トリキュラーの効果・副作用・飲み方|21錠と28錠の違いも徹底解説

トリキュラーは、女性の健康をサポートする低用量ピルの一つです。
主に避妊を目的として使用されますが、それ以外にも生理痛や月経前症候群(PMS)の改善など、多くの副効用が期待できます。
しかし、薬である以上、正しい知識を持って服用することが非常に重要です。
この記事では、トリキュラーの効果や副作用、正しい飲み方、さらには21錠と28錠の違いなど、トリキュラーに関する情報を網羅的に解説します。
トリキュラーの服用を検討されている方や、すでに服用している方の疑問解消にお役立ていただければ幸いです。

目次

トリキュラーとはどのような薬?

トリキュラーは、世界中で広く使用されている経口避妊薬(ピル)の一つです。
特に日本で処方される低用量ピルの中でも代表的な銘柄として知られています。
女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲストーゲン)が配合されており、計画的な妊娠を望まない場合の避妊に高い効果を発揮します。
また、避妊目的だけでなく、生理に伴う様々な不調の改善にも用いられることがあります。

トリキュラーが低用量ピルであること

トリキュラーは、「低用量ピル」に分類されます。
これは、配合されている卵胞ホルモンの量が1錠あたり50マイクログラム未満であるピルを指します。
過去に使われていた中用量ピルや高用量ピルと比較してホルモン量が少ないため、副作用のリスクが軽減されており、より安全に長期的に服用できるようになりました。
低用量ピルは、毎日決まった時間に正しく服用することで、高い避妊効果が得られます。

トリキュラーの成分と特徴(3相性ピル)

トリキュラーに含まれる有効成分は、卵胞ホルモンとしてエチニルエストラジオール、黄体ホルモンとしてレボノルゲストレルです。
トリキュラーの大きな特徴は、「3相性ピル」であるという点です。
これは、1シートに含まれる21錠(もしくは28錠のうちのホルモン剤)の中で、ホルモン配合量が3段階に変化していることを意味します。

具体的には、シートの服用開始から最初の6日間、次の5日間、最後の10日間で、黄体ホルモンの配合量が異なります。
卵胞ホルモン量も、最後の10日間でわずかに増加します。
このようにホルモン量を段階的に変化させることで、より自然な月経周期におけるホルモン変動に近づけ、不正出血などのマイナートラブルを減らすことを目指しています。
この3相性という特性は、トリキュラー独自のものです。

トリキュラーの作用メカニズム

トリキュラーが避妊効果を発揮する主なメカニズムは、以下の3つが組み合わさることによります。

  • 排卵の抑制: 最も重要な作用です。
    トリキュラーに含まれるホルモンが脳に働きかけ、卵巣からの卵子の放出(排卵)を抑制します。
    排卵が起きなければ、精子と卵子が出会うことがないため、妊娠は成立しません。
  • 子宮内膜の変化: ホルモンの作用により、子宮内膜が受精卵が着床しにくい状態に変化します。
    仮に排卵が起きて受精が成立したとしても、着床を阻害することで妊娠を防ぎます。
  • 頚管粘液の変化: 子宮の入り口にある頚管の粘液の質を変化させ、精子が子宮内に侵入しにくくします。
    粘液が粘り気を増し、精子の運動を妨げます。

これらの作用が複合的に働くことで、トリキュラーは非常に高い避妊効果を実現しています。
正しく毎日服用した場合の避妊成功率は約99%と報告されています[^1]。
ただし、医薬品医療機器情報提供ホームページによると、飲み忘れを含めた一般的な使用における失敗率は9%とされており、避妊効果は必ずしも100%ではないことに留意が必要です[^2]。

効果・効能

トリキュラーの主な効果は避妊ですが、それ以外にも多くのメリットがあります。
これらのメリットを目的としてトリキュラーが処方されることもあります。

主な効果:避妊

前述の作用メカニズムにより、トリキュラーは計画的な妊娠を望まない場合に非常に有効な避妊手段です。
コンドームなど他の避妊法と比べても失敗率が低く、適切に服用すれば確実な避妊が期待できます。
性行為の直前に関係なく毎日服用することで効果が持続するため、避妊を気にせず性行為に臨めるという精神的なメリットも大きいでしょう。

その他の効果:生理痛・PMS改善など

トリキュラーには避妊以外の様々な効果が期待できます。
これらの効果は、女性ホルモンのバランスを整えたり、排卵を抑制したりすることによってもたらされます。

  • 生理痛(月経困難症)の軽減: トリキュラーは排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えるため、生理の出血量を減らします。
    これにより、生理痛の原因となる子宮の収縮が軽減され、痛みが和らぎます。
    痛みがひどく日常生活に支障が出ている場合に、治療薬として処方されることもあります。
  • 月経前症候群(PMS)の改善: PMSは、生理前に起こるイライラ、気分の落ち込み、むくみ、頭痛、腹痛などの身体的・精神的な不調の総称です。
    トリキュラーはホルモンバランスの変動を抑えることで、PMSの症状を軽減する効果が期待できます。
  • 生理周期の安定: トリキュラーを服用すると、21錠(またはホルモン剤)の服用期間と7日間の休薬期間(または偽薬期間)で1セットとなり、定期的に生理のような出血(消退出血)が起こるようになります。
    これにより、生理周期が安定し、いつ生理が来るかの予測が容易になります。
    生理不順に悩む方にとって大きなメリットです。
  • 過多月経の改善: 生理の出血量が多い過多月経は、貧血の原因となることがあります。
    トリキュラーは子宮内膜の増殖を抑えることで、生理の出血量を減少させる効果があります。
  • ニキビ・肌荒れの改善: ニキビは男性ホルモンの影響も受けて悪化することがあります。
    トリキュラーに含まれるホルモンが、男性ホルモンの作用を抑え、ニキビや肌荒れの改善につながることがあります。
    ただし、全てのニキビに効果があるわけではありません。
  • 子宮内膜症の進行抑制: 子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にできてしまう病気です。
    トリキュラーは生理を止めることで、病巣の発育を抑え、痛みを軽減する効果が期待できます。

これらの効果は個人差があり、全ての人に同じように現れるわけではありません。
また、これらの効果を期待して服用する場合も、必ず医師の診察を受け、適切な指示に従ってください。

トリキュラーの種類(21錠と28錠)

トリキュラーには、「トリキュラー21」と「トリキュラー28」の2種類があります。
どちらも含まれるホルモン剤の種類や量は全く同じで、効果も同じです。
違いは、1シートに含まれる錠剤の数と構成です。

トリキュラー21の特徴

トリキュラー21は、1シートに21錠のホルモン剤が含まれています。
この21錠を毎日1錠ずつ服用した後、7日間はピルを服用しない期間(休薬期間)を設けます。
この休薬期間中に生理のような出血(消退出血)が起こります。
休薬期間の7日間が終わったら、出血が終わっているかどうかにかかわらず、新しいシートの1錠目を服用し始めます。

  • メリット: 飲む錠剤が全てホルモン剤なので分かりやすいと感じる方もいるかもしれません。
  • デメリット: 7日間の休薬期間中は飲む習慣が途切れるため、次のシートの開始日を忘れてしまうリスクがあります。
    飲み忘れは避妊効果の低下につながるため、注意が必要です。

トリキュラー28の特徴

トリキュラー28は、1シートに28錠が含まれています。
うち21錠はホルモン剤で、残りの7錠はホルモンが含まれていない「偽薬(プラセボ)」です。
シートの最初に21錠のホルモン剤を毎日1錠ずつ服用した後、続けて7錠の偽薬を毎日1錠ずつ服用します。
偽薬を服用している期間中に消退出血が起こります。
偽薬を全て飲み終えたら、休薬期間を挟まずに新しいシートの1錠目(ホルモン剤)を服用し始めます。

  • メリット: 毎日欠かさず錠剤を服用するため、ピルを飲む習慣が途切れず、飲み忘れを防ぎやすいです。
    特に飲み忘れが心配な方におすすめです。
  • デメリット: ホルモン剤と偽薬の区別が必要になります(シートの色などで区別されています)。
    偽薬を飲んでいる期間は効果がないと誤解しないように注意が必要です。

21錠と28錠の飲み方の違い

トリキュラー21とトリキュラー28の最も重要な違いは、休薬期間の設け方です。

項目 トリキュラー21 トリキュラー28
1シートの錠剤数 21錠(すべてホルモン剤) 28錠(ホルモン剤21錠 + 偽薬7錠)
飲み方 21日間服用 → 7日間休薬 → 新しいシートへ 21日間ホルモン剤服用 → 7日間偽薬服用 → 新しいシートへ
休薬期間 薬を飲まない期間 偽薬を飲む期間
メリット シンプルな構成 毎日飲む習慣が維持しやすい
デメリット 休薬期間明けの飲み忘れリスクがある 偽薬とホルモン剤の区別が必要
避妊効果 同じ 同じ

どちらのタイプを選ぶかは、個人のライフスタイルや好みに合わせて医師と相談して決められます。
飲みやすさという点では、毎日同じリズムで服用できるトリキュラー28を選ぶ方が飲み忘れのリスクを減らせるかもしれません。

トリキュラーの正しい飲み方

トリキュラーで高い避妊効果を得て、その他のメリットを享受するためには、正しい方法で毎日服用することが不可欠です。
飲み方を間違えると効果が低下したり、不正出血などのトラブルが起こりやすくなったりします。

服用開始日と基本ルール

トリキュラーの服用は、通常、生理が始まった日(出血があった日)から開始します。
これを「Day1スタート」と言います。
生理が始まった日を1日目として、その日のうちにシートの1錠目を服用します。
その後は、シートの順番に従って毎日1錠を、なるべく同じ時間に服用します。

なぜ生理初日から飲み始めるかというと、すぐに排卵を抑制し、最初のシートから高い避妊効果を得るためです。
もし生理開始5日目までに服用を開始した場合も避妊効果は期待できますが、服用開始後7日目から効果があらわれる[^1]とされるため、最初の7日間は他の避妊法(コンドームなど)を併用することが推奨されます。
生理開始6日目以降に飲み始める場合は、その周期での避妊効果は期待できないため、次の生理が来てから開始するのが一般的です。

基本ルール:
毎日決まった時間に1錠服用する。
シートの順番通りに服用する。
トリキュラー21の場合は21日間服用後7日間休薬。
トリキュラー28の場合は21日間ホルモン剤服用後7日間偽薬服用。
休薬期間(または偽薬期間)が終わったら、出血の有無にかかわらず新しいシートの1錠目を服用する。

飲む時間は、ライフスタイルに合わせて決めましょう。
夕食後や寝る前など、毎日必ず同じ行動の中に組み込むと忘れにくいかもしれません。
例えば、歯磨きの後に飲むなど習慣化するのがおすすめです。
水で服用するのが一般的ですが、水以外(お茶やジュースなど)で飲んでも問題ありません。
ただし、グレープフルーツジュースは一部の薬の効果に影響を与える可能性があるため、避けておくと安心です。

飲み忘れた場合の対処法

トリキュラーを飲み忘れてしまった場合の対処法は、飲み忘れた錠剤の数やタイミングによって異なります。
飲み忘れは避妊効果が低下する最大の原因の一つです。
飲み忘れに気づいたら、すぐに添付文書や医師、薬剤師の指示に従って対応しましょう。

一般的な対処法は以下の通りです(トリキュラー21の場合。
28の場合は偽薬期間中の飲み忘れは問題ありません)。

  • 1錠飲み忘れた場合(通常、気づいたのが12時間以内なら):
    気づいた時点で飲み忘れた1錠をすぐに服用し、その日の分も通常通り服用します。
    合計2錠を同じ日に飲むことになります。
    これまでの避妊効果は維持されます。
  • 1錠飲み忘れた場合(気づいたのが12時間を超えていた場合):
    気づいた時点で飲み忘れた1錠をすぐに服用し、その日の分も通常通り服用します。
    合計2錠を同じ日に飲むことになります。
    ただし、避妊効果が低下している可能性があるため、念のため次の生理が来るまで他の避妊法(コンドームなど)を併用するか、性行為を避けてください。
  • 2錠以上飲み忘れた場合:
    これは避妊効果が著しく低下します。
    もし飲み忘れが1〜2週目の間に2日以上連続で起きた場合は、服用を中止し、次の生理を待って新しいシートで服用を再開してください[^3]。
    いずれの場合も自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。

飲み忘れが続くと、不正出血が起こりやすくなることもあります。
もし飲み忘れが心配な場合は、毎日決まった時間にアラームを設定するなど、対策を立てることが重要です。

生理日を移動したい場合

トリキュラーを服用していると、生理(消退出血)のタイミングをコントロールすることができます。
旅行やイベントなどの予定に合わせて、生理日を早めたり遅らせたりすることが可能です。

生理を遅らせる場合:
トリキュラー21の場合、21錠のホルモン剤を飲み終えた後、休薬期間に入らずに新しいシートのホルモン剤(黄色い錠剤)を服用し続けます。
遅らせたい日数分だけ服用し、服用をやめた数日後に生理が来ます。
トリキュラー28の場合も同様に、21錠のホルモン剤を飲み終えた後、偽薬期間に入らずに新しいシートのホルモン剤を服用し続けます。

生理を早める場合:
トリキュラー21の場合、21錠全てを服用せずに、生理を来させたい日の前に服用を中止します。
服用をやめた数日後に生理が来ます。
例えば、18日目で服用をやめると、その数日後に生理が来て、生理期間が終わってから次のシートの服用を開始します。
トリキュラー28の場合も同様に、ホルモン剤を21錠飲み終える前に服用を中止します。

生理日移動の方法は、服用しているピルの種類やシートのどこまで飲んだかによって異なります。
必ず事前に医師や薬剤師に相談し、正しい方法を確認してください。
自己判断での変更は、避妊効果の低下や不正出血の原因となる可能性があります。

服用中に起こりうる副作用

低用量ピルは以前の中用量・高用量ピルに比べて副作用のリスクが軽減されていますが、全くないわけではありません。
トリキュラーも例外ではなく、服用中にいくつかの副作用が起こる可能性があります。
ほとんどは軽度で一時的なものですが、中には注意が必要な副作用もあります。

主な副作用(吐き気、不正出血など)

トリキュラーの服用開始初期に比較的多く見られる主な副作用は以下の通りです。
これらは体がホルモン環境の変化に慣れるまでの間に出やすい症状で、通常は2~3シート服用するうちに自然に軽減または消失することが多いです。

  • 吐き気・胃のむかつき: 服用開始から数週間で起こりやすい副作用です。
    特に飲み始めの頃に感じやすいですが、飲む時間を工夫したり、軽い食事の後に飲んだりすることで軽減されることがあります。
  • 不正出血(消退出血以外の出血): 生理とは関係ないタイミングで少量の出血が見られることがあります。
    特に飲み始めや飲み忘れがあった場合に起こりやすいですが、体が慣れてくると減っていきます。
    出血量が多かったり、長く続いたりする場合は医師に相談してください。
  • 乳房の張り・痛み: ホルモンの影響で乳房が張ったり、痛みを感じたりすることがあります。
  • 頭痛: 軽い頭痛が起こることがあります。
  • 下腹部痛: 生理痛のような軽い痛みが続くことがあります。
  • むくみ: 体内の水分バランスの変化により、むくみを感じることがあります。
  • 気分の変化: イライラしたり、少し落ち込んだりするなど、気分の波を感じることがあります。
  • 体重増加: 食欲が増進したり、むくみやすくなったりすることで、一時的に体重が増えると感じる方もいます。

これらの副作用の多くは、体がトリキュラーのホルモン量に慣れるにつれて改善していきます。
我慢できないほど辛い場合や、症状が続く場合は、医師に相談してピルの種類を変更することも検討できます。

重大な副作用(血栓症など)

トリキュラーを含む低用量ピルの服用において、最も注意すべき重大な副作用が「血栓症」です。
血栓症とは、血管の中に血の塊(血栓)ができ、血管が詰まってしまう病気です。
発生頻度は非常に稀ですが、命に関わる重篤な状態になる可能性があります。

血栓症が起こる主な部位としては、下肢の静脈(深部静脈血栓症)、肺の血管(肺塞栓症)、脳の血管(脳梗塞)、心臓の血管(心筋梗塞)などがあります。
低用量ピルを服用していない女性と比較して、服用中の女性の方が血栓症を起こすリスクはわずかに高まりますが、妊娠中や出産後の期間と比較するとリスクは低いです。

血栓症のリスクを高める要因としては、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、家族に血栓症になった人がいる、長期間同じ姿勢でいる(飛行機や車での移動、デスクワークなど)、手術後、産後などが挙げられます。

血栓症の初期症状(疑われる症状):
もし以下の症状が一つでも現れたら、すぐにピルの服用を中止し、医療機関を受診してください。

  • 片方のふくらはぎの痛み、腫れ、赤み
  • 突然の息切れ、胸の痛み
  • 手足の脱力、しびれ、感覚の麻痺
  • 言語障害(言葉が出にくい、ろれつが回らない)
  • 急な視力障害、視野の異常
  • 激しい頭痛(いつもの頭痛と違う、突然の痛み)

これらの症状を早期に発見し、迅速に対応することが非常に重要です。
日頃から体の変化に注意し、少しでも気になる症状があればためらわずに医療機関に相談しましょう。

その他、稀ではありますが、肝機能障害、胆石症、膵炎などの副作用が報告されています。
定期的な健康診断を受け、医師の指示に従うことが重要です。

副作用が出た場合の対応

トリキュラー服用中に副作用が出た場合の基本的な対応は以下の通りです。

  • 軽い副作用(吐き気、頭痛、不正出血など):
    服用開始から2~3シートの間であれば、体が慣れるにつれて症状が改善することが多いです。
    症状が軽い場合は、しばらく様子を見ても良いでしょう。
    飲む時間を変更したり、食後に飲むなど工夫したりすることで軽減されることもあります。
    症状が辛い場合や、3シート服用しても改善しない場合は、医師に相談してください。
    ピルの種類を変更することで症状が改善することもあります。
  • 重大な副作用が疑われる症状:
    前述の血栓症の初期症状などが現れた場合は、直ちにトリキュラーの服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください
    受診時には、トリキュラーを服用していることを必ず医師に伝えてください。
  • その他の気になる症状:
    上記の症状以外でも、普段と違う体調の変化や気になる症状が現れた場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。
    不安な気持ちを抱えたまま服用を続けることは望ましくありません。

副作用のリスクを最小限に抑えるためにも、トリキュラーを処方してもらう際には、自分の健康状態や既往歴、服用中の薬などを正確に医師に伝えることが非常に重要です。

トリキュラーの入手方法

トリキュラーは、医師の診察を受けて処方してもらう必要がある「処方箋医薬品」です。
薬局やドラッグストアで市販薬として購入することはできません。
安全かつ適正に使用するために、必ず医療機関を通じて入手する必要があります。

医療機関での処方

最も一般的で安全なトリキュラーの入手方法です。
婦人科や産婦人科、一部の内科などで処方を受けることができます。

受診の流れ:
1. 予約: 医療機関に電話またはオンラインで予約を取ります。
2. 受診: 医師による問診と診察を受けます。
問診では、生理周期、既往歴(特に血栓症、高血圧、心臓病、肝臓病など)、服用中の薬、アレルギー、喫煙習慣などを詳しく聞かれます。
必要に応じて血圧測定や血液検査などが行われることもあります。
3. 処方: 医師がトリキュラーの服用が可能と判断した場合、処方箋が発行されます。
トリキュラー21と28のどちらにするか、飲み方、注意点などの説明を受けます。
4. 薬の受け取り: 発行された処方箋を持って調剤薬局で薬を受け取ります。
薬局でも薬剤師から薬に関する説明(飲み方、副作用、飲み合わせなど)を受けます。

医療機関で処方を受けるメリットは、医師の診察により現在の健康状態や体質に合わせてトリキュラーの服用が適しているか判断してもらえること、起こりうる副作用や注意点について専門的な説明を受けられること、疑問点や不安なことを直接質問できることなどです。
特に初めてピルを服用する場合や、持病がある場合は、対面での診察を受けることをお勧めします。

オンライン診療の利用

近年では、オンライン診療でトリキュラーの処方を受けられるクリニックが増えています。
スマートフォンやパソコンを使って、自宅などから医師の診察を受け、処方された薬を配送してもらうことができるサービスです。

オンライン診療の流れ(一般的な例):
1. 予約: オンライン診療に対応しているクリニックのウェブサイトから予約します。
希望の日時や診察方法(ビデオ通話、電話など)を選択します。
2. 問診票の入力: 事前にオンラインで問診票に回答します。
既往歴や現在の症状、服用中の薬などを入力します。
3. オンライン診察: 予約した時間に医師とのオンライン診察を行います。
問診票の内容に基づき、医師がトリキュラーの服用が可能か判断します。
必要に応じてビデオ通話で顔色や様子を確認することもあります。
4. 支払い: 診察後、オンラインで診察料と薬代を支払います。
5. 薬の配送: 処方されたトリキュラーが自宅などに配送されます。
プライバシーに配慮し、中身が分からないように梱包されて送られるのが一般的です。

オンライン診療のメリットは、通院の手間が省けること、待ち時間がないこと、場所を選ばずに診察を受けられること、クリニックによっては夜間や土日にも対応しているため忙しい人でも利用しやすいことなどが挙げられます。

一方で、対面での診察に比べて得られる情報が限られる場合があること、医療機関によっては対応しているピルの種類が少ないこと、通信環境が必要であることなどのデメリットもあります。
初めてピルを服用する場合や、気になる症状がある場合は、対面診療の方が安心できるかもしれません。
オンライン診療を利用する場合でも、信頼できる医療機関を選び、医師の指示をよく聞くことが重要です。

個人輸入・通販のリスクと注意点

インターネット上の海外サイトなどからトリキュラーを個人輸入したり、通販で購入したりすることは、非常に危険であり、絶対にお勧めできません。

個人輸入・通販のリスク:

  • 偽造品・粗悪品の可能性: 個人輸入で流通している医薬品の中には、有効成分が全く含まれていなかったり、量が不正確だったり、不純物が混入していたりする偽造品や粗悪品が多数含まれていることが知られています。
    これらを服用しても効果がないばかりか、健康被害を引き起こす可能性があります。
  • 副作用や健康被害のリスク増大: 医師の診察を受けずに服用するため、自身の体質や健康状態に合わない可能性があり、予期せぬ副作用や健康被害が起こるリスクが高まります。
    特に、血栓症などの重篤な副作用のリスクがあるにも関わらず、リスク因子を見逃したり、初期症状に気づかなかったりする危険があります。
  • 医薬品副作用被害救済制度の対象外: 医薬品を適正に使用したにも関わらず副作用によって健康被害が生じた場合、日本の公的な救済制度である「医薬品副作用被害救済制度」による補償を受けられる場合があります。
    しかし、個人輸入された医薬品による健康被害は、この制度の対象外となります。
  • 品質管理の問題: 流通経路や保管状況が不明なため、品質が劣化している可能性があります。

トリキュラーは、医師の診断に基づき、体の状態をチェックしながら安全に服用することが最も重要です。
安易な個人輸入や通販の利用は避け、必ず医療機関で正規に処方してもらうようにしましょう。

トリキュラーのジェネリック医薬品

トリキュラーにはジェネリック医薬品も存在します。「ジェネリック医薬品」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が終了した後に製造・販売される、先発医薬品と有効成分、効果、効能、安全性、用法・用量が原則として同じである医薬品です。
開発にかかる費用が抑えられるため、先発医薬品よりも安価に提供されるのが一般的です。

ジェネリック医薬品として承認されるためには、先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が確認されている必要があります。
これらは厳格な試験(生物学的同等性試験など)によって証明されます。

トリキュラーのジェネリック銘柄

トリキュラーのジェネリック医薬品としては、有効成分が同じ「レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール」を配合したものが複数の製薬会社から販売されています。
代表的なものとしては、「ラベルフィーユ」や「アンジュ」などがあります(これらもトリキュラーと同様に3相性ピルです)。

トリキュラーのジェネリック医薬品のメリット:
価格が安い: 先発医薬品であるトリキュラーに比べて、ジェネリック医薬品の方が価格が抑えられています。
ピルを長期的に服用する場合、医療費の負担を軽減することができます。
効果や安全性は先発品と同等: 厚生労働省によって承認されているジェネリック医薬品は、先発品と同等の効果と安全性が確認されています。

注意点:
先発品とジェネリックでは、錠剤の色や形、添加物などが異なる場合があります。
これにより、ごく稀に服用感が違ったり、アレルギー反応が出たりする可能性もゼロではありませんが、有効成分の効果に違いはありません。
トリキュラーからジェネリックに切り替える場合や、ジェネリックからトリキュラーに切り替える場合でも、基本的には飲み方を変える必要はありません。
しかし、念のため医師や薬剤師に確認すると安心です。

トリキュラーのジェネリック医薬品を選ぶ場合は、必ず医師や薬剤師に相談し、自分に合ったものを選びましょう。
安価に入手できるからといって、正規のルート以外(個人輸入など)で入手することは絶対に避けてください。

トリキュラーに関するよくある質問

トリキュラーの服用に関して、多くの人が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

休薬期間に出血(生理)はありますか?

はい、トリキュラー21の休薬期間中(7日間)や、トリキュラー28の偽薬服用期間中(7日間)には、生理のような出血が見られます。
これは「消退出血」と呼ばれ、ピルの服用によってホルモン量が一時的に低下することで起こります。
実際の生理とは異なり、排卵を伴わない出血です。
通常、休薬期間(または偽薬期間)に入ってから2~3日後に始まり、数日間続きます。
出血の量や期間には個人差があります。
休薬期間が終わっても出血が続いている場合でも、新しいシートの服用を開始してください。
もし休薬期間中に出血が全くなかったり、出血パターンがいつもと大きく違ったりする場合は、念のため医師に相談することをお勧めします。

服用開始後いつから効果がありますか?

トリキュラーを生理が始まった日(Day1)から飲み始めた場合、通常は服用を開始したその日から避妊効果が期待できます。
Day1スタートが最も確実な方法です。
生理が始まった日(Day1)から数日以内(通常5日目まで)に飲み始めた場合は、服用開始後7日目から効果があらわれる[^1]とされるため、その周期の最初の7日間は他の避妊法(コンドームなど)を併用することが推奨されます。
これは、飲み始めのタイミングによっては、完全に排卵が抑制されるまでに時間がかかる可能性があるためです。
生理開始6日目以降に飲み始める場合は、その周期での避妊効果は期待できません。
次の生理が来るまで待ってから新しいシートでDay1スタートするのが一般的です。
避妊目的で服用する場合は、特に飲み始めのタイミングが重要です。
必ず医師や薬剤師から正しい開始日と、最初の期間の注意点について説明を受けてください。

他の薬との飲み合わせは大丈夫ですか?

トリキュラーの効果に影響を与えたり、逆にトリキュラーが他の薬の効果に影響を与えたりする可能性があります。
一緒に服用することで、トリキュラーの避妊効果が弱まったり、副作用が強く出たりすることがあります。
特に注意が必要な薬の例としては、一部の抗生物質、抗真菌薬、抗てんかん薬、抗HIV薬、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品などがあります。

トリキュラーの処方を受ける際には、現在服用している全ての薬(処方薬、市販薬、サプリメント、健康食品を含む)を必ず医師や薬剤師に伝えてください。
飲み合わせに問題がないか確認してもらえます。
他の医療機関を受診する際や、市販薬などを購入する際も、トリキュラーを服用していることを伝えるようにしましょう。

服用できない人は?

以下に該当する方は、トリキュラーを服用できない場合があります。
これは、トリキュラーの服用によって症状が悪化したり、重篤な副作用(特に血栓症)のリスクが高まったりするためです。

  • 過去にトリキュラーの成分(レボノルゲストレル、エチニルエストラジオール)や添加物に対してアレルギー反応を起こしたことがある方
  • 血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳血栓症、冠動脈血栓症など)にかかったことがある方、または現在かかっている方
  • 血栓症のリスクが非常に高い方(例:遺伝性の血液凝固異常がある方、長期臥床など)
  • 手術後などで血栓症のリスクが高い方
  • 重度の高血圧の方(血圧が常に高い状態)
  • 糖尿病で血管に病変がある方
  • 片頭痛で前兆を伴う方(特に35歳以上)
  • 心臓病、腎臓病、肝臓病、胆石症、膵炎などの重篤な病気がある方
  • 診断が確定していない性器からの異常出血がある方
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • エストロゲン依存性の腫瘍(乳がん、子宮内膜がんなど)にかかったことがある方、または現在かかっている方、または疑いのある方
  • 子宮頸がんやその前段階の病気がある方
  • 喫煙者で35歳以上の方(血栓症のリスクが著しく高まるため)
  • 特定の薬剤(テラプレビル、ボセプレビルなど)を服用中の方

これらの他にも、医師の判断により服用が適さない場合があります。
トリキュラーの服用を検討する際は、必ずご自身の健康状態を医師に正確に伝え、相談してください。

【まとめ】トリキュラーについて理解を深め、適切に服用しましょう

トリキュラーは、低用量ピルとして高い避妊効果を持ち、生理痛やPMSの改善など、女性のQOL(生活の質)向上に役立つ多くのメリットを持つ薬剤です。
トリキュラーには21錠タイプと28錠タイプがあり、飲み方や休薬期間の有無が異なりますが、含まれるホルモン量や効果は同じです。

トリキュラーを安全かつ効果的に使用するためには、正しい飲み方を守ることが最も重要です。
毎日決まった時間に服用し、飲み忘れた場合の対処法を理解しておきましょう。
また、生理日を移動させることも可能ですが、必ず医師に相談して適切な方法で行ってください。

トリキュラーには、吐き気や不正出血などの軽度な副作用が起こる可能性がありますが、ほとんどの場合は一時的なものです。
しかし、稀に血栓症のような重篤な副作用が起こるリスクもあるため、初期症状を知っておき、疑われる症状が現れたらすぐに医療機関を受診することが大切です。

トリキュラーは処方箋医薬品であり、必ず医療機関で医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。
対面での診察に加え、近年ではオンライン診療での処方も可能になり、より手軽に入手できるようになりました。
ただし、個人輸入や通販での購入は偽造品の危険や健康被害のリスクが非常に高いため、絶対に行わないでください。

トリキュラーの服用に関する疑問や不安があれば、いつでも医師や薬剤師に相談しましょう。
ご自身の健康状態やライフスタイルに合った避妊法・生理痛対策を見つけるためにも、専門家からのアドバイスを得ることが大切です。
トリキュラーを正しく理解し、適切に服用することで、より快適な毎日を送るための一助となるでしょう。

免責事項:
この記事で提供する情報は一般的な知識として提供されるものであり、医学的なアドバイスや診断、治療法を推奨するものではありません。
個人の健康状態に関する疑問や不安については、必ず医師や専門家にご相談ください。
トリキュラーの服用を開始または中止する際は、必ず医師の指導に従ってください。
この記事によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。

[^1]: トリキュラーの効果|避妊・避妊以外・効果が出るタイミング https://www.nyredcross.org/products/55/13
[^2]: トリキュラー錠 28 – 医薬品医療機器情報提供ホームページ https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/630004_254910BF1047_2_00G.pdf
[^3]: トリキュラーを飲み忘れたら|24時間・48時間・一週目・休薬期間 … https://www.nyredcross.org/products/55/16

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