラの可能性が高いでしょう。
イライラが身体に与える影響
イライラが続くと、家族関係や職場の人間関係など、人との関わりに良くない影響をもたらします。それだけではなく、体調不良につながってしまうこともあります。
イライラしているときは、自律神経のうち交感神経が優位になっています。
交感神経は身体を活動させるためのスイッチを入れるので、体の中では血圧が上がる、心臓の鼓動がはやくなるなどの変化が起きています。
イライラして交感神経が優位になりつづけていると、心身の休息が難しくなります。結果的に疲れてしまい体調を崩してしまうことがあるのです。
イライラしやすい人の特徴
イライラしやすい人の特徴としては、主に以下の4つがあげられます。
- まじめ
- せっかち
- 自分の感情を出すことが苦手
- 完璧主義(自分にも他人にも厳しい)
これらのいずれかに当てはまる場合、ほかの人と比べてイライラを感じやすいかもしれません。他人に対して、「こうであるべき」「こうでなければならない」といった自分の固定観念が強い人もイライラしやすいといえるでしょう。
逆に人には人の行動基準があることを知っている人はイライラしにくいといえます。
8つのイライラ解消法
イライラをため込んでしまうと、心身の不調を招きやすくなるうえ、家庭や職場内での人間関係にも支障をきたします。そのため早めのイライラ解消が大切です。
ここでは8つのイライラ解消法をご紹介します。
1.原因となるものから離れる
「イライラしている。気持ちを切り替えよう」と考えるだけでは、イライラを解消することは難しいでしょう。切り替えようと思えば思うほど、意識がイライラに集中してしまうためです。
まずは物理的にイライラさせるもの(ストレス因子)から離れましょう。ストレスになるものから離れて深呼吸するだけでも、イライラ解消につながります。
イライラしているときは、自律神経の中でも交感神経が優位になっている状態です。深呼吸はこの状態を改善して、自律神経を安定させる働きがあります。
2.親しい人に悩みを打ち明ける
心を許せる親しい人に、今の気持ちを話してみましょう。誰かに打ち明けることで気持ちが軽くなったという話も多く聞かれます。自分以外の人の意見を聞くことで考え方が変わり、新たなイライラ解消法が見つかる可能性もあるでしょう。
もし、親しい人とすぐに話せる状況にない、誰とも話したくないという場合は、イライラしていることを紙に書いてみるのがおすすめです。
書くことも気持ちを軽くする効果がありますし、自分で自分を客観視できて解決策を見つけられる可能性もあります。
3.適度な運動をする
ウォーキングや軽いジョギングなど、適度な運動はストレス解消になります。また、外に出て体を動かすことは、日光を浴びることにつながるのでおすすめです。日光を浴びることで、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。
セロトニンは精神を安定させる働きがあるため、イライラ解消にとても大切です。
4.よく噛んで食べる
ゆっくりとよく噛んで食べることも、イライラ解消につながります。よく噛むことで、脳内の精神安定をつかさどる部分の血流が増加するためです。
噛むことは、不安や焦り、イライラなどの精神的不安症状の軽減にもつながり、セロトニンを増やす効果もあります。よく噛んで食事をするほか、気分転換にガムを噛むのもおすすめです。
5.充分な睡眠をとる
睡眠不足や睡眠障害は、セロトニン分泌の低下などにより、イライラしたり攻撃性が高まったりする原因になります。イライラしているときは、いつもより睡眠時間を増やすことが望ましいでしょう。いつも6時間睡眠の人は、7時間睡眠にするイメージです。
寝ている途中で目が覚める場合は、寝る前のカフェインやアルコール、ブルーライトによる刺激(パソコンやスマートフォン)を控えましょう。
6.趣味や好きなことを楽しむ
自分の好きなことや、楽しいことをする時間をとることも大切です。「好きなことをしているときには、イライラを忘れられる」という人もいるのではないでしょうか。
また、楽しい時間を過ごしていると自然と笑顔になれます。笑うことはストレス解消にもなり、自律神経にもよい影響を与えます。楽しいと思えることは、本を読む、映画を見る、散歩をする、誰かと話すなど、人によってさまざまです。今の自分が無理なくできる方法で、自分を楽しませましょう。
7.食生活を整える
イライラを解消するためには、栄養バランスの取れた食事が大切です。
ビタミンB群やビタミンC、ビタミンD、ビタミンA、カルシウムやポリフェノールを多く含む食品をとることをおすすめします。主な食材の例は以下の通りです。
- 緑黄色野菜や果物
- 牛乳やチーズなどの乳製品
- マグロやイワシなどの青魚
- 卵
- 豚肉
- 緑茶
これらの食材が少ないと感じている人は、意識的に増やしてみてはいかがでしょうか。
8.マインドフルネスを意識する
マインドフルネスとは、感情や評価にとらわれずに、自分の意識を「今このとき」に集中することです。そのための方法として、瞑想や呼吸法があります。
早稲田大学の研究で、マインドフルネス呼吸法を実践することで、抑うつ状態やネガティブ思考の繰り返しが改善されたというデータが示されました。
時間が取れず、瞑想や呼吸法が行えない場合でも出来る方法はあります。
たとえば食事のときに、今食べているものの味や食感、香りをじっくり味わうこともマインドフルネスにつながるので、試してみてはいかがでしょうか。
イライラしている人がいるときの対応
自分の周囲にイライラしている人がいる場合、周りの雰囲気が悪くなったり、自分も一緒になってイライラしたりする可能性があります。周りにイライラしている人がいるときは、どのように対応するとよいのでしょうか。
まずは、イライラしている人の状況をよく見て、その人のイライラの原因を見つけましょう。
もし相手のイライラの原因が自分にある場合は、相手をイライラさせている言動について確認し、直していくことも必要です。しかし自分が行動を変えたとしても、イライラをぶつけられたり、理不尽に攻撃されたりする可能性もあります。その際は「理不尽な言動」を受け流すことをおすすめします。
自分の近くにイライラしている人がいる場合、相手の感情を変えることは基本的に難しいでしょう。相手から離れる、イライラの原因が自分にあった場合は謝罪するなど、自分に出来る行動をすることをおすすめします。
イライラする状態が続くときは精神科や心療内科を受診しよう
自分なりに対処してもイライラが続く場合は、何らかの疾患が隠れている可能性もあります。その場合は精神科や心療内科などの専門医を受診してみましょう。
あしたのクリニックでは、ストレスや人間関係の悩み、PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)、認知症など、イライラの原因になるお悩みにも対応しております。
参考サイト・文献
・九州芸術工科大学 人間工学教室|資料”いらいら”の構造
・公立学校共済組合|コツをつかめばこころスッキリ!イライラをコントロールしよう
・e-ヘルスネット(厚生労働省)|ストレスと食生活
・保健医療科学|青少年暴力に関連する食生活因子
・福島県学校生活健康課|児童生徒の食生活の現状と 学校における食育の推進
・ 神戸市認知症疾患医療センター|認知症ハンドブック
・一般社団法人日本心身医学会|一般のみなさまへ・女性の病気・イライラ
・e-ヘルスネット(厚生労働省)|セロトニン
・福島県教育庁南会津教育事務所 総務社会教育課|家庭教育応援企業NEWS
・早稲田大学(WASEDA RILAS JOURNALNo5)|マインドフルネス呼吸法が大学生の抑うつにもたらす効果に関する検討