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適応障害

適応障害チェック|症状やストレスの原因についても詳しく解説

精神科医 藤田朋大先生

当記事の監修医師
精神科医:藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医。新宿駅の心療内科・精神科「あしたのクリニック新宿院」で診療を担当

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適応障害について調べていると、「自分も当てはまっていそう……」と思う人もいるのではないでしょうか。適応障害は、明確なストレスがきっかけで身体・精神的な症状が現れるのが特徴です。

この記事では、自分が適応障害なのかを確認するためのチェックシートを用意しているので、ぜひ活用してみてください。また、どんな人になりやすいのか、どのような治療法があるのかを知っておくことで、適切な対処がしやすくなるでしょう。

適応障害について詳しく知りたいといった方は「適応障害とは?症状やなりやすい人、セルフチェック方法まで解説」の記事を参考にしてみてください。

チェックシートで適応障害かどうかを確認してみよう

自分が適応障害なのか心配な人は、まずは以下のチェックシートでどのくらい当てはまっているかを確認してみましょう。

上記の項目に当てはまる数が多いほど、適応障害の可能性が高くなります。ただし、このチェックシートでは正確に診断できるわけではありません。「適応障害かもしれない」と感じたら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

適応障害とは?

適応障害とはどのような疾患なのかについて、あらためて確認してみましょう。ここでは適応障害の概要や国内で発症している人の傾向について解説します。

環境の変化によるストレスから生じる精神疾患のこと

適応障害とは、生活のなかで起こる出来事や環境にうまく適応せず、心身に大きなストレスがかかることで生じる精神疾患です。適応障害を引き起こす原因には、明確なストレスがあるのが特徴です。

特に自身の生活に大きな変化があったり、重大なイベントなどが起きたりするときに発症しやすいといわれています。適応障害の症状は憂うつな気分や不眠など、人によってさまざまですが、場合によっては日常生活や社会生活に支障が出るほど悪化するケースもあります。

適応障害を発症しやすい状況とは

適応障害を引き起こすきっかけとなる状況には、おもに「職場や学校で起こるもの」と「日常生活で起こるもの」の2種類があります。それぞれの状況で大きなストレスになりやすいものは、以下の通りです。

【職場や学校で起こるもの】

  • 転校や転職、異動などによる環境の変化
  • 同じクラスの仲間や同僚、先輩、上司との人間関係
  • 大きな仕事を任せられたことでのプレッシャー
  • パワハラやセクハラ、モラハラ

【日常生活で起こるもの】

  • 家庭内のいざこざ
  • 育児や教育についての悩み
  • 引越しによる環境の変化
  • 失恋・離婚など
  • 突発的な病気や事故

このようなストレスが自分のなかで大きくなることで、適応障害の発症につながってしまいます。ただし、これらの条件に当てはまっているからといって、必ず適応障害を発症するわけではありません。

適応障害を抱える人は年々増加している

国内で適応障害を抱えている人は、年々増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、適応障害を発症して治療を受けている人は右肩上がりで増加しているとされています。平成20年では適応障害の患者さんが約4万人であるのに対して、平成29年では約10万人という結果でした。

国内で適応障害の患者さんが増えている背景としては、おもに職場関係によるストレスが原因だとされています。これは考え方や年齢の差によって、同僚や上司との人間関係に強いストレスがかかっている可能性があると考えられています。

適応障害の症状

適応障害の症状は、以下の3つの種類に分けられます。

  1. 精神症状
  2. 身体症状
  3. 普段とは違う行動

ここではそれぞれの症状について詳しく解説します。

1.精神症状

1つ目の精神症状では、以下のものがあげられます。

  • 不安感
  • 焦燥感
  • 憂うつ気分
  • イライラ
  • 判断力・思考力の低下
  • 意欲の低下

このように、精神症状では身体的な変化はないものの、心の不調によって生活に支障をきたす恐れがあります。精神症状が続くと、物事の変化にうまく対応したり判断したりができなくなることもあるでしょう。

2.身体症状

2つ目の身体症状で現れるものは、以下の通りです。

  • 不眠・過眠
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 疲労感
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • めまい
  • 手の震え

これらの症状が続くと、毎日おこなっている仕事を通常通りこなすのも難しくなる恐れがあります。また、身体症状は精神症状を助長させてしまうきっかけになる可能性があります。上記のような身体症状が続く場合には、適応障害をはじめとした精神疾患が原因の可能性もあるため注意しましょう。

3.普段とは違う行動

3つ目の普段とは違う行動では、以下のようなものが当てはまります。

  • 誰かと会うのを避ける
  • 電話に出られない
  • 学校・職場の遅刻や欠席(欠勤)の頻度の増加
  • 喧嘩
  • 夜尿症(おねしょ)や指しゃぶりなどの退行現象

このように、ストレスの影響によって普段の行動にも変化が起こるケースもあります。行動の変化は自身だけでなく、周囲の人間関係にも悪影響をおよぼす恐れがもあるでしょう。

適応障害の診断基準

「DMS-5」というアメリカの精神医学会で定められた基準によると、以下のA〜Eの条件を満たした者が適応障害と診断されます。

A.はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因のはじまりから3カ月以内に情緒面あるいは行動面の症状が出現。

B.これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある

ア)症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても、そのストレス因に不釣り合いな程度や強度を持つ著しい苦痛。

イ)社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の重大な障害

C.そのストレス関連障害は他の精神疾患の基準を満たしていないし、すでに存在している精神疾患の単なる悪化ではない。

D.その症状は正常の死別反応を示すものではない。

E.そのストレス因、またはその結果がひとたび集結すると、その症状がその後さらに6カ月以上持続することはない。

※出典:日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014

ストレス因がなくなるもしくは、軽減してから6カ月以内に改善していくことがほとんどです。一方で、ストレスが持続する場合は、症状も長期化します。症状の持続期間が6カ月未満である際には「急性」、6カ月以上続く場合には「持続性(慢性)」と診断されます。

適応障害はどんな人になりやすい?

同じストレスを抱えていても、その人の性格や気質によって適応障害の発症のしやすさは変わる場合があります。適応障害になりやすい人は、以下のような傾向があります。

  • 真面目で責任感が強い
  • うまく気持ちを切り替えられない
  • 不安や心配になることが多い
  • 完璧主義者
  • 周囲の視線をよく気にしてしまう
  • 挫折やトラブルの経験が少ない
  • 仕事の量がいつも多く、なかなか休めない
  • 職場の人間関係に悩んでいる
  • 今の仕事内容が自分にあっていないと考えている

上記の傾向に当てはまるからといって、適応障害になるわけではありません。ただし、これらの特徴がある人は、ストレスによって心身の不調をきたしやすい可能性があるため、注意や対策が必要でしょう。

適応障害の治療法

適応障害の人におこなわれる治療法としては、おもに以下の3つがあげられます。

  1. 休養と環境調整
  2. 薬物療法
  3. 認知行動療法(精神療法)

ここではそれぞれの治療法について詳しく解説します。

1.休養と環境調整

1つ目は、休養と原因となっているストレスから離れられるように、本人の周りの環境を調整する治療法です。適応障害は原因となるストレスから離れ、心や体を休めると改善しやすいといわれています。

たとえば、仕事が原因だとしたら、勤務形態や仕事内容などを変更してストレスを溜めないようにするのも1つの方法でしょう。場合によっては、思い切って休職や転職を検討するのも1つの手段です。特定の人がストレスの原因だとしたら、その人から遠ざかる、必要以上のコミュニケーションを取らないなどの対策をしましょう。

ストレスを少しでも軽減できるように、可能な範囲で身の回りの環境を整えておくことが大切です。適応障害の症状によって1人での対処が難しいときは、家族や仲の良い友人、主治医などと相談しながら進めていきましょう。 

2.薬物療法

2つ目の薬物療法は、薬の服用によって症状をコントロールし、心身のバランスを整えることを目的とした治療法です。適応障害を治すための根本的な治療ではなく、症状を抑えるための対症療法です。

気分の落ち込みや不安感、不眠などの身体・精神症状によって生活に悪影響が出ている場合におこなわれます。抑うつ状態が強い場合は「抗うつ薬」を、不安や緊張が続くときは「抗不安薬」を使用するなど、その人の症状にあわせた治療薬を検討します。

適応障害はストレスによって引き起こされるものなので、その根本的な原因の改善が重要といえるでしょう。そのため、薬物療法をおこないつつ、ストレスの軽減に向けて環境調整や精神療法を並行していく必要があります。

3.認知行動療法(精神療法)

3つ目は、出来事に対する受け止め方(認知)を変えて、ストレスの軽減を目指す認知行動療法です。認知行動療法は、精神的なアプローチによって症状の治療を目指す「精神療法」の1つで、おもに面談やワークによっておこなわれます。出来事をマイナスな面だけでとらえるとストレスを感じやすくなるので、プラスの面にも着目して、不安や気分の落ち込みを軽くします。

たとえば、仕事がうまくいかなかったときに「自分はダメだ」と考えるのではなく、「まだ工夫の余地がある」と前向きに受け止めれば、ストレスは軽減できるでしょう。このように、認知行動療法では今まで受けていたストレスの適切な対処につながります。

適応障害をチェックするにはクリニックの受診が大切

適応障害には精神や身体的などのさまざま症状だけでなく、行動にも変化が現れる場合があります。適応障害を改善するには、症状にあわせた治療をおこない、原因となるストレスを取り除くことが大切です。自分が適応障害がどうかを適切に判断するには、チェックシートや診断基準を確認するだけでなく、実際に医師に相談する必要があります。「もしかしたら適応障害かも?」と思ったら、まずはクリニックを受診してみてください。

参考サイト・文献
適応障害の診断と治療
e-ヘルスネット|厚生労働省
医学書院|標準精神医学 第5版
日本における「適応障害」患者数の増加
日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
国立精神・神経医療研究センター

藤田 朋大先生

当記事の監修医師
藤田 朋大先生

三重大学医学部医学科卒業後に南勢病院精神科に在職。緩和ケア研修会修了。認知症サポート医

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