職場でのストレスが積み重なると、「仕事に行けない……」「仕事に行くのがつらい……」と感じることがあるのではないでしょうか。仕事に行けないときは、その理由を明確化したうえで、どのような対処をすればよいのかを考えることが大切です。また、何をしても仕事に行けないほどつらい状況の場合、うつ病をはじめとした心身の不調を疑う必要もあります。
この記事では仕事に行けないと感じる理由やその対処法についてご紹介します。仕事に行けないと感じたときにどうすればよいのかを知ることで、つらい気持ちの軽減につながるでしょう。
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仕事に行けないと感じる理由
仕事に行けないと感じるきっかけには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは仕事に行けないと感じる理由についてみていきましょう。
人間関係に悩んでいる
仕事に行けない、あるいは行きたくないと感じる理由としてよく挙げられるのが、人間関係の悩みです。プライベートでの人間関係とは異なり、職場では一緒に仕事をする方は選べないので、ストレスが溜まりやすい傾向にあります。
人間関係で悩んでいる具体的な例は、以下の通りです。
- 上司や先輩によく怒られる
- 職場の方とうまく馴染めない
- セクハラやパワハラなどを受けている
このような対人関係の悩みが続くと、仕事に行くたびに苦痛を感じてしまうのではないでしょうか。
仕事内容に悩んでいる
自分に適していない仕事内容が続くと、職場に行くことがつらくなります。「バックオフィスでの仕事を希望していたのに、営業部署に配属された」「単調な仕事がずっと続いている」などが主な例です。
自分の望んだ仕事内容ではないとやりがいが持てなくなり、楽しさよりもストレスを感じることが多くなります。自分のスキルにあっていない仕事だとミスする可能性も高くなるので、プレッシャーで心身の疲労も溜まりやすくなってしまいます。
労働時間や通勤時間が長い
労働時間や通勤時間が長いのも、仕事に対してのストレスが溜まる原因です。残業が多い、通勤時間が長い職場で働くと、体力だけでなく自分が自由に使える時間も奪われてしまいます。
そのような状況が長期間続いた場合、やがて心身も限界を迎えて、うつ病をはじめとした精神疾患につながる恐れもあります。また、通勤中の渋滞や満員電車も、余計に心身を消耗させるきっかけの1つです。
仕事に行けないのは「甘え」なの?
仕事に行けなくなったときに、「これは甘えなのではないか……?」と感じる方もいるのではないでしょうか。どのような理由なのかにもよりますが、仕事に行けずに悩んでいる以上、それは甘えとは言い切れません。甘えの判断基準は人によって異なるので、「仕事に行けない=甘え」と決めつけないように注意しましょう。
反対に、「これは甘えだから」といって気持ちを押し殺しながら仕事を続けると、心身の不調につながる恐れもあります。自分を責めるのではなく、まずは心身を労わりつつ、仕事に行けない原因をしっかりと探ることが大切です。
仕事に行けないときの5つの対処法
仕事に行けないときにおこないたい対処法は、以下の5つです。
- 仕事に行けない理由を明確化してみる
- 上司や同僚に相談してみる
- 勤務時間や仕事内容を変更する
- 無理せずに休む
- 不調が続く場合は医療機関を受診してみる
ここではそれぞれの対処法について詳しく解説します。
1.仕事に行けない理由を明確化してみる
1つ目は、仕事に行けない理由を明確化することです。仕事に行けない原因を明確化せずに漠然と過ごすと、いつまでもその状態を引きずってしまう恐れがあります。仕事に行けない原因が明確になれば、今後どのような対策をすべきかが見えてくるようになるでしょう。
自分の気持ちを整理するのが難しい場合は、今考えていることをノートに書き起こして可視化する方法がおすすめです。もし仕事に行けない原因が自分や周囲の力では解決できないものであれば、転職して職場を変えるのも1つの手段です。
2.上司や同僚に相談してみる
2つ目は、上司や同僚に相談してみることです。仕事に行けない悩みを1人で抱え込むのではなく、上司や同僚に相談してみましょう。客観的なアドバイスをもらうことで、新しい発見や解決策が見つかる可能性があります。悩みを言語化してアウトプットすれば、自分の気持ちが整理され、気が楽になることもあります。
相談相手が上司であれば、仕事に関して配慮してくれる場合もあるでしょう。「自分の状況を知られたくない……」と恐れずに、一度身近な方に相談してみてください。
3.勤務時間や仕事内容を変更する
3つ目は、勤務時間や仕事内容を変更することです。同じ職場だとしても、仕事環境が変われば行きたくない気持ちが軽減する可能性があります。フルタイムでの仕事がつらいと感じている場合は、時差出勤や時短勤務に切り替えるのも1つの方法です。
今の仕事が自分に適していない、または同じ部署に苦手な方がいる場合は、配置転換や異動を相談してみることもおすすめです。仕事環境を調整できるかどうかは職場によっても異なるので、上司に相談してどの範囲まで対応してくれるのかを確認しましょう。
4.無理せずに休む
4つ目は、無理せずに休むことです。先に紹介した「1〜3」の対策をしても仕事がつらいと感じる場合は、心身を休められる時間の確保も重要です。休日を設けて心身を休めることで、仕事に行く気力が自然に戻ってくるケースもあります。
有給休暇がある場合は、それを利用してしばらくの間休むのもおすすめです。ゆっくり心身を休めることはもちろん、趣味や外出など、自分がしたいと思うことをしてみましょう。ある程度の休日を設けておけば、今後についてゆっくり考える時間も作れます。
5.不調が続く場合は医療機関を受診してみる
5つ目は、医療機関を受診してみることです。仕事がつらくならないようにしたり、休日を作ったりなどの対処をしても心身の不調が続く場合、「適応障害」や「うつ病」などの精神疾患の可能性が考えられます。その場合は、なるべく早めに精神科や心療内科などの医療機関を受診しましょう。精神疾患を発症している状態で仕事を続けるのは大きな負担となりやすいので、休職して治療に専念することも検討してみてください。
仕事に行けないときに避けるべき行動は?
仕事に行けないと感じているとき、注意すべき行動がありますここでは仕事に行けないときに避けたい行動を解説します。
我慢しながら出勤する
仕事に行けないと感じているときは、我慢しながら出勤しないように気をつけましょう。つらいのを我慢しながら出勤すると、積み重なったストレスによって心身に不調をきたす恐れがあります。「自分はまだ大丈夫」と思っている方でも、自覚していない間にストレスが溜まっていることもあるため注意しましょう。
特に責任感が強い方は、「つらいのは甘え」「仕事に行かないと迷惑がかかる」などと考え、つい我慢しがちなので要注意です。我慢しながら出勤している方は、先ほど解説したように上司に相談する、無理せず休むなどの対策を検討しましょう。
無断で仕事を休む
つらくて仕事に行けないからといって、無断で休まないようにしましょう。職場に連絡しないで休むと、仕事に支障が出たり、ほかのスタッフに迷惑がかかったりしてしまいます。また、無断欠勤するとその後の職場の方との関係性が悪くなり、余計に仕事に行きにくくなる原因となります。
職場にとって大きなデメリットとなるのは、休まれる点ではなく事前連絡がない点です。仕事を休む際は必ず職場に連絡し、理由を説明したうえで、その日に必要な対応などを伝えるようにしましょう。
その場の感情で仕事をやめる
仕事に行けないと感じたときに、「もうやめたい……」と思う方もいるでしょう。しかし、その場の感情で仕事をすぐにやめてしまうのはおすすめできません。その場の感情で仕事をやめると、気持ちが落ち着いたときに後悔する可能性があるためです。
さらに、転職先を探さずにやめると経済的に不安定になりやすく、余計にストレスが溜まってしまうでしょう。職探しに焦って本来の希望とは異なる職に就くと、また仕事をやめたいという気持ちになる恐れもあります。
仕事に行けないと感じてもすぐにやめようとはせず、休む時間を確保した後にゆっくり考えることが大切です。
仕事に行けない場合はうつ病のサインかも?
心身の不調によって仕事に行けない場合、うつ病のサインかもしれません。ここではうつ病について、どのような状態なのか、発症時にどのようなサインがあるのかをご紹介します。
うつ病の症状や原因
うつ病は身体的・精神的な症状によって日常生活や社会生活に支障が出ている状態のことです。
うつ病によって引き起こされる症状は以下の通りです。
【身体症状】
- 食欲不振・過食
- 体重の減少・増加
- 下痢・便秘
- 不眠・過眠
- 倦怠感
- 動悸
- めまい
- 口の渇き
【精神症状】
- 気分の落ち込み
- 興味や喜びの喪失
- 気力の低下
- 思考力・集中力の低下
- 無価値観・罪悪感
- 自殺企図
うつ病を発症する明確な原因はわかっていませんが、身体的・精神的ストレスがきっかけであると考えられています。そのほかにもつらい体験や出来事、「就職・結婚・出産」などの大きなライフイベントも要因とされています。
うつ病についてさらに詳しく知りたい方は、「うつ病の主な症状や分類、回復過程について解説|早期治療がポイント」もチェックしてみてください。
うつ病のサイン
うつ病を早期発見・対処するためには、発症のサインに気づくことが大切です。うつ病は重症度によっては症状を自覚しにくいケースもありますが、「食事」と「睡眠」は気づきやすいサインといえます。普段よりも食欲がない、寝つきが悪いなどの症状が続いていないかよく確認してみましょう。
また自分自身だけでなく、周囲からみたときにわかるようなサインもあります。家族や職場の同僚に、普段よりも表情が暗くないか、反応が悪くないかなどの変化を聞いてみるのもおすすめです。「うつ病かもしれない……」と思ったら、精神科や心療内科などの医療機関を受診してみましょう。
うつ病と診断されたら治療に専念しよう
うつ病と診断された場合は、治療に専念することが大切です。
うつ病の方におこなわれる治療法は以下の通りです。
- 休養
- 薬物療法
- 精神療法(心理療法)
うつ病の治療では、まずは心身の休養に専念できるような環境作りが大切です。必要に応じて休職や入院をして、ストレスから離れられるような環境で心身をしっかりと休めましょう。
加えて、薬を服用して症状の軽減を図ります。即効性はなく、副作用が起こる可能性もあるため、必ず医師の指示に従って服用しましょう。
精神療法とは、対話やワークなどの心理的な手段を通して症状の軽減を目指す治療法です。特にうつ病では、物事のとらえ方を見直して、症状の改善を目指す「認知行動療法」と呼ばれる精神療法を用いることがあります。
うつ病以外に考えられる状態について
うつ病だけでなく、ほかの原因がきっかけで仕事に行けないこともあります。ここでは、うつ病以外で考えられる心身の不調について解説します。
適応障害
適応障害とは、日常生活での出来事や環境にうまく対処できず、心身の症状が表れている状態のことです。適応障害では不安感や不眠、判断力の低下など、うつ病と類似した身体的・精神的な症状が表れます。
適応障害はうつ病と症状が似ている部分が多いですが、明確な違いもあります。適応障害は明確なストレスがきっかけで発症するとされており、その原因が解消されると改善しやすいのが特徴です。一方で、うつ病は明確な原因があるとは限らず、ストレスのない環境を整えても症状が続くケースもあります。
適応障害について詳しく知りたい方は、「適応障害とは?症状やなりやすい人、セルフチェック方法まで解説」の記事も参考にしてみましょう。
不安障害
不安障害とは、不安や心配などの症状が過度となり、日常生活にさまざまな支障が出ている状態のことです。不安障害は複数の種類に分かれており、それぞれ症状が異なります。
不安障害の主な種類と特徴は以下の表の通りです。
パニック障害 | 前触れもなく急に強い不安や動悸、呼吸困難などの症状(パニック発作)が表れる状態のこと |
社会不安障害 | 人前で注目されることや恥ずかしい思いをすることに恐怖を覚え、人が多い場所に強い苦痛を感じる状態 |
強迫性障害 | 無駄だと自覚していても、特定の行為を繰り返してやめられない状態のこと |
全般性不安障害 | 仕事や家族など、特定の物事に限らずさまざまなことが気になり、必要以上の不安や心配が長期間続く状態のこと |
このように症状や特徴こそ違うものの、いずれも発症によって仕事に行くのがつらく感じてしまう可能性があります。
不安障害についてさらに知りたい方は、「あなたの症状は不安障害?具体的な原因や治療法、うつ病との違いを紹介」もチェックしてみてください。
仕事に行けないときは心身を休めることも必要
仕事に行けない理由は人間関係や業務内容など、その方の環境によってさまざまな要因が挙げられます。仕事に行けないときは、その理由を明確化しつつ、周囲へ相談したり環境を変えたりするのも1つの方法です。「まだ大丈夫」と我慢せず、つらいときは休養し、心身を休めることも大切です。
また、心身の不調を長期間感じている場合は、うつ病の可能性もあります。普段よりも調子が悪い日が続いている方は、一度精神科や心療内科などのある医療機関に受診してみましょう。
参考サイト・文献
・こころの耳| 厚生労働省 – 1 うつ病とは
・こころの耳| 厚生労働省 – 2 うつ病の主な症状と原因
・こころの耳| 厚生労働省 – 3 うつ病の治療と予後
・こころの情報サイト|うつ病
・日本精神神経学会日本語版用語監修、髙橋三郎ほか監訳:DSMー5精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院、2014
・認知行動療法 – e-ヘルスネット| 厚生労働省
・厚生労働省|不安障害 こころの病気について知る