「膝の皿の下が痛い原因は?」
「膝の皿の下が痛いときにできるセルフケアは?」
そんな悩みを持つ方に向けて、膝の皿の下が痛い原因や膝の皿の下が痛いときにできるセルフケアなどを紹介していきます。
膝の皿の下が痛い原因とは?
膝の皿の下が痛い原因にはスポーツによる筋肉疲労や軟骨のすり減りなどがあります。
しっかりと原因を知ったうえで対処すると、緩和できることもあるためチェックしてみてください。
- スポーツなどによるオーバーユース
- 膝関節の軟骨がすり減っている
- 膝蓋骨の脱臼
①スポーツなどによるオーバーユース
膝の皿の下が痛い原因として、スポーツや激しい運動などによるオーバーユースが考えられます。
特に日頃から激しい運動を行っている人は要注意で、オーバーユースとなっている可能性は少なくありません。
筋肉疲労を起こしやすいスポーツにはバスケやサッカー、マラソン、バレーボールなどが挙げられます。
参考:東京ひざ関節クリニック
②膝関節の軟骨がすり減っている
膝の皿の下が痛い場合は膝関節内の軟骨がすり減っている可能性があり、軟骨のすり減りによる痛みが考えられます。
軟骨は関節の動きを滑らかにするクッションのような役割を担っており、軟骨がすり減ると骨同士がぶつかり痛みが生じるケースも。
軟骨がすり減る原因には加齢や膝に負担がかかる動作のくり返しなどがあり、膝を温める、正しい姿勢で歩くなどといった対処法があります。
参考:東京ひざ関節症クリニック
③膝蓋骨の脱臼
膝の皿の下が痛い場合、膝蓋骨が脱臼してしまっている可能性もあります。
膝蓋骨は膝関節の前方にある「膝の皿」とも呼ばれる丸い骨で、スポーツや激しい運動などにより脱臼すると強い痛みや腫れが生じる傾向に。
また先天的に膝蓋骨が脱臼しやすい人もいるほか、膝蓋骨の脱臼はくり返し起こるケースが多く、慢性的な痛みの原因ともなるので要注意です。
参考:日本整形外科学会
膝の皿の下が痛い原因に多い
膝蓋腱炎(しつがいけんえん)とは?
膝の皿の下が痛い場合に多い原因として、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)を発症している可能性が考えられます。
膝蓋腱炎には特徴的な症状や原因があるため、自分の膝の痛みが膝蓋腱炎かどうかをチェックしてみてください。
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の症状
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の原因
①膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の症状
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)はジャンプやランニングなどの動作により発症する疾患で、膝蓋腱は膝蓋骨(膝の皿の骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ場所にあります。
症状としては走りやジャンプ、階段の上り下りなどの際に痛みを感じる傾向にあり、片膝だけでなく両膝とも痛むケースもあるので注意が必要です。
ジャンプすると痛い
膝蓋腱炎を発症するとジャンプする際に痛みが生じる傾向にあり、人によっては着地したときに痛みを感じるケースも。
ジャンプによる痛みがひどい場合は膝蓋腱炎である可能性も少なくなく、ジャンプが思い切りできない場合も注意するといいでしょう。
歩いたり走ったりすると痛む
膝蓋腱炎の症状には歩いたり走ったりすると痛むといったケースもあるため、走行時に痛みが生じるかもチェックポイントです。
症状が重度になると走ることすらも難しくなってしまうため、できるだけ早めに治療を受けましょう。
屈伸すると圧迫されるような痛み
膝蓋腱炎を発症した場合、屈伸すると圧迫されるような痛みを感じるのも特徴です。
膝を曲げた際に痛みを感じる場合は膝蓋腱で炎症が起きている可能性があり、膝を曲げるジャンプやダッシュなども難しくなります。
階段の上り下りで痛む
膝蓋腱炎の症状としては階段の上り下りで痛むケースもあり、階段を降りる際に強い痛みを感じることもあります。
また人によっては椅子から立ち上がる際に痛みを感じるケースもあり、膝に負担がかかるような日常動作でも痛むので要チェックです。
②膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の原因
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の原因としては筋肉の使いすぎや太ももの筋肉の柔軟性低下、膝関節のアライメント不良など。
特に「ジャンパー膝」とも呼ばれている通り、ジャンプ動作が伴うバスケやサッカー、バレーボールなどのスポーツで発症しやすいといわれています。
スポーツなどによる筋肉の使いすぎ(オーバーユース)
膝蓋腱炎を発症する原因として多いのがスポーツによる筋肉の使いすぎ(オーバーユース)で、特にジャンプ動作をくり返すスポーツを行っている人は注意です。
下記のようなスポーツは膝蓋腱炎を発症しやすいといわれており、中学生や高校生の部活動でも発症する可能性があるため、10~20代の若い人も日頃からケアしておくといいでしょう。
- サッカー
- バスケットボール
- バレーボール
- 野球
- ランニング
- 走り幅跳び
- 走り高跳び
太もも筋肉の柔軟性低下
太ももの筋肉の柔軟性低下も膝蓋腱炎を発症する原因となり、太ももの筋肉は膝の曲げ伸ばしに大きく関わっています。
太ももの筋肉には大腿四頭筋やハムストリングスなどがあり、柔軟性が低下すると膝の動きをサポートできなくなり、結果的に膝関節の軟骨が摩耗し痛みが生じるので注意です。
膝関節のアライメント不良
膝関節のアライメント不良は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の位置がズレている状態を意味し、そのズレも膝蓋腱炎を引き起こす原因となります。
位置がズレる原因はO脚や軟骨のすり減りなどで、ひどい場合だと歩行が困難になってしまうリスクも。ちなみにアライメントは「整列」「一列に並ぶ」などを意味します。
参考:東京ひざ関節クリニック
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の
ステージ別症状と治療法
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)はステージ別に症状が異なり、どのように治療するかも変わってきます。
どのステージに自分の症状が該当するかをチェックし、自分に合った治療法から選ぶといいでしょう。
- ステージ1:スポーツ活動に支障はないが痛みが出る
- ステージ2:スポーツ開始時と終了後に痛みがある
- ステージ3:スポーツ中にも痛みがあり支障が出る
- ステージ4:腱の断裂
ステージ1:スポーツ活動に支障はないが痛みが出る
ステージ1の場合はスポーツ活動には支障はないが痛みが出るのが特徴で、最も軽度な症状ともいえるレベルです。
特にスポーツや激しい運動を行った後に痛みが出る傾向にあり、緩和法としてはストレッチや筋力強化などが考えられます。
また湿布を貼ったりサポーターを装着したりするケースもあるほか、スポーツ活動はあまり制限なく継続できるケースが多いです。
ステージ2:スポーツ開始時と終了後に痛みがある
ステージ2の場合はスポーツ活動には支障がないが、スポーツ開始時と終了後に痛みが生じるのが特徴です。
基本的な治療法はステージ1と同様、ストレッチや筋力トレーニングに加え、湿布やサポーターなども選択肢になります。
ただしステージ1とは違い、無理なスポーツ活動は制限されるのが特徴で、通常通りにはスポーツ活動ができないと考えましょう。
ステージ3:スポーツ中にも痛みがあり支障が出る
ステージ3の場合はスポーツ中にも痛みがあり支障が出るのが特徴で、スポーツ活動は一旦休止させられるケースが多いです。
治療法としては温熱療法や超音波療法に加え、リハビリテーションや体外衝撃波治療、注射治療(ステロイド・ヒアルロン酸注射)などが採用されます。
温熱療法は膝を温める治療、超音波療法は高周波による振動を使った治療、体外衝撃波治療は衝撃波を患部に照射する治療で、どれも基本的にセルフではなく医師による治療が必要になります。
ステージ4:腱の断裂
ステージ4の場合は腱が断裂してしまっている状態で、すぐにスポーツ活動を休止し安静にする必要があります。
また腱が断裂してしまうと保存療法では対応できないため、修復術や再建術などの手術が必要になるのも特徴。
自然治癒やセルフケアでは治らないため、医師による治療を受けましょう。
参考:上田整形外科内科
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)以外に
考えられる4つの病気
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)以外に考えられる病気には、半月板損傷やオスグッド・シュラッター病などがあります。
膝の皿の下が痛いからといって必ずしも膝蓋腱炎ではないので、その他のケースもチェックしておくといいでしょう。
- 半月板損傷
- オスグット・シュラッター病
- 膝関節捻挫
- 変形性膝関節症
①半月板損傷
膝蓋腱炎以外として考えられる病気には半月板損傷があり、主な原因は加齢やスポーツ、激しい運動などです。
半月板は膝関節内にある大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある「C」のような形をした軟骨で、それが損傷すると膝に痛みが出ます。
ひどい場合だと膝が動かなくなるロッキング状態になるケースもあり、若い人から高齢者まで注意しておきたい病気です。
参考:札幌ひざ関節症クリニック
②オスグット・シュラッター病
オスグット・シュラッター病は脛骨(すねの骨)や軟骨に痛みが生じる病気で、特に成長期の小・中学生に見られます。
身体が大きく成長する時期に足に負担がかかる運動やスポーツを行うと、成長途中の膝の皿の下の骨部分を大腿四頭筋が引っ張ることにより炎症が起こるのが特徴。
基本的には安静にすることが大切です。しかし、部活動やスポーツクラブに所属していると我慢してしまう傾向にあり、そのままにすると治療が必要になるケースもあるので注意が必要です。
参考:日本整形外科学会
③膝関節捻挫
膝関節捻挫は転倒や交通事故、スポーツなどにより膝関節を大きく捻ってしまうことで発症する病気で、基本的にはMRI検査によって診断されます。
膝関節捻挫の痛みは人により大きく異なり、治療法としてはギプスで固定したりサポーターを装着したりする方法があります。とにかく膝を安静にすることが大切です。
完治するまでは約1~2ヶ月で、怪我がひどい場合には手術が必要になるケースもあります。
参考:日本整形外科学会
④変形性膝関節症
変形性膝関節症は膝関節内にある軟骨のすり減りを原因とした疾患で、特に40代以上の中高年に多く見られる傾向にあります。
軟骨がすり減る原因には加齢や激しい運動、膝に負担がかかる動作のくり返しなどがあり、軟骨がすり減ると骨同士がぶつかり合い痛みが生じるようになります。
初期症状としては歩きはじめや立ち上がりなどの際に違和感を覚えるといったケースが多く、また自然治癒やセルフケアでは改善しにくいため、早めに医師に相談するといいでしょう。
参考:順天堂大学附属順天堂病院
膝の皿の下が痛いときに
できるセルフケア4選
膝の皿の下が痛いときにできるセルフケアには、サポーターの装着やテーピングによる固定などがあります。
しっかりと継続的に行うと痛みや違和感などが改善される効果を期待できるので、チェックしてみてください。
- 膝にサポーターをつける
- テーピングをする
- 大腿四頭筋や外転筋を鍛える
- ストレッチをする
①膝にサポーターをつける
膝の皿の下が痛いときにできるセルフケアとして、膝にサポーターをつけるのもおすすめできます。
膝にサポーターを装着することにより膝関節を安定させられるとともに、膝を冷えから守ってくれます。
膝のサポーターは3,000~5,000円程度で購入することが可能で、歩行や立ち上がりなどの動作もサポートしてくれます。
②テーピングをする
膝にテーピングを行い固定することもセルフケアとしておすすめで、サポーターのように膝の動きを支えてくれます。
また膝関節の動きが制限されるので痛みが緩和される傾向にあるため、膝の痛みに悩んでいる人も検討してみるといいでしょう。
しかもテーピングは治療のために使用するだけではなく、膝のケガを予防するために使ってみるのもおすすめです。
③大腿四頭筋や外転筋を鍛える
膝の皿の下が痛い場合は大腿四頭筋(太ももの筋肉)や外転筋を鍛えることも大切で、特に大腿四頭筋が膝と大きく関わっているといわれています。
加齢や運動不足などにより大腿四頭筋が衰えると、膝関節に負担がかかりやすくなり痛みの症状を引き起こすので注意です。
大腿四頭筋を鍛える方法として、仰向けに横になった後に、足首を立てたまま10~15秒ほどキープする運動が用いられます。
④ストレッチをする
膝の皿の下が痛い場合はストレッチを取り入れましょう。特に膝周りだけではなく太ももの筋肉もほぐれるストレッチから選ぶといいでしょう。
日頃からストレッチにより筋肉の柔軟性をアップさせておくことで、膝関節内のケガや病気などを予防する効果も期待できます。
またスポーツの準備運動として行うことも推奨されているほか、運動が難しい人でも気軽に取り組めるのでおすすめです。
膝の皿の下が痛いときのよくある質問
膝の皿の下が痛いときによくある質問を紹介していきます。
病院で治療を受ける前に知っておいたほうがいいこともあるので、チェックしてみてください。
膝蓋腱炎とはどんな症状ですか?
膝蓋腱炎の症状にはジャンプすると痛い、走ると痛い、屈伸すると圧迫されるような痛みを感じるなどといった特徴があります。
その他では階段の上り下りや椅子からの立ち上がりの際に痛むというケースもあり、スポーツ動作だけでなく日常動作にも影響が出るので注意です。
ひどい場合だとジャンプできない、走れない、歩くのがつらいなどといった症状も出てくるため、できるだけ早めに治療を受けるといいでしょう。
膝蓋腱炎の治し方は?
膝蓋腱炎の治療法としては、基本的に保存療法(手術以外の治療)が採用されます。
保存療法には運動を控えたり、炎症を抑える内服薬を使ったり、サポーターや中敷き(インソール)を装着したりする方法などがあり、それぞれの症状や原因に応じて医師が治療を選択します。
クリニックによっては症状がある程度回復したら運動療法も取り入れ、ストレッチや筋力トレーニングなどを指導してくれるケースもあります。
参考:松田整形外科記念病院
ジャンパー膝は放置するとどうなりますか?
ジャンパー膝を放置すると、膝蓋腱の炎症により痛みが長引いてしまうこともあるので注意です。
基本的に放置していても自然に改善するケースはあまりないため、治すには治療を受ける必要があります。
長期間我慢して放置していると膝蓋腱が断裂してしまうリスクもあり、そうなると歩くことすらも難しくなるので、できるだけ早めに医師に相談してみるといいでしょう。
膝の皿の下が痛い|まとめ
膝の皿の下が痛い原因にはスポーツによる筋肉疲労や軟骨のすり減り、膝蓋骨の脱臼などがあります。
半月板損傷やオスグッドなどの病気も考えられるため、できるだけ早めに医師に相談してみるといいでしょう。
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