何も楽しくない日が続き、毎日が無気力に感じられて不安や心配に思う方は多いのではないでしょうか。何も楽しくないと感じる理由には、日常に刺激がないだけでなく、ストレスや疲労も関わっている可能性があります。場合によっては、うつ病をはじめとした精神疾患を疑う必要もあるでしょう。
この記事では、何も楽しくないと感じる理由や対処法などについて紹介します。何が原因で楽しくないと感じるのかを知り、その解決策をとることで、充実した毎日を送れるようになるでしょう。
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何も楽しくないと感じる6つの理由
何も楽しくないと感じる理由としては、おもに以下の6つが考えられます。
- 同じような毎日を過ごしている
- 仕事が忙しくて疲れている
- ストレスが溜まっている
- 孤独を感じている
- 人の目を気にしすぎている
- 周りと比較してしまう
ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。
1.同じような毎日を過ごしている
1つ目は、毎日同じような生活を送っていることが挙げられます。変化のない日々を過ごしていると、日常に目新しさがなくなります。その状態では新しい刺激を得られず、何をしても「つまらない」「楽しくない」と感じてしまうでしょう。
同じことを繰り返しおこなう生活は、ポジティブに考えれば安定しているといえます。しかし、その安定がずっと続くことが悩みの一つとなることもあります。
2.仕事が忙しくて疲れている
2つ目は、仕事が忙しくて疲れているからです。仕事や日常生活が忙しい状態が続いて心身の疲れが溜まっていると、何かを楽しむ余裕がなくなってしまいます。せっかくの休日も疲れている状態だと思うように過ごせず、「一日中寝ていて何もできなかった……」などということもあるでしょう。
このように、疲れていると気持ちや体力に余裕がなくなるだけでなく、やりたいこともできなくなってしまうため、楽しいと感じにくくなるのです。
3.ストレスが溜まっている
3つ目は、ストレスが溜まっているからです。人間関係や仕事関係など、ストレスのきっかけとなる要因はさまざまです。ストレスが溜まっていると、楽しい気持ちよりも心配や不安などの感情が強くなってしまいます。そのため、いつもなら楽しいと思えることも、楽しいと感じなくなる恐れがあります。
身体を休めて疲れを解消しているのに何をしても楽しく感じない場合は、ストレスが溜まっているのかもしれません。
4.孤独を感じている
4つ目は、孤独を感じているからです。誰かと感情や考えを共有する機会が少なくなるなどして孤独を感じていると、物事を楽しめない状態になる可能性があります。孤独感が強い方は、孤独感が弱い方よりもストレスや不安を感じやすいという報告もあります。
特に、友人や家族などと離れた地域に引っ越して一人暮らしをしている状況では、孤独を感じやすいのではないでしょうか。孤独感が続けば、やがて一人で楽しかったことも楽しめなくなってしまいます。
5.人の目を気にし過ぎている
5つ目は、人の目を気にし過ぎていることが挙げられます。周囲にどう思われているのかを心配する方は、普段から人の目を気にしてしまいます。相手にあわせようとするあまり、ときには自分の気持ちとは違った行動をとる場合もあるでしょう。
このように他人を優先した行動をとり続けると、本来の自分を見失ってしまい、心から楽しいと感じられなくなります。
6.周りと比較してしまう
6つ目は、周りと比較してしまうことです。周りと比較して自分が恵まれているか、幸せかどうかという考え方は、人生をつまらなく感じる原因となります。周りの人よりも幸せではないと判断すると、何をしても劣等感を覚えてしまいます。その状態のままだと、本来であれば幸せだと感じる場面であっても、「何も楽しくない、つまらない」と感じてしまうでしょう。
何も楽しくないと感じやすい方の特徴
楽しさを感じられるかどうかは、個々の性格によっても左右されます。ここでは、楽しくないと感じやすい方の特徴について解説します。
ネガティブ思考の方
ネガティブ思考の方は、何をしても楽しくないと感じやすい傾向にあります。どのような出来事もマイナス面でとらえがちなため、楽しいという感情が生まれにくくなります。
ここで注意したいのが、ネガティブ思考を持つこと自体が悪いわけではないという点です。マイナス面に思考が向くということには、慎重さや危機感を持ち、自分自身の行動・感情をセーブできるという側面があります。望まない状況を回避したり事前に心構えをしたりするためには、ネガティブ思考を持つことも重要といえます。しかし、ネガティブ思考があまりにも強過ぎると、楽しいと感じる余裕がなくなってしまうので注意が必要です。
気持ちの切り替えが苦手な方
気持ちの切り替えが苦手な方も、楽しいと感じにくくなります。気持ちの切り替えがうまくできないと、嫌なことがあったときの感情をいつまでも引きずってしまいます。ネガティブな感情を抱え続けることでストレスが溜まりやすくなり、楽しさや幸せを感じにくくなるのです。負のループに陥りやすく、さらに憂うつな気分となってしまうこともあるでしょう。
何も楽しくないと感じたときの6つの対処法
何も楽しくないと感じたときは、以下の6つの対処法がおすすめです。
- 新しいことにチャレンジする
- 運動で身体を動かす
- 夢中になれる趣味を見つける
- 家族や友人に相談してみる
- 今の環境を変えてみる
- 心身を休める時間を確保する
ここではそれぞれの対処法について詳しく解説します。
1.新しいことにチャレンジする
1つ目は、新しいことにチャレンジすることです。新しいことにチャレンジすれば日常に変化が生まれ、楽しさを感じるきっかけとなります。チャレンジ内容は勉強や習い事など何でも構いません。自分が興味のあるものに限らず人から勧められたものも候補にして、まずは始めてみましょう。
新しいスキルを獲得することで仕事のキャリアアップを図れたり、人や新たな価値観との出会いにつながったりします。変化のない毎日を送っていると感じているならば、思い切って一歩踏み出してみましょう。
2.運動で身体を動かす
2つ目は、運動で身体を動かすことです。運動をすると、「セロトニン」という脳内のホルモンの分泌が増加します。「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、気分を安定化させて心のバランスを整える働きがあるとされています。運動で身体を動かせば、セロトニンの働きによって、楽しくない状態が解消される可能性があるでしょう。
光を浴びることでもセロトニンは分泌されるといわれているため、日中の散歩やジョギングなどがおすすめです。普段から運動不足の方は、身体を動かす習慣を作ってみましょう。
3.夢中になれる趣味を見つける
3つ目は、夢中になれる趣味を見つけることです。自分にとって楽しいと感じられる趣味を見つけられれば、充実した毎日を送れるようになるでしょう。インドア派であれば読書や映画鑑賞、アウトドア派ならスポーツやドライブなどがおすすめです。
手間のかかる趣味は面倒だと感じる場合は、気軽にできるものを探してみましょう。お金をかけずにできる趣味もたくさんあるので、自分にあったものを選んでみてください。
4.家族や友人に相談してみる
4つ目は、家族や友人に相談してみることです。気心の知れた相手に今の悩みや状況について相談することで、新しい発見・解決策が見つかる可能性があります。人と話すだけでも気持ちが楽になり、溜め込んでいたストレスの解消にもつながるでしょう。
気軽に話せるような相手が周囲にいない場合は、カウンセリングを受けるのもおすすめです。最近親しい人と話すことが少なくなったと感じたときは、ぜひ誰かに相談する機会を作ってみましょう。
5.今の環境を変えてみる
5つ目は、今の環境を変えてみることです。現状に問題はないのに楽しい気分になれない、あるいは解決できない悩みに気が塞いでいる場合は、思い切って環境を変えてみるのも一つの手段です。環境が変わることで新しい刺激が増えて、普段の生活が楽しく感じられるかもしれません。
仕事にやりがいがないのであれば転職する、実家暮らしであれば一人暮らしをするなど、環境を変える方法はさまざまです。部屋の模様替えや通勤・通学ルートの変更のようなちょっとしたことでもよいので、日常に変化をつけてみましょう。
6.心身を休める時間を確保する
6つ目は、心身を休める時間を確保することです。疲労やストレスが溜まっている状態だと、何かしらの行動をする余裕もなくなります。ストレスが解消されずに積み重なると、心身に不調をきたし、うつ病などにつながる恐れもあります。
楽しく感じられない原因が疲労やストレスにある場合は、まずは心身を休めることを優先しましょう。心身の調子がよくなれば、意欲や充実感が自然に戻ってくる可能性があります。日程を調整できる場合は、まとまった休日を設けて休養にあてるのもおすすめです。
何も楽しくないときはうつ病のサインかも?
先述した対処法を試しても改善されない場合は、うつ病の可能性があります。ここではうつ病とはどのような状態なのか、どのような治療をすればよいのかについて解説します。
うつ病とは?
うつ病とは、さまざまな身体・精神症状によって日常生活に支障が出ている状態のことです。うつ病になると表れる症状は、以下のようなものがあります。
【身体症状】
- 不眠(あるいは過眠)
- 食欲不振(あるいは食欲増強)
- 倦怠感
【精神症状】
- 気分の落ち込み
- 興味や喜びの喪失
- 判断力・注意力の散漫
うつ病の発症原因は明確には判断できず、さまざまな出来事が要因であると考えられています。身体的・精神的なストレスの積み重ねによるものだけでなく、結婚や就職・転職、妊娠などがきっかけで発症するケースもあります。
うつ病についてさらに詳しく知りたい方は、「うつ病の主な症状や分類、回復過程について解説|早期治療がポイント」の記事もチェックしてみてください。
うつ病の診断基準
うつ病の診断基準についてみていきましょう。下記症状の中で、定常的に当てはまる項目がある場合には、精神科や心療内科での受診をおすすめします。
うつ病と診断されたときの治療法
医療機関で受診してうつ病と診断された場合、以下のような治療法で症状の改善を目指します。
- 休養
- 薬物療法
- 精神療法(心理療法)
うつ病を治療するためには、まずは休養に専念することが大切です。仕事によってストレスがかかっている場合は休職を検討して、ゆっくり心身を休められるような環境を整えましょう。
加えて、薬を服用して症状の軽減を図ります。精神療法では、自身の考え方や行動パターンの見直しをして、うつ病の再発や症状悪化を防ぎます。
うつ病は治療すればすぐに改善するわけではありません。例に挙げたような治療法を継続しておこないながら、少しずつ改善を目指していくことがうつ病を治すうえで重要です。
何も楽しくないと感じたときは早期の対処を
何も楽しくないと感じる場合には、疲労やストレス、孤独感などが理由となっている可能性があります。何が影響しているのかを考え早期から対処することで、再び日常に楽しさや喜びが戻ってくるようになるでしょう。
また、何かしらの対処をしても改善がみられない場合は、うつ病を疑う必要もあります。身体的・精神的な症状が表れているようなら、一度精神科や心療内科のある医療機関で受診してみてください。
参考サイト・文献
・「孤独に関する医学的研究と人間の孤独性」杉岡 良彦|J-STAGE
・幸せホルモン「セロトニン」|東邦大学
・うつ病|こころの情報サイト – 国立精神・神経医療研究センター
・3 うつ病の治療と予後|こころの耳 – 厚生労働省