シャクヤクの効果と副作用を徹底解説【飲む前に知るべきこと】

春から初夏にかけて、豪華で美しい花を咲かせるシャクヤク(芍薬)。その優雅な姿は「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と美人を形容することわざにも用いられるほどです。
観賞用として世界中で愛される一方で、古くから生薬としても用いられてきた歴史を持ち、私たちの暮らしに深く根差した植物でもあります。
この花にはどのような特徴があり、どのように育てれば良いのか。また、生薬としての効果や知っておくべき注意点、「やばい」と言われることがあるのはなぜか、そして多様な種類や美しい花言葉まで、シャクヤクに関する情報を網羅的に解説します。
シャクヤクの全てを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

シャクヤクの分類(ボタン科ボタン属)

シャクヤクの植物学上の分類は、ボタン科(Paeoniaceae)ボタン属(Paeonia)です。
同じボタン属には、よく似た姿を持つボタン(牡丹)も含まれます。この近縁関係から、芍薬と牡丹はしばしば比較されます。

芍薬と牡丹の見分け方・違い

芍薬と牡丹は非常に似ていますが、植物としての性質に明確な違いがあります。これらの違いを知ることで、どちらの植物なのか見分けることができます。

木本か草本か

最も大きな違いは、木(木本植物)か草(草本植物)かという点です。

  • 芍薬(シャクヤク): 草本植物です。冬になると地上部が枯れて根だけが残り、春に再び新しい芽を出します。茎は柔らかく、年々太くなることはありません。
  • 牡丹(ボタン): 木本植物です。冬になっても地上部が枯れず、枝がそのまま残ります。茎は木質化して太くなり、樹木のように成長します。

この「冬に地上部が枯れるかどうか」が、見分ける上で最も分かりやすいポイントです。

葉の形と光沢

葉の形や質感にも違いが見られます。

  • 芍薬: 葉にやや光沢があり、切れ込みは浅めです。全体的に丸みを帯びた印象の葉が多いです。
  • 牡丹: 葉につやがなく、切れ込みが深く、やや尖った印象の葉が多いです。

触ってみると、シャクヤクの葉はつるっとしていますが、牡丹の葉はマットな質感です。

開花時期の比較

開花時期も異なります。

  • 牡丹: 一般的に4月下旬から5月上旬にかけて開花します。
  • 芍薬: 牡丹の開花が終わる頃、5月中旬から6月上旬にかけて開花します。

「牡丹は春、芍薬は初夏」というように、開花リレーをするように咲き進むと覚えておくと良いでしょう。

これらの違いを表にまとめると、以下のようになります。

特徴 芍薬(シャクヤク) 牡丹(ボタン)
分類 草本植物 木本植物
冬の状態 地上部が枯れる 地上部(枝)が残る
葉の形 切れ込みが浅く丸みを帯びる 切れ込みが深く尖る
葉の質感 光沢がある 光沢がない(マット)
開花時期 5月中旬~6月上旬(初夏) 4月下旬~5月上旬(春)
株の成長 毎年新しい茎が出る 枝が木質化し太くなる

シャクヤクの別名・英語名(Peony)

シャクヤクにはいくつかの別名があります。
日本では、その美しい姿から「深見草(ふかみぐさ)」、「貌佳草(かおよぐさ)」などと呼ばれたこともあります。

英語では、シャクヤクも牡丹も同じ「Peony(ピオニー)」と呼ばれます。
これは、ギリシャ神話の医神パイオーン(Paion)が、この植物の根を使って神々や人々の傷を治療したという伝説に由来すると言われています。
このことからも、古くから薬効を持つ植物として認識されていたことがわかります。

シャクヤクの標準和名

シャクヤクの標準和名は「シャクヤク」です。
漢字では「芍薬」と書きます。この漢字表記は、生薬名としても用いられます。

シャクヤクの開花時期

前述の通り、シャクヤクの開花時期は一般的に5月中旬から6月上旬です。
地域や品種によって多少前後しますが、多くの場所で初夏の訪れとともに豪華な花を楽しむことができます。

目次

シャクヤクの育て方・栽培方法

美しいシャクヤクの花を咲かせるためには、適切な育て方が重要です。
ここでは、苗の選び方から日々の手入れ、冬越しまで、栽培方法を詳しく解説します。

苗の選び方と植え付け

良い苗を選ぶことと、適切な時期に正しく植え付けることが、その後の生育に大きく影響します。

適切な時期

シャクヤクの植え付けは、秋が最適です。
具体的には、10月から11月頃が最も適しています。
この時期に植え付けることで、冬の間に根をしっかりと張り、春からの生育に備えることができます。
春植えも不可能ではありませんが、根が十分に張る前に気温が上がると株が弱りやすく、開花しないことも多いため、避けるのが一般的です。

植え付け場所と土

シャクヤクは、日当たりと水はけが良い場所を好みます。
しかし、真夏の強い日差しは苦手なため、午後に日陰になるような場所や、明るい半日陰が理想的です。
特に、夏場に根元が高温多湿になるのを嫌います。

土は、水はけが非常に重要です。
粘土質の土壌では根腐れを起こしやすいため、腐葉土や堆肥などを十分に混ぜ込み、水はけを改善する必要があります。
地植えの場合は、深さ30cm程度までしっかりと耕し、有機物を混ぜ込みます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に赤玉土や鹿沼土を混ぜて水はけを良くしたり、シャクヤク専用の培養土を使用するのがおすすめです。
弱酸性から中性の土壌を好みます。

地植え・庭植えの注意点

地植えをする際は、将来的に株が大きくなることを考慮し、株間を十分にとります(50cm~1m程度)。
また、一度植え付けたシャクヤクは、移植を嫌います。
生育が悪くなったり、花が咲かなくなったりすることがあるため、植え付け場所は慎重に選びましょう。
植え付けたら、根を傷つけない限り、何年も同じ場所で育て続けるのが基本です。

鉢植えでの育て方

庭がなくても、鉢植えでシャクヤクを育てることができます。

鉢の選び方と植え替え

鉢は、深さがあり、ある程度大きなものを選びます。
最初は6〜8号(直径18〜24cm)程度の鉢で始め、株の生長に合わせて2〜3年に一度、秋に一回り大きな鉢に植え替えます。
植え替えの際も、根を傷つけないように注意が必要です。
植え替え後は、新しい根が張るまで土を乾燥させすぎないように管理します。

置き場所

鉢植えの場合も、日当たりと風通しの良い場所に置きます。
ただし、夏場の強い直射日光は葉焼けの原因となるため、日陰に移動させるか、遮光ネットなどを用いて対策します。
梅雨時期など、長期間雨が当たる場所も根腐れの原因になるため避けるのが望ましいです。

水やりと肥料の与え方

水やりと肥料は、生育段階に合わせて適切に行います。

水やり:

  • 地植え: 基本的に雨水で十分ですが、夏の乾燥期が続く場合は朝か夕方にたっぷりと水を与えます。過湿は根腐れの原因になるので注意が必要です。
  • 鉢植え: 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。特に蕾がつく時期から開花期、そして葉が茂る夏場は水切れさせないように注意が必要です。冬は休眠期に入るため、水やりの回数を減らし、乾燥気味に管理します。

肥料:
シャクヤクは肥料を好みます。

  • 芽出し前(早春): 寒肥として緩効性肥料や有機肥料を株元に与えます。
  • 開花後(5月下旬~6月): お礼肥として速効性のある液体肥料や固形肥料を与え、株の回復と来年の花芽形成を促します。
  • 秋(10月~11月): 再び緩効性肥料や有機肥料を与え、冬越しの準備をさせます。

多肥は根を傷めることがあるため、適量を守ることが大切です。

病害虫対策

シャクヤクがかかりやすい病気には、灰色かび病うどんこ病があります。
これらは風通しが悪かったり、多湿になったりすると発生しやすいため、剪定で風通しを良くしたり、雨よけをしたりすることが予防につながります。
発生してしまった場合は、早期に病気に侵された部分を取り除き、適切な薬剤を散布します。

害虫としては、アブラムシハダニなどが発生することがあります。
これらも見つけ次第、薬剤を散布したり、洗い流したりして駆除します。
日頃から葉の裏などを観察し、早期発見に努めることが重要です。

花後の手入れと剪定

花が終わったら、すぐに花首から切り落とします。
これは、種子を作るために株のエネルギーが使われるのを防ぎ、来年の花のために栄養を蓄えさせるためです。

地上部が枯れてくる秋遅くになったら、地際から3〜5cmほどを残して地上部をすべて刈り取ります。
これは病害虫の越冬を防ぎ、株をきれいに保つためです。
春に新しい芽が出るまで、この状態で管理します。

冬越しの方法

シャクヤクは耐寒性が比較的強く、ほとんどの地域で特別な防寒対策は不要です。
地上部が枯れた後は、根が凍結するほどの極端な寒さになる地域では、株元に腐葉土やバーク堆肥などを敷いてマルチングをすると、根を守る効果があります。
鉢植えの場合は、凍結の心配がない軒下などに移動させるか、鉢を断熱材で覆うなどの対策を検討しますとより安心です。

シャクヤクの生薬としての効果・効能

シャクヤクは、その美しい花だけでなく、古くから生薬としても重要な役割を担ってきました。
特に根が用いられ、多様な効果を持つことから多くの漢方薬に配合されています。

薬効成分について

シャクヤクの根には、主要な薬効成分としてペオニフロリン(Paeoniflorin)が含まれています。
このペオニフロリンは、鎮痛作用、鎮痙(けい)作用、抗炎症作用、血管拡張作用など、様々な生理活性を持つことが知られています。
その他にも、アルカロイドやタンニンなどの成分も含まれており、これらの複合的な働きによって生薬としての効果が発揮されると考えられています。

主な効果(鎮痛、鎮痙など)

シャクヤクの根から作られる生薬「芍薬(しゃくやく)」は、伝統的に以下のような効果があるとされています。

  • 鎮痛作用: 痛みを和らげる効果があります。特に、筋肉の痙攣による痛み(こむら返りなど)や、腹痛、頭痛、生理痛などに対して用いられます。
  • 鎮痙作用: 筋肉の異常な収縮(痙攣)を抑える効果があります。筋肉の緊張を和らげ、引きつりなどを改善します。
  • 抗炎症作用: 炎症を抑える効果が期待できます。関節炎や筋肉の炎症などに用いられることがあります。
  • 血行促進作用: 血管を広げ、血行を良くする作用があるため、冷え性や生理不順の改善に役立つことがあります。

これらの効果から、シャクヤクは特に「痛みを伴う症状」や「筋肉の緊張・痙攣」に対して有効であると考えられています。

配合される代表的な漢方薬

シャクヤクは、多くの漢方薬に配合されています。
単独で用いられることは少なく、他の生薬と組み合わせることで、その効果が高められたり、特定の症状に特化した効果を発揮したりします。
代表的な漢方薬には以下のようなものがあります。

漢方薬名 主な配合生薬 主な効能
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 芍薬、甘草 筋肉の痙攣による痛み(こむら返り)、腹痛、胃痛、差し込み、生理痛など
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 当帰、芍薬、川芎、茯苓、沢瀉、白朮 冷え性、貧血、生理不順、更年期障害、めまい、むくみなど(虚弱体質の女性)
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう) 桂枝、芍薬、甘草、大棗、生姜 腹痛、腹部の張り、便秘を伴う腹痛など
加味逍遙散(かみしょうようさん) 柴胡、芍薬、当帰、茯苓、白朮、甘草、生姜、薄荷、牡丹皮、山梔子 精神的な症状(イライラ、不安)、冷え、のぼせ、生理不順、更年期障害など(比較的体力の弱い女性)
四物湯(しもつとう) 芍薬、当帰、川芎、地黄 貧血、冷え性、皮膚の乾燥、生理不順など

これらの漢方薬は、配合されている生薬の種類やバランスによって、適応する症状や体質が異なります。
自己判断で使用せず、専門家(医師、薬剤師、登録販売者など)に相談することが重要です。

シャクヤクの副作用と注意点(「やばい」と感じるケース)

生薬としてシャクヤクを利用する場合、その効果がある一方で、副作用や使用上の注意点も存在します。
「やばい」と感じるケースがあるとしたら、主に生薬としての利用に関連する懸念や、不適切な使用によるものが考えられます。

想定される副作用

シャクヤクを含む漢方薬を服用した場合に想定される副作用は、他の医薬品と同様にゼロではありません。
比較的まれですが、以下のような症状が現れる可能性があります。

  • 消化器系の不調: 胃部不快感、吐き気、下痢など
  • アレルギー反応: 発疹、かゆみなど
  • その他: まれに、動悸や息切れ、むくみなどが報告されることもあります。

特に、甘草(かんぞう)を含む漢方薬と併用する場合、偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)という副作用のリスクが高まることがあります。
これは、体内の水分や電解質のバランスが崩れることで起こり、手足のしびれ、こわばり、むくみ、脱力感、血圧上昇などの症状が現れます。
シャクヤク単独で偽アルドステロン症を起こすことは稀ですが、多くの漢方薬に甘草が配合されているため、注意が必要です。

使用上の注意

シャクヤク(またはシャクヤクを含む漢方薬)を使用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 専門家の指導: 特に持病がある方、他の医薬品を服用している方、妊娠中や授乳中の方、高齢者、小児は、必ず医師や薬剤師、登録販売販売者に相談してから使用してください。
  • アレルギー体質の方: シャクヤクや他の生薬に対してアレルギーを起こした経験がある方は注意が必要です。
  • 症状の悪化や異常が見られた場合: 服用により症状が悪化したり、前述のような副作用や気になる症状が現れたりした場合は、直ちに服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
  • 長期間の服用: 効果がない場合や、漫然と長期間服用を続けることは避けましょう。

飲むシャクヤクに関する情報(「やばい」と感じるケース)

「飲むシャクヤク」として、生薬そのものや、それを加工したサプリメント、ハーブティーなどが流通しています。
これらの利用において「やばい」と感じられることがあるとしたら、以下の点が背景にあると考えられます。

  1. 品質や安全性の懸念: 生薬として医薬品として承認されているもの(漢方製剤など)以外の場合、製造過程や品質管理が不確かである可能性があります。不純物が混入していたり、有効成分の含有量がばらつきがあったりするリスクがあります。
  2. 過剰摂取や不適切な組み合わせ: サプリメントなどで安易に摂取しすぎると、思わぬ副作用が現れたり、体調を崩したりする可能性があります。また、他のサプリメントや医薬品との飲み合わせによっては、相互作用を起こす危険性もゼロではありません。
  3. 効果の過信と病気の見逃し: サプリメントなどで「効果がある」と信じ込み、医療機関での適切な診断や治療を受ける機会を逃してしまうリスクがあります。特に、痛みが続くなどの症状がある場合は、単なる筋肉の緊張ではなく、 underlying disease(背景にある病気)が隠れている可能性もあります。
  4. 「やばい」という表現の曖昧さ: 具体的にどのような症状を指しているのか不明確です。「効果が強すぎて体がだるくなった」「思わぬ副作用が出た」「期待した効果が全くなかった」など、人によって感じ方は異なります。特に、インターネット上の口コミなどでは、個人の体験談が事実と異なったり、医学的根拠に基づかなかったりする場合があるため、鵜呑みにするのは危険です。

生薬としてシャクヤクの恩恵を受けるためには、必ず信頼できる医薬品(医療用漢方製剤、一般用医薬品など)を選び、その場合は添付文書をよく読むか、医師や薬剤師などの専門家の指導のもとで使用することが最も安全です。
サプリメントなどの場合は、その製品の安全性や品質に関する情報をよく確認し、自己責任において適量を利用する必要があります。
症状がある場合は、まずは医療機関に相談しましょう。

シャクヤクの花言葉と種類

シャクヤクは、その美しい花姿にふさわしい、魅力的な花言葉を持っています。
また、一言にシャクヤクといっても、様々な種類や品種があり、それぞれが異なる個性を持っています。

代表的な花言葉

シャクヤクの代表的な花言葉は、その豪華さや美しさ、そして古くから生薬として用いられてきた歴史に関連しています。

  • 恥じらい: 花が咲く前の丸い蕾が、まるで顔を伏せて恥じらっているように見えることからつけられたと言われています。
  • はにかみ: 「恥じらい」と同様に、蕾の様子や、咲き始めのふっくらとした様子から連想される言葉です。
  • 謙遜: 豪華な花でありながら、他の花と調和する奥ゆかしさや、生薬として人々の役に立つ存在であることからつけられたとも言われます。
  • 威厳: 堂々とした咲き姿や、その存在感から感じられる言葉です。
  • 誠実: 根が人々の健康に役立つことから、その真摯な性質を表していると考えられます。
  • 富: 豪華で美しい花が、豊かさや富を連想させることからつけられました。
  • 立てば芍薬、座れば牡丹: 美人の立ち姿を形容することわざにも使われるように、その美しい姿自体が花言葉のようなものです。

これらの花言葉は、贈る相手や状況によって使い分けることで、より気持ちを伝えることができるでしょう。

色別の花言葉

シャクヤクは、白、ピンク、赤、黄色など、様々な花色があります。
色によっても異なる花言葉を持つことがあります。

  • ピンクのシャクヤク: 「はにかみ」「内気」など、代表的な花言葉と同様に、可愛らしい蕾や咲き始めの様子を表します。
  • 赤いシャクヤク: 「誠実」「威厳」など、力強さや情熱を感じさせる花言葉です。
  • 白いシャクヤク: 「満ち足りた心」「しとやか」など、清らかで優雅な印象を表す花言葉です。
  • 黄色のシャクヤク: 品種数は少ないですが、「君の幸せ」といった花言葉を持つこともあります。

ただし、色別の花言葉は代表的なものですが、情報源によって多少異なる場合もあります。

主な種類・品種(和芍薬、洋芍薬など)

シャクヤクの品種は非常に多く、世界中で様々な改良が行われています。
大きく分けると、日本の伝統的な品種を改良した和芍薬(わしゃくやく)と、欧米で改良された洋芍薬(ようしゃくやく)に分けられます。

分類 特徴 代表的な品種例
和芍薬 花弁数が少なく、一重咲きや半八重咲きが多い。花弁が端正に並び、すっきりとした印象。香りは控えめな品種が多い。 ‘富士’,’かぐや姫’,’白雪’,’紅富士’など
洋芍薬 花弁数が多く、豪華な八重咲きが主流。花弁が密集し、ボール状やカップ状になる品種が多い。香りが強い品種が多い。 ‘サラベルナール (Sarah Bernhardt)’,’エドゥリス スパーバ (Edulis Superba)’,’カール ローゼンフェルド (Karl Rosenfeld)’など

最近では、和芍薬と洋芍薬の中間的な性質を持つ品種や、伊藤交配(Intersectional Peony、Itoh Peony)と呼ばれる、木本性のボタンと草本性のシャクヤクを交配して生まれた品種も人気があります。
伊藤交配種は、地上部が枯れる草本性でありながら、ボタンのような大きな花を咲かせ、色や形も非常に多様です。

品種によって、花の形(一重、八重、バラ咲き、冠咲きなど)、花色、香り、草丈、開花時期などが異なります。
自分の好みや栽培環境に合わせて、品種を選ぶ楽しみもあります。

まとめ:シャクヤクに関するよくある質問

シャクヤクについて、栽培方法や生薬利用など、様々な角度から解説してきました。
ここでは、読者の方からよく寄せられるであろう質問とその回答をまとめます。

シャクヤクとボタンの違いを簡単に教えてください。

最も簡単な見分け方は、冬の状態で判断することです。
シャクヤクは草本植物で、冬には地上部が枯れますが、ボタンは木本植物で、冬にも枝が残ります
また、一般的にボタンの方がシャクヤクより早く咲きます。

シャクヤクはどこで買えますか?(苗、切り花、生薬など)

  • 苗: 秋の植え付け時期を中心に、園芸店、ホームセンター、通信販売などで購入できます。春にも販売されることがありますが、秋植えがおすすめです。
  • 切り花: 開花時期(5月~6月頃)になると、花束やアレンジメント用に花屋さんで販売されます。直売所などで手に入ることもあります。
  • 生薬: 生薬「芍薬」として、漢方薬局やドラッグストアで漢方製剤(煎じ薬やエキス剤など)として購入できます。この場合は必ず薬剤師などに相談してください。サプリメントやハーブティーとして販売されているものもありますが、品質や安全性には注意が必要です。

シャクヤクは毒性がありますか?ペットに危険ですか?

シャクヤクの植物全体(特に根)には、ペオニンなどの成分が含まれており、人間やペット(犬、猫など)が誤って大量に摂取すると、吐き気、下痢、腹痛などの消化器系の症状を引き起こす可能性があります。
観賞用として育てる分には問題ありませんが、ペットや小さなお子さんが口にしないように注意が必要です。
生薬として利用される「芍薬」は、適切に加工・調整され、専門家の指導のもとで利用するものです。

シャクヤクの育て方で失敗しやすい点は?

最も多い失敗は、水はけの悪い土壌での栽培による根腐れです。
シャクヤクは過湿を非常に嫌います。
また、植え付けが浅すぎる、または深すぎることも失敗の原因となります。
芽が出る部分は地表から2〜3cm程度の深さになるように植え付けるのが基本です。
その他、日照不足や肥料不足、花後の手入れ不足なども、花が咲かない原因となることがあります。

シャクヤクの生薬はどんな症状に効きますか?

主に痛みを伴う症状筋肉の緊張・痙攣に用いられます。
具体的には、こむら返り(足のつり)、腹痛、胃痛、生理痛、頭痛、神経痛、筋肉痛などの緩和に効果があるとされています。
貧血、冷え性、生理不順など、婦人科系の症状に用いられる漢方薬にも配合されます。

シャクヤクの生薬は誰でも飲めますか?

いいえ、誰でも安全に飲めるわけではありません。
特に、特定の持病がある方(心臓病、高血圧、腎臓病など)や、他の医薬品(特に利尿剤など)を服用している方は、副作用のリスクが高まる可能性があります。
また、妊娠中や授乳中の方、高齢者、小児も注意が必要です。
必ず医師、薬剤師、登録販売者に相談し、適切な診断と処方(または選択)を受けてください。
自己判断での服用は避けるべきです。

「飲むシャクヤク」サプリメントは安全ですか?

サプリメントは医薬品とは異なり、その品質や安全性に関する規制が緩やかです。
製品によっては、有効成分の含有量が不明確であったり、不純物が混入していたりするリスクがあります。
また、過剰摂取による健康被害の可能性も否定できません。
症状の改善を目的とする場合は、医療機関で診断を受け、医薬品として承認された漢方製剤などを専門家の指導のもとで使用することが推奨されます。
サプリメントを利用する場合は、信頼できるメーカーのものを選び、用法・用量を守ることが重要です。

シャクヤクの花の香りは?

品種によって香りの強さや種類は異なります。
一般的に、洋芍薬の方が香りが強い品種が多いです。
甘く濃厚な、バラにも似た芳香を持つ品種や、柑橘系のような爽やかな香りを持つ品種など様々です。
和芍薬は比較的香りが控えめな品種が多いですが、中には良い香りを持つものもあります。

シャクヤクは毎年咲きますか?

はい、シャクヤクは適切な環境で育てていれば、毎年春に地上部が枯れても、翌年の初夏に再び花を咲かせる宿根草です。
株が充実するまで数年かかることもありますが、一度根がしっかりと張れば、年々株が大きくなり、たくさんの花を咲かせるようになります。

シャクヤクの剪定は必要ですか?

花が終わったら、種を作るエネルギーを節約するために花首から切り落とします(花がら摘み)。
また、秋に地上部が枯れたら、病害虫の越冬を防ぐために地際から数センチ残して茎を刈り取ります
これらがシャクヤクの主な剪定(刈り取り)です。
木の枝を切り詰めるような剪定は行いません。

シャクヤクは、その美しい花姿で多くの人々を魅了し、一方で生薬として古くから人々の健康を支えてきた植物です。
適切に育てることで、ご自宅でも豪華な花を楽しむことができますし、生薬としての利用を検討する際は、専門家のアドバイスを得ることが安全で効果的な利用につながります。
この解説が、シャクヤクへの理解を深め、その魅力をより多くの方に知っていただく一助となれば幸いです。

免責事項: 本記事で提供する生薬や健康に関する情報は、一般的な知識として提供されるものであり、個人の症状や体質に対する診断や治療を意図するものではありません。特定の症状がある場合や、生薬・漢方薬の服用を検討される場合は、必ず医師、薬剤師、または登録販売者などの専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行われたいかなる行為についても、当方では一切の責任を負いかねます。

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