「気になることが頭から離れず、夜なかなか寝つけない」
「よく寝たはずなのに、起きたときに疲れが取れていない感じがする」
このように、睡眠に対しての悩みを抱えている人は少なくないでしょう。
日本の一般成人において、睡眠に対する問題を抱えている人は、30~40%いるといわれています。
不眠症によって出現する症状や原因となる事柄は人それぞれ異なり、状態に合わせて対処することが大切です。
また、不眠が続くと「眠らなきゃ」と睡眠に対してこだわりすぎてしまい、余計に症状が悪化してしまうことも。早めに原因を知り、適切な治療を開始することが重要といえます。
そこで本記事では、不眠症のチェックシートをご用意しました。
「自分は不眠症かも」と感じている人は、ぜひチェックしてみてください。
不眠症の原因|セルフチェックシートで確認してみよう
不眠症の原因は多岐に渡ります。主な原因として考えられているのは、以下の通りです。
- 生活環境や睡眠環境
- 身体疾患
- 精神疾患
- ストレス
- 内服薬の影響
- カフェインを含む食品や刺激物などの影響
上記の要因にあてはまる場合、不眠症を発症するリスクが高まるといえます。自分の生活や置かれている状況を考え、不眠症のリスクがあるのかをチェックしてみましょう。
- ストレスを感じやすい
はい・いいえ
- 神経質でまじめな性格である
はい・いいえ
- 睡眠に対してこだわりが強い
はい・いいえ
- 持病がある
はい・いいえ
- 内服している薬がある
はい・いいえ
- 睡眠を妨げている症状がある(息苦しさ・頻尿・脚がむずむずする感覚など)
はい・いいえ
- 悩みごとがある
はい・いいえ
- タバコを吸う
はい・いいえ
- コーヒーやお茶などカフェインを含む食品を摂取することが多い
はい・いいえ
- 生活リズムが不規則である
はい・いいえ
- 睡眠環境が悪い(騒音や光が気になるなど)
はい・いいえ
上記にあてはまる場合は、不眠症を引き起こすリスクが高まります。まずは、不眠の原因を知り、睡眠の妨げとなる環境を改善することが大切です。
原因を解決できない、環境を変えても不眠が改善されないなどの場合は、医療機関を受診して医師へ相談しましょう。
※このチェックリストの結果は不眠症の診断ではありません。あくまでも指標の1つとして参考にしてください。不眠症かどうかの診断を受けるには医師の診察を受ける必要があります。
不眠症の4つのタイプ|セルフチェックシートで確認してみよう
不眠症は、以下の4つのタイプに分けられます。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟睡障害
それぞれのタイプによって、症状や原因が異なります。この章では、4つのタイプに分けたチェックシートをご用意しました。当てはまるものにチェックしてみてください。
【入眠障害】
眠りにつくのに30分~1時間以上かかる
寝つけないことを苦痛に感じる
寝るときに強い緊張や不安を感じている
【中途覚醒】
夜中に何度も目が覚める
一度目が覚めるとなかなか寝つけない
頻尿など夜中に目覚める原因がある
【早朝覚醒】
予定の時刻よりも早く目覚める
目覚めたあと、もう一度眠れない
高齢である
【熟睡障害】
十分な睡眠時間にもかかわらず熟睡感が得られない
目覚めたあと、もう一度眠れない
よく寝たはずなのに日中眠い
眠りが浅い・睡眠の質が悪いとの自覚がある
起きたときに疲れを感じる
このなかで多くあてはまった項目が、自分の不眠のタイプといえるでしょう。
不眠症とは?
不眠症とは、寝つきが悪い・眠りが浅く途中で目が覚めるなど、睡眠に対しての問題を生じ、日中の活動に不調(全身のだるさや集中力の低下など)が表れる状態を指します。
厚生労働省の調べによると、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した人の割合は44.6%、「睡眠全体の質に満足できなかった」と感じている人は34.7%とのデータがあります。この結果から、睡眠に対して何らかの問題を抱えている人は、決して少なくはないといえるでしょう。
不眠症は、睡眠環境やストレスの改善などによって、自然と回復に向かうこともあります。しかし、不眠症を抱えている人の約10%は慢性化してしまうことも。不眠症が慢性化した場合、適切な治療を開始しないと回復しにくいとされています。
不眠症のタイプや詳しい症状については、「不眠症とは?4つのタイプと眠れない原因、受診の目安を解説」もあわせてご参照ください。
不眠症チェックであてはまったら|受診すべき目安と診療科
不眠による不調(日中のだるさや集中力の低下などの症状)が1カ月以上続いている場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。
なお、不眠症は以下の2つに分類されます。
- 慢性不眠症(慢性不眠障害):不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合
- 短期不眠症(短期不眠障害):不眠と日中の不調の継続が、3カ月未満の場合
「夜間の不眠」「日中の不調によって生活の質が低下している状態」の2つが認められたときに、不眠症と診断されます。
不眠が続くと、慢性化する恐れがあるため、1カ月以内であっても日常生活や社会活動に支障をきたしている場合は、早めに受診しましょう。
最近では「睡眠外来」などを設けて、不眠症などに特化して対応してくれる医療機関もあります。
不眠症の治療法は薬物療法がメインなの?
不眠症に対しての治療法は、原因や症状などによって異なります。まずは医師と原因を探り、原因や症状に応じた治療法が検討されます。
実際に検討される治療法は、以下の通りです。
- 生活指導
- 精神療法(精神疾患による不眠の場合)
- 身体疾患の治療
- 薬物療法
すぐに薬物を使用するのではなく、まずは生活習慣の改善を目的とした生活指導や、ストレス要因に対処するための精神療法(カウンセリングなど)が開始されることが多いといえます。また、ほかの身体的疾患が原因となっているときは、その疾患の治療を優先することで、不眠が回復に向かうことも。
上記の治療を開始しても不眠が改善されなかった場合、症状に合わせて薬物が選択されることがあります。
不眠症の治療法については、「不眠症の治し方とは?自分でできる方法も紹介」でも詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。
不眠症かも……と感じたら医療機関で相談してみよう
不眠症は、入眠障害や中途覚醒など、睡眠に対しての問題を生じ、日常生活に何らかの支障をきたしている状態です。睡眠による休息が十分に取れない状態が続くと、日中に集中力が低下したり、全身のだるさがあったり、といった不調を感じることも。
「最近ぐっすり眠った気がしない」「なかなか寝つけない」などの状態が続いている場合は、早めに精神科やメンタルクリニックなどの医療機関を受診しましょう。
不眠症は、原因を探り、適切な治療を早くに開始することが大切です。
「不眠症かも……?」と感じている人は、本記事のチェックシートで確認してみましょう。
参考サイト・文献
・不眠症|厚生労働省 e-ヘルスネット
・令和3年度 健康実態調査結果の報告|厚生労働省
・不眠症|東和薬品株式会社
・不眠症|全国健康保険協会
・不眠症|日本臨床内科医会