膝の痛みを場所・部位別に原因を解説!膝が痛む場合の治療法や自宅でできるセルフケア方法も紹介

「膝の痛みの原因を知りたい」
「部位や場所による膝の病名を知りたい

そのような方に向けて、本記事では膝の病気の種類や痛みの原因などについて解説します。

膝の痛みの原因は?
場所・部位別に考えられる病気をチェック!

一口に「膝の痛み」と言っても、膝のどの部位が痛いのかによって病気の種類はさまざまです。そこで、膝の場所・部位に分けてそれぞれにどのような膝の病気があるのかを確認していきます。

自分の症状と照らし合わせて、自身の膝の痛みが何の病気である可能性が高いのかを見極めてみてください。病気の種類によっては早急に病院で診てもらう必要がある点も注意しましょう。

  1. 膝の内側が痛む場合
  2. 膝の外側が痛む場合
  3. 膝上が痛む場合
  4. 膝下が痛む場合
  5. 膝の裏側が痛む場合

①膝の内側が痛む場合

膝の痛みが内側の場合には、以下の4つの病気である可能性が考えられます。

  1. 変形性膝関節症
  2. 鵞足炎(がぞくえん)
  3. 内側半月板損傷
  4. 内側側副靱帯損傷

それぞれの特徴や具体的な症状について解説していきます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは膝関節の軟骨部分がすり減ることが要因で、歩行時などに痛みを伴う病気です。

初期症状は軽い痛みや違和感である場合が多いですが、悪化していくと最終的に歩くのも困難になる可能性もあります。変形性膝関節症の患者は50代以上の女性が大半で、老化が要因となって発症するケースが多いです。

鵞足炎(がぞくえん)

鵞足炎とは、膝関節下方の脛骨の内側に繋がっている部位である「鵞足」に炎症が生じる病気です。

鵞足炎は膝を伸ばしたり曲げたり、内転動作を行ったことをきっかけとして発症します。内転動作とは、内側から外側に向けてひねるような動作のことです。

鵞足炎はスポーツ選手などによく起こる症状で、特に陸上競技やバスケットボールなどをやっている人に多い傾向があります。

内側半月板損傷

内側半月板損傷とは、半月板のうち内側に位置する半月板が損傷する病気です。内側半月板損傷は中高年の女性によくみられる症状となっています。

半月板は加齢と共に変形しもろくなってしまうため、中高年の女性であればちょっとした衝撃で損傷してしまう可能性も考えられるわけです。20代などの若い世代でも、スポーツなどによって発症する可能性もあります。

内側側副靱帯損傷

内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたい)とは、脛骨と大腿骨を繋げている靭帯である「内側側副靱帯」が損傷してしまっている病気です。

外側からの強い衝撃に対して内側側副靱帯が耐えきれず、内側側副靱帯が伸びたり切れたりしてしまうことによって発症します。特にアメフトやラグビーなど選手同士のぶつかり合いが激しいスポーツをやっている際に起こりうることが多いです。

②膝の外側が痛む場合

続いて、膝の外側が痛くなる病気について解説していきます。膝の外側が痛くなる病気は以下の3つです。

  1. 外側側副靭帯損傷
  2. 腸脛靱帯炎(ランナー膝)
  3. 外側半月板損傷

それぞれの特徴や具体的な症状について解説していきます。

外側側副靭帯損傷

外側側副靭帯損傷とは、内側側副靱帯損傷とは逆の現象が起きている病気です。内側から外側にかけて強い衝撃が加わった場合、外側側副靭帯が衝撃に耐え切れずに伸びたり切れたりしてしまうことによって発症します。

アメフトやラグビーなどの選手同士の衝突が激しいスポーツで頻発し、交通事故などで発症する人も多いです。

腸脛靱帯炎(ランナー膝)

腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)とは、太ももの外側にある靭帯の「腸脛靱帯」が炎症を起こしている病気です。

ランナー膝と呼ばれる通り、過度なランニングによって発症しやすいのが特徴として挙げられます。単にランニングのしすぎだけではなく、ウォーミングアップ不足や筋力の低下によって引き起こる可能性が高くなる点も理解しておきましょう。

外側半月板損傷

外側半月板損傷とは、半月板のうち外側に位置する半月板が損傷する病気です。外側半月板損傷に関しても中高年の女性によくみられます。

半月板は加齢と共に変形しやすくなるため、年齢が上がるにつれて損傷するリスクも高くなってしまうわけです。中高年の方であれば、日常生活のちょっとした動作でも引き起こる可能性も考えられます。

③膝上が痛む場合

次に、膝の上部分が痛む場合に考えられる病気について解説します。膝の上側が痛くなる病気は以下の3つです。

  1. 大腿四頭筋腱炎(ジャンパー膝)
  2. 大腿四頭筋付着部炎
  3. 膝蓋大腿関節症

それぞれの特徴や具体的な症状について解説していきます。

大腿四頭筋腱炎(ジャンパー膝)

大腿四頭筋腱炎とは、膝蓋骨(しつがいこつ)と大腿四頭筋を結ぶ腱に炎症が起きる病気です。

膝蓋骨とは、いわゆる「膝のお皿部分」であり、大腿四頭筋腱炎は膝のお皿上部に炎症が発生することを意味しています。ジャンパー膝とも呼ばれている通り、ジャンプを繰り返し行うことによって引き起こるケースが多いです。

特にバレーボールやバスケットボールをやっている人は注意する必要があるでしょう。

大腿四頭筋付着部炎

大腿四頭筋付着部炎とは、膝蓋骨の上部に炎症が起きる病気です。ジャンパー膝と同じようにジャンプなどを頻繁に行うスポーツにおいて発症しやすい特徴があります。

膝のお皿上部に痛みが発生した場合は「大腿四頭筋付着部炎」で、下部に痛みが発生した場合は「大腿四頭筋腱炎(ジャンパー膝)」だと認識しておきましょう。

膝蓋大腿関節症

膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)とは、膝蓋骨がずれることによって膝蓋大腿関節に炎症が起きて痛みを感じる病気です。

膝のお皿の裏部分に痛みや違和感を感じるケースがあります。加齢や筋肉の低下によって引き起こるリスクが高くなり、特に女性に多いです。

④膝下が痛む場合

次に、膝下が痛む場合に考えられる病気について解説します。膝下が痛くなる病気は以下の2つです。

  1. オスグッド病
  2. 膝蓋靭帯炎(膝蓋腱炎)

それぞれの特徴や具体的な症状について解説していきます。

オスグッド病

オスグッド病とは、膝のお皿下部分の「脛骨結節部」が引っ張られることによって炎症を生じる病気です。オスグッド病はスポーツなどを行なっている最中のみ痛みが生じて、休むと痛みがやむ傾向があります。

特に成長期の子供に多い病気で、ジャンプやダッシュが多いバレーボールやバスケットボールで起こりうる可能性が高いです。

膝蓋靭帯炎(膝蓋腱炎)

膝蓋靭帯炎とは膝蓋骨と脛骨をつなぐ部分の「膝蓋靭帯」に炎症が生じている病気です。ジャンパー膝と同様に、ジャンプなどが頻発するスポーツを行なっている場合によくみられます

また、膝蓋靭帯炎に関しても成長期に発症しやすい点も理解しておきましょう。

⑤膝の裏側が痛む場合

最後に、膝の裏側が痛む場合に考えられる病気について解説します。膝の裏側が痛くなる病気は以下の3つです。

  1. 関節リウマチ
  2. ベーカー嚢腫
  3. 膝靱帯損傷

それぞれの特徴や具体的な症状について解説していきます。

関節リウマチ

関節リウマチとは、免疫システムの異常によって関節に炎症が出る病気です。詳しい要因などは明らかにされていませんが、喫煙や歯周病が影響して発症するとも言われています。

また、関節リウマチは発症の大半は女性で、特に40代〜60代の女性によくみられる病気です。

ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫(のうしゅ)とは、膝の裏に滑液包が膨らんで炎症を起こす病気です。最悪の場合、ゴルフボールくらいの大きさにまで膨れ上がり、強い痛みとともに可動域が狭まってしまう危険性があります。

ベーカー嚢腫は単独で発症するのではなく、変形性膝関節症や関節リウマチの合併症として発症するのが大半です。

膝靱帯損傷

膝靱帯損傷とは、膝が後ろにずれることを防いでいる靭帯が損傷してしまっている病気です。スポーツや交通事故などによって膝に強い衝撃が加わった際に引き起こります。

強い痛みや腫れが見られることも多く、最悪の場合歩くのさえ困難な状況にもなりかねません。

膝が痛む場合の主な治療法は?
目的に合わせた3つのポイントを紹介!

続いて、膝の病気の治療法について解説していきます。膝の病気の治療法に関しては、目的に応じて3つの方法が存在しています。

具体的には「保存療法」「薬物療法」「手術療法」の3つです。それぞれの治療法の具体例を解説します。

  1. 進行を遅らせることを目的とした保存療法
  2. 痛みに効果的な薬物療法
  3. 症状の進行度合いによっては手術療法

①進行を遅らせることを目的とした保存療法

保存療法は、病気の進行を遅らせることが目的です。。保存療法としては以下の3つが挙げられます。

  1. 運動療法(リハビリテーション)
  2. 物理療法
  3. 装具療法

それぞれ具体的に説明していきます。

運動療法(リハビリテーション)

運動療法とは、運動を行うことで膝の病気の改善を促進させることを目的とした治療法です。

ウォーキングなどの有酸素運動や、筋力トレーニングなど症状によって行われる種類は多種多様となっています。

物理療法

物理療法とは電気や超音波などの物理的なエネルギーを活用し、痛みの改善などを目的とした治療法です。

具体的な例としては、電気刺激療法や超音波療法などが挙げられます。

装具療法

装具療法とは装具を着用し、膝の痛みの緩和などを目的とした治療法です。

膝の痛みに効果的な装具としては、膝のサポーターや靴底インソールなどが挙げられます。

②痛みに効果的な薬物療法

薬物療法は、膝の痛みを緩和させることが目的です。薬物療法としては以下の3つが挙げられます。

  1. ヒアルロン酸注射
  2. ステロイド注射
  3. 消炎鎮痛剤

それぞれ具体的に説明していきます。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射は、膝の痛みの初期症状によく用いられる治療法です。

ヒアルロン酸を関節内に注射することによって関節の痛みを緩和したり、関節の動きを滑らかにしたりすることが可能になります。

ステロイド注射

ステロイド注射はヒアルロン酸注射とは異なり、膝の痛みが強い場合に用いられる治療法です。

ただ、ステロイド注射を複数回打つことによって軟骨の新陳代謝に悪影響を及ぼす可能性がある点には注意する必要があります。

消炎鎮痛剤

消炎鎮痛剤とは外用薬や内服薬によって痛みを緩和させる治療法です。

飲み薬や塗り薬など膝の痛みによって方法はさまざまですが、有名どころで言うとロキソニンも消炎鎮痛剤となります。

③症状の進行度合いによっては手術療法

手術療法は、膝の病気の症状によって行われる治療法です。手術療法としては以下の3つが挙げられます。

  1. 関節鏡視下手術
  2. 膝関節を温存する方法(骨切り術)
  3. 人工関節置換術

それぞれ具体的に説明していきます。

関節鏡視下手術

関節鏡視下手術とは傷口が小さいため手術痕が小さくて済むのが特徴で、関節を修復したり損傷部分を切除したりできる手術です。

傷口が小さくて済むメリットとしては、痛みが少なかったり入院期間が短くなったりする点が挙げられます。

膝関節を温存する方法(骨切り術)

膝関節を温存する方法は、膝関節を切除することなく行われる手術です。

病状の進行がそれほど進んでいなく、回復能力が高い若年層に関しては膝関節を温存する手術が行われる傾向があります。

人工関節置換術

人工関節置換術は関節を温存する手術とは反対に、人工的な関節を入れて手術を行う手術です。

回復能力が低い中高年や、症状の進行が進んでいる人に対しては人工関節置換術が用いられる傾向があります。

膝が痛む際に自宅でできる
セルフケや対処法5選!

続いて、膝の痛みを感じた場合に自宅でできるセルフケアについて解説していきます。もちろん、病院に行って医者の方から言われたことに従うのがベストですが、自分でできることもあるわけです。

自分でできるセルフケアとしては、以下の5つが存在しています。自分の中でできそうなものから積極的に取り組んでみましょう。

  1. 膝の痛む部位に合わせたストレッチ
  2. 冷やすor温める
  3. 湿布を貼る
  4. サポーターを着ける
  5. テーピングで固定する

膝の痛む部位に合わせたストレッチ

膝の痛みは、膝関節の柔軟性が低下したことが要因の1つとなる場合も多いです。したがって、膝関節の柔軟性を高めるストレッチは膝の痛みに効果的でしょう。

部位によって効果的なストレッチなどは異なるため、自分の痛む部位に合わせて調べてみることをおすすめします。ただ、痛みを伴うストレッチは逆効果になる場合が多いため、負担はできる限り抑えて行いましょう

冷やすor温める

膝の痛みがある場合には、基本的に血流促進のために温めた方が良いです。日頃から入浴をしたり、膝が冷えないようにしたり工夫をしてみましょう。

ただ、膝に炎症が起きている場合には一時的に冷やすのも効果的です。濡れタオルや氷を用いて、炎症が引くまで1日数回に分けて行なってみましょう。

湿布を貼る

膝に炎症が起きている場合には湿布を貼るのもおすすめです。湿布を貼る際に、「温湿布と冷湿布どちらがいいのか」と気になる方もいらっしゃるかと思います。結論、膝の痛みを感じる場合には冷湿布・温湿布どちらでも好きな方で大丈夫です。

ただ、温湿布は場合によっては肌がかぶれることもありますので、かぶれた場合には冷湿布や他の湿布を利用するようにしましょう。

サポーターを着ける

膝の痛みにサポーターは、膝をサポートすることによって膝関節を安定させることが可能です。

また、サポーターをつけることによって患部の温度が上がるため、冷えによる血流悪化を防ぐことが可能な点もメリットとして挙げられます。膝のサポーターは病院以外でもドラッグストアにも販売しているため、ご自身の膝の痛みに合ったものを色々比較してみましょう。

テーピングで固定する

サポーターと同様に、膝の痛みを和らげられるのがテーピングです。テーピングは、無理やり可動域を減らすことによって膝の痛みが起きないようにする方法となっています。

膝の痛みの種類によってテーピングの方法も異なるため、ご自身の痛みの状況に合わせて巻き方や強度なども変えるようにしましょう。

膝の痛みの場所に関するよくある質問

最後に、膝の痛みの場所に関する「よくある質問」について答えていきます。よくある質問として挙げられるのは以下の6つです。

  1. 膝が痛い時は歩いてもいいですか?
  2. 膝の外側の痛みの治し方はある?
  3. 膝の内側が痛いのは何が原因?
  4. 膝の痛みは通院だけで治療することはできますか?
  5. 膝の痛みの治療は保険適用になりますか?
  6. 高校生や20代でも急に膝が痛くなることはありますか?

それぞれの質問について具体的に答えていきます。

膝が痛い時は歩いてもいいですか?

膝が痛かったとしても、適度な運動は効果的です。したがって、膝に痛みがあったとしても運動は積極的に行なっていきましょう。

運動をする際にはサポーターをしたり、テーピングをしたりするなど工夫すれば痛みを感じにくく運動をしやすいと思います。ただ、過度な運動は逆効果ですので、痛みが悪化しない範囲内で行うようにしましょう。

膝の外側の痛みの治し方はある?

膝の外側の痛みに該当する可能性があるのは以下の3つの病気です。

  1. 外側側副靭帯損傷
  2. 腸脛靱帯炎(ランナー膝)
  3. 外側半月板損傷

病気の症状や程度によって治し方は異なります。ただ、膝の部位や場所によらず上記したセルフケアは効果的ですので、ぜひ取り入れてみてください。

膝の内側が痛いのは何が原因?

膝の内側が痛い場合に考えられる病気は以下の4つです。

  1. 変形性膝関節症
  2. 鵞足炎(がぞくえん)
  3. 内側半月板損傷
  4. 内側側副靱帯損傷

老化によるものや、衝撃によるものなど病気の種類によって異なります。したがって一概に1つに絞ることはできません。

原因は上述しましたので、詳しくはそちらをご覧ください。

膝の痛みは通院だけで治療することはできますか?

膝の痛みは通院するだけで治療できる場合も多いです。まずは運動療法や物理療法で回復を試み、それでも無理な場合は手術が必要なケースもあります。

ただ、いずれにせよ早めに通院して早く治療を行ったほうが良いです。軽い痛みや違和感だけでも放置していると悪化してしまうケースも多いため、できる限り早く病院に行きましょう。

膝の痛みの治療は保険適用になりますか?

膝の痛みの治療が保険適用できるかどうかは、受診する場所によって異なります。

膝の痛みを感じる場合には、整形外科もしくは接骨院のどちらかになるでしょう。整形外科は医師が担当しますが、接骨院は医師ではなく柔道整復師です。

つまり、保険適用になるのは整形外科の治療に限られます。ただ、整形外科の治療でも治療内容によっては保険適用外になる治療も存在している点には注意が必要です。

高校生や20代でも急に膝が痛くなることはありますか?

高校生や20代の方でも、急に膝の痛みが出る可能性はあります。特に、スポーツなどを行なっている方は膝の痛みが出やすいです。

「若いからすぐに治るだろう」と安易に考えるのではなく、膝に痛みが出た場合には医師に相談してみることをおすすめします。

早めに対処すれば早く治る場合が大半ですので、少しの痛みや違和感でも一度相談してみてはいかがでしょうか。

膝の痛み場所・部位のまとめ

今回は、膝の部位や場所別の原因と治療方法などを解説していきました。

膝の病気は部位や場所によってさまざまな種類があるため、素人が自分の症状について完全に理解することは難しいでしょう。膝の痛みの部位ば場所に限らず、痛みや違和感がある場合には早めに医師に相談してみることをおすすめします。

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