「最近、夜眠れないけれど不眠症かな?」
「熟睡感がなく昼間眠気が強くて困っている…」
「睡眠に関する悩みは、何科の病院へ行けばいいのだろう?」
とお悩みの方もいるのではないでしょうか?
不眠症が疑われる場合、かかりつけ医や内科、精神科、心療内科で治療が可能です。しかし、不眠の原因や症状、治療経過によってはより専門的な治療がおこなえる睡眠外来や別の診療科を受診する必要があるでしょう。
この記事では、不眠症で病院に行くタイミングと受診できる診療科について解説します。あわせて不眠症の治療法や不眠症を悪化させないために日常生活で気をつけることも解説していきます。
不眠症かもとお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでください。
不眠症は何科の病院を受診する?
不眠症が疑われる場合、かかりつけ医や内科、精神科、心療内科の病院で治療が可能です。しかし、不眠の原因や症状の程度、治療経過によって、受診すべき診療科は異なります。
しかし、かかりつけ医がない場合、どこの診療科を受診すればよいのか分からないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。ここでは、不眠症の疑いがあるときに受診する診療科を紹介します。
- 内科
- 心療内科・精神科
- 睡眠外来など睡眠専門病院
それぞれ詳しく説明します。
内科
内科と聞くと、風邪や腹痛などといった身体的症状を診てもらう診療科とイメージする方もいるかもしれませんが、不眠に関する診察も可能です。
かかりつけ医が内科である場合には、そこで相談するのもよいでしょう。
心療内科・精神科
精神科や心療内科などでも不眠の診察が可能です。不眠に関しては、内科よりもより専門的な診療科となります。最初から専門的な診療科で見てもらいたい方や内科でなかなか治らないとお悩みの方は、精神科や心療内科の受診をおすすめします。
心療内科では、ストレスなど心理的な要因で不眠状態になったと考えられる患者が対象です。一方、精神科ではうつ病や躁うつ病、統合失調症など精神的な病気で不眠症状が起こっている場合が対象となります。心療内科でも精神科でも、薬物療法をメインにカウンセリングなどをおこないます。
睡眠外来など睡眠専門病院
心療内科や精神科を受診しても、不眠状態が続く場合は、睡眠外来などの睡眠専門病院を受診することもあります。睡眠外来などの睡眠専門病院を受診する際は、事前予約や診療情報書などが必要な場合もあります。
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睡眠障害のタイプによっても行くべき病院が異なる
不眠症は、夜間眠れずに日常生活に影響を及ぼすことで、睡眠障害の1つとされています。睡眠障害は、不眠症以外にもさまざまなタイプが存在します。
不眠症以外の睡眠障害は以下の通りです。
- ナルコレプシー
- 概日リズム睡眠障害
- 過眠症
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時随伴症
以下で、1つずつ詳しく解説します。
ナルコレプシー
ナルコレプシーとは過眠症のひとつで、日中に突然強烈な眠気が出て眠り込んでしまう疾患です。試験や商談中、デート中であっても眠り込んでしまうことも。
眠気が襲ってきたことに本人が気づく前に眠り込むため、本人が居眠りに気づかない場合もあります。
ナルコレプシーの疑いのあるときは、以下の診療科の受診を検討しましょう。
- 睡眠外来などの睡眠専門病院
- 精神神経科
- 神経内科
- 睡眠外来などの睡眠専門病院
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害とは、人間の体内時計の周期を地球の24時間周期に合わせることができないために起きる疾患です。
人間の体内時計周期は約25時間といわれています。一方、私たちが生活している地球の周期は24時間です。この1時間のズレは、太陽光や食事、社会生活において刺激を受けることで修正されています。
しかし、概日リズム睡眠障害では、体内時計周期と地球の周期のズレが修正されないため、眠気や頭痛、倦怠感などさまざまな不調が生じてしまうのです。
概日リズム睡眠障害の疑いのあるときは、以下の診療科の受診を検討しましょう。
- 精神科
- 心療内科
- 睡眠外来などの睡眠専門病院
過眠症
過眠症とは、夜間に十分な睡眠時間を取っているのにも関わらず、昼間に強い眠気に襲われて、仕事や学業などに日常生活に支障が出てしまう疾患です。
ナルコレプシーのように日中に眠気が出現する一次性の過眠症と薬の副作用や睡眠時無呼吸症候群などのように、夜間睡眠の質が悪化することで、日中の眠気症状が生じるものがあります。
過眠症の疑いのあるときは、以下の診療科の受診を検討しましょう。
- 脳神経内科
- 精神科
- 睡眠外来などの睡眠専門病院
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、眠り出すと呼吸が止まってしまう疾患です。呼吸が止まると血中酸素濃度が低下するので、目が覚めて呼吸し始めますが、眠ってしまうとまた止まります。呼吸の停止と覚醒を一晩中繰り返すので、睡眠の質が悪化して、日中に強い眠気が出るようになります。
睡眠時無呼吸症候群の自覚症状は、いびき、睡眠中の窒息感とともに目覚めることやあえぎ、不眠などです。パートナーから睡眠中の呼吸中断を指摘される場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群の疑いのあるときは、以下の診療科の受診を検討しましょう。
- 耳鼻咽喉科
- 内科
- 呼吸器内科
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは、睡眠中のねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢など望ましくないねぼけ行動の総称です。
小児期に始まることが多く、思春期早期に自然治癒しますが、成人期まで持続する場合もあります。本人の睡眠の安全を確保しつつ、必要時には薬剤療法などの治療がおこなわれます。
睡眠時随伴症の疑いがある場合は、以下の診療科の受診を検討しましょう。
- 脳神経内科・精神科
- 小児科(学童期の場合)
不眠症で病院に行くタイミングとは?
「不眠が週3日以上、3カ月以上持続する」場合は病院を受診することを検討しましょう。
人間関係や仕事での強いストレスなどが原因で、数日から数週間、一時的に不眠状態が続く場合もあります。こういった場合、ストレス状態が改善し、以前のように眠れるようになれば問題はありません。ただし、不眠によって日常生活に支障をきたしているのであれば、早めに病院を受診することをおすすめします。
不眠症チェック|病院に行くべきタイミングを見極めよう
不眠症状が慢性化すると、日中に以下のような症状が現れる場合があります。
【不眠症時に現れる日中症状】
- 起床時に熟睡感がない
- 活力や気分が低下した
- 仕事などの効率が低下した
- 生活の質が低下した など
夜間の不眠状態に加えて、上記のような日中の症状が加わった場合は、治療が必要な不眠症の可能性があります。速やかに医療機関を受診しましょう。
不眠症の治療法
不眠症の治療法には、薬物療法と睡眠習慣に関する指導(非薬物療法)の2つがあります。
以下で、詳しく解説していきます。
薬物療法
医師は患者の不眠症の状態を診断し薬物療法が適切だと判断した場合に、睡眠薬を処方します。
以下は、睡眠薬の一例です。
【主な睡眠薬の一例】
分類 | 一般名 | 主な商品名 | 作用時間別分類 | 半減期(時間) | 用量(mg) |
オレキシン受容体拮抗薬 | スポレキサント | ベルソムラ | 短時間作用型 | 12.5 | 15~20 |
メラトニン受容体作動薬 | ラメルテオリン | ロレゼム | 超短時間作用型 | 1 | 8 |
非ベンゾジアゼピン系 | ゾルピデム | マイスリー | 2 | 5~10 | |
ゾピクロン | アモバン | 4 | 7.5~10 | ||
エスゾピクロン | ルネスタ | 5~6(8) | 1~3 | ||
ベンゾジアゼピン系 | トリアゾラム | ハルシオン | 2~4 | 0.125~0.5 | |
エチゾラム | デパス | 短時間作用型 | 6 | 1~3 | |
ブロチゾラム | レンドルミン | 7 | 0.25~0.5 | ||
リルマザホン | リスミー | 10 | 1~2 | ||
ロルメタゼパム | ロラメット・エバミール | 10 | 1~2 | ||
フルニトラゼパム | サイレース | 中間作用型 | 24 | 0.5~2 | |
エスタゾラム | ユーロジン | 24 | 1~4 | ||
ニトラゼパム | ネルボン・ベンザリン | 28 | 5~10 | ||
クアゼパム | ドラール | 36 | 15~30 | ||
ルフラゼパム | ダルメート | 長時間作用型 | 65 | 10~30 | |
ハロキサゾラム | ソメリン | 85 | 5~10 |
出典:睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル –保健師・対人援助職向け-|わが国で使用されている主な睡眠薬
作用時間だけでなく、副作⽤の症状や頻度も薬剤間で差があるのが特徴です。
薬の処方は、不眠症状のタイプのほかに、患者の年齢や不眠症以外の疾患など臨床的背景などを考慮して、薬剤選択は慎重におこなわれます。
どんなに治りにくい不眠症であっても、無期限、無制限に薬物療法をおこなうことは適切ではないため、その時々の状況で減薬や休薬が検討されます。
睡眠習慣に関する指導
不眠を改善するには、生活のリズムや睡眠環境を整えることが大切です。睡眠週間に関する指導では、睡眠の妨げとなっている事柄を特定し、個々に応じた指導をおこなうことで、不眠を改善していきます。
以下は、睡眠習慣に関する指導の一例です。
【睡眠習慣に関する指導の例】
指導項目 | 指導内容 |
規則正しい食生活 | 決まった時刻に食事をする。空腹のまま寝ない。夕食に脂っこいものを食べない。 |
就寝前のカフェイン | 就寝の4時間前からはカフェインの入った飲食物を摂らない。 |
就寝前のお酒 | 寝酒は逆効果になるため控える。 |
就寝前の喫煙 | 夜は喫煙しない。ニコチンには精神刺激作用がある。 |
寝床での考え事 | 昼間の悩みは寝床に持っていかない。寝床では寝ることに集中する。 |
参考:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン|睡眠衛生のための指導内容
あくまでも上記の内容は一例であり、個々の生活リズムや睡眠環境に合わせた指導がおこなわれていきます。
不眠症を悪化させないために日常生活で気をつける7つのこと
不眠症で病院へ行く場合も行かない場合も、日常生活を送る上で生活のリズムや睡眠環境を整えることは不眠に効果的です。
ここでは、不眠を悪化させないために日常生活で気をつける7つのことを紹介します。
- 決まった時刻に起床・就寝する
- 栄養バランス良い食事を決まった時刻に摂取する
- 太陽の光を浴びる
- 定期的に適度な運動をする
- ストレス解消法を見つける
- 就寝前にスマホは控える・リラックスタイムをつくる
- 快適な睡眠環境を整える
良質な睡眠のためにも、取り入れてみることをおすすめします。
1.決まった時刻に起床・就寝する
毎日決まった時刻に起床・就寝できるように生活のリズムを整えましょう。
睡眠覚醒リズムは体内時計で調整されていて、太陽の光でリセットされます。
昼寝は就寝時刻に影響する可能性があるため、日中に眠気が生じた際には、午後3時前までの30分以内の昼寝で対応しましょう。
2.栄養バランス良い食事を決まった時刻に摂取する
栄養バランス良い食事を決まった時刻に摂取することも大切です。決まった時刻の食事が生活のリズムを作り、栄養バランスの良い食事が睡眠に関係するホルモン生成に役立ちます。
1日3食決まった時間に摂取し、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミンなどを偏りなく摂取することがおすすめです。
3.太陽の光を浴びる
地球の周期は1日24時間ですが、人間の体内時計は25時間程度です。朝、太陽の光を浴びることで地球の周期との差がリセットされ、体内時計が整うといわれています。
太陽の光を浴びないと、良質な睡眠が取れないといった研究結果も。睡眠の質の確保のためには、毎朝太陽の光を浴びることはもちろん、1日30分以上の日光浴をすることをおすすめします。
4.定期的に適度な運動をする
適度な運動習慣は心地よい眠りへと導きます。午前よりは午後に、ウオーキングやジョギングなどの軽く汗ばむくらいの有酸素運動をするのがよいでしょう。
逆に過度な運動は交感神経を興奮させるので、注意が必要です。
5.ストレス解消法を見つける
ストレスは不眠の原因の1つともいわれています。そのため、ストレス解消法を見つけ、ストレスを溜めないようにしましょう。音楽や読書、スポーツなど、自分が好きでできる趣味をみつけて気分転換をし、ストレス解消することがおすすめです。
趣味が思いつかない場合は「子ども時代に好きだったこと・得意だったこと」をヒントに考えてみてもよいでしょう。
6.就寝前にスマホは控える・リラックスタイムをつくる
就寝前のスマホやパソコンの使用は極力控えましょう。液晶画面から出ているブルーライトは紫外線の次に波長が短く、目の奥まで届くので入眠に悪影響を及ぼします。
また、就寝前にはぬるめのお風呂にゆっくり入ったり、好きな音楽や読書などを楽しんだりしてリラックスする時間を作りましょう。心身の緊張をほぐすことが質の良い睡眠を導きます。
7.快適な睡眠環境を整える
自分に適したベッド・布団・枕・照明などを選び、温度や湿度も適切に保ちましょう。睡眠にとって適切な環境は、気温20℃前後、湿度は40~70%くらいといわれています。
また、音も睡眠を妨げる原因となります。音対策にはじゅうたんを敷く、ドアをきっちり閉める、防音カーテンを用いるなどがおすすめです。
「不眠症かも?」と感じたら医療機関を受診しよう
「不眠症かも?」と感じた際に病院に行くタイミングと受診すべき診療科、日常生活で気をつけるべきポイントなどについて詳しく紹介しました。
不眠症が疑われる場合、かかりつけ医や内科、精神科のある病院で診察を受けることができます。しかし、不眠症の原因や症状、治療経過によっては睡眠外来や別の診療科などを受診する必要もあるでしょう。
この記事で紹介した不眠症で病院に行くタイミングはあくまでも目安なので、つらいと感じていれば、早めに受診することをおすすめします。
参考サイト・文献
・睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン ー出⼝を⾒据えた不眠医療マニュアルー
・睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル -保健師・対人援助職向け
・Action spectrum for melatonin regulation in humans: evidence for a novel circadian photoreceptor