「膝に違和感がある」
「膝を曲げると痛みを感じる」
そのような膝の問題を抱えている方に向けて、本記事では膝の痛みの原因と対処法などを解説していきます。
膝の痛みの症状
簡易セルフチェックリスト
- 歩き始めるときに膝が痛む
- 朝起きて膝を動かすと痛む
- 膝が腫はれる
- 階段の上り下りで膝が痛む
- 膝の内側を押すと痛い
- 正座がしづらい
- 30分以上歩くと膝が痛い
- 和式トイレがつらい
- 膝を動かすとギシギシ音がする
- 鎮痛剤を飲んでも膝が痛い
5個〜10個:膝の病気である可能性が高い
上記したチェックリストが5個以上当てはまる場合、膝の病気である可能性が高いです。
早急に膝の痛みの原因を突き止め、何の病気に当てはまるのかを理解した方が良いでしょう。
膝の病気は放置し続けると徐々に悪化してしまい、最終的に日常生活に支障をきたす可能性も考えられます。早めに病院に行って治療を行いましょう。
1個〜4個:膝の病気の可能性あり
チェックリストのうち5個以上当てはまらなかったとしても、1個当てはまるだけで膝の病気である可能性は否定できません。
数が多ければ多いほど膝の病気である可能性は高くなりますが、1つでも当てはまる場合には注意が必要です。
様子を見て治らなそうであれば、病院で診てもらった方が安心できるでしょう。
不安な方は今すぐにでも病院に行って診てもらうのがおすすめです。
0個:膝の病気の可能性は低い
チェックリストに当てはまる項目がなかった場合、現時点では膝の病気である可能性は低いと言えます。
ただ、チェックリストの中で回答に迷った項目もあるかと思います。結局は人それぞれ症状に対する感じ方は異なるため、チェックリストが全て正しいわけではありません。
つまり、チェックリストに当てはまる項目がなかったとしても「100%病気ではない」とは言い切れません。
どうしても気になる方は、一度病院で診てもらう方が安心できるでしょう。
膝が痛い原因・考えられる病気って何?
では、膝の病気にはどのような種類が存在しているのでしょうか。
病気の種類によっては放置していると後々症状が悪化してしまう可能性も十分に考えられます。膝の痛みは日常生活に影響が出てくる場合も多いため、非常に重要な部位ですよね。
病気の特徴や原因をしっかりと理解し、自分の症状と照らし合わせてみてみましょう。
膝の病気の代表例は以下の5つが挙げられます。
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
- 大腿骨顆部骨壊死
- 半月板損傷
- 痛風
①変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、関節の軟骨部分がすり減ることによって歩行時などに痛みが生じる病気です。注意点として、一度すり減った軟骨は自然に元に戻ることはありません。
変形性膝関節症の特徴・症状
変形性膝関節症は段階によって症状の特徴が異なります。
初期症状としては軽い痛みや違和感のみにとどまる場合がほとんどで、しばらくしたら自然に痛みが引くことも多いです。
ただ、病状が進行すると痛みがひかなくなり、膝の変形が目に見えてわかるようになっていきます。
最終的には、歩いたりしゃがんだりすることさえ難しい状態にまで悪化してしまう可能性も考えられるでしょう。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症の原因は老化による場合が多く、50代以上の女性によくみられる病気です。変形性膝関節症の患者はおおよそ80%程度が女性だと言われており、これは女性ホルモンが関与しています。
また、肥満や遺伝的な要因によっても引き起こされる可能性が高くなる点も理解しておきましょう。
加えて骨折や靭帯損傷、半月板損傷などの後遺症として発症することもあります。
出典:日本整形外科学会
変形性膝関節症の対処法・治療法
変形性膝関節症の治療法は現在様々な方法があります。具体的には以下の5つです。
ただ、治療法に関しては保険適用外の治療もあるため、実際に治療する際はその点も考慮した上で決めることになるでしょう。
下記に記載してある5つの中で保険適用外の治療は「再生治療」です。再生治療の費用は数十万円かかる場合が大半ですので、あらかじめ理解しておきましょう。
- 保存療法
- 薬物療法
- 装具療法
- 再生治療
- 手術療法
②関節リウマチ
関節リウマチとは、関節が炎症を起こして腫れたり痛みが出たりする病気です。放置しておくと、最悪の場合関節が変形する場合もあります。
関節リウマチの特徴・症状
関節リウマチは関節が炎症することによって腫れや痛み、発熱などが起こります。また、関節以外にも全身に倦怠感や痛みの症状があらわれることも。
全年齢で起こりうる病気ですが、30代〜50代が最も多いです。また、変形性膝関節症と同様に女性の割合が多い傾向があります。
変形性膝関節症とは異なり、膝を使っていない時にも痛みを感じることが多いのも特徴的です。
関節リウマチの原因
関節リウマチの詳しい原因については解明されていません。
ただ、免疫システムが異常を起こすことによって、関節を守る組織などを攻撃して破壊してしまうのが要因の1つだと言われています。
詳しい原因は明らかにされていませんが、ストレスや出産、過労などによっても発症するリスクが高くなる点も押さえておきましょう。
遺伝的なものも多少影響しますが、そこまで大きな影響はないと言われています。
関節リウマチの対処法・治療法
関節リウマチの治療法は薬物治療がほとんどです。
関節リウマチは完治することは難しいため、治療の目的は症状が治まって穏やかな状態になる「寛解」を目指しています。
早期に治療を行うことによって関節リウマチの進行を抑えられる可能性が高くなる点も理解しておきましょう。
基本的には薬物治療ですが、症状によっては手術やリハビリテーションなども組み合わせて治療を行います。
③大腿骨顆部骨壊死
大腿骨顆部骨壊死とは、大腿骨(だいたいこつ)の膝関節付近にある顆部(かぶ)が壊死してしまう病気です。
大腿骨顆部骨壊死の特徴・症状
大腿骨顆部骨壊死が発症すると、突発的に膝の痛みを感じるケースが多い傾向があります。
大腿骨顆部骨壊死に関しても女性の方がなりやすく、50歳以上の方が発症するケースが多いらしいです。特に膝関節の内側に痛みを伴います。
また、膝を動かしている時だけではなく安静時にも痛みを伴うのが特徴です。加えて、先ほど説明した変形性膝関節症を発症し、その合併症として発症するケースもあります。
大腿骨顆部骨壊死の原因
大腿骨顆部骨壊死に関しても原因は明らかにされていません。
ただ、いくつか発生するメカニズムが考えられており、その1つが血流障害です。血流が正常に流れているのであれば、骨が新陳代謝を行うために必要な養分を補えます。
ただ、血流障害が起きてしまうと骨の活動が正常ではなくなってしまうわけです。骨の活動が正常ではない状態で膝に負荷がかかることによって、大腿骨顆部骨壊死が発生してしまいます。
大腿骨顆部骨壊死の対処法・治療法
大腿骨顆部骨壊死の治療法に関しては、「保存療法」と「手術療法」の2つがメインです。
まずは松葉杖やサポーターなどで膝の負担を軽減し、同時に薬物療法なども行っていきます。肥満の場合には膝の負担を減らすためにカロリーコントロールなどで減量を行う必要があるかもしれません。
それでも効果が得られない場合は最終的に手術療法が行われる場合もあります。
④半月板損傷
半月板損傷は、膝関節内に存在している半月板において、何らかの影響で亀裂が入ったり断裂したりした状態を意味します。
半月板損傷の特徴・症状
半月板損傷の症状としては、膝を曲げたり伸ばしたりする際に激しい痛みを伴うことが挙げられます。
ひどい場合には膝を伸ばしたり曲げたりすることが完全にできなくなる場合も。膝を動かして際に音がなったり、ゴリッというような感覚を感じるケースも多いです。
また、いわゆる「水が溜まっている状態」である水腫が発生することもあります。
半月板損傷の原因
半月板損傷の代表的な原因はスポーツです。瞬間的に強い負荷がかかることによって半月板が損傷してしまいます。
バスケットボールやバレーボール、ラグビーなどの膝に負担がかかる場面が多いスポーツをしている人が発症するケースが特に多いです。
また、加齢が原因となる場合もあります。加齢によって半月板の機能が落ち、日常的な動作でも半月板が損傷するケースも考えられるわけです。
半月板損傷の対処法・治療法
半月板損傷の治療は損傷部位の切除術や半月板縫合手術などが一般的です。
手術後にリハビリテーションなどを行い、膝の機能を元通りにしていきます。しかし、手術は入院が必要になってしまうのがデメリットだと言えるでしょう。
そこで近年では入院を必要としないPRP(多血小板血漿)と呼ばれる治療の注目度が高くなってきています。特に、スポーツ選手などはPRPを用いることが多いです。
⑤痛風
痛風とは、膝や足の指など足を中心として関節が腫れて激痛が走る病気です。痛風発作とも呼ばれます。
痛風の特徴・症状
痛風の特徴は、とにかく激しい痛みを伴うことです。「風が吹くだけでも痛い」という特徴から痛風と呼ばれています。
痛風は日中よりも夜間に出るケースが多く、ひどい場合では眠れなくなるほど痛みを伴う場合も考えられるでしょう。
痛みはおおよそ1週間から10日くらい続きます。痛風は一度痛みが引いたとしても再発する場合も多く、繰り返すと変形性関節症を患ってしまう危険性も高いです。
痛風の原因
痛風は血液中の尿酸値が上昇する「高尿酸血症」が原因となって発症します。
高尿酸血症が引き起こされる要因は色々存在していますが、暴飲暴食や飲酒、激しい運動などが代表例です。食事に関しては、プリン体を多く含むレバーや白子などを食べすぎると痛風になる可能性が高くなります。
また、痛風はホルモンの関係で男性が発症するケースがほとんどです。患者の9割以上が男性だと言われています。
痛風の対処法・治療法
痛風の治療は薬物療法が一般的です。まずは痛みを軽減させる鎮静剤を飲み、痛みが和らいだのちに尿酸を下げる薬を飲みます。
痛風の対処法としては、日々の生活水準を改善させることが非常に重要です。プリン体などを多く含む食材の摂取を控えたり、暴飲暴食をやめたりなど、日頃の生活習慣で予防できるケースも多いでしょう。
膝の痛み・症状を予防する方法とは?
続いて、膝の痛みや症状を予防する方法について説明します。
膝の痛みを抱えてしまうと日々の生活が困難になり、精神的にも辛くなってしまうケースも多いです。予防方法を事前に理解し、膝の症状が起きないようにしていきましょう。
- 正座はできるだけ避ける
- 肥満の方は減量して膝に負担をかけないよう減量
- 重いものを持つ仕事は避ける
- 洋式トイレを使用する
- 大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)を鍛える
①正座はできるだけ避ける
正座は膝にとって非常に負担が大きい姿勢だと言えます。正座と同様にあぐらや横座りなどの動作も膝への負担が大きいため、できるだけ控えることがおすすめです。
ただ、仕事などでどうしても正座をする機会が多い人もいらっしゃると思います。
どうしても正座をしなければならない場合は、正座の回数や時間を減らすだけでも膝の痛み予防は可能です。
②肥満の方は膝に負担をかけないよう減量
当然ですが、体重が重ければ重いほど膝の負担は大きくなります。つまり、肥満によって膝の病気のリスクは高くなってしまうわけです。
また、肥満は膝の痛み以外にもがんや糖尿病などその他さまざまな生活習慣病にも影響してきます。
BMIが高い人はできるだけ標準体型に近づくように努力をするのがおすすめです。
③重いものを持つ仕事は避ける
重いものを持つことによって、当然膝の負担は大きくなります。重い荷物を持つ仕事はできるだけ控えておいた方が良いでしょう。
また、買い物などで重いものを持つ機会もできるだけ少なくすべきです。例えばスーパーやデパートで買い物をする際は、ショッピングバッグを手に持って移動するのではなくショッピングカートを使って移動することをおすすめします。
④洋式トイレを使用する
外でトイレをする際は、まだまだ和式トイレも存在していますよね。
和式トイレは膝の負担が大きく、あまり利用はおすすめできません。しゃがむような姿勢を取ると、変形性膝関節症のリスクが高くなってしまいます。
外でトイレの形式を選ぶことは難しい場合もあると思いますが、できる限り洋式トイレを利用することがおすすめです。
⑤大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)を鍛える
一般的に、筋肉が衰えると膝の痛みが起きやすくなります。大腿四頭筋を鍛えることによって膝の痛みを予防することが可能です。
大腿四頭筋とは太腿の前側の筋肉で、スクワットなどによって鍛えられます。ただ、スクワットもやり方によっては膝の負担が高くなってしまう点には注意が必要です。
膝に負担がかかりにくい方法なども存在しているため、日頃から無理のない範囲内で行ってみましょう。
変形性膝関節症は20代で急に膝が痛くなることも!
違和感を感じたら専門医に相談しよう
先ほどから紹介しているように、膝の病気は40代以降に発症するケースが多いです。変形性膝関節症に関しても同様に、50代以降の女性に多くみられる病気になっています。
ただ、20代でも変形性膝関節症になる可能性はゼロではありません。骨折や半月板損傷の経験がある方は特に発症のリスクが高くなります。
紹介した症状などをみて、「もしかしたら変形性膝関節症かも」と気になる方は専門医に相談してみましょう。相談した上で問題がなかったとしても、それはそれで良いと思います。
問題なのは「大丈夫だ」と思って放置した結果、悪化してしまうことです。
膝の病気に関わらず病気はできるだけ早期に発見して治療するのが重要になります。少しでも違和感を感じたら一度相談をしてみましょう。
膝の痛み症状に関するよくある質問
最後に膝の痛みに関する「よくある質問」にお答えしていきます。
よくある質問は以下の4つです。
- 変形性膝関節症ってどんな症状?
- 変形性膝関節症はどんな人に多い?
- 膝が痛い時はどうしたらいいですか?
- 膝が痛い時は歩かない方がいいですか?
変形性膝関節症ってどんな症状?
変形性膝関節症は症状の段階によって特徴が異なります。
軽度であれば軽い痛みや違和感のみの場合が大半です。軽度の場合は安静にしていれば自然と痛みが引く場合も多いでしょう。
しかし、そのまま放置し続けると継続して痛みを感じるようになったり、膝の形が変形したりします。
最終的には、普通に歩行することすら困難な状態になってしまう可能性がある点を理解しておきましょう。
変形性膝関節症はどんな人に多い?
変形性膝関節症は50代以上の女性によくみられる病気です。割合としては80%程度が女性だと言われています。
ただ骨折や靭帯損傷、半月板損傷などの経験がある場合は注意が必要です。これらの後遺症として発症することもあり、20代でも変形性膝関節症を発症している方もいらっしゃいます。
また、肥満や遺伝的な要素も変形性膝関節症にかかりやすい人の特徴に含まれる点も理解しておきましょう。
膝が痛い時はどうしたらいいですか?
膝が痛い場合には、まずは上記したチェックリストを見てみましょう。1つでも当てはまる場合には膝の病気の可能性が考えられます。
「若いから大丈夫だ」「健康だから問題ない」と安易に考えるのではなく、膝の痛みが気になるようであれば老若男女問わず病院で診てもらうことがおすすめです。
早期治療によって悪化を防げる場合が大半ですので、早めの行動を心がけましょう。
膝が痛い時は歩かない方がいいですか?
症状によっては歩かない方が良い場合もあります。しかし、歩かずに日常生活を行うことは非常に困難ですよね。
したがって、歩かないというよりも「歩く姿勢を意識する」ことを心がけましょう。歩き方によって膝への負担は大きく変化します。
例えば、常に膝が曲がっている状態で歩くことは膝への負担がかかりやすいです。そういった一工夫で膝への負担は軽減されるため、意識して歩くことが重要でしょう。
膝の痛み症状チェックのまとめ
膝の痛みは日常生活に強く影響してくるため、原因をできるだけ早く見つけて治療するのがベストです。
「これくらいなら大丈夫だろ」と安易に考えるのではなく、痛みや違和感を伴う場合には病院で診てもらうようにしましょう。
また、普段からの行動次第で膝への負担を減らして膝の病気リスクを下げることも可能です。今回紹介した方法を日常的に活用してみましょう。
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