ICL手術後に目をこするのは危険!リスクと対処法を徹底解説

「ICL手術を受けたばかりなのに、寝ている間にうっかり目をこすってしまった」「猛烈なかゆみに襲われて、つい触れてしまった」と焦っていませんか?

手術直後の目は非常にデリケートであり、不用意に圧力をかけることは確かにリスクを伴います。しかし、一瞬触れただけですぐに失明するわけではありません。重要なのは、現在の目の状態を冷静に確認し、必要な対処を迅速に行うことです。

この記事では、ICL手術後に目をこすることのリスクと、万が一こすってしまった場合の具体的なセルフチェック方法、そして無意識の行動を防ぐ対策について詳しく解説します。アトピーなどで目をこする癖がある方の不安も解消できるよう、事前の対策もまとめました。

この記事で分かること:

  • 目をこすることで起きうる具体的な合併症リスク
  • レンズがずれたり回転したりする実際の確率
  • こすってしまった直後に確認すべき緊急度チェックリスト
  • 就寝中の無意識なこすりを防ぐための正しいゴーグル活用法
  • アトピーや花粉症の人が手術を受けるための事前準備

ICL手術直後に目をこするのは合併症のリスクを高めるため厳禁

目をこすることによる3つのリスク

この章で分かること:

  • 手術の傷口が開くことによる細菌感染症(眼内炎)の危険性
  • 固定されていないレンズの位置ズレや回転のリスク
  • 角膜内皮細胞の減少や角膜への物理的なダメージ

傷口が開くことによる細菌感染症のリスク

ICL手術直後に目をこすることが最も危険視される理由は、手術で作った角膜の傷口(切開創)が開いてしまう恐れがあるためです。通常、ICL手術の傷口は非常に小さく(約3mm程度)、縫合しなくても自然に治癒するように作られていますが、術後数日間はまだ完全に閉じていません。

この状態で目を強くこすったり圧迫したりすると、傷口が開き、そこから細菌が眼球内部に侵入する可能性があります。これが細菌性眼内炎と呼ばれる深刻な感染症の原因となります。眼内炎は進行が早く、最悪の場合は視力低下や失明に至るリスクもあるため、術後1週間程度は特に厳重な注意が必要です。

固定されていないレンズが回転したりずれるリスク

手術直後のICLレンズは、眼内の所定の位置に置かれていますが、組織と完全に馴染んで固定されるまでには時間がかかります。この不安定な時期に外から強い力を加えると、レンズの位置がずれたり、回転したりする可能性があります。

特に乱視用のICLレンズ(トーリックレンズ)を使用している場合、レンズの軸(角度)が数度ずれるだけでも矯正効果が大きく低下してしまいます。また、レンズが虹彩(茶目)の裏側で不適切な位置に移動すると、見え方の質が下がるだけでなく、眼圧の上昇を引き起こす原因にもなり得ます。

角膜内皮細胞の減少や角膜への物理的なダメージ

目をこするという行為自体が、角膜の裏側にある「角膜内皮細胞」にダメージを与えることが知られています。角膜内皮細胞は角膜の透明性を保つために不可欠な細胞ですが、一度死滅すると再生しません。

ICL手術を受けていない健康な目であっても、慢性的に強く目をこする人は角膜内皮細胞が減少する傾向にあります。手術後のデリケートな目に物理的な刺激を加えることは、この細胞減少を加速させたり、角膜の表面に新たな傷(角膜びらん)を作ったりする原因となります。

ICLレンズが目の中でずれる確率と修正が必要なケース

ホールICLがずれにくい理由

この章で分かること:

現在のICL手術において、レンズが大きくずれることは稀です。ホールICLの普及により安定性は向上しましたが、乱視用レンズ特有のリスクや修正手術の可能性について解説します。

穴あきレンズの登場によりずれる確率は大幅に低下

現在主流となっている「ホールICL(KS-AquaPORT)」は、レンズの中央に極小の穴が開いている設計が特徴です。この穴によって眼の中の水(房水)の流れがスムーズになり、レンズが眼内で浮き上がったりずれたりするリスクが従来モデルよりも格段に低下しました。

一般的な近視矯正用のレンズであれば、日常生活で少し触れた程度で大きく位置がずれることはまずありません。統計的にも、レンズの位置ズレによって再手術が必要になるケースは全体の1%未満と報告されているクリニックが多く、過度な心配は不要と言えます。

乱視用レンズは軸が回転して見え方に影響する可能性がある

近視用レンズに比べて注意が必要なのが、乱視用(トーリック)ICLレンズです。乱視用レンズは、眼の乱視軸に合わせて正確な角度で固定する必要があるため、回転による影響を強く受けます。

目を強くこすったり、寝ている間に圧迫されたりすることでレンズが回転してしまうと、乱視の矯正効果が得られなくなり、「手術したのに二重に見える」「視力が安定しない」といった症状が現れます。ある程度の回転は自然に起こることもありますが、視力に影響が出るレベルの回転(軸ズレ)は、術後の衝撃やこする動作が引き金になるケースがあります。

万が一レンズがずれた場合は位置修正や再手術で対応が可能

もしレンズがずれたり回転してしまったりした場合でも、失明するわけではありません。多くの場合は「位置修正(調軸)」という処置で対応可能です。

位置修正は、再度小さな切開創から器具を入れ、レンズを正しい位置や角度に戻す処置です。術後早期であれば比較的容易に行うことができます。ただし、再手術は目にとって負担となるため、やはり最初の1週間〜1ヶ月間は目をこすらず、レンズを安定させることが最善です。

無意識に目をこするのを防ぐための保護用ゴーグルの重要性

無意識に目をこするのを防ぐための保護用ゴーグルの重要性

この章で分かること:

  • 術後1週間(就寝時含む)の保護メガネ着用の絶対的な必要性
  • 洗髪時の水入りを防ぐ具体的なゴーグル活用法
  • ゴーグルが外れないための固定テクニック

術後1週間程度は就寝時も含めて必ず保護メガネを着用

「起きている時は気をつけていられるが、寝ている間が怖い」という不安を解消するのが保護用ゴーグルです。多くのクリニックでは、術後1週間程度は就寝時も含めた24時間の着用を推奨しています。

人は睡眠中に無意識に顔を触ったり、枕に目を押し付けたりしてしまうことがあります。保護メガネをかけていれば、無意識の手の動きを物理的にブロックできるため、就寝中の事故を未然に防ぐことができます。面倒に感じるかもしれませんが、この1週間が一生の視力を左右すると考え、必ず着用しましょう。

洗髪時は目に水が入らないようにゴーグルで保護する

術後の洗髪(シャンプー)は、目に水が入るリスクが高いため、医師の許可が出るまで(通常術後3〜4日目以降)禁止されることが一般的です。許可が出た後も、しばらくは目に水やシャンプーが入らないように細心の注意が必要です。

美容院で仰向けになって洗髪してもらうのが最も安全ですが、自宅で行う場合は保護ゴーグルを着用したまま、上を向いて洗うのが有効です。ゴーグルがあれば、万が一シャワーの水しぶきがかかっても直接目に入るのを防げます。顔を拭く際も、ゴーグルを外してから目の周りを避けて優しく拭くようにしましょう。

ゴーグルがずれる場合はテープ固定やバンド調整で対策

配布された保護メガネのサイズが合わず、寝ている間にずれてしまうという悩みもよく聞かれます。その場合は、サージカルテープ(肌に優しい医療用テープ)を使ってこめかみや頬の部分を固定するのがおすすめです。

また、ツルの部分にゴムバンドを通して頭の後ろで固定するスポーツバンドタイプを活用するのも一つの手です。隙間が大きいとそこから指が入ってしまうこともあるため、自分の顔の形にフィットさせ、物理的に手が目に届かない環境を作ることが重要です。

目をこすった後に確認すべき視力と痛みの緊急度セルフチェック

目をこすった後に確認すべき視力と痛みの緊急度セルフチェック

この章で分かること:

うっかり目をこすってしまった直後に焦らず確認すべき項目を、緊急度別にリスト化しました。鏡での見た目や見え方の変化をチェックし、適切な行動を選択してください。

「しまった、こすってしまった!」と思ったら、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。そして、すぐに鏡を見て、以下のチェックリストに従って現在の目の状態を確認してください。

緊急度確認すべき症状推奨される行動
【高】直ちに連絡・激しい痛みが続く・急激に見えなくなった(視界が暗い・真っ白)・鏡で見ると瞳孔(黒目)の形が歪んでいる・眼球が真っ赤に充血し、出血しているすぐに執刀したクリニックへ電話してください。診療時間外の場合は、救急対応可能な眼科を探すか、翌朝一番で受診する必要があります。目を閉じて安静に保ち、これ以上触れないようにしてください。
【中】翌日受診・軽い痛みや異物感がある・少し霧がかかったように見える(霧視)・光がいつもより極端に眩しい・文字が二重に見える(乱視用の場合)翌日の診療時間にクリニックへ連絡・受診しましょう。処方されている抗生剤や抗炎症剤の点眼を行い、保護メガネをかけて安静にします。症状が悪化するようであれば【高】の対応に切り替えてください。
【低】様子見・痛みや充血はない・見え方に変化はない・一瞬触れた程度で、強い圧迫感はなかった過度に心配せず、通常の点眼ケアを継続してください。ただし、数時間は意識して見え方を確認し、次回の定期検診で念のため医師に「こすってしまった」と伝えて診察してもらいましょう。

鏡で確認できる瞳孔の形や極度な充血の有無

まず鏡を見て、黒目(瞳孔)がきれいな円形をしているか確認してください。もし瞳孔がいびつな形になっていたり、虹彩の一部が変形しているように見えたりする場合は、レンズが大きくずれたり、虹彩に挟まったりしている可能性があります。

また、白目がべったりと赤く染まるような出血や、涙が止まらないほどの充血がある場合も要注意です。これらは傷口が開いたり、炎症が強く出たりしているサインの可能性があります。

片目ずつ隠して確認する視力の低下や霧視の有無

両目を開けていると、良い方の目がカバーしてしまい視力低下に気づきにくいことがあります。必ず片目ずつ手で隠して、カレンダーや時計の文字などを見てみましょう。

「手術直後は見えていたのに急に見えなくなった」「全体が白く霞んで見える(霧視)」といった症状がある場合は、角膜のむくみや炎症、あるいは眼圧の上昇が疑われます。

通常とは異なる激しい痛みや異物感の持続確認

術後特有の「ゴロゴロ感」や「しみる感じ」は通常範囲内ですが、「目を開けていられないほどの痛み」や「突き刺すような痛み」は異常のサインです。

こすった直後から強い痛みが持続する場合は、傷口のトラブルや感染症の初期症状の可能性があるため、我慢せずに医療機関へ連絡してください。

手術後にかゆみや違和感を感じた際の我慢せず行うべき正しい対処法

手術後にかゆみや違和感を感じた際の我慢せず行うべき正しい対処法

目がかゆい時の正しい冷やし方

この章で分かること:

  • 物理的な接触を避けつつかゆみを鎮める方法(冷却)
  • 処方薬やかゆみ止め点眼の適切な使用
  • 自己判断での放置リスクと受診のタイミング

目を触らずに清潔な冷たいタオル等で軽く冷やす

術後の傷が治る過程や、ドライアイによって、どうしても目がかゆくなることがあります。この時、最も安全にかゆみを緩和する方法は「冷やす(クーリング)」ことです。

清潔なタオルやガーゼを冷水で絞り、まぶたの上から優しく当ててください。または、保冷剤を薄いタオルで巻き、目の周りの骨(眼窩)に当てるようにして冷やします。眼球を直接圧迫しないよう注意が必要です。冷やすことで炎症やかゆみの感覚神経が鎮まり、楽になることが多いです。

処方された抗炎症点眼薬やかゆみ止めを使用する

手術後に処方される点眼薬(ステロイド剤など)には、炎症を抑える作用があり、かゆみの軽減にも役立ちます。医師の指示通りに点眼を続けることが、かゆみ対策の基本です。

それでもかゆみが強い場合は、市販の目薬を勝手に使わず、必ず医師に相談してください。術後の目に防腐剤入りの市販薬を使うと刺激になることがあります。眼科で適切な抗アレルギー点眼薬などを追加処方してもらうのが確実です。

対策をしても治まらない場合は自己判断せず受診する

冷やしたり点眼したりしてもかゆみや違和感が治まらず、生活に支障が出るレベルであれば、何らかのアレルギー反応や感染症の初期症状かもしれません。

「次の検診まで待とう」と自己判断して我慢し、無意識にこすってしまうのが一番のリスクです。我慢できない症状があるときは、検診日を待たずに早めに受診相談をしてください。

アトピーや花粉症で目をこする癖がある場合のICL手術の検討

アトピーや花粉症で目をこする癖がある場合のICL手術の検討

この章で分かること:

  • アトピー性皮膚炎や花粉症の方でも手術は可能だが準備が必要
  • 術前からの点眼治療による症状コントロールの重要性
  • 「こする癖」自体がリスク要因であることへの理解と対策

手術前から点眼治療を行いかゆみをコントロールしておく

アトピー性皮膚炎や花粉症がある方でも、ICL手術を受けること自体は可能です。しかし、目の周りに皮膚炎があったり、結膜炎でかゆみが強かったりする状態では手術を行えません。

重要なのは「手術日までに症状を落ち着かせる」ことです。カウンセリングや適性検査の段階で医師に相談し、手術の数週間前から抗アレルギー点眼薬やステロイド軟膏を使用して、かゆみがない状態を作っておく必要があります。これにより、術後の「こすりたい衝動」を最小限に抑えることができます。

無意識に目をこする癖が強い場合は手術可否を慎重に相談

アトピーの方の中には、長年の習慣で「無意識に目を叩く・こする」という癖がついている場合があります。この癖が極端に強い場合、ICL手術だけでなく、白内障手術やレーシックを含めた眼内手術全体のリスクが高まります。

網膜剥離や水晶体脱臼のリスクも考慮し、医師とよく相談してください。場合によっては、術後の保護メガネの着用期間を通常より長く(1ヶ月以上など)設定するなどの特別プランが必要になることもあります。

術後もアレルギー症状を抑えるための継続的なケアが必要

手術が無事に終わっても、アレルギー体質が変わるわけではありません。花粉の時期や季節の変わり目には、再びかゆみが出る可能性があります。

ICL術後は、これまで以上に「こすらない生活」を維持することが目の健康寿命を延ばす鍵となります。かゆみが出始めたらすぐに眼科を受診し、早めに点眼治療を開始する習慣をつけましょう。ICL定期検診の際に、アレルギーのケアも合わせて行うのが効率的です。

手術前に医師に伝えるべきこする癖チェック

ICL手術後の目を守るために日常生活で守るべき期間と制限

ICL手術後の目を守るために日常生活で守るべき期間と制限

この章で分かること:

目をこするリスクを避けるために、洗顔、洗髪、メイクなどの日常生活には一定の制限期間があります。一般的な目安と注意点を整理します。

洗顔や洗髪は術後の経過日数に応じた医師の指示を守る

洗顔や洗髪の制限は、目に水や雑菌が入るのを防ぐためだけでなく、洗う動作で目を圧迫するのを防ぐ意味もあります。

  • 洗髪・洗顔: 多くのクリニックで術後3日〜1週間程度は制限されます。許可が出るまでは、水を使わない拭き取り洗顔や、美容院での洗髪(目に水が入らないように)を利用しましょう。
  • 首から下のシャワー: 翌日から可能な場合が多いですが、顔にかからないよう注意が必要です。

アイメイクやコンタクトレンズの再開時期を遵守する

アイメイクは、チップやブラシでまぶたに触れる際に圧力がかかりやすく、化粧品の粉が目に入るリスクもあります。

  • アイメイク: 術後1週間〜2週間は控えるのが一般的です。再開時も、まつ毛の根元を強く埋めるようなメイクは避け、クレンジングで強くこする必要がない薄めのメイクから始めましょう。
  • カラーコンタクト: ICL手術を受ければコンタクトは不要になりますが、おしゃれ目的でカラコンを使いたい場合、術後1ヶ月検診で問題がないことを確認してからにするのが安全です。

紫外線や乾燥から目を保護し清潔な状態を保つ

術後の目は乾燥しやすく(ドライアイ)、紫外線に対しても過敏になっていることがあります。外出時は保護メガネ(UVカット機能付きのものが多い)を着用することで、紫外線、風、ホコリから目を守ることができます。

乾燥するとかゆみを感じやすくなり、結果として目をこする原因になります。処方された人工涙液などをこまめに点眼し、常に目の表面を潤して清潔に保つことが、トラブル回避の近道です。

まとめ

ICL手術後に目をこすることは、感染症やレンズのズレといった重大なリスクにつながるため、絶対に避けなければなりません。特に手術直後の1週間は、傷口が塞がりきっておらず、レンズも安定していない最も重要な期間です。

しかし、人間ですので無意識に触れてしまうことはあり得ます。もしこすってしまった場合は、以下のポイントを思い出してください。

  • 焦らずセルフチェック: 激痛、急激な視力低下、瞳孔の変形がないか確認する。
  • 保護メガネの徹底: 就寝中の無意識な行動を防ぐため、テープ固定などを工夫して必ず着用する。
  • かゆみ対策: 冷やす、点眼するなどの方法で対処し、我慢できない時は迷わず受診する。

「こすってしまったけれど、特に見え方は変わっていない」という場合でも、次回の検診時には必ず医師にその旨を伝えてください。プロの目で確認してもらうことが、何よりの安心につながります。適切なケアを守り、快適な裸眼生活を手に入れましょう。

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