NIPTおすすめクリニック10選|選び方と検査内容を徹底解説

近年、妊娠中の赤ちゃんが持つ可能性のある染色体異常について、より早く、より正確に知りたいと願うご夫婦が増えています。そうした中で、注目を集めているのが「NIPT(新型出生前診断)」です。NIPTは、従来の検査と比べて胎児へのリスクが非常に低いにもかかわらず、高い精度で特定の染色体異常のリスクを評価できる画期的な検査として、広く認知されつつあります。

しかし、「NIPT」と一言でいっても、その検査項目、費用、受けられる週数、さらには「認可施設」と「認可外施設」の違いなど、知っておくべきことは多岐にわたります。どのクリニックを選べばいいのか、費用はどのくらいかかるのか、検査で何がわかるのか、陽性だった場合はどうすればいいのか―― NIPTを検討する上で、様々な疑問や不安を抱える方も少なくありません。

本記事では、NIPTに関するこれらの疑問を解消し、安心して検査を受けられるよう、その基本から、東京を中心に人気のおすすめクリニックの比較、そして検査を受ける際の注意点まで、徹底的に解説します。あなたに最適なNIPT選びの参考として、ぜひ最後までお読みください。

NIPT(新型出生前診断)とは?検査の基本を理解しよう

NIPT(Non-invasive Prenatal Testing:非侵襲的出生前遺伝学的検査)は、妊娠中にママの血液を少量採取するだけで、お腹の赤ちゃんの特定の染色体異常のリスクを調べることができる画期的な検査です。この「非侵襲的」という言葉が示す通り、羊水検査や絨毛検査のように針を刺す必要がないため、流産や感染症といった胎児への直接的なリスクがほとんどない点が最大の特徴です。

NIPTは、ママの血液中にごく少量存在する胎児由来のDNA断片(cfDNA:cell-free DNA)を分析することで、赤ちゃんの染色体異常の可能性を評価します。主に、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パタウ症候群)といった主要な染色体異常のリスクを高い精度で検出します。

従来の出生前診断と比較すると、以下のような特徴があります。

NIPTと従来の出生前診断(羊水検査・絨毛検査)の比較

検査項目 NIPT(新型出生前診断) 羊水検査・絨毛検査(確定診断)
検査方法 妊婦の血液採取(非侵襲的) 羊水または絨毛の採取(侵襲的)
検査時期 妊娠10週以降 羊水検査:妊娠15~18週頃
絨毛検査:妊娠11~14週頃
胎児へのリスク ほとんどない 流産・感染症のリスクが数%存在する
検査目的 染色体異常の「リスク評価」(スクリーニング検査) 染色体異常の「確定診断」
精度 高い(感度・特異度99%以上) ほぼ100%
結果までの期間 1~2週間程度 2~4週間程度

NIPTは、リスク評価のためのスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性という結果が出た場合でも、必ずしも赤ちゃんが染色体異常を持っているわけではなく、確定診断のための羊水検査や絨毛検査が必要となります。しかし、その高い精度から、侵襲的な確定診断の前にリスクの有無を把握する非常に有効な手段として、広く利用されています。

NIPTの検査項目と対象疾患

NIPTで検出できる染色体異常は多岐にわたりますが、すべての染色体異常を検出できるわけではありません。一般的に、主要な3つの常染色体トリソミーを対象とすることが多いですが、クリニックによっては性染色体異数性や微小欠失・重複症候群まで検査できる場合があります。

主要な検査項目(ダウン症候群など)

NIPTの最も基本的な検査項目は、以下の3つの常染色体トリソミーです。これらは、染色体が通常2本であるところ、3本存在することで引き起こされる疾患群です。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
    21番染色体が3本あることで起こります。身体的特徴(低身長、特有の顔立ちなど)や知的発達の遅れが見られます。心臓疾患を合併することもあります。NIPTの主要な検査対象であり、最も検出率が高い疾患の一つです。
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
    18番染色体が3本あることで起こります。重度の知的発達の遅れや、心臓、腎臓、消化器など複数の臓器に重い先天性異常を伴うことが多く、予後は非常に厳しいとされています。
  • 13トリソミー(パタウ症候群)
    13番染色体が3本あることで起こります。重度の知的発達の遅れや、脳、心臓、消化器、眼などに重い先天性異常を伴い、予後が非常に厳しい疾患です。

これらの3つのトリソミーは、出生前診断の対象となる染色体異常の中で比較的頻度が高く、NIPTの高い精度によって検出が期待できるため、多くのクリニックで基本項目として設定されています。

その他の染色体異常

クリニックによっては、上記の3大トリソミーに加えて、より広範な染色体異常を検査できるプランを提供している場合があります。

  • 性染色体異数性
    性染色体の本数が通常と異なることで引き起こされる疾患群です。
    • ターナー症候群(XO型):女性の場合に性染色体がX1本であるために起こる疾患。低身長、卵巣機能不全などが特徴です。
    • クラインフェルター症候群(XXY型):男性の場合に性染色体がXXYであるために起こる疾患。高身長、不妊などが特徴です。
    • トリプルX症候群(XXX型):女性の場合に性染色体がXXXであるために起こる疾患。ほとんど症状がないことも多いですが、軽度の発達遅延が見られることもあります。
    • XYY症候群(XYY型):男性の場合に性染色体がXYYであるために起こる疾患。特に目立った症状がないことも多いですが、高身長や軽度の発達遅延が見られることもあります。

    これらの性染色体異数性は、3大トリソミーほど重篤ではないことが多いですが、将来的な健康や発達に影響を及ぼす可能性があります。

  • 微小欠失・重複症候群
    染色体の一部が非常に小さく欠けたり(欠失)、重複したり(重複)することで引き起こされる症候群です。通常の染色体検査では見つけにくい微細な変化が原因となるため、より高度な解析技術が必要です。
    例としては、以下のものが挙げられます。
    • 22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群):心臓疾患、口蓋裂、免疫不全、発達遅延など様々な症状を伴います。
    • プラダーウィリー症候群(15番染色体微小欠失):筋緊張低下、過食、発達遅延などが特徴です。
    • アンジェルマン症候群(15番染色体微小欠失):重度の知的障害、てんかん、発達遅延などが特徴です。

    微小欠失・重複症候群の検査は、一部のクリニックで実施されており、より詳細な情報提供を求める場合に選択肢となりますが、費用は高くなる傾向があります。また、検出できる症候群の種類もクリニックによって異なります。

NIPTの検査項目を選ぶ際は、ご自身が何をどこまで知りたいのか、また、検査結果が出た場合にどのように向き合いたいのかを夫婦でよく話し合うことが重要です。

NIPTの費用相場とプラン比較

NIPTの費用は、クリニックや選択する検査項目、さらには認可施設か認可外施設かによって大きく異なります。一般的に10万円~20万円程度が相場とされていますが、追加検査やカウンセリング費用によってはさらに高額になることもあります。

認可施設と認可外施設での費用差

NIPTを提供する施設は、「認可施設」と「認可外施設」に大別され、それぞれ費用体系や検査内容に違いがあります。

  • 認可施設(基幹施設・連携施設)
    日本産科婦人科学会が定める施設基準を満たし、遺伝専門医によるカウンセリング体制などが整備されています。
    基本的には、検査対象が3大トリソミー(21, 18, 13トリソミー)に限定され、年齢制限(例:35歳以上など)や、医師の紹介状が必要となるケースが多いです。
    費用は一般的に高額で、15万円~20万円以上が目安となることが多いです。これは、専門性の高い医師やカウンセラーによる手厚いサポート体制が整っているためと考えられます。
  • 認可外施設(無認可施設・非認定施設)
    学会の施設基準に縛られず、独自の体制でNIPTを提供しているクリニックです。
    年齢制限がなく、紹介状も不要な場合が多く、オンライン診療に対応している施設も増えています。
    検査項目も、3大トリソミーだけでなく、性染色体異数性や微小欠失・重複症候群まで幅広く提供しているのが特徴です。
    費用は認可施設よりもリーズナブルな傾向があり、10万円~15万円程度で基本検査を受けられることが多いです。ただし、追加検査を選択すると費用は上がります。
    費用が抑えられている一方で、遺伝カウンセリングの質や、万が一陽性だった場合の連携体制などに差がある可能性があるため、クリニック選びは慎重に行う必要があります。

各クリニックの料金プラン比較

具体的な料金はクリニックによって様々ですが、ここでは一般的なプランと料金の例を提示します。最終的な費用は、選択するプランやオプションによって変動するため、必ず各クリニックの公式情報を確認してください。

NIPTクリニックの料金プラン例

クリニック名(例) 基本プラン(3大トリソミー) 全染色体検査 微小欠失検査(オプション) カウンセリング費用 特徴・その他費用
Aクリニック 120,000円 180,000円 +30,000円 無料 オンライン対応、遺伝専門医
Bクリニック 100,000円 160,000円 +40,000円 5,000円 来院必須、結果報告が早い
Cクリニック 90,000円 150,000円 +50,000円 無料 返金保証制度あり、結果後のサポート充実
Dクリニック 130,000円 200,000円 +60,000円 10,000円 医師による説明が丁寧、複数拠点あり

上記はあくまで例示であり、実際の料金は各クリニックの公式サイトでご確認ください。
「カウンセリング費用」は、初診時だけでなく、結果説明時や陽性判定時の遺伝カウンセリングが含まれるかどうかも確認が必要です。
再検査費用、確定診断費用の補助制度、土日祝日料金など、総額に影響する費用も事前に確認しましょう。

費用だけでクリニックを選ぶのではなく、検査の精度、カウンセリング体制、結果報告までの期間、アフターフォローの充実度など、総合的に比較検討することが大切です。

NIPTにおすすめのクリニックを比較

NIPTは、専門性の高い検査であり、その結果はご夫婦の将来に大きな影響を与えます。そのため、信頼できるクリニック選びが非常に重要です。ここでは、東京エリアを中心に、NIPTにおすすめのクリニックをいくつかご紹介し、それぞれの特徴を比較します。

クリニック選びのポイントとしては、以下の点が挙げられます。

  • 遺伝専門医の有無とカウンセリング体制: 検査前後の遺伝カウンセリングは非常に重要です。専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍しているか確認しましょう。
  • 検査項目と精度: どの範囲の染色体異常を検査できるのか、その精度はどうか。
  • 費用: 基本料金だけでなく、オプションや追加費用を含めた総額を比較。
  • 検査実施週数: 何週から検査可能か、検査可能な期間はいつまでか。
  • 結果報告までの期間: 迅速な結果を希望する場合は重要なポイントです。
  • アフターフォロー: 陽性判定時の確定診断への連携や精神的サポート体制。
  • アクセスと利便性: 来院のしやすさ、オンライン診療の有無、土日祝日の対応。
  • プライバシーへの配慮: 匿名性や予約の取りやすさなど。

これらのポイントを踏まえて、各クリニックを見ていきましょう。

東京エリアで人気のおすすめNIPTクリニック

ミネルバクリニック

項目 詳細
特徴 遺伝子専門医によるオンライン診療専門。全染色体・微小欠失対応。 国内解析で安心。
検査項目 3大トリソミー、全染色体異数性、性染色体異数性、微小欠失症候群など幅広い検査に対応。
費用相場 10万円台後半〜20万円台後半(プランによる)
実施週数 妊娠10週0日~
結果報告 最短3〜5営業日(プランによる)
カウンセリング 遺伝子専門医によるオンライン遺伝カウンセリング(無料)
所在地 オンライン診療が主(東京・銀座に拠点あり)

ミネルバクリニックは、日本で数少ない「遺伝子専門医」が院長を務めるNIPT専門クリニックです。オンライン診療を主体としているため、全国どこからでも専門医による質の高いNIPTを受けることが可能です。特に、全染色体や微小欠失症候群といった、より詳細な検査に対応している点が大きな強みです。検体は国内で解析されるため、海外への輸送による不安もありません。自宅でリラックスしてカウンセリングを受けたい方や、詳細な検査を希望する方におすすめです。

平石クリニック

項目 詳細
特徴 全国展開。豊富な検査実績。オンライン・来院選択可能。当日検査・当日報告のオプションあり。
検査項目 3大トリソミー、性染色体異数性、全染色体検査など。微小欠失も一部対応。
費用相場 10万円台前半〜20万円台(プランによる)
実施週数 妊娠6週0日~(※)
(一般的には10週0日以降推奨)
結果報告 最短2〜3日(特急便オプションあり)。通常1週間前後。
カウンセリング 専門のカウンセラーや医師による丁寧な説明
所在地 東京(新宿、銀座、渋谷、池袋など多数)、大阪、名古屋など全国主要都市に展開。

平石クリニックは、NIPTの豊富な検査実績を持つ全国展開のクリニックグループです。特筆すべきは、妊娠6週から検査が受けられる(※一部注意点あり)点と、特急便を利用すれば最短2〜3日で結果がわかるスピーディーさです。来院またはオンラインでの受診が可能で、ご自身の都合に合わせて選択できます。全国に拠点があるため、地方にお住まいの方でもアクセスしやすいのが魅力です。ただし、妊娠初期の精度については医師とよく相談が必要です。

八重洲セムクリニック

項目 詳細
特徴 東京駅直結の好アクセス。夫婦で来院しやすい。経験豊富な医師による説明。
検査項目 3大トリソミー、性染色体異数性、全染色体検査、微小欠失症候群。
費用相場 10万円台前半〜20万円台前半(プランによる)
実施週数 妊娠9週0日~
結果報告 最短5営業日〜1週間程度(検査内容による)
カウンセリング 医師による丁寧なカウンセリング(無料)
所在地 東京・八重洲(東京駅直結)

八重洲セムクリニックは、東京駅直結という抜群のアクセスを誇るクリニックです。お仕事帰りや出張の際にも立ち寄りやすく、夫婦での来院を検討している方にも便利です。経験豊富な医師による丁寧な説明とカウンセリングが特徴で、NIPTに関する疑問や不安を解消しやすい環境が整っています。幅広い検査項目に対応しており、ニーズに合わせたプランを選べるのもポイントです。

ラジュボークリニック

項目 詳細
特徴 プライバシーに配慮した完全予約制。N-DIR法による高精度検査。オンラインと来院を併用可能。
検査項目 3大トリソミー、性染色体異数性、全染色体検査、微小欠失・重複症候群。
費用相場 10万円台前半〜20万円台前半(プランによる)
実施週数 妊娠10週0日~
結果報告 10営業日以内(検査内容による)
カウンセリング 医師または認定遺伝カウンセラーによるカウンセリング
所在地 東京・渋谷

ラジュボークリニックは、プライバシーに最大限配慮した完全予約制のクリニックです。最新のN-DIR法(Direct Analysis of Reads)という解析方法を採用しており、より高精度な検査が期待できます。オンラインでの事前カウンセリング後に来院して採血、というように柔軟な対応が可能なため、忙しい方にも利用しやすいでしょう。微小欠失・重複症候群まで検査したい方や、最新の技術を求める方におすすめです。

MYメディカルクリニック

項目 詳細
特徴 総合健診施設でのNIPT。女性医師在籍。プライバシー重視の空間。
検査項目 3大トリソミー、性染色体異数性、全染色体検査など。
費用相場 10万円台前半〜10万円台後半(プランによる)
実施週数 妊娠10週0日~
結果報告 10〜14営業日
カウンセリング 医師または看護師によるカウンセリング
所在地 東京(渋谷、大手町、横浜など)

MYメディカルクリニックは、人間ドックや健康診断なども手掛ける総合健診施設でNIPTを提供しています。女性医師が在籍しており、デリケートな相談もしやすい環境です。ゆったりとした空間でプライバシーが守られながら検査を受けられるのが特徴です。健診施設としての実績もあるため、安心感を求める方や、女性医師に相談したい方におすすめです。

その他の地域のおすすめNIPTクリニック

NIPTは東京だけでなく、全国各地のクリニックで受けることができます。ここでは代表的なエリアに触れておきますが、お住まいの地域のNIPTクリニックを探す際は、上記の比較ポイントを参考に、ご自身に合った施設を選びましょう。

NIPT 広島 おすすめ

広島エリアにもNIPTを提供するクリニックは複数存在します。例えば、「広島中央クリニックNIPT」「湘南美容クリニック広島院」などがNIPT検査を提供しています。これらのクリニックも、東京のクリニックと同様に、提供している検査項目、費用、オンライン診療の有無、カウンセリング体制、結果報告までの期間などを比較して検討することが重要です。特に地方では選択肢が限られる場合もあるため、オンライン診療に対応している全国展開のクリニックも視野に入れると良いでしょう。

NIPT検査を受ける際の注意点

NIPTは非常に有用な検査ですが、その特性を十分に理解し、いくつかの注意点を踏まえて検査を受けることが重要です。誤解や認識不足は、結果への向き合い方やその後の決断に影響を及ぼす可能性があります。

NIPT検査の実施週数|いつ受けるのがベスト?

NIPT検査は、妊娠10週0日以降から受けられるのが一般的です。これは、母体血液中に十分な量の胎児由来のDNA(cfDNA)が検出できるようになるのがこの時期だからです。早すぎると、胎児由来DNAの量が少なく、検査ができない(判定保留となる)リスクが高まります。

  • 妊娠10週0日以降: この時期になると、胎児由来DNAの割合(胎児分画)が安定して増え、検査精度が高まります。ほとんどのクリニックではこの週数から受け入れを開始しています。
  • 妊娠13週頃まで: NIPTは、羊水検査や絨毛検査といった確定診断よりも早期に結果が出るため、もし陽性だった場合にその後の選択肢(確定診断を受けるか、出産に向けた準備をするかなど)を夫婦で話し合う時間を確保しやすいメリットがあります。そのため、多くの場合、妊娠初期から中期にかけての比較的早い時期に受けることが推奨されます。
  • 妊娠20週以降: 遅い週数でも検査自体は可能ですが、もし染色体異常のリスクが高いと判明した場合、その後の確定診断や夫婦での話し合い、心理的準備に使える時間が限られてしまいます。

最適なタイミングは、ご夫婦が「いつまでに結果を知りたいか」「結果が出た場合にどう行動したいか」によって異なります。必ず、NIPTを受けるクリニックの医師や遺伝カウンセラーと相談し、ご自身の状況に合わせた最適な週数を確認しましょう。

認可施設と認可外施設の違いと選び方

NIPTを提供する施設は、大きく「認可施設」と「認可外施設」に分けられます。この違いを理解することは、クリニック選びにおいて非常に重要です。

認可施設とは

「認可施設」とは、日本産科婦人科学会が定める施設基準を満たし、NIPTを「臨床研究」として実施している医療機関を指します。主な特徴は以下の通りです。

  • 対象: 原則として、年齢(例:35歳以上)、染色体異常の既往、超音波検査で胎児の異常が疑われるなど、特定の条件を満たす妊婦さんのみが対象となります。
  • 遺伝カウンセリング: 検査前後に、遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる十分な遺伝カウンセリングが義務付けられています。これは、検査の意義や限界、結果の意味、今後の選択肢などを理解するために非常に重要です。
  • 紹介状: 基本的に、かかりつけの産婦人科医からの紹介状が必要となることが多いです。
  • 検査項目: 主に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの3大トリソミーに限定されることがほとんどです。
  • 費用: 比較的費用が高額になる傾向があります。
  • 陽性時の対応: 陽性判定が出た場合、確定診断(羊水検査など)へスムーズに連携できる体制が整っています。

認可施設は、厳格な基準の下で、専門的な医療体制が確保されている点がメリットです。

認可外施設とは

「認可外施設」(非認定施設、無認可施設とも呼ばれる)とは、日本産科婦人科学会の定める施設基準に縛られずにNIPTを提供している医療機関を指します。

  • 対象: 年齢制限がないことが多く、紹介状も不要な場合がほとんどです。誰もが自由にNIPTを受けられる点が特徴です。
  • 遺伝カウンセリング: カウンセリングの質や内容は施設によって大きく異なります。専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍していない場合や、十分な説明が行われないケースもあるため注意が必要です。
  • 検査項目: 3大トリソミーに加え、性染色体異数性や微小欠失・重複症候群など、幅広い検査項目を提供している施設が多いです。
  • 費用: 認可施設と比較して、費用がリーズナブルな傾向があります。
  • 利便性: オンライン診療に対応している施設が多く、自宅から手軽に検査を申し込める点が大きなメリットです。
  • 陽性時の対応: 陽性判定が出た場合の確定診断への連携や、その後のサポート体制が不十分な場合があるため、事前に確認が必要です。

認可施設と認可外施設の選び方

  • 条件に合致し、手厚いサポートを求めるなら「認可施設」: 特定の条件に合致し、手厚い遺伝カウンセリングや、確定診断へのスムーズな連携を重視する方は、認可施設を検討しましょう。
  • 手軽さや幅広い検査項目、費用を重視するなら「認可外施設」: 年齢制限なく検査を受けたい、オンラインで手軽に済ませたい、検査項目を増やしたい、費用を抑えたいという方は認可外施設が選択肢となります。ただし、認可外施設を選ぶ際は、特に以下の点を慎重に確認しましょう。
    • 遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍しているか。
    • カウンセリング体制が十分に整っているか(検査前後の説明、結果後のフォローなど)。
    • 陽性判定が出た場合の確定診断への連携や、精神的なサポート体制が確立されているか。
    • 検査解析の実績や、提携している検査機関が信頼できるか。
    • 費用体系が明確か、追加料金がないか。

安易に費用だけで選ぶのではなく、安心して検査を受け、結果に向き合える体制が整っているかを最優先に考えることが重要です。

NIPT検査の精度と結果の見方

NIPTは「高精度なスクリーニング検査」ですが、その「精度」の意味を正しく理解しておくことが重要です。

NIPTの精度は、主に以下の2つの指標で評価されます。

  • 感度(Sensitivity): 実際に疾患を持っている場合に、どれだけ正しく陽性と判定できるかの割合。
    例: 感度99.9%の場合、1000人の疾患を持つ胎児のうち、999人が陽性と判定される。
  • 特異度(Specificity): 実際に疾患を持っていない場合に、どれだけ正しく陰性と判定できるかの割合。
    例: 特異度99.9%の場合、1000人の疾患を持たない胎児のうち、999人が陰性と判定される。

ダウン症候群(21トリソミー)の場合、NIPTの感度・特異度はともに99%以上と非常に高いとされています。しかし、この高精度はあくまで「スクリーニング検査」としての精度であり、「確定診断」とは異なります。

結果の見方

NIPTの結果は、主に「陽性」「陰性」「判定保留(再検査)」のいずれかで報告されます。

  • 陽性(Positive): 検査対象の染色体異常のリスクが高いという結果です。しかし、これは「確定」ではありません。NIPTでは、ごく稀に疾患がないのに陽性と出る「偽陽性(ぎようせい)」や、疾患があるのに陰性と出る「偽陰性(ぎいんせい)」の可能性があります。陽性判定が出た場合、確定診断のために羊水検査や絨毛検査を受けることが推奨されます。
  • 陰性(Negative): 検査対象の染色体異常のリスクが低いという結果です。ほとんどの場合、疾患はないと考えられますが、ごく稀に「偽陰性」の可能性もあります。また、NIPTでは検査対象外の染色体異常や、遺伝子レベルの微細な変化までは検出できません。
  • 判定保留(No Result / Inconclusive): 検査に必要な胎児由来DNAの量が不足している、解析が困難な状態であるなどの理由で、判定ができなかった場合です。この場合、再検査を勧められることが多いです。再検査でも判定保留となることもあり、その場合は確定診断を検討することになります。

特に重要なのが、陽性適中率(PPV:Positive Predictive Value)という概念です。これは、「陽性」と判定された人のうち、本当に疾患を持っている人の割合を示すもので、その疾患の発生頻度(年齢など)に大きく左右されます。例えば、年齢が若い妊婦さんでは、ダウン症候群の発生頻度が低いため、陽性適中率も低くなる傾向があります。これは、NIPTがスクリーニング検査であることの限界を示すものであり、陽性判定が出た場合に確定診断が不可欠である理由の一つです。

NIPT検査の結果はいつわかる?

NIPTの結果報告までの期間は、クリニックや提携している検査機関、選択したプランによって異なります。

  • 平均的な期間: 一般的には、採血から約1週間~2週間程度で結果がわかることが多いです。
  • 国内解析 vs 海外解析:
    • 国内解析: 日本国内の検査機関で解析が行われる場合、検体の輸送時間が短縮されるため、比較的早く結果が出る傾向があります(例:最短3〜5営業日)。
    • 海外解析: 海外の検査機関に検体が送られる場合、輸送や現地の祝日などの影響で、結果が出るまでに時間がかかることがあります(例:2週間以上)。
  • 特急便オプション: 一部のクリニックでは、追加料金を支払うことで、より早く結果を受け取れる「特急便」や「スピードプラン」を提供している場合があります。お急ぎの方は、これらのオプションの有無や料金を確認すると良いでしょう。
  • 検査項目の多さ: 基本の3大トリソミーのみを検査する場合よりも、全染色体検査や微小欠失検査など、項目を多く選択した場合は、解析に時間がかかり、結果報告までの期間が長くなることがあります。

結果を早く知りたい場合は、クリニックを選ぶ際に「結果報告までの期間」を重要な判断基準の一つとしましょう。また、結果が予定よりも遅れる可能性も考慮し、余裕を持ったスケジュールで検査を受けることをお勧めします。

NIPT検査で陽性だった場合の対応

NIPT検査で「陽性」という結果が出た場合、少なからず動揺や不安を感じるのが自然なことです。しかし、この結果はあくまで「スクリーニング検査」であり、確定診断ではないことを冷静に理解することが何よりも重要です。

陽性だった場合の一般的な対応の流れは以下の通りです。

  1. 遺伝カウンセリング:
    陽性結果が出た場合、ほとんどのクリニックでは再度遺伝カウンセリングが行われます。
    このカウンセリングでは、NIPTの検査結果の意味(陽性適中率など)、偽陽性の可能性、確定診断の必要性、確定診断の方法(羊水検査・絨毛検査)とそのリスク、その後の選択肢について、専門家から詳細な説明を受けます。
    ご夫婦の疑問や不安を解消し、今後の意思決定をサポートするための大切な機会です。疑問点は遠慮なく質問しましょう。
  2. 確定診断の検討:
    NIPTで陽性が出た場合、結果を確定するために、侵襲的な確定診断を受けることが強く推奨されます。
    • 羊水検査: 妊娠15~18週頃に行われることが多く、お腹から子宮に細い針を刺し、羊水を少量採取して胎児の染色体を直接調べる検査です。流産や感染症のリスクがごくわずかに伴います。
    • 絨毛検査: 妊娠11~14週頃に行われることが多く、子宮頸部または腹部から胎盤の一部(絨毛)を採取して調べる検査です。羊水検査よりも早い時期に結果が出ますが、流産リスクは羊水検査よりやや高いとされています。

    確定診断を受けるかどうかはご夫婦の自由な選択ですが、NIPTの結果だけで判断を下すことは避け、必ず確定診断で事実を確認することが大切です。

  3. ご夫婦での話し合いと意思決定:
    確定診断の結果を待つ間、または確定診断で陽性が確定した場合、ご夫婦で十分に話し合う時間を持つことが重要です。
    赤ちゃんの状態や予後について理解を深め、今後の妊娠継続や出産、育児について、どのような選択をするか冷静に検討します。
    医療機関によっては、心理カウンセラーやソーシャルワーカーなど、専門家による精神的サポートや情報提供を受けられる場合もあります。
  4. 出産に向けた準備:
    染色体異常が確定した場合でも、出産を選択するご夫婦は多くいらっしゃいます。
    その場合、赤ちゃんの持つ特性に合わせて、出産後の医療ケアや育児のサポート体制について、事前に情報収集し、準備を進めることになります。関連する専門機関や支援団体との連携も重要です。

NIPTの「陽性」結果は、決して絶望的なものではありません。それは、赤ちゃんが持つ可能性のある特性について、早期に知り、家族で向き合い、今後の人生計画を立てるための「情報」を得たことを意味します。適切なサポートを受けながら、ご夫婦にとって最善の選択ができるよう、冷静に対応することが大切です。

【まとめ】NIPT検査を購入するならオンライン診療で!

NIPT(新型出生前診断)は、赤ちゃんの染色体異常のリスクを早期に、そして非侵襲的に知ることができる画期的な検査です。その高い精度と安全性から、NIPTの受検を検討するご夫婦は年々増加しています。

本記事では、NIPTの基本から、検査項目、費用相場、そして特に東京エリアで人気のおすすめクリニックを詳しくご紹介しました。ミネルバクリニック、平石クリニック、八重洲セムクリニック、ラジュボークリニック、MYメディカルクリニックなど、各クリニックにはそれぞれ異なる強みや特徴があります。

また、NIPT検査を受ける際の注意点として、検査を受ける適切な週数、認可施設と認可外施設の違い、検査の精度と結果の見方、そして陽性だった場合の冷静な対応の重要性についても解説しました。

NIPTは、デリケートな検査であり、その結果はご夫婦の将来に大きな影響を与える可能性があります。だからこそ、信頼できるクリニックを選び、十分な情報とカウンセリングを得て、ご夫婦で納得した上で検査に臨むことが何よりも大切です。

近年は、DMMオンラインクリニックのようなオンライン診療でNIPTを提供しているクリニックも増えており、自宅にいながら専門医のカウンセリングを受け、検査の申込みができるなど、利便性が大きく向上しています。来院の負担を減らしたい方、プライバシーを重視したい方には、オンライン診療の利用もおすすめです。

NIPTは、赤ちゃんの未来について家族で真剣に向き合うための「情報」を得る手段です。この記事で得た知識を参考に、ぜひご夫婦でじっくりと話し合い、あなたたちにとって最善のNIPTを選択してください。

免責事項:
本記事はNIPT(新型出生前診断)に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の医療機関の受診を強制したり、NIPTの受検を推奨したりするものではありません。NIPTの実施には専門的な知識が必要であり、個別の症状や状況に応じた判断は、必ず医療機関の医師や専門家にご相談ください。本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いません。医療情報は日々更新される可能性があるため、最新の情報は必ず公的な医療機関や専門家のウェブサイトでご確認ください。

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