「PTSDの診断書はすぐもらえる?」
「PTSDの診断基準や診断書のもらい方の流れを詳しく知りたい」
「PTSDで診断書をもらった後の手続きは?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
PTSDの診断書発行スピードはクリニックや医師によっても異なり、発行までに数日〜1週間程度かかる場合があります。
そのため、診断書をすぐに受け取り療養を始めたい方は診断書をすぐもらうための条件を理解しておく必要があります。
本記事ではPTSDで診断書をすぐもらうための条件や具体的な診断基準を紹介します。また、診断書をもらう流れやもらった後の手続きについても解説するためぜひ参考にしてください。
*当院ではPTSDでの休職診断書は対応できない場合があります。あらかじめこ了承ください。
そもそもPTSDとは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、命にかかわるような事件や事故、もしくは強い心理的ショックを受けた出来事を経験した後に発症する心の障害です。
その後の生活において過去の出来事がフラッシュバックとして蘇り、生活に大きな支障を与えることがあります。
PTSDは戦争経験者や災害被災者、暴力の被害者などに多く見られます。
自然治癒が難しい精神疾患であり、放置しておくと他の精神疾患を併発するリスクもあるため適切な治療が必要とされます。
PTSDにより併発する恐れのある精神疾患
PTSDにより併発の可能性がある精神疾患には以下のものがあります。
- うつ病
- 双極性障害
- 不安障害
- パニック障害
- 睡眠障害
さまざまな精神疾患を併発して症状が悪化するケースも多いため、早めの治療が必要です。
また、PTSDを抱える患者様は過度な不安からアルコールや薬物などの物質依存に陥るリスクも高まります。
PTSDの4つの症状
PTSDの症状は、おおきく4つのカテゴリーに分けられます。
- 回避・麻痺症状
- 侵入症状
- 過覚醒症状
- 認知と気分の陰性変化
症状について詳しく理解することが、症状を治療する際に役立ちます。それぞれ確認していきます。
回避・麻痺症状
回避・麻痺症状とは、トラウマとなった出来事やそれに関連する状況、場所、人、感情を避け、関わりを持たないようにする症状です。
また、感情が麻痺したような状態になることも特徴で、以前は楽しかった活動に興味を失ったり、他者との関係に淡白になったりします。
これによって、社会生活において孤立を深める可能性が高まります。
侵入症状
侵入症状は、トラウマとなった出来事に関する不快な記憶が突然思い出され、その場に再びいるかのように感じることです。
これにより、恐怖や焦燥感が強くなり、眠れない夜が続くこともあります。
侵入症状は、一見平穏な日常生活でも突然現れることがあるため、予期せぬストレスを引き起こします。
過覚醒症状
過覚醒症状とは、常に警戒心が高まり、神経が過敏な状態になっている状態のことを指します。
例えば、小さな音に驚きやすくなったり、常に危険を感じやすくなったりします。
また、怒りっぽくなったり、集中力が低下するといった症状も見られます。
認知と気分の陰性変化
認知と気分の陰性変化により、過去の出来事について誤った認識を持ち、自分自身や他者に対して否定的な感情を抱くことがあります。
幸福感を感じにくくなり、恐怖や怒りなどの感情が強く現れやすくなります。
その結果、人間関係にも悪影響を及ぼし、孤立感を深める恐れもあります。
単純性PTSDと複雑性PTSDの違い
PTSDは症状が発症した原因や経緯によって単純性PTSDと複雑性PTSDに分類されます。
それぞれの違いは以下の通りです。
単純性PTSD | 複雑性PTSD |
単発的に生じた辛い出来事や恐怖が引き金となって引き起こされるPTSD | 長期的に繰り返されたトラウマ的体験によって引き起こされるPTSD |
単純性PTSDは比較的短期的な治療で症状の改善が期待できますが、複雑性PTSDは症状がより長期的で深刻なため、治療にも時間がかかる傾向にあります。
PTSDで診断書に記載される内容
診断書は休職や各種公的サービスを利用して患者が日常生活で必要とする支援を受けるための重要な書類です。
診断書には患者様の具体的な症状や治療計画、治療期間など以下の項目が記載されます。
病名 | 医師の診断で、その人の病名を記載します。 |
環境調整の見解 | 環境調整が必要な場合の具体的な見解について記載します。 例)「通院の継続が望ましい」や「自宅療養が望ましい」「配置の転換や異動が望ましい」 |
治療内容 | 治療の実施内容や通院の有無などを記載します。 |
治療期間 | 診断内容をもとに、どの程度の治療期間が必要かを記載します。 |
診断書を発行してもらうことで自身の症状を客観的に証明できるため会社からの理解を得やすくなります。
診断書には発行費用が必要
診断書の発行には診察とは別に費用が必要となります。
費用はクリニックや病院によって異なりますが、数千円から1万円程度であることが一般的です。
なお、診断書の発行は保険適応外となるため全額自己負担となります。
診断書の発行依頼をする場合は手持ちのお金に余裕を持ってクリニックに訪れましょう。
クリニックによっても診断書の発行にかかる期間は異なる
PTSDの診断書発行に要する期間は、クリニックの方針によっても異なります。
多くのクリニックでは即日発行は難しいケースが多く、数日から数週間を要することが一般的です。
また、クリニックの混み具合によっては発行にさらに時間がかかることがあるため余裕を持って依頼するようにしましょう。
PTSDの診断書はすぐもらえる?
PTSDの診断書はクリニックや医師の判断によっても発行スピードが異なります。
そのため、診断された当日に診断書が欲しい場合でももらえないケースもあるのです。
ここでは、PTSDで診断書がすぐもらえないケースとすぐもらうための条件を紹介します。
診断書を即日もらい、すぐに療養に入りたい方は参考にしてください。
診断書がすぐにもらえないパターン
診断書が即日発行されないケースは、症状が曖昧で一度目の診察で十分な判断ができない場合や、クリニックが診断書の即日発行に対応していない場合です。
医療機関では診断ミスが許されないため、確実にPTSDと診断できない場合は診断書の発行ができません。
また、PTSDと診断された場合でもクリニックが診断書の当日発行をしていなければその日のうちに手にすることはできません。
診断書がすぐもらえる条件
PTSDで診断書をすぐに発行してもらうためには以下の2つの条件を満たす必要があります。
- PTSDの診断基準に当てはまる
- 診断書当日発行可能なクリニックを受診する
それぞれの条件を確認して、すぐに診断書をもらえるようになりましょう。
PTSDの診断基準に当てはまる
PTSDの診断書をもらうためには、医師からPTSDと診断されなければなりません。
そのため、事前にPTSDの診断基準を確認して当てはまることを医師に伝えることが診断書をもらうためのポイントとなります。
診断基準をもとに患者様の症状が客観的にPTSDと判断できれば、医師もスムーズに診断することができます。
PTSDの診断基準
PTSDの診断基準は国際的な基準であるDSM-5をもとに診断が行われるのが一般的です。
DSM-5では、PTSDの症状である「回避・麻痺症状」「侵入症状」「過覚醒症状」「認知と気分の陰性変化」が1ヶ月以上続く場合にPTSDと診断します。
そのため、クリニックに訪れた際にPTSDの症状が1ヶ月以上続いており、早期療養が必要であることを医師に相談しましょう。
診断書の当日発行に対応している
一部のクリニックでは、診断書の即日発行に対応している場合があります。
診断書をすぐにもらいたい場合は、あらかじめ訪れるクリニックが診断書の即日発行に対応しているか確認して訪れるようにしましょう。
PTSDの診断書が必要な場面
PTSDの診断書は以下の場面で提出が必要となります。
- 休職が必要な時
- 公的制度に申請する時
診断書が必要な場面を理解して計画的に発行依頼をしておきましょう。
休職が必要な時
職場でのストレスやトラウマが原因で、仕事を続けることが精神的に困難になる場合があります。
そのような時には、医師からPTSDの診断書を取得し、休職の必要性を上司や人事部に伝えることが重要です。
診断書は、職場が従業員の健康状態を正確に把握するための資料となります。
症状を治療するために会社を休職する際にも診断書が必要となることがほとんどです。
公的制度に申請する時
PTSDの影響で生活が困難になった場合に障害者手当や自立支援医療制度など公的支援を申請する際にも診断書が必要となります。
診断書があることで申請者が抱えている障害や生活の困難さを公的機関に示すことができます。
正確な情報を提供することで、必要な支援やサポートを受けやすくなります。
診断書は客観的な証明として審査の重要な要素となるため、手続きの際は早めに発行依頼をしておきましょう。
PTSDの診断書のもらい方
PTSDの診断書をもらうための具体的な流れを4つのステップで紹介します。
- 神経科・心療内科を受診する
- 医師から診断を受ける
- 診断書の発行を依頼する
- 診断書を受け取る
診断書をスムーズにもらうための参考にしてください。
神経科・心療内科を受診する
PTSDの診断書をもらうためには、神経科や心療内科クリニックを訪れて診察を受けてください。
まずは電話やWebから予約を取りましょう。
初診では自身のPTSDの症状や生活に与える影響を詳しく説明することが大切です。
医師から診断を受ける
診療を受ける際、医師は患者の状態を理解するために、詳しい問診や心理テストを行います。
この過程で、PTSDの診断基準を満たしているかどうかが判断されます。
医師からPTSDと診断を受けたら今後の治療方針についての説明を受けてください。
治療の進め方について不明点があればまたその都度質問しましょう。
診断書の発行を依頼する
医師から正式な診断が確定した場合、診断書の発行を依頼します。
診断書は患者様から依頼されないと作成されないため、必要な場合は必ず依頼をするようにしてください。
また、診断書に必要な記載事項がある場合はその際に相談しておきましょう。
なお、診断書発行には、数日から1週間程度の時間がかかることが一般的です。
診断書が必要な日時から逆算して、早めに依頼するようにしましょう。
診断書を受け取る
診断書が完成したら、医療機関にて受け取ります。
診断書を受け取る際には、内容に誤りがないかを確認し、必要に応じて修正を依頼することも重要です。
診断書は自身の重要な証明書類となりますので、コピーを保管しておくことをおすすめします。
PTSDで診断書を受け取った後の流れ
PTSDの診断書を受け取った後の休職までの手順も解説していきます。
- 診断書を提出して休職を願い出る
- 絶対安静にして心身を休める
- クリニックを訪れて治療を続ける
早期療養によりPTSDの症状を早めに治していけるように参考にしてください。
診断書を提出して休職を願い出る
診断書を受け取ったら職場に提出し休職を願い出てください。
会社でのストレスや過度の負担が PTSD の症状を悪化させる場合があります。
会社の人事や上司と相談し休職を取得するために必要な手続きを進めましょう。
休職の相談をする際は症状や必要な休職期間など詳細を誠実に伝えてください。
絶対安静にして心身を休める
会社から休職がもらえたら自宅で療養に入ります。
休職後は、心身にストレスがかからないように心身を休めることに専念しましょう。
ストレスをできるだけ排除し、安心できる環境でリラックスして生活を送ることが大切です。
休職中は睡眠や食生活など規則正しい生活を心がけて適度な運動を摂ることで回復が早くなります。
クリニックを訪れて治療を続ける
休職期間中もPTSD の治療には定期的なクリニック訪問が欠かせません。
専門の医療機関に通院し、医師の指導のもとで治療を継続することが重要です。
PTSDの治療方法には以下の3つがあります。
- 精神療法(心理療法)
- 薬物療法
- 他の精神疾患の治療
それぞれ確認していきます。
治療方法①:精神療法(心理療法)
精神療法(心理療法)は、PTSD の治療において重要な役割を果たします。
この療法では、臨床心理士や精神科医との対話を通じて、過去のトラウマと向き合い、新たな対処法を身につけることを目指します。
ジョギングやヨガなどのリラクゼーション方法を取り入れ不安やストレスを緩和させることを目指します。
治療方法②:薬物療法
薬物療法は、PTSD の症状を軽減するための手段として広く使用されています。
処方薬には、不安やうつ症状を和らげる抗うつ薬や、過敏な感情反応を抑える抗不安薬などがあります。
医師の指導の下、適切な薬の種類と用量を決定します。
薬物療法は他の治療法と組み合わせることで、より良い効果を得られます。
治療方法③:他の精神疾患の治療
PTSD 患者は、うつ病や不安障害などの他の精神疾患と併発していることが少なくありません。
これらの疾患もしっかりと治療することが、PTSD の回復において重要です。
そのため、総合的な診断を受け必要に応じて複数の治療法を組み合わせることが望ましいでしょう。
各疾患の症状を緩和することで、PTSD に対してもより効果的な治療が可能になります。
PTSDや診断書に関するよくある質問
PTSDの治療を初めて受ける方の中にはさまざまな疑問や悩みを持たれる方が多く見えます。ここでは、PTSDや診断書に関するよくある質問を紹介します。
- PTSDを抱える方とのよりよい接し方は?
- PTSDで休職する目安の期間は?
- PTSDに併存しうる症状にはどのようなものがありますか?
疑問や悩みの解消に役立ててください。
PTSDを抱える方とのよりよい接し方は?
PTSDを抱える方との接し方で大切なのは、理解と共感を示すことです。
無理に過去の出来事について話すよう促さず、本人が話したいときに耳を傾ける姿勢が重要です。
また、相手の気持ちに寄り添いながら、安心できる環境や雰囲気で接することが大切です。
PTSDで休職する目安の期間は?
PTSDによる休職期間は、症状の重さや個人の回復力によっても異なります。
一般的には、少なくとも数週間から数ヶ月が必要とされます。
具体的な治療期間は専門の医療機関での診断とカウンセリングによって決定されます。
無理に復職を急がず、十分な休養をとることが大切です。
PTSDに併存しうる症状にはどのようなものがありますか?
PTSDには、しばしば他の精神的な症状が併存します。うつ病や不安障害、パニック障害などがよく見られます。
また、過去の出来事のフラッシュバックにより感情の過敏反応など生活の質に大きな影響を与えることがあります。
これらの症状が現れた場合は、速やかに専門家に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
PTSDは1人で抱え込まずによりそいメンタルクリニックに相談しよう!
PTSDは一人で抱え込むのではなく、信頼できる専門医のサポートを受けることが回復の第一歩です。
よりそいメンタルクリニックは、専門の医師やカウンセラーが丁寧に対応し、最適な治療プランを提供します。
症状にお悩みの方は当院までご相談ください。